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「Europa Universalis IV」開発日記2021年9月28日

EU4 開発日記

「Europa Universalis IV」開発日記2021年9月28日分が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回はバランスの変更について。1.32リリース前の開発日記です。

前回:開発日記2021年9月21日


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開発日記

開発日記2021年9月28日分は、バランスの変更について。

  • 今週は1.31.6をリリースするが、これはEpic Storeでの発売に向けた互換性パッチであり、Epic StoreではEU4は短い期間だが無料でプレイできるようになる。
  • このパッチにはバグ修正、改善、バランス変更は含まれない。というのは、今回の発売に向けた安定バージョンにしたかったためだ。私たちのプログラマーとQAの一部はこのバージョンを作るために長い間熱心に取り組んだ。
  • 一方、コアチームは年内にリリース予定の1.32に取り組んでいる。これまでの開発日記では主にイマージョンパックにどのようなコンテンツを追加するかをご紹介してきたが、今日はバランス変更について触れる。

開発度の集約(Concentrate Development)

  • ご存知のように開発度の集約は技術的には設計どおり機能しているが、非常にバランスが悪く、没入感が損なわれるという欠点がある。1.32ではこの機能を見直した。
  • プロヴィンスを略奪したり集約したりすると遊牧民による「略奪(raze)」機能が呼び出され、これにより開発度が20%低下する。これはその後源泉となったプロヴィンスの開発度を上昇させるコストを使って、そのプロヴィンスにおいて君主点に変換される。次にこの君主点を自国の首都に持っていき、一部の国家では開発度の集約が無料のこともあるが、割り当てるときにその君主点の20%が失われる(注:わかりにくいですが、通常は20%が失われるものの、一部の国家ではそうならない場合があるという意味合いのようです。コメントにて教えていただきました。ありがとうございます)。残りの君主点が自国の首都プロヴィンスの開発度を「買う」ために用いられる。残った君主点は失われる。
  • この新しいデザインにインスピレーションを与えてくれた投稿に感謝する。
  • また、最初は領有した状態で、次に属国を解放することで開発度の集約を2度行えるのも修正した。従属国から開発度の集約を行った場合、従属国で独立欲求(Liberty Desire)が上昇するようにもした。

その他のバランス変更

  • 1.32ではカトリックの教皇庁の権力にも改良が行われ、すべてもうひとつのボーナスがつくようになった。以下はその例。
    • Bless Ruler:陸軍士気が+10%されるようにもなった
    • Indulgence for Sin:関係改善が+10%されるようにもなった
    • Send Papal Legate:併合コストが-10%されるようにもなった
  • 好感度(Favors)の獲得を調整し、相対的な軍事力に大きく依存するようになり、小規模で弱い国家では獲得しにくくした。
  • 先住民に関しては、定住部族が公国になるまでを遅らせる新たな改革を追加し、封建制を要件として追加した。
  • 所有していない土地への移民にはクールダウンを追加し、部族の土地を追加するコストは所有しているプロヴィンスや開発度に応じて変動するようにした。また、冬のテリトリー(winter territory)への移住にはペナルティがつくようにもなった。さらに、ある部族が他国の部族の土地の中にいる場合、毎月増加する関係のペナルティを追加した。
  • 1.32の先住民の開発度上昇は弱体化された。というのは、これが完全に非現実的であり、ゲームの他の部分と連動していないためだ。
  • AIが属国を解放するときの統治上限(Governing Capacity)の超過分のしきい値をより高くし、また幸運国家(Lucky nations)は統治上限も強化されるようになった。

制度(Institution)の変更

  • 私たちは制度が技術コストに与える影響を変更することにしたが、なにが問題だったのか?

  • 私たちは制度がどのように機能するか知っている。ヨーロッパ以外の国家、特にアメリカ大陸やサハラ以南のアフリカでは、時間が経つほど技術に多くのコストを支払う必要がある。つまり時間との戦いとなり、隣国に遅れをとると追いつくのに苦労する。

新たなシステム

  • 1.32からはすべての技術に必要な制度が決まっている。自国が要求されている制度をひとつかそれ以上受容できていない場合、技術コストはひとつにつき50%上昇する。これはアップデートされた技術画面でわかるはずだ。
  • これまでのシステムより優れているのは以下の点だ。
    1. 制度は雪だるま式の効果ではなくゴムバンド式の効果をもたらす(注:技術が制度に対して遅れても技術コストの増加分は限られるということを言いたいようです。コメントにてご指摘いただきました。ありがとうございます)。
    2. Florenceでの動きがAztecsに影響することはない(これがそこに実際に広まるまでは)。
    3. 制度が生まれることはいいことだ。
  • アジア諸国は1.31の時よりも早くルネッサンスによる技術コスト+50%の影響を受けるが、もっと遅れたときには制度を進めていない場合であっても技術コストが安定する。ヨーロッパ諸国はそれほど影響を受けないが、最先端の技術を持っている国家は技術コストの増加に気づくだろうし、以前よりも制度の重要性が増す。
  • このためにコードを変更したところ、一見すると関係のない多くの事柄が国家の「制度からの技術コスト」に基づいていることが判明したが、そのほとんどは「Rights of Man」より前の技術グループシステムから単純に変換されたものだった。例えば貿易同盟(Trade league)への参加には制度からの技術コストが最大で+200%されている必要があった。誰が知っていただろうか? こうしたものの多くは1.32の変更履歴に記載されている。

AIの改善

  • EU4のすべてのバージョンにはそれぞれAIの問題があり、それがしばらくの間悪化していたことは明らかだ。1.32ではもっとも悪化していた問題の一部が修正されたが、できるなら新たな問題をあまり起こさないようにしたいものだ。
  • EU4のAIは多くの開発者が何年もかけて段階的に開発してきた成果だ。ほとんどのコードはEU4のリリース後に書かれたものだが、一部には90年代後半まで遡るものもある。AIを書くのは難しいので、システムの多くは複雑だ。また、多くの開発者がいるため、すべてのシステムが調和しているわけではない。基本的に、陸軍、海軍、予算など、AIが選択しなければならないことについて、AIの頭の中で十数人の声が何をすべきかを指示していることが多い。それらすべてを考慮すべきだが、一番大きな声が他の声をかき消してしまうことがよくある。

そう、数値は小さいほうがよい

  • ここでは、オスマン陸軍がTabukのマムルーク朝の要塞を順調に攻略している。しかし、まったく別の状況を想定した声がQahirahの反乱軍を殺すべきだと他の声よりも一桁大きな声で叫んでいる。このような問題は状況に応じて作られたシステムがその役割を果たすことを妨げる。1.32のAIで行われたことの多くはシステムが互いに干渉するケースを見つけて修正することだった。

主な修正点

  • 陸軍
    • これは実際には複数の細かな修正の結果だが、基本的に個々の動きはまだ不安定ではあるものの、AIは一般的に陸軍を使うなにかを達成する能力が高まった。また、平時にはより重要な陸軍を保持するようになった。

オブザーバーモードでほぼ完全に植民地化された新世界

  •  上陸作戦
    • AIは上陸作戦をあまり悪ふざけすることなく、より適切に行えるようになった。これはヨーロッパのAIの植民地化の取り組みに非常に大きな影響がある。
  • 経済
    • 多くの小さな修正により、AIの経済はより強固なものになった。予算編成が改善され、建設する建造物の選択では期待される金銭的利益がより重視されるようになった。
  • 特に@Tempscire(注:バグ報告等を積極的に行っているコミュニティメンバーのようです)には感謝したい。彼のAIの陸軍の振る舞いに関するリバースエンジニアリングはコードそのものよりもなぜか理解しやすい。私たちは地形評価に関する彼の提案をそのまま実装し、技術的な理由から彼の提案どおりではないが、戦闘幅を考慮する方法も変更した。彼は他にも多くの優れた提案をしてくれているが、残念ながら現時点では実装されていない。

次回:開発日記2021年10月5日

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コメント

  1. >These “monarch points” are then taken to the capital of your country, with a loss of 20% of points when applicable, as some countries have free concentrate development.

    こ々の後半部分、通常の国は20%分が失われて君主点に変換されるが、一部の国ではその20%のロスがなく君主点に変換されるという意味ですね。東南アジアにあるマンダラ政体がそういうボーナスを持っていて、それを指していると思われます。

    • 修正・追記しました。ありがとうございます。

  2. 開発日記中の「rubber-band effect」について、英wikipediaに説明があります。
    https://en.wikipedia.org/wiki/Rubber_banding

    EU4で解釈すると、従来のシステムでは一度技術が遅れると際限なく遅れてどんどん差が拡大していく(snowball effect)のに対し、新システムだと遅れたとしても遅れ幅は一定の範疇に収まる(ubber-band effect)ということを言いたいのではないかと思います。

    • 一定にの範疇に収まるというよりもゴムは引っ張る程度に比例して張力が強まることから
      ちょっとだけ基準からはなれただけならペナルティーは弱いけど
      それから外れるにつれ比例して抵抗が強まるって意味でしょう

      • 修正しました。ありがとうございます。

      • 本文中に説明があるけど、

        従来:例えばinstitutionを7つ持っていない場合、すべての技術コストが+350%される
        変更後:institutionを7つ持っていない場合、技術レベル1~4は+50%、5~10は+100%、……、28~32は+350%(技術レベルの数字は適当)

        となるようです。

        なので「基準からはなれただけならペナルティーは弱いけどそれから外れるにつれ比例して抵抗が強まる」というより、「遅れ幅は一定の範疇に収まる」のほうがゲーム中のギミックの解釈としては妥当かと。

        • 補足説明を変更しました。ありがとうございます。

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