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コーエーテクモの決算を読む:2022年3月期第3四半期

コーエーテクモ社

2022年1月31日に、コーエーテクモHDは2022年3月期第3四半期(2021年第4四半期)決算を公表していました。「過去最高の売上高・利益を達成!!」とのこと。


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本記事の概要

2022年1月31日、コーエーテクモHDはウェブサイトなどで2022年3月期第3四半期(2021年第4四半期)決算を公表していました。

もうすぐ2022年3月期が終わろうとする中で取り上げるのも今さらではありますが、今年「太閤立志伝V DX」や「信長の野望 新生」がリリースされる予定の中で個人的に気になったので、中期経営計画も含め、コーエーテクモHDの経営状況について見ていきます。

業績と財政状態

2022年3月期第3四半期(2021年第4四半期)決算説明資料より

2022年3月期第3四半期(2021年第4四半期)累計業績は売上+25%超、営業利益も+40%超と、猛烈な成長ぶりを見せています。

これまでの業績推移を見ると、2020年から非常に力強く業績が伸びていることがわかります。これはおそらく2020年初から広まった新型コロナウイルスの影響が大きいのだろうと思いますが、2021年3月期第3四半期(2020年第4四半期)発売の「ゼルダ無双 厄災の黙示録」の全世界で350万本という大ヒットがさらにそれに弾みをつけているように見えます。「ゼルダ無双」はその後さらにDLCも2つリリースされており、当四半期に全世界累計出荷本数400万本を突破したことも明らかにされています。

一方で、これから新型コロナウイルスによる規制が撤廃されて旅行など他の娯楽が可能になった後もこの勢いが続くのかは未知数です。後で触れる中期経営計画でも、新型コロナウイルス後の競争環境を厳しく想定していると公表されていました。

財政状態の推移はこのとおり。当四半期で固定負債が増えているのは、東証の市場改革で4月4日には「東証1部」市場がなくなり、コーエーテクモHDが新たにできるプライム市場に入るために創業家が保有している株式を放出することが計画されており、その一環として転換社債型新株予約権付社債を発行しているためです。一時的に貸借対照表が大きくなっていますが、経営上大きな影響はなさそうです。詳細はこちらの開示をご覧ください。

オンライン・モバイルゲームの伸長

2022年3月期第3四半期(2021年第4四半期)決算説明資料より

会社側の発表としては、オンライン・モバイルゲームが第一に取り上げられています。

2022年3月期第3四半期(2021年第4四半期)決算説明資料より

ゲーム事業が属するエンタテインメント事業セグメントの売上内訳を見ると、オンライン・モバイルゲームの売上が大きく伸び、買い切りのパッケージゲームの売上を超えたことがわかります。

「コーエーテクモHDはシミュレーションゲームの会社とは言えないのではないか」というようなことが以前の記事で言われていましたが、売上比率を見る限りでは、それどころか「コーエーテクモHDはもはやオンライン・モバイルゲームの会社である」ということになりそうです……。

2022年3月期第3四半期(2021年第4四半期)決算説明資料より

しかし、オンライン・モバイルゲームの売上が成長を続けているかというとそうではないようで、前四半期と比べるとわずかではありますがオンライン・モバイルゲームの売上は下がっています。今後もオンライン・モバイルゲームの新作がリリース予定のようですが、上で書いたように新型コロナウイルス後にどうなっていくのか気になるところです。

当四半期にはパッケージゲームは新タイトルが3本リリースされた一方でオンライン・モバイルゲームは新規リリースはなかったにもかかわらず、当四半期にパッケージの売上をオンライン・モバイルの売上が抜いているというのは、もちろん単に売上だけを見ていて利益を見ているわけではないというのもありますが、オンライン・モバイルゲームの事業としての強さを感じてしまいます。

ただ、コーエーテクモもすぐにパッケージゲームを切ってオンライン・モバイルゲームに舵を切るかと言うと、そういうわけでもないようです。

中期経営計画

2021年3月期通期決算説明資料より

2021年4月26日発表の2021年3月期通期決算では、同時に2021(2022年3月期)~23年度(2024年3月期)の中期経営計画も発表されていました。

重点目標のうち営業利益目標については、当四半期(2022年3月期第3四半期)時点で計画初年度の2022年3月期に早くも達成とされていますが、500万本級の新規IPパッケージゲームや毎期200万本級のパッケージゲームというのは、直近のコーエーテクモのパッケージゲームの販売本数を見るとかなり野心的な目標に見えます。

一方、月商20億円のスマホゲーと月商10億円のスマホゲー複数という目標は、当四半期で公表された数値ではオンライン・モバイルゲーム全体で月商に直すと30億円弱だったことを考えると、野心的というほど高い目標ではなさそうです。

2021年3月期通期決算説明資料より

成長戦略でもパッケージゲームは大きく扱われています。コーエーテクモとしてはパッケージゲームからオンライン・モバイルゲームに軸足を移すということではなく、同時並行して伸ばしていく分野と考えているように読めます。

なお、この中期経営計画は営業利益目標を初年度に達成してしまうため、2022年4月に早くも見直されると2022年3月期第3四半期(2021年第4四半期)決算説明資料に記載されています。

「信長の野望」「三國志」などのシミュレーションゲームの位置づけ

「信長の野望」「三國志」などのシミュレーションゲームは、中期経営計画では成長戦略の「「アトリエ」「SLG」「無双」のグローバル化」にある「SLG」がおそらくそれで、グローバル化を目指していくという位置づけのようです。直近でリリース予定の「信長の野望 新生」はAI武将要素などがパラドゲーの「Crusader kings」シリーズと似ていると言われているのを見かけますが、こうした点ももしかするとSteamでの世界展開を意識してということなのかもしれません。

なお、ファミ通のこちらの記事で「信長の野望 新生」プロデューサーが発売時期について「「梅には勝てないけど、桜には負けたくないな」とコメントし」ていたとありますが、東京では既に桜が開花してしまったようで、どうなるのか気になるところです。東京都での桜の満開予想は今週末とのことですが、なにか発表があるのかどうなのか……。


詳しい情報が出ていないのであくまで印象論ではありますが、現在のコーエーテクモがシミュレーションゲームよりもそれ以外のゲームが中心の会社であるのは間違いないでしょう。ただ同時に「信長の野望」「三國志」といったシミュレーションゲームがベースのIPを別ジャンルに展開するということをこれまでやってきたことを考えると、社内ではパッケージゲームとしての「信長の野望」や「三國志」はそれ自体で利益を出すものというよりも、オンライン・モバイルゲームや無双シリーズなど、別ジャンルで展開する基礎としての役割が期待されているのかもしれません。

コーエーテクモHDの決算については、今後も追いかけていく予定です。

次四半期:2022年3月期(2022年第1四半期)

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コメント

  1. コーテクの歴史物もRPGも好きだから両方続くといいな
    ところで提督の決断は……

  2. 提督の決断やりたいよなぁ…。昔買ったPC版の決断Ⅳはwin10じゃもう遊べないし、仮想でOS動かして起動させるとか方法はあるけど、面倒すぎてなぁ…。

  3. 提督の決断やりたいよなぁ…。昔買ったPC版の決断Ⅳはwin10じゃもう遊べないし、仮想でOS動かして起動させるとか方法はあるけど、面倒すぎてなぁ…。

    • ごめんなさい連投になってしまった。お手数ですが削除して頂けたますと幸いです。

  4. 大事なことだから大丈夫…(しみじみ)

    自分は鋼鉄の咆哮の続編が欲しいな

  5. 提督の決断と鋼鉄の咆哮の件は同感。
    せめてシリーズ過去作を、シブササコウアーカイブスとか25周年記念パックみたいな方法で出してくれると嬉しい。

  6. 太閤立志伝をリメイクするらしいし提督の決断もワンチャンあるかも。
    個人的には4より3のが好きだったな〜
    鋼鉄は開発は別会社だしリメイクは難しいだろうね。。

  7. 太閤立志伝が噂に反して海外人気あるなら提督の決断も…
    と思ってしまうけど時代が近いし難しいかなぁ

  8. 新生はいつになるのやら。

  9. 創業者の有能な奥さんの投資のおかげで会社を維持してここまで成長したね、一時的にお金のためにクオリティ非常に低い二番煎じのゲームを乱発した時期があったね。

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