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「Victoria 3」開発日記#37――市場の拡大

Vic3 開発日記

「Victoria 3」開発日記#37が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回は関税同盟について。本体発売前の開発日記です。

前回:開発日記#36――建設


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開発日記

開発日記#37は、関税同盟について。

  • Victoria 3では関税同盟の概念を導入しているが、市場拡大の手段としてどのようなものなのかをまだ詳しく説明していない(過去の開発日記を見よ)。今回これをご紹介する理由は、関税同盟が影響圏(Spheres of Influence)のような過去のものと比較して、Victoria 3の仕組みの中でも興味深いものであると思うからだ。

ドイツ関税同盟(The Zollverein)はゲームスタート時に存在している。

  • Victoria 3の関税同盟(customs union)はある国家が自国市場を他国に委ね、経済同盟に吸収されることに合意する二国間協定だ。つまりこれは外交行動であり、言い換えれば相手国が関税同盟に合意しなければならないものであって、通常は他国に強制できるものではない。
  • 関税同盟は2か国のみに限らず、他の国家も関税同盟の下位参加国として上位参加国の下に入ることがあり得るが、ひとつの関税同盟には関税同盟の支配国としての上位参加国が1か国のみ存在し得る。

フランスがサルデーニャ・ピエモンテを支援する平和的な試みであり、イタリアにおける覇権主義の始まりとはまったく異なる。

  • 上記の記述とは若干異なるが、関税同盟は責務(Obligation)を利用することで、以前責務を負わせた国家によって強制されることがある。これは相手国が断ろうとしているにもかかわらず外交行動を行えるようにするのみで、ゲーム中であり得る他の制約を無視できるわけではない。
  • つまりこれは、より大きな国家が「自国の債務を私に払ってほしいのか? もちろん手を貸してあげよう」と、疑うことを知らない債務国を強制的に自国市場に引き込んでしまうことが完全に可能であるということだ。
  • 関税同盟自体は戦争で強制できないが、他の外交上の関わりの結果として強制することはできる。特定の従属関係は宗主国の市場に参加することを前提としている(従属国に関する開発日記を見よ)。
  • すべての国内法が関税同盟に参加することを認めているわけではなく、関税同盟に参加できるかは参加国の貿易政策による。貿易については今後の開発日記で述べる予定であるため、個々では詳しく触れない。
  • 関税同盟のより基本的な条件として、その2か国(上位参加国と下位参加国)が中立的か友好的な関係でなければこの行動は行えない。敵対関係にある国家はプレイヤー国家に自国市場へのアクセスを許すことはない。敵対的な2か国が他国の主導する同じ関税同盟の下位参加国ことは可能だが、そうした混乱は支配国として対処するフラストレーションにつながるような展開になり得る。

プレイヤーはAIがプレイヤーの関税同盟に参加しようとしない理由の詳細を示され、こうした意見の違いを平和的に乗り越えようとするだろう。

  • 関税同盟の上位参加国はその関税同盟の下位参加国の従属国であったり、他の関税同盟の下位参加国であってはならない。AIは市場アクセスに必要な港の接続の必要性、相対的なGDP、国家ランク、悪名(infamy)その他の外交的考慮事項を、関税同盟を受け入れたり提案したりするときに考慮する。

関税同盟が(さまざまな理由で)維持できなくなった場合、プレイヤーは通知を受け、クリックすると詳細が表示される。

  • 関税同盟を維持するには、上位参加国が下位参加国ごとに影響力(influence)の維持コストを支払い、同時にすべての下位参加国と上位参加国が関係を維持する必要がある。
  • 「上位参加国の市場に従属する」とは、下位参加国の国内市場は存在しなくなり、上位参加国の市場の一部となり、商品の生産・購入・販売がすべてその新たな国内市場で行われるということだ。これは以前の国内市場との相対的な格差に応じて多くのことを意味する。価格は内部での需給の変化に応じて新たな均衡点に向かって変化する。企業は投入コストを再検討し、必要に応じて労働コストを調整する。一部の産業は好況に沸く一方で、別の産業は蓄えを吐き出し、遠く離れた都市の企業家に太刀打ちできずに完全に閉鎖する前にトレンドが変わるのを望む。
  • 下位参加国が持っていた貿易路は崩壊する可能性がある。関税同盟の下位参加国は貿易を全面的に禁止されるわけではないが、自国市場ではなくなるため、外部市場に参加するには追加の手順をいくつか踏まなければならない。これについては今後の開発日記で詳述する。

Lower Canadaはロンドンの市場中心地との接続に必要な海運が原因で、イギリス市場との接続に困難がある。

  • 市場内取引については、市場アクセスは受け取るステートのインフラ使用量と、上位参加国の市場中心地に接続されているかどうかに基づいて計算されるようになった。陸路で接続できない場合は港に人を入れて接続を確保する必要がある。プレイヤーが上位参加国で、新たな下位参加国を追加してその下位参加国がプレイヤーの市場中心地に接続するのに苦労していることがわかった場合、プレイヤーはすべての参加国を受け入れるためによりよいところに市場中心地を移すことをいつでも検討できる。
  • 国内では特定の商品に課税したりその消費を奨励したりすることは可能だが、市場に入ってくる商品に対して禁輸や関税をかけることができるかどうかは関税同盟内の関係次第だ。これも今後の開発日記で詳しく述べる。

国家に影響を与える要素はすべて互いに関連している。戦争による荒廃(Devastation)はPopに騒乱(Turmoil)を起こすのみならず、インフラが損傷して市場に効率的に商品が流れず、結果として生活水準が低下する。

  • 属国にしたり領土を拡大するのではなく、関税同盟で市場を広げる利点はなにか。領土を奪うとしたら戦争になる可能性があり、その場合は軍隊を動員して補給する支出が生じ、国際社会で悪名を得ることになり、相手によっては負ける可能性もある。
  • 他国に市場の一部を譲らせる必要がある場合(本当に欲しい資源がある場合)はどうか。勝ったとしても、過激化し、プレイヤーの大きくなった帝国で差別される可能性がある多くのPopを荒廃した土地に抱えることになる。石炭が欲しかっただけなのに、そのコストに見合うだけの価値があるだろうか?
  • 関税同盟の利点は多いが、諸刃の剣でもある。関税同盟が利益のあるものであることは保証されておらず、Victoria 3の多くのものと同じく、どの問題に直面したいかを選択するという側面が大きい。
  • 関税同盟の利点は市場間で手動で取引することにこだわるよりも「相対的な輸送コスト」が低下することにある。プレイヤーは貿易路を有効に保つ必要はないが、市場間の接続に船団(Convoys)を利用する必要は依然としてあるだろう。2つの市場間で限られた量の商品を移動させる代わりに、市場の買い注文と売り注文の合計が機能する。
  • これにより国家経済の集約的なマイクロマネジメントが減り、産業をより自然に成長させることができるため、一部の人々にとっては非常に歓迎すべきことかもしれないが、同時に経済の貿易部門を支えている運輸業の衰退を暗示する。どちらが得かは最終的にやろうとしていること、国家の規模、余裕のあることに依存する。

リューベックで低迷していた造船所の利益は、より大きなプロイセン市場で販売されることで増加している。

  • 関税同盟は商品の入手性を上げるが、販売の可能性も高める。例えばリューベックでプロイセンと貿易して多くの石炭を入手できるが、貿易は気まぐれで、国家の優先順位、外交問題、禁輸によって左右される。自国が他国の国内市場に組み込まれることで、その市場の承認の入手性や販売可能性により強固にアクセスできるようになるが、同時に相手国もより低い障壁でプレイヤー国家の経済にアクセスできるようになる。
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ギリシャはイギリス市場に参加した後、Popが経済的に繁栄している土地に移住するのを目の当たりにしている。

  • ギリシャ(直近のAAR)は安定した生活水準もニッチを切り開く特定の産業における競争力もないままイギリス市場に参加したため、価格は大幅に下落し、賃金はインフレし、Popは遠い大英帝国のよりよい土地に移住していった。これはギリシャにとって成功だったのだろうか? 私たちはその市場を利用する明確な計画を持たず、あまりにも早くその市場に加わってしまったため、利用される側になってしまった。
  • 関税同盟内の価格や生活水準の差は、自国(および他の参加国)のPopと、彼らが移住するかどうかの選択に影響を与え得る。相対的に豊かな国家は関税同盟の市場を拡大することで人口が増加する。Popが増えるのは通常いいことだが、関税同盟の場合は自国から移住するPopが増えるのもいいことになり得る。
  • 例えば自国が多民族国家で、Popの一部でナショナリズムや独立志向が強く、帝国全体の安定を脅かすために自国では受け入れがたいと思っているとしよう。プレイヤーは差別し、弾圧し、警察や治安部隊を配置して事態を制御下に置くことはできるが、それは高くつく。彼らが帰属したいと思う故国(homeland)ステートと国境を接していると、事態はさらに困難になる。ここでその隣国を自国の関税同盟に参加させたらどうなるか? 内陸から彼らの故国への移住はあるだろうが、対処すべき反乱の問題はなくなる。他の国や市場に大量移住するのとは対照的に、プレイヤーは彼らを国境の中ではないかもしれないが、経済的な境界の中には留めておくことができ、比較的低い反乱コストでPopの生産・消費の恩恵を受けることができる。
  • これはいいところだけを選んだ例だが、結局のところ、関税同盟による移住がすべて悪いわけではない。小国であっても貧しい人々の移住を進んで許すことで経済の重点を変え、改革後に彼らが戻ってくるようになるかもしれない。
  • 小国はなぜ自国にとって明らかに不利なのに、関税同盟に参加するのか? 国内資源を大国に食い荒らされたくないが、他の国家に服従せずに自衛する方法がない場合、唯一の手段は部分的に服従することだ。大国の従属国になるという手もあるが、独立国としての外交の将来性を失うことになるため、望ましい選択肢ではないかもしれない。関税同盟への参加は最良の選択肢ではないかもしれないが、経済的に結びつくことで不可避の政治的統合から距離を置くことができるかもしれない。

質疑応答

Q:資源生産について他国を支援する手段はないの?

A:今のところ、ゲーム内で関税同盟参加国や従属国の中に建造物を建設する手段はないが、外交行動で資金を相手国に提供し、自国市場で資源Xの充分な需要を作り出したとすれば、彼らは得られる利益によっては資源生産を拡大しようとするかもしれない。

Q:下位参加国が関税同盟を脱退したり、上位参加国が下位参加国を追放したりはできる?

A:責務やその他の外交関係で強制されていない限り、脱退は可能だ。上位参加国である場合も、下位参加国が責務などを利用して参加していない限りは追放できる。こうしたことは平和裏に行えるが、上位参加国と戦争になった場合は同様のことが起こるだろう。


来週は貿易路と関税について。

次回:開発日記#38――貿易路と関税

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コメント

  1. 日本が開国したことで海外の金と国内の銀で交換が行われ物価が大暴騰…みたいなことが再現できうるってことか

    • 国内の貴金属の量と物価の関係はどうなるんだろう

  2. 結局、植民地と本国の関係でwinwinってのは無いんだろうな
    体裁としては輸入した資源を元に工業製品を輸出することにはなるんだろうけど
    そんなことできた国ないし
    資本主義ってクソだわ

  3. 禁輸もあるってことはソ連と愉快な仲間たちで分業プレイが捗るな、、、

  4. いずれ共産主義国にも専用の経済システムが追加されたりするのかな……?

    • 共産国家が登場するのはゲーム期間の末期だし、史実で共産主義経済は大失敗してるからゲームで再現しても単なるデバフにしかならんだろうから、出てこないような気もするが

  5. やっとeu4の点数システムと別れるわ。
    vic2が古すぎて遊びにくいから、やむを得なくてeu4を遊んでいる。
    だが、eu4の点数システムで正直国家運営ゲームをしている気はしない、なにそれ?ソーシャルゲーみたいなスキル解除かよ。

    • わかる

      Vic2もEu4も面白かったけどシステム的にもう化石だからな
      MODで拡張するにしても限界あるし

    • ゲームにはある程度の抽象化も必要だし、点数システムはあくまで使い方の問題であって、点数自体が悪いとは思わないけどね。
      抽象化が足りないと今度はマイクロマネジメントになるし、VICシリーズが他シリーズに比べて人気がないのもそれが原因だと言われてきてるわけで。
      マイクロマネジメント志向のゲームはかなりニッチ志向になって、それを熱狂的に好む少数派と好まない多数派に分かれがちな諸刃の剣。VICが日本で比較的人気があるのは、他国に比べてマイクロマネジメントを好む人が多いからなんだとは思うが。

  6. 2の影響圏が置き換わった感じかな? こっちの方が細かい操作が少なくて良さそうね。
    ともかく、これでEUやTPPが作れるな!

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