「Hearts of Iron IV」開発日記2019年2月27日分が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回は1.6パッチログとredditでの質疑応答について。長め。
前回:開発日記2019年2月20日――Man the Gunsの膨大な要約
概要
開発日記2019年2月27日は、1.6パッチログとredditでの質疑応答について。
パッチログ
「8000以上の変更点があり、このパッチログはそこから抽出したものであるため、抜けているものもあるかもしれない。」とのこと。以下では主な変更点と気になった点だけ抜粋してご紹介します。全体が気になる方は直接フォーラムをご覧ください。
なお、主な変更点については前回の開発日記で少し詳しく紹介されていますので、こちらも合わせてご覧ください。また、関連する開発日記がある項目にはリンクを張っています。
Man the Guns
- アメリカ・イギリス・メキシコ・オランダの国家方針ツリー(英米は史実部分については無料)
- 提督は特性画面から新たに特性を獲得できるようになった
- 艦船は艦船デザイナーから海軍経験値を使って設計できるようになった
- ゲームスタート時から海軍条約が存在し、これに対して行動を起こせるようになった。海軍条約は艦船設計を制限する
- 既存の艦船は改修が行えるようになった
- 海域で機雷敷設と掃海を行えるようになった
- 民主主義国は戦争で得た新たな従属国の自治レベルとして「被管理国」を利用できる。これは宗主国のイデオロギーにのみ接近し、ゆっくりと自治度が上昇する
- 民主主義国は亡命政府の受入国になれる。亡命政府には正統性に応じてさまざまなものがもたらされる。亡命政府でのプレイも可能
- 水陸両用戦車、水陸両用機械化歩兵
- 新たな外交活動として他国の海軍に入港権を与えられるようになった
- 海軍や輸送船にできる限り/完全にある海域を避けるように設定できるようになった
- プレイヤーは特定の軍に対して遠征軍派遣要請できるようになり、陸軍インターフェースから作戦計画も立てられるようになった
- 充分強力な国家は陣営の盟主の地位を新たな行動により獲得できるようになった
- 艦船を海軍旗艦とすることができるようになり、これによってボーナスを得られる
- メキシコ、オランダ、オランダ領東インドの3Dモデル
- アメリカ・イギリスの8つの艦船3Dモデル
- オランダユニットのボイスオーバー
- 新たなBGM4曲
無料の機能
- 燃料はエンジンを持つすべてのものの移動で消費される資源であり、原油や合成精製所から製造され、燃料サイロに備蓄される
- 海戦は距離と役割で艦船を区分し、マップ上では目標を捕捉・追跡する索敵フェーズがある
- 艦隊は任務部隊で構成されるようになり、艦船をコントロールする新たな海軍任務とインターフェースがある
- 艦船と航空隊は訓練できるようになった
- 艦船建造は見直され、艦船名は就役前につけられるようになり、艦船のクラスによって割り当てられる造船所の最大数が決まる
- 艦船修理が無料ではなくなり、造船所が必要になった。新たなインターフェースでは生産画面からこれを管理できる
- 海域は移動や戦闘に影響する特性を持つようになった。フィヨルド・群島、浅海、外洋、北極海、サメの多い海域がある
- 一部の技術(例えばドクトリン)で経験値を消費することでブーストをかけることができるようになり、これに合わせてそうした技術の開発期間をいくらか伸ばした
- 通商破壊により戦争協力度にペナルティがつくようになった
- マップ上でのディシジョンにより、実施するステートの選択が楽になった
- 提督は攻撃・防御・機動・調整の4つのスキルを持つようにした。またパーソナリティ特性を持つようにもなった
- 国家方針をキャンセルできるようになった。10日間分まで進捗度を保持できる
- シングル・マルチ両方で使えるカスタマイズ可能な新たなゲームルール。AI国家の方向性も設定できる
- 21の新たな実績
- 上陸作戦は港あたりひとつだけに制限されなくなった
- 戦争目標の正当化は敵国を支援する国家に対しては安くなった
- 海戦の報告は重要性によって時間経過で自動的に消滅する
- チェコスロバキアが傀儡となった場合、オーストリア=ハンガリーがチェコスロバキアの自治度を低下させる繰り返し可能な国家方針を追加
- リトアニアが西ヴィルノ(West Wilno)ステートとVPのあるヴィルノ(Wilno)をヴィリニュス(Vilnius)に改称できるディシジョンを追加
- ドイツ向けに「チェコスロバキア要塞線の取り壊し(Dismantle Czechoslovakian Forts)」ディシジョンを追加
- 民主主義のハンガリー国王はディシジョンを通じてスウェーデンに参戦要請を出せるようになった
- 70の新たな建国可能国家を追加
その他
- 元帥特性の攻勢ドクトリンをより強力にした(移動による指揮統制減少-10%→-50%、さらに攻撃+1)
- 補給中隊は燃料使用量を低下させるようになった
- 中東における石油資源開発のディシジョンを追加
- 日本の国家方針で本国から離れた島に工場ができないようにした
- パナイ号事件の連鎖イベントを追加
reddit AMA
- 先週redditでAMA(注:Ask Me Anythingの略)というQ&Aセッションを行ったが、人気のあったものの中から一部をここでも紹介することにした。
Q:新しく建国可能になった国家はある?
A:(Bratyn氏の回答)帝国の連邦制(Imperial Federation、注:イギリスの国家方針)を形成できるようにしたが、これにはWtTで追加された建国可能国家よりもやらなければならないことが多い。また、オランダもオランダ連合王国(United Netherlands)向けの建国可能国家に関するディシジョンがある。WtTを持っていなくても可能だ。帝国の連邦制以外にMtGで建国可能になった国家はないが、70の新たな国家タグを追加している。
Q:講和会議のメカニクスはアップデートされた? 全部のVPを取らなくてもいい条件付き降伏できる?
A:(podcat氏の回答)講和会議はいつか必ず手を加える。講和会議はまったく満足していないシステムのひとつだ。しかしこれは非常に込み入ったことであり、WW2シナリオ向けに作業を進めることになると思うが、プレイヤーは多くのModを遊ぶし私たちも多くの非史実ルートを作る。また、現在は平時のレジスタンス活動がないため、早期の平和があまりにも強力すぎる(これも今後取り組むであろう内容だ)。
Q:AIは改良されたの? 機能について長いリストになってるけど、AIについてはほとんどない。
- AIは正しい上陸作戦の立て方をわかってない。例えばアメリカとイギリスはイタリアやフランスに上陸するが、港を取らなかったり、充分な量のユニットを上陸させていない。こういう嫌がらせみたいな上陸作戦は簡単に包囲されて撃破されてしまう。同じことの繰り返しだ。
- AIはスエズ運河のような重要地点をちゃんと防衛しない。
- AIは変に前線からユニットを動かして戦線に大穴を開ける。
A:(podcat氏の回答)AIは常に改良されている。今後数か月時間を取って、これまでも取り組んできた前線や上陸作戦のAIの改良をさらに行えればと思っている。期日は約束できないが、AIの改良は間違いなく私たちの計画に入っている。
Q:経済システムの変更はある? 今は全部生産に関連している一定数の資源があるだけだけど、例えば南アフリカで金鉱山の国民精神が得られるとか。
A:(YaBoy_Bobby氏の回答)シンプルでエレガントな民需工場経済を作ったが、経済的な相互作用をもっと深みのあるものにすることについては確かに考えている。HoI4の核である装備・軍備管理からあまりにも離れすぎない限り、貿易・経済管理をより面白いものにすることにするということもあるだろう。MtGでは潜水艦で貿易や補給を海において遮断するのがこれまでよりずっと効果的になった。また通商破壊で戦争協力度にペナルティがつくようにもなり、これによって経済にネガティブな影響も出る。
Q:MtGにかかった時間について開発チームはどう評価してるの? Holy Furyも長くかかったけど私が見る限りでは成功だった。ひとつのDLCにこんなに長く取り組んで大変じゃない?
A:(podcat氏の回答)コミュニティとやり取りするのが非常に重要だし、それがモチベーションにもなるので、短いサイクルのほうがいい。開発日記での機能の紹介や配信はあるが、完全に代わりになるわけではない。時間についてはMtGでは必要だった。ゲーム全体の30%を作り直していて、難しい設計の問題やバランス取り、生き残れるようなAIの開発(燃料追加後の修正前のドイツのAIはあえてソ連を攻撃しようとしなかった。今では頻繁に負けるようになっている)もあった。今振り返るとそこまで野心的ではなかったつもりだけど、海軍の見直しは突き詰めるとやるかやらないかというものだった。みなさんに好きになってもらえたらと思っている。チャーチルも言うように、血と汗と涙だ。
Q:現行バージョンと比べてMtGのパフォーマンスはどう? 特にゲーム終盤。
A:(podcat氏の回答)AIは大きく異なる振る舞いをするため答えるのが難しい。要素よりも戦争の長さのほうが影響が大きい。細かく見ていくと、序盤は少し遅くなり、終盤は少し早くなった。UIなどの改良でゲームが大きく遅くなることは減った。グラフィックメモリ含むメモリの使い方が改善したためだ。
最初は新たな国家やコンテンツ、AIも利用する海軍のメカニクスによって1.5より50%ほどゲームが遅くなった。最適化に長く取り組んだが、新機能のために大きく早くするということにはならなかった。ドイツと日本の長大な前線がより活動的になったのはよくできているがゲームを遅らせる要因でもある。よりよいAIはパフォーマンスを低下させるため、しばしば厳しい選択となる。だいたいゲーム終盤は5-10%改善し、戦争開始前は逆になっている(注:はっきりと改善したかどうかは述べられておらず前段落と整合的に解釈していますが、段落内で意味がつながらないような気も……)が、突然負荷がかかることはなくなったためスムーズになり、AIも活動的になったはずだ。大型Modでもパフォーマンス改善の恩恵はあると思うが、確証はない。リリース後も改善を行い、パッチが出る予定だ。
Q:新たな拡張をデザインするときに歴史の調査はどれくらいやるの?
A:(Archangel氏の回答)国家方針の作成を4つのフェーズに分けると、それぞれ3週間くらいかかる。最初が設計と調査だが、その前に準備作業をするので、国家方針ひとつあたり(注:歴史調査に使うのは)だいたい3-4週間だ。他のゲームメカニクスも同じくらいかける。
(podcat氏の回答)メカニクスについては、現在の拡張の開発中に、次の拡張を計画するために本を読んだりドキュメンタリーを見るなどしている。これが逆になることもある。
(Bratyn氏の回答)資料を見つけやすいかどうかは作業対象の国によるが、2-4週間は調査し、実装段階でも必要に応じてさらなる調査を行う。もちろん特定の国の国家方針の実装時にはすべてが「頭の中にある」状態で、それを「形にする」ために、フリータイムにはその国家や時期の資料を見ることもある。
コンテンツデザイナーのBratyn氏は修士論文としてWW2期の英蘭関係を取り上げ、WW2期を研究するうちにHoI4への熱意が高まり、最終的にパラド社に入社したという話も取り上げられています。
質疑応答
Q1:空母艦載機のバグは修正された?
A1:どれのこと? 地上目標に対してうまくダメージを与えられないことについては直ったと思う。AIが艦載機を補充しなかったり、うまく生産できないのも直った。空母艦載機は通常の航空機と同じシステムで動くので、そうしたおかしなことはすべて解決した。
Q2:パッチログに空軍AIが修正されたとあるけど、もうちょっと詳しく。
A2:空軍AIの地域の優先づけがうまく行ってなくて、ときには全域を同時に優先していたので、新しくちゃんとした優先度を追加した。あまりにも優先しすぎる海域もあったし、反応が遅くて連携が取れていない場所もあった。非常に多くの変更があって細かく説明するのは難しい。
Q3:「民主主義のハンガリー国王はディシジョンを通じてスウェーデンに参戦要請を出せるようになった」ってなんで? なにかつながりがあったの?
A3:redditでのファンの回答を盗んできた。「『民主主義者の国王を選択』を取るとスウェーデン王太子のグスタフ5世(注:1.5で確認したところでは当時のスウェーデン王グスタフ5世の次男ヴィルヘルムがカール5世ヴィルヘルムとしてハンガリー国王として即位するようだが……)がハンガリーの国王になる。ゲームでは『王朝の繋がり』という国民精神を得る。実際には事実上スウェーデン王室のメンバーを戴くことでスウェーデンと同盟したようなものだ」
Man the Gunsのリリースは、Steamでは日本時間では翌3月1日深夜2時のようです。
次回:開発日記2019年3月6日――MtGリリース後(1.6.1パッチについてもこちらの記事をご覧ください)
コメント
あともう少しですが、日本語化作業が大変になりますね。
いよいよ、お目見えか
変更も多いからしばらくは不安定だろうけど、とりあえず楽しみ
遂に海軍が日の目を見る事に!
日本語化MOD翻訳所も立ち上がってるんで、週末には仮対応出来そうかな?
訳の進捗スピードから、ステラリスとのプレイ人口の差を実感しますね。
アフリカとか国めちゃくちゃ増えたな