19~20世紀が舞台の国家シミュレーションゲーム「Victoria 3」を日本で遊ぶプレイ日記第9回。今回は1933年からゲーム終了までをプレイします。
前回:日本編 第8回
1934年
5月、時代IV技術の研究が完了し、時代V技術に取り掛かります。まずは市場アクセスの価格への影響を引き上げる「マクロ経済学」から。そのほかはその時々で適当なものを研究していきます。
この頃になるとゲームの進行がうんざりするほど遅くなり、経済運営も面倒になり、不足したインフラを作り足す以外にはひたすら時間を送るのみになっています。ゲーム終盤を消化試合にせずに遊ぶには、やはり終盤でもなにか目標を持っておく必要があるのでしょう。
ゲーム終了
このほか特になにもなく平穏に1936年を迎え、ゲーム終了。日本はイギリス・フランスに続く列強第3位で1936年を迎えました。
人口は7200万人、GDPは3億2700万ポンド(一人当たりGDPは4.52ポンド)、識字率は91%、平均生活水準は21という結果。
100年間で人口は2.3倍、経済規模は26倍となった計算です。ゲーム終盤はまともな経済運営をサボっていたので、終盤も真面目に施設建設などを進めていればもっと大きな経済規模になっていたかもしれません。
経済
市場の状況はこのとおり。ゴムや燃油は十分な量が輸入できたので、東ボルネオ以外にさらに植民地を獲りに行く必要は感じませんでしたが、せっかく輸入しても「自由貿易」では外国に買われて行ってしまうこともありました。また、さまざまな工業製品についてゲームのほとんどの期間を通じて不足気味だった供給が、最後には完全に過剰になって今度は需要が不足するという状態になっていました。輸出で海外の市場の需要を取り込んだり、減税で国内需要を高める施策が必要でした。
施設の状況はこのとおり。非常に多くの施設が建っていますが、多くの施設は人手不足に陥っています。また、終盤にアンロックされる方式への変更も進んでいません。終盤はとにかく膨大な資材が生産されるため、少し商品価格が高いとすぐに自動建設で追加の生産施設が建設されて供給不足が穴埋めされてしまい、方式の変更で生産量を増やす必要がなくなっていました。また、終盤の方式は価格が下がりにくいゴムや燃油を使うものが多く、すぐに施設が建つことと相まって、古い方式で生産を続けたほうが経済的という要因もありました。
最終的な建設局は合計135、資材生産は約1,700/週。終盤はもう建てるものがなく(建てても人手が足りない)持て余している状態でした。際限ない経済の拡大を目指すなら、積極的に外征をして人手をもぎ取ってくる必要がありそうです。
財政
財政はこのとおり。終盤の急激な経済成長によって財政規模が急拡大し、それをほとんど建設局に突っ込んだ結果の資材生産1,700/週でしたが、それを生かすためには原料と人手の獲得のために軍備にお金をかける必要があったようです。社会保障は「救貧法」のままレベル3まで引き上げているにもかかわらず、社会保障費で財政が圧迫されるということにはなっていません。制度にもよるのでしょうが、終盤は経済が順調に運営できているなら社会保障費が問題になるということはなさそうです。
技術
技術研究については、結局ゲーム終了までに「マクロ経済学」の研究が終わらず、時代IV技術をすべて獲得したところで終了。最終的な革新値は186/週で、識字率による上限の値です。
政治
政治については、依然として小ブルジョワ・労働組合の連立政権が続いています。得票率では労働組合の平民党が6割、小ブルジョワの国民同盟が2.5割で、残りの1.5割をその他の政党が分け合う状態となっています。
最終的な法律はこのとおり。どうせなら「人種隔離」を「多文化主義」にしたかったのですが、制定が難しいと言われているとおりで、制定運動こそ発生したものの、賛成する利益集団はついぞ現れずに終わりました。「多文化主義」制定を狙うならやはり利益集団のリーダーを交代させるなど積極的な動きをする必要があるようです。
制度についてはこのとおり。終盤は行政力がかなり余っていたので、ほぼ使わなかった植民以外のすべての制度について可能な限りレベルを上げています。
1936年の世界
1936年の世界はこのとおり。日本はイギリス共和国、フランスに続く世界第3位。GDPでも同様で、GDPでは日本の後に英領インド、オーストリア、ドイツ、アメリカ、ロシア、清と続きます。
南北戦争は終わったはずですが、アメリカは現在内戦中。合衆国がプロレタリアンの反乱地域に攻め入っているようですが、どうなるか。
経済発展の振り返り
これまでのプレイ日記では経済についてほとんど取り上げてこなかったので、最後に経済発展を一定期間ごとにまとめて振り返ってみることにします。
全期間を通じてやっているのは不足する商品の供給を増やし、利益になる方式の変更を行うというだけで、特に技巧的なことはやっていないはずです。
1836-66年
最初の30年間の経済発展は非常にゆっくりとしたものでしたが、これが大きく変わるのは「中央公文書館」と「メカニカルツール」の獲得でしょう。「中央公文書館」で課税キャパシティが大きくなり、これによって財政的な余裕が生まれます。「メカニカルツール」では「中央公文書館」でアンロックされる行政府の方式「規格化された書類整理システム」を支えるだけの大量の紙を供給できるようになります。こうして生まれた財政的余裕で建設局を増やしたり方式を変更したりして資材生産を増やし、経済発展が加速しました。
この30年ではゲーム開始直後に建設局を建て増しした後の資材産出+24/週が+55/週へと倍増。終盤の急速な増加から見れば些細なものですが、この時代では大きな増加幅です。
1866-96年
次の30年では建設局の次の段階の方式をアンロックする技術「鉄骨建築物」と、大幅に税収を増やした「比例課税」への法改正が大きな変化点だったように思われます。
もうひとつ影響が大きかった印象があるのは「装甲艦」で、これによって造船業が硬材から鋼鉄を使うようになり、製鉄業を発達させられるようになります。鋼鉄は「鉄骨建築物」でアンロックされる方式「鋼鉄フレーム建築物」で大量に使用するため、この時代の経済発展において鋼鉄産出量は非常に影響が大きかった記憶があります。
とはいえ、製鉄所の建設には長い時間がかかりますし、鋼鉄の原料となる石炭と鉄の供給も増やさなければならないため、上記の効果が十分に出るには時間がかかり、本格的に建設局の方式を「鋼鉄フレーム建築物」に変更していくのは次の10年を待つ必要がありました。
このほか、今回のプレイではこの時期に「伝統主義」→「農本主義」の変更に成功しており、これも大きな影響があったものと考えられます。
この30年では資材産出+55/週が+176/週へと、3.5倍ほど増加しました。
1896-1906年
この10年は今回のプレイで経済発展の次元が変わった時期でした。前節で述べた「鋼鉄フレーム建築物」への変更がこの10年で本格化し、資材産出はわずか10年で+176/週→+527/週と3倍になりました。これを支える鋼鉄の供給を大きく増やす「平炉法」は、プレイ当時には特に気にしていませんでしたが、今から振り返るとかなり大きな役割を果たしていたように思います。
1906-16年
投資プールが枯渇し、民間の建設が完全に行われなくなることがあった。
このまま指数関数的経済成長を遂げるかと思いきや、この頃になると資材産出が多すぎて一定期間ごとに投資プールが枯渇し、民間の建設が行われない時期が出てきます。そうなると建設費をすべて政府財政で賄わなければならなくなるため、建設局を建て増しする余裕がなくなっていました。この10年では資材産出が+527/週→+884/週と、前の10年に比べて如実に成長率が低下しています。
1916-26年
この時期には資材産出が多すぎて手動での建設指示が手間になり、ほぼすべての建設を自動建設で行うようになっています。また、価格の高い商品を生産する施設が次々に建設されるようになるため、個々の施設の方式を細かく見ていく意味合いが薄れ、だんだん方式の変更も行わないようになって経済運営がいいかげんになっていきました。儲かっている施設は巨大な資材産出でどんどん拡張されるので、放っておいても勝手にどんどん経済が拡大していく局面です。手動でやることと言えば、インフラ目当てに鉄道や港の建設指示を出すことくらいでした。
この時期は戦争をやったこともあり、資材産出は+884/週→+1,597/週と、数字としては大きいですが成長率としてはおよそ倍に留まりました。
1926年以降
この頃になるとゲームが相当重くなり、プレイが面倒になってきていました。ゴムや燃油は植民地と輸入で問題ない程度まで賄えていましたし、経済成長もここまでで十分大きくなってきており、さらにプレイする上での目標がなかったというのもあります。
また、この頃になると人手不足が発生してこれ以上施設を増やす意味もなくなりつつあったこともあり、資材産出は+1,597/週→+1,697/週と小幅増に留まりました。多くの商品は既に十分な供給が行われており、必要なのは供給の増加ではなく需要の増加という局面に入りつつあったというのもあるでしょう。
まとめ
以上のように振り返ってみると、経済成長は建設局の方式の変更と、それを支える財政や商品供給などの要素が揃ったときに加速すると言えそうです。建設局の方式は技術研究によって進むので、もちろん技術研究も並行して進める必要があるでしょう。
建設局が多いほど経済成長は早まるものの、技術研究が遅れれば建設局の方式変更による経済成長の加速が遅れると考えると、政府財政を建設局と大学(と経済成長には寄与しませんが軍事)にどれくらいの塩梅で割り振るのがいいのか、少なくとも序盤のうちは考える必要があるように思います。第1回で「課税レベルを最低に落とした状態で収支が釣り合うまで建設局を建てる」とか「予算の課税レベル1段階分を軍事費にする」というようなことを書きましたが、これはそうした問題意識に基づいたものでした。今回のプレイでこうした目安はおおむねうまく機能したように思いますが、どのような考え方がいいのか、なにか知見があればコメントいただけますとうれしいです。
全体の振り返り
今回のプレイ日記は完全に見切り発車だったので特に目標を決めずに始めてしまいましたが、例えば「明治維新を達成したらどこそこの地域をすべて植民地化する」というようなゲーム中盤以降のストレッチゴールのようなものを作っておけばよかったなというのが第一の反省点です。終盤を消化試合として過ごすのはもったいないことでした。
その一方で、無事に明治維新と列強入りを果たせたのはひと安心でした。今回は序盤の立ち上がりがうまくいったとは言えない展開だったので、もしかすると江戸幕府のまま最終回かもしれないと心配していました。実際今回は明治維新が20世紀に入ってからでしたが、法改正の巡り合わせによってはそういうこともあるようです。
今回のプレイ日記は上に書いたように完全に見切り発車で詰めの甘いところがたくさんあり、その点申し訳ないと思うと同時に、ご覧いただいた複数の方から非常に示唆に富むコメントをたくさんいただき、私の至らない点を大きく補足していただきました。今回のプレイ日記はむしろコメントが本編と言ってもいいくらいでしょう。ここまでお読みいただいた方の中でコメントを読んでいない方がいらっしゃいましたら、ぜひ各回のコメント欄もご覧いただきたいなと思います。
また、このプレイ日記にコメントいただいた方々には改めてお礼申し上げたいと思います。コメントをいただいたことで、本プレイ日記は非常に得るものの多いシリーズになりました。私自身とても勉強になりましたし、このプレイ日記をご覧になっている方の中にもコメントを見て改めて知ったり気づいたことがあったという方も多くいらっしゃったはずです。まことにありがとうございました。
2023年末から9回にわたって集中的に公開してきた「Victoria 3」プレイ日記:日本編は今回でおしまいです。これまでご覧いただき、まことにありがとうございました。本プレイ日記を楽しんでいただけたなら、そして「Victoria 3」を遊ぶ上での参考になりましたら幸いです。
コメント
お疲れ様でした。
個人的には日本のような人口大国では最序盤から最高税率・全権力消費税・全支出(戦時の軍事意外)最低で多少の赤字になる(建設で税収が改善される為)程度に建設局を作り、
中央公文書館を解禁次第税収目的で行政府を建て、余った行政力で公共学校のレベルを上げて技術を確保する……というやり方の為、序盤の建設力が低く思えましたがそれでも急速な経済発展や自給施設のほぼ完全な消滅にまで到れるのは驚きで、非常に興味深く参考になりました。
比例課税と鉄骨建造物は確かに強力に思っていましたが、ここまでとは……
ゲームの重さですが、正直もう嫌になるほど重くなるのは確かなのですが、イギリスでもフランスでもロシアでも1.4で多文化完全分離で移民を国内外からぶん回した時は毎月のようにクラッシュしていましたが、1.5では同じ事をしてもクラッシュに至った事はほぼありませんでした。
環境や人口増加の鈍りなども関係しているのかもしれませんが、いろいろ言われがちなパラドを見直した瞬間でした。今後のアップデートにも期待できるかなと思えました。
ご覧いただきありがとうございました。
私も振り返ってみて比例課税と鉄骨建造物の時期の資材産出の伸びに、記事を書きながら自分で驚きました。ただ、これもそこまでの経済発展の下地があってこそだと思いますので、書いていただいたような経済効率性を追求するようなプレイではもっと早くこの段階に到達できるのだろうなと思います。
1.5からはおっしゃるようにクラッシュすることが減ってゲームが安定するようになったというのは、確かに私もそういう感覚があります。今後の開発がどうなるのか気になるところですね。
お疲れ様でした。今回は平和的に労働力と重要資源の不足に立ち向かうプレイでしたが、財政を軍拡に回して新しい市場を獲得してねというのが本来開発の意図したゲーム後半を楽しむためのプレイスタイルだったのかなと思います。
それはそれで工業化にによって必然的に帝国主義へと傾倒していく時代をよく表現できていると思いますが、やはり戦争無しに外国の資源産業に建設ポイントを投資できる機能が欲しいですね…
ご覧いただきありがとうございました。
おっしゃるとおり、プレイヤーに自然に帝国主義的行動をさせるという意図はあるのでしょうし、それに乗って第一次世界大戦のような大戦争をやるというのがいいのかもしれませんね。今回は1920年代の植民地獲得戦争からのロシアとの戦争で疲れてしまって尻すぼみになってしまったのが反省点でした。
外国の資源産業に投資する機能については、3月発売予定の「Sphere of Influence」で「外国の経済に投資する」機能があるようなので、期待したいですね。
完走おめでとうございます!
ご覧いただきありがとうございました。今後もさまざまなプレイ日記を(もちろんそれ以外の記事も)投稿予定なので、お付き合いいただけましたら幸いです。
まずは完走お疲れ様です。
今回の日本プレイでいろいろ得られるものがありましたね。
序盤の動き(研究と建設)がやはり重要でしたね。研究と建設の歯車がかみ合ったら、それ以降の加速が強い強い。
列強(普・米が比較的わかりやすいかな)とか南米のプレイも面白いですよ~(誘惑)
ご覧いただきありがとうございました。
その時々の社会情勢がその後に影響していくというゲームなので、おっしゃるように序盤の動きが重要になるということなのでしょうね。
南米諸国はまだ遊んだことがないのですが、DLCでテコ入れがありましたしやってみると面白そうですね。
多文化主義を支持する人道主義は知識人がほとんどで、それも言論保護や義務教育・女性選挙権が通っていると出にくくなるようですね。
ゲームファイルを見ると、人道主義者の登場確率はその一方で民族国家や秘密警察などの権威主義的な法律の時に上昇するみたいですね。
進歩的な法律だとむしろ出にくくなるというのはどうしたものか難しいところです。
お疲れ様でした!面白かったです!
結局Victoriaの百年は全世界への経済拡大と帝国主義なのだ、という表現がしたいという感じですね
自力がある日本だと内需を回しているだけで何とかなるのですが、それが厳しい国だと貿易なり戦争なりで準備する必要がありますから
今回のプレイですと、結局軍事をほぼ触っていないので、終盤が消化試合になったのはその辺りが原因なのかもしれませんね
まあ、世界大戦をすればただでさえ重いゲームが更に重くなるんですけどね・・・(苦笑)
ご覧いただきありがとうございました。
そうですね、おっしゃるとおりなんだろうと思います。軍事については序盤に書いたように課税レベル1段階分の軍事費をかけるように適宜増強していたのですが、終盤の消化試合感は私が戦争をするのに疲れてしまったというのもあります。ゲームの重さはなんとかうまいこと解消してもらいたいですね。