「Europa Universalis IV」開発日記2022年1月25日分が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回はAIについて。1.33リリース前の開発日記です。
開発日記
開発日記2022年1月25日分は、AIについて。
- 前回のメジャーアップデートではAIの改良を行ったが、新たな問題が見過ごされもした。特にそのうちの2つ(顧問と要塞)はホットフィックスに入れるには複雑すぎた。1.33ではこうした問題に対処すると同時に、さらなるAIの修正・改良を行った。多くの変更点があるため、おそらく今回も新たな問題が見過ごされるだろう。私たちの目標は1.33のパブリックベータを行うことであり、これによって最終リリース前の初期フィードバックとそれに対応する時間を確保できる。
要塞(Forts)
AIのみのゲームの1821年において、このすべてがレベル8の要塞だ。少し前線に偏っているかもしれない。
- 1.32で導入された(あるいは少なくとも悪化した)問題はAIが要塞の多くを解体し、新たな要塞を滅多に作らないということだった。これはAIの予算引き締めのために行った変更によって引き起こされた可能性が高い。私たちはやみくもに変更を戻すのではなく、AIの要塞の扱いに関する根本的な問題を掘り下げて修正したいと思った。
- 例えば、大国がレベル2の要塞しか作れないというバグが長い間あった。また、要塞のモスボールの問題もある。こうした問題に取り組んだ結果、AIは要塞を滅多に解体せず、頻繁にアップグレードし、時には(特に地形のいい戦略的な場所に)新設し、注意深く賢くモスボールするようになった。もちろん、AIは本当に余裕がなければ要塞を解体するし、要塞の配置について人間レベルの戦術的・戦略的な理解も持っていないが、全体として大きな改善だと思ってもらえることを祈る。
顧問
- 1.32ではAIが顧問を雇うことはほとんどなく、戦時になればすぐに解雇されてしまうことが多かった。これも予算引き締めを目的としたコードの結果だ。
- 問題のひとつは、もっとも必要なマナを決定する際に2つのマナが同点1位になった場合、AIが3番目の(最悪の)マナを選んでしまうことだ。もうひとつは、AIが顧問の初期コストを貯めるのに時間がかかりすぎるとそれがわからなくなってしまい、そのための資金が使われたものとされてしまうことだ。
- 1.33ではAIが通常は適切な数の顧問を維持し、軍事や統治を優先することが多くなった。見直されたしきい値システムで、顧問をむやみに雇用したり解雇したりしないようにもなった。能力主義(Meritocracy)を持つAIは能力主義の成長を維持するために十分な顧問を持つことの重要性を認識する。1
- こうした改善とモニュメントや階級の特権(Estate Privileges)を考慮して、幸運な国家(Lucky Nations)の顧問コスト-20%の補正を削除した。
その他の予算管理
高くついた戦争の後の16世紀エチオピアの予算。すぐに陸軍維持費を引き下げ、要塞をモスボールして黒字を大きくした。
- ほかにAIが十分な支出をしないことがある領域として植民者と宣教師がある。植民地国家(Colonial Nations)と植民者のパーソナリティを持つAIは特に、植民地化により多くの資金を費やす。従属国である植民地国家は借款がない限り、受け取った補助金をすべて、他の支出に加えて植民地化のために使うようになった。
- 特に強力な同盟国や独立保証国を持たない小国は、平時の陸軍をより優先するようになった。
- こうした支出を増やすとAIはまた負債スパイラルに陥るのではないかと思うかもしれないが、支出を減らせるところも見つかった。
- 陸軍の訓練:AIは大きな予算余剰がある場合にのみ行うようになった。
- 汚職(Corruption):汚職から資金を得ることが理にかなっている場合もあるが、AIはそれを使いすぎている。
- 海軍上限(Navy Force Limit):一部のAIにとっては超過することが理にかなっているが、これはいくらか軽減された。
- 連隊の統合:AIが今必要ない兵力をもっていると判断したとき、通常は戦争や反乱軍との戦闘の後に、連隊を統合する。
- 要塞維持費:特に高くつく首都の要塞を持つ貧しい1プロヴィンス国家では特に、モスボールに大きな価値がある。
- インフレーション:インフレ抑制を優先することで、多くのAIはすべての経費を数%削減する。
- こうした措置にもかかわらずAIが長期的な赤字や負債に陥ると、段階的な緊縮策を実施する。顧問を解雇し、陸軍を縮小し、要塞を解体することもある。
君主点(マナ)
- 1.32リリース時にはAIのマナ消費に大きな問題があり、技術やアイディアで遅れをとることがあった。これは新たな制度(institution)の技術コストや上記の顧問との関連でさらに悪化した。私たちはAIのマナの経済に多くの時間を費やし、AIは以下のようになった。
- 技術とアイディアとその他のものをいつ購入するかについてよりよく理解するようになった。
- (前述のように)より多くの顧問を雇用するようになった。
- 無料のマナのために階級の特権を使用するようになった。
- National Focus、顧問、階級の特権の観点から、特定のマナを優先する時期をよりよく理解するようになった。
- 共和国でプレイする場合、Plutocraticのアイディアでイベントの選択肢の中からランダムに選ぶと、統治点の大部分を安定度を高めることに費やすことになるということが判明した。そこで、安定度と共和国の伝統のどちらか、あるいは両方に影響するイベントの中からAIがよりよくより安全なものを選ぶようにした。
階級
- 階級システムが見直されたときに対応するAIも作成したが、そのAIは必ずしも慎重に書かれたりテストされたりしていなかった。AIが単純に階級について最適なプレイを続けることで、AIは非常に少ないコストで税収、自治権の削減、マナに関して非常に大きなボーナスを得ることになった。AIは、
- それが反乱を起こすときにSeize Landする(ただし陸軍と要塞を維持しているとき)。
- 一時的にLoyaltyを引き上げるためにCall Dietをすることがあるが、通常は完了させようとしない。
- Loyaltyとマナをもたらす階級を優先する。
- crownlandが多いときや資金が必要なときにのみSell Titlesする。
上陸作戦
- 1.32でこれについて修正があったが、1.33では大陸をまたがる帝国の摩擦を減らすためにさらなる改善が行われる。例えば、
- することがない陸軍は上陸任務を拒否しにくくなる。
- 上陸作戦は必要な場合を除いて遠方の艦船の助けを待つことはなくなる。
- あるゲームでは実際にAIのポルトガルが1700年くらいまでにインドの1/3を征服し、同時にアメリカ大陸やアフリカにも植民地を持つようになったが、一般的なことではない。AIの上陸作戦は今後もアキレス腱であり続ける。
陸軍の質
- AIは戦闘や戦争を始めるか決めるのに兵力の質を見積もる必要がある。1.32までは直感で調整された一連の補正を適用することで行っていたが、1.33からは適切な数学とシミュレーションで裏付けされるようになった。
- AIは以前よりも士気の価値を高く評価するようになったし、地形の影響も理解する。陸軍の能力値の相互関係もそうだ。戦闘正面幅や側面攻撃も理解するが、歩騎砲3兵科の構成はまだ理解しない。これについては継続して取り組んでいきたい。
- これに合わせてAIが攻撃を開始する際の安全マージンを減らした。また、両陣営の近隣の陸軍をより考慮するようにもなった。
陸戦の変更
- 各ユニット種別の火力(Fire)と衝撃(Shock)の値は士気ダメージにも影響するようになったが、後列からの士気防御にも適用される。これにより、砲兵がより強力になって戦いが長くなるという点は、以下の変更によって相殺される。
- 歩兵と騎兵は後列に配備/補充されることはなくなる。
- 後列の連隊は士気が0%になると退却する(前列と同様)。
- 0.03/日の士気ダメージは予備部隊にのみ適用され、戦場にいる連隊には適用されなくなった。
- これが実際の戦闘に与える主な影響は以下のとおり。
- 初日の戦闘で砲兵を戦闘正面幅いっぱいに配置することは決定的に重要なことではなくなった。
- 戦闘正面幅の2倍の歩兵からなる軍は戦闘正面幅の1倍の歩兵からなる軍より優勢になる。以前は両者はほぼ同等だった。
- 長い戦闘を戦い続けるには戦闘正面幅以上の砲兵が必要となる。
来週はスクリプトの負債について。
コメント
「実力主義のAIは~~」の部分ですが、これはMeritocracy(能力主義)のギミックを持つ国家(要は中華帝国のこと)がAIのときにちゃんと顧問を雇うようにするという意味です。Meritocracyが下がるとデバフがかかり、顧問を雇うことでMeritocracyを上昇させられるのですが、これをAIが上手く扱えなかったことの修正です。
修正しました。ありがとうございます。大変助かります。
EU4も随分 息の長いゲームだなぁ