「Stellaris」の新DLC「The Machine Age」発売は5月7日!

コーエーテクモHDが2023年3月期第4四半期・通期決算を発表

コーエーテクモ社

2023年4月24日、コーエーテクモHDが2023年3月期第4四半期・通期決算を発表しました。通期として過去最高の売上・営業利益となりました。

前四半期:2023年3月期第3四半期(2022年第4四半期)


スポンサーリンク

2023年3月期第4四半期・通期決算

2023年4月24日、コーエーテクモHDが2023年3月期第4四半期・通期決算を発表しました。以下、決算短信決算説明会資料をもとに、今回の決算内容を見ていきます。

  • 2023年3月期第4四半期累計業績:前年同四半期累計→当四半期累計(対前年増減率)(単位は百万円)
    • 売上高:72,759→78,417(+7.8%)
    • 営業利益:34,527→39,133(+13.3%)
    • 経常利益:48,696→39,899-18.1%
    • 当期純利益:35,359→30,935-12.5%

売上と営業利益、つまり本業部分では業績を伸ばす一方、昨年度まで好調だった投資が今年度は不調で、経常利益と当期純利益は前年比マイナスという着地になりました。

会社側の分析では『WILD HEARTS』『Wo Long: Fallen Dynasty』の発売、既存スマホゲータイトルが利益貢献したほか『信長の野望 覇道』を配信開始したことが挙げられています。また、営業外収支(つまり投資)では「戦略的にポートフォリオの組み替えを行い、厳しい金融環境の影響を受ける中、黒字を確保し」たとのこと。前年度は営業外収支で140億円程度の利益だった一方、今年は8億円程度に利益が大幅に減少していることが経常利益・当期純利益の減少につながっているようです。

エンタテインメント事業(ゲームなど)

こうしたタイトルは中期計画で重点目標として掲げるタイトルであるとされており、『WILD HEARTS(2023年2月17日発売)』『Wo Long: Fallen Dynasty(2023年3月3日発売)』はそれぞれ500万本級か200万本級のパッケージゲームのいずれかなのだろうと考えられます。

しかしながら、今回の決算ではどちらも販売本数は発表されていません。一方、『ライザのアトリエ3(2023年3月23日発売)』は29万本、シリーズ累計160万本と公表されており、アニメ化も決まったとのこと。

オンライン・モバイルゲームはタイトルごとに細かな数字は発表されていませんが、当四半期は前四半期から一転、大きく売上を伸ばして18年第2四半期以降最高となりました。『信長の野望 覇道』配信開始のほか、『LINE:モンスターファーム』『三国志・戦棋版』『大航海時代 Origin』(いずれも開発・運営は他社)が配信開始となったことも影響したものと思われます。

エンタテインメント事業(主にゲーム事業が属する事業セグメント)全体では、パッケージゲームとオンライン・モバイルゲームで売上をおよそ半分ずつ占めるという状況が依然として続いているようです。

営業外収支(投資)

営業外収支(投資)については決算発表と同時に開示が出され、有価証券償還損およそ66億円を追加計上する一方、前四半期までに計上したデリバティブ評価損の戻入(つまりこれまで評価損を計上していたデリバティブ資産の評価額が当四半期末までに戻ってきたため、その分だけ評価損を取り消している)がおよそ80億円発生した旨が発表されています。

(再掲)

前四半期まではコーエーテクモHDにしては珍しく営業利益>経常利益(つまり投資による利益がある)という状態が続いていましたが、年度が終わってみると例年どおり営業利益<経常利益という形での着地となりました。

すっかり見落としていましたが、貸借対照表にも今年度の投資の悪影響が表れていたようです。2021年末から2022年中、業績はずっと黒字であったにもかかわらず純資産が大幅に減少しているのがわかりますが、これは主にコーエーテクモHDが保有する投資資産の変動によるもので、この期間に投資資産が大きく目減りしていることを示しています1。特に2021年末から2022年第1四半期にはおよそ100億円のマイナスとなっていましたが、この純資産の目減りも当四半期末には回復しつつあり、一時的に損失は出したものの、コーエーテクモHDの投資巧者ぶりは依然健在ということなのかもしれません。

なお、2021年末に計上されている巨大な固定負債の大部分は、コーエーテクモHDが東証プライム市場の上場維持基準を満たすために創業家が保有している株式を放出する計画の一環として発行した転換社債型新株予約権付社債です。

決算説明会資料の来期計画の部分に、投資による利益(営業外収支)が経常利益のうちどれほどの比率であったかというグラフが掲載されていました。おおむね3割前後で推移していたものが22年度は数%まで低下しています。計画では来年度も大きく回復という見通しではないようです。

21:00追記

コーエーテクモHDが先日大騒ぎになっていたクレディスイスAT1債を41億円分保有していて、これが全額損失になったとのこと。今回の決算ではおよそ140億円もの有価証券償還損が計上されており、ここに含まれているのではないかと考えられます。

2023年4月25日追記

ロイターで記事になっていました。

来年度の計画

同時に2023年度の計画も発表されていますが、国内販売本数は-25.4%と大幅に減少する一方で、国内売上高は+37.9%と大幅増収の計画になっていました。素直に解釈すると国内売上はパッケージゲームからオンライン・モバイルゲームに大きくシフトさせる計画ということのように思われます。

これは前年度末の決算説明会資料に掲載されていた2022年度(つまり今年度)の計画(左側2枚)と、今回の決算の決算説明会資料に掲載された2022年度の実績値(右側2枚)です。左の2枚のスライドを見ると、2022年度もわずかながら国内販売本数はマイナスの計画であったと同時に、国内売上は増加させる計画であったことがわかりますが、2022年度実績値では国内販売本数はむしろ微増する一方、国内売上は計画値ほど伸びなかったことがわかります。

来年度(2023年度)計画は2022年度に計画されていた流れをさらに推進するということのように見えますが、国内売上本数が大幅に減る計画が出るということが国内のパッケージゲームユーザーにどういう意味を持つのか、そして国内売上本数を大幅に減らしつつ国内売上は大幅に伸ばすというのは実際に可能なのか、気になるところです。


当サイトでも以前記事にしたように、「信長の野望・新生 パワーアップキット」は2023年7月20日発売ということは既に発表されていますが、Twitterで触れたように海外版「新生」(パワーアップキットなし版は発売されておらず、パワーアップキット込みで初の販売となるようです)も同日発売とされています。個人的には、海外版も発売するのであれば国内版との価格差があまり出ないようにしてほしいなと思いますが、どうなるのでしょうか。

次四半期:2024年3月期第1四半期(2023年第2四半期)

スポンサーリンク

コメント

  1. まさかクレディ・スイスの話がここで出てくるとは…

  2. 損益計算書の推移の下 経常利益<経常利益 になってますよ

    • 修正しました。ありがとうございます。

タイトルとURLをコピーしました