「Victoria 3」新DLC「Sphere of Influence」発売は5月6日!

パラド社が2019年第1四半期レポートを発表

Paradox Interactive社

2019年5月14日、パラド社が2019年第1四半期レポートを公表していました。前年同期比で減収減益となっています。

前四半期:2018年第4四半期・通期


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概要

2019年5月14日、パラド社はウェブサイトで2019年第1四半期レポートを公表しました。

以下では1クローナ=11.45円で換算し、千の位を四捨五入しています。MSEKは百万スウェーデンクローナ。

業績

スウェーデンクローナ 日本円 前年同期比(SEK) (参考)前年同期
売上高 238.3MSEK 27億2854万円 -11% 267.0MSEK
営業利益 62.7MSEK 7億1792万円 -55% 140.5MSEK
税引前利益 63.2MSEK 7億2364万円 -55% 140.5MSEK

CEOコメント

CEOコメントでは減収減益について「(2018年第1四半期以降の人員増強について)開発・マーケティング・組織体制強化の投資として行っており、それが理由で利益率が低下し、また今期は新たなタイトルのリリースも減少したことが大きい」と述べています。

同時に「私たちのゲーム発売は季節性のものではないので、四半期だけの業績を見て評価しても会社の全貌は見えない」とも述べています。確かに2018年第1四半期はSurviving Mars、StellarisではApocalypse、HoI4ではWaking the Tiger、EU4ではRule Britannia、そのほかSteel DivisionやCities: SkylinesのDLCなどリリースラッシュであった反面、今期(2019年第1四半期)はコンソール版Cities: SkylinesでGreen CitiesとParklife、HoI4のMan the Guns、Stellaris: Console Editionのみと、前年同期比では少なくなっています。そんな中でも、HoI4のMan the Gunsは発売後1か月の売上がHoI4のDLCの中では過去最高であったとのこと。

CEOとしては今期発表されて2020年第1四半期リリース予定のVampire: The Masquerade – Bloodlines 2に大きな期待を寄せているようで、過去最大マーケティングを行っており、「RPGへ進出する重要な一歩だ」と評しています。

さらに、今期にはカリフォルニア州バークレーにRod Humble氏(ザ・シムズ2,3の開発に携わっていた人物のようです)がリーダーのParadox Tectonicという開発スタジオをオープンさせ、これは未発表のゲームを開発しているとのこと。

今期のリリースではありませんが、Imperator: Romeにも触れられています。「今のところ(注:決算発表は5月14日なのでリリースから3週間ほどの時点)売上目標を上回っている。ゲームメディアのレビューは非常に好評だったが、Steamのユーザーレーティングは期待を下回っている。私たちはこれを深刻に受け止めている。開発チームはこの評価の分析と計画されていたロードマップの見直しに取り組んでいる」とCEOはコメントしています。

また、パラドックスアカウントが1000万アカウントを突破したとも述べています。「パラドックスアカウントを持っているプレイヤーはそうでないプレイヤーと比較して一般により多くの時間とお金を私たちのゲームに費やしている」とのこと。

財務数値の推移

今回、パラド社の財務諸表で遡れる限界の2015年第2四半期まで遡って財務数値の推移を調べてみました。

業績の推移

これは各四半期の売上高、営業利益、当期純利益を並べたグラフです。

売上高を見ると例年第2四半期と第4四半期に集中しています。第4四半期はブラックフライデー商戦とクリスマス商戦なのだろうと思いますが、第2四半期の売上高が多いのはよくわかりません。

第2四半期にリリースが集中しているのかと思い、こちらの情報を元にパラド社開発スタジオタイトルに限ってですが過去の月ごとのリリースタイトル数をカウントしたグラフがこちら。

第1、第3四半期は明らかにリリースタイトル数が少ない一方、第2、第4四半期では第2四半期よりも第4四半期のほうがリリースタイトル数は多くなっているのがわかります。「私たちのゲーム発売は季節性のものではない」というCEOコメントは、パラド社開発スタジオタイトルに限ればどうやら正しくないようです。

第1、第3四半期は明らかに少ないので売上高の季節性と整合していますが、第2四半期の売上高の多さは謎です。Steamサマーセールがブラックフライデーとクリスマスを足したより多くの売上を叩き出すというのも考えにくいですし、パラド社開発スタジオタイトル以外の売上が毎年第2四半期に集中しているのかもしれません。

貸借対照表の推移

こちらは貸借対照表の推移。左側の青が資産の部、右側上部の赤が負債の部、右側下部の黄が純資産の部です。

上場を控えた2016年第1四半期は一時的に大きく総資産・純資産を減らしていますが、それ以外では上場以来一貫して総資産が増えており、純資産も上場以降は第2四半期に配当を行って減っている以外は一貫して増加し続けています。総資産では上場時点から3年で3倍ほどの規模に、純資産も上場以来増資なしで(私の知る限りですが)倍以上に成長していることがわかります。

株価と指標

パラド社の株価は、よくない業績の決算発表でもあまり下がらず5月24日終値で146.60クローナ。ここ数か月は株価は安定しているようです。

5月24日時点での時価総額(Market Cap)はYahoo! Financeによれば154.8億クローナ(1772億円)。日本の上場企業で近いところでは、モンスターストライクのミクシィ(1780億円)、広島銀行(1766億円)など。参考までに「信長の野望」のコーエーテクモHDは2587億円となっています。

パラド社の現在の総資産はグループ全体で1302MSEK(149億円)。日本の上場企業で近いところでは、たまごのホクリヨウ(148億円)、学習塾の早稲田アカデミー(150億円)など。コーエーテクモHDは865億円。


Imperatorは言及されているようにSteamの評価が悪い(ほぼ不評)ので、売上目標を上回っているというのは正直かなり意外でしたが、発売直後に充分売れたのにもかかわらず「ほぼ不評」なのは期待の高さの裏返しだったのかもしれませんね。

四半期ベースで前年同期比で減収減益というのは上場以来初めて(増収減益はありましたが)のことで、なんだか成長の曲がり角に差しかかってきたような感じが出てきたように思います。もちろんまだ2019年は第1四半期ですからなんとも言えませんが、これまでのような急速な成長は近い将来には望みにくいように見えます。このままズルズルと業績が低迷してしまうのか、大きなジャンプの前にしゃがみ込んでいるだけなのかわかりませんが、うまく行ってほしいところです。

私としては今年10月のPDXCON2019でVic3が発表されるんじゃないかと予想しているのですが、Vic3にはパラド社の成長の第2段階を牽引する傑作シミュレーションにぜひなってもらいたいですね。

2019/05/27追記PC Gamerの記事でPDXCON2019の動画が紹介され、この中でPDXCON2019で新作を発表すると告知されている他に、「Victoria3じゃないよ」と述べられていることが指摘されています。以下の動画の1:04頃。

本記事は紹介している企業その他への投資の勧誘や売買の推奨を目的とするものではありません。また、情報の正確性について気をつけてはいますが、これを保証するものではありません。

次四半期:2019年第2四半期

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コメント

  1. VICシリーズの経済システム好きなんですけどねー

  2. 現代をテーマにしたようなものも欲しいかも。第二次世界大戦と宇宙進出の間がぽっかりと空白になってるし

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