「Victoria 3」新DLC「Sphere of Influence」発売は5月6日!

「Victoria 3」開発日記#5――生産方式

Vic3 開発日記

「Victoria 3」開発日記#5が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回は生産方式について。本体発売前の開発日記です。

前回:開発日記#4――商品


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開発日記

開発日記#5は、生産方式について。

適切な技術があれば食品工場(Food Industries)は穀物(製パン所)と魚(缶詰工場)から食品(Groceries)を生産できる。また、穀物と砂糖を精製して酒(蒸留酒製造所)を製造することもできる。高度な技術があれば食品工場は部分的に自動化され、非熟練労働者の必要性を大幅に低減できる。単純な食品工場は商人ギルド(商店主)によって運営される一方、高度で収益性の高い食品工場は資本家によって所有され、彼らはその配当の一部を再投資する。

  • 生産方式(Production Methods)は建造物の機能、投入物と産出物、運営に必要な従業員の種類を決定する。
  • 多くの経営ゲームでは建造物をアップグレードして効率を上げたり、機能を拡張したりできるが、こうしたゲームではアップグレードのための投資を行うとその効果は永続的であり、ほとんどの場合で以前の建造物よりもあらゆる面で優れている。しかしVictoria 3では反応のない行動はなく、技術革新は副作用なしに建造物を改良することもない。
  • 時間経過による工業プロセスの改善は予想できることだが、そうした改善には国内で入手しにくい商品が必要な場合もあるし、従来の製品と引き換えに新たな種類の最終製品を生産できるようにする場合もある。つまり、Victoria 3の建造物には恒久的で直線的な「なにも考えなくてよい」改善ではなく、より柔軟なアップグレードの過程が必要だ。
  • すべての建造物には通常2~5の生産方式のカテゴリーがあり、各カテゴリーでは常に1つだけが有効となる。ほとんどのカテゴリーは以下のいずれかの種類に分類される。
    • 基礎(Base):建造物の全体的な技術レベルと効率を決め、その建造物の典型的な商品を生産する。
    • 精製(Refining):典型的な商品の生産量を減らし、特殊な商品や奢侈品(luxury goods)の生産を増やし、ときには特殊な投入物も追加する。
    • 自動化(Automation):建造物が必要とする非熟練労働者を減らすために投入物として産業品(industrial goods)を追加する。
    • 所有権(Ownership):建造物の分け前を誰が持つかを決める。通常は法律で決まる。
  • 例えば、鉄鉱山の基礎の生産方式では鉱夫がつるはしとシャベルだけを使うか、あるいはエンジンのついたポンプなども使うかを決める。ポンプ技術は複数あり、それによって使用する燃料も決まる。ポンプ技術が高いほどより多くの鉱床にアクセスでき、より早く鉄を採掘できるが、その過程でより多くの石炭や石油が使用される。また、ポンプ技術が高まるとその運用を管理する技術者(Engineers)や機械工(Machinists)が必要となる。これは資格を持った労働者の需要を高めると同時に、資格を満たすPopにより高い賃金を得られる職業をもたらす。
  • また、この時代の化学の進歩により、鉱山での爆薬使用が可能になった。これは鉱山でのみ使用される副次的な生産方式カテゴリーでもある。ニトログリセリンが発明されると化学工場(Chemical Industry)で生産される爆薬(Explosives)と引き換えにさらに多くの鉱物を産出できるようになり、同時に労働災害の確率も高まる。揮発性の低いダイナマイトを研究することでより多くの爆薬と引き換えにより多くの鉱物を採掘し、作業中に爆破に巻き込まれる鉱夫も減る。
  • 持ち運び可能な蒸気ドンキーエンジンが発明されると、鉱山に配置して運搬作業を大幅に減らすことができる。建造物では石炭やエンジンの出費が出るが、支払う賃金が減る。さらに重要なこととして、国家が労働者不足になっている場合はそうした労働者が他の建造物で働けるようになる。しかし賃金が非常に低い場合は高価な産業品を購入して資格のない労働者プールを増やすのは得策ではないため、これはプレイヤーにとってなにも考えなくてよい決断ではないだろう。
  • ほとんどの国家ではゲーム開始時に単純な鉱山が商人ギルドによって所有・運営されている。これは商店主のような生産された商品を販売する小規模な供給者だ。鉱山が工業化し始めると資本家が所有権を得る。ほとんどの場合、こうした資本家は新しく作られた地位に商店主から昇格するが、ステート内の他のPopや新しい鉱山ほど儲からない建造物の他の資本家から生まれる場合もある。資本家は商店主より数が少ないがより高い賃金を得ており、さらに重要なこととして、自分たちの建造物が生み出した利益に応じて収入を国家の産業拡大に再投資する。

  • 新たな考えが社会に広まれば、プレイヤーは鉱業を公開会社にしたり、ゲーム終盤では国有化して政府の官僚が運営したり、協同組合にして労働者の間で利益を分配することもできる。

基本的な政府機関は人員が満たされているレベルごとに10単位の紙を消費して50の官僚機構(Bureaucracy)を生み出すが、最初のレベルから1レベル上がるごとに規模の経済によりスループットボーナスが+2%される。これにより、紙の消費量と官僚機構の生成量の双方が増加し、建造物で働くPopの生産性が向上する。

  • 生産方式は商品の消費や生産だけに限られるものではない。政府機関は紙を消費する官僚と事務員(Clerks)を雇用して官僚機構を生み出す。官僚機構はゲームのキャパシティのひとつで、より多くの人々を統治し、より多くの国家サービスを提供できるようにする。
  • 鉄道はエンジンと石炭などの燃料を使用して運輸サービス(Transportation)とインフラの双方を生み出す。運輸サービスは市場で販売され、インフラはステートが(注:国家が?)市場へのアクセス(Market Access)を損なうことなくより多くの建造物を抱えられるようにする。
  • 大学は学者(Academics)を雇用して国家が新技術や新たな思想の研究開発を進められるようにする。
  • 事実上あらゆる種類の通貨・補正・効果を建造物の生産方式で生み出すことができ、国家・ステート・建造物それ自体にさまざまな形で適用され得る。もちろん、これによって新たな建造物や生産方式をModで追加するのも非常にやりやすくなっている。大使館(Embassies)は影響力(Influence)を高めるが、国費でワインや肉を消費して関係改善速度を高めるように設定することも可能だ。沿岸部のみに建設できる貧民街の寺院(Shantytown Temples)で魚を消費し、深きものども(Deep Ones)の職に就く資格があるPopに職をもたらし、国家の死亡率を増加させて世界のcthulhu_risingカウンターを毎週増加させることもできる。

建造物パネルでは国内のすべての産業を俯瞰でき、財務状況を一目で確認できる。個々の建造物やすべての建造物の生産方式を変更することもできる。この画面から建造物を拡張することもできるし、クリックして貸借対照表や労働力の詳細も確認できる。

  • ひとつの建造物で複数の生産方式を調整するのは直線的な建造物のアップグレードに比べて少し複雑に感じるかもしれないが、そのとおりだ。私たちはこのプロセスを支援するためのツールを用意したが、もっとも重要なのが建造物パネルだ。これは国内のすべての建造物の概要を主要な種類と副次的な種類に整理して見ることができる。例えばすべての農業建造物、すべての家具工場、すべての港などの概要を見ることが可能だ。
  • 同じ種類の建造物が異なるステートにある場合はさらに詳細を表示して個別の建造物を見ることもできる。各レベルでは建物の収益性を確認したり、生産方式を調整したりできる。特定の種類のすべての建造物の生産方式をワンクリックで設定することもできる。

予測ツールチップでは生産・消費・必要な賃金の変化によって建造物の収支に対して予想される影響のほか、時間経過で国政にも影響し得る雇用の変化も説明される。新たな職業に就く資格を持ったPopが不足している場合は、産業の有効性が制限される可能性があるため警告される。

  • 暗算する必要性を最小限にするため、特定の生産方式を選択した場合になにが起こるか予測するツールも作った。これは調整後の生産量と消費量を考慮した利益予想を基礎とするもので、新たに生まれたり消滅したりする職もまとめられる。
  • 建造物の利益を高める生産方式を選べばよいように見えるかもしれないが、社会的な影響にも注意しよう。新たな工業プロセスで必要なさらに高度な職業に就く資格のあるPopがそのステート内に充分いるだろうか? 新たな職業の賃金はPopに転職を促すに足るものか? 労働組合を支持する裕福な機械工を生み出してしまうのではないか? 既に競争力があって上限まで雇用しているので、利益が増えても賃金が上がらず、単に贅沢消費に金をつぎ込む株主への配当金が増えるだけなのでは?
  • どれを選択するかはPopの社会的流動性、自国の政治状況(社会主義者の蜂起はプレイヤーの想定外かもしれない)、敵国を利することなく奢侈品を供給できるかどうかによる。国内産業の収益性の高さは悪いことではないが、社会を構築する際に考慮すべき唯一のことではない。

質疑応答

Q1:生産方式の変更にはなにかコストはかかる?

A1:かかるが、その部分はまだ調整中で正確な仕組みを説明できない。

Q2:鉱山が発見されたり、簡単に採掘できる金属がなくなったりすることはモデル化されてる?

A2:資源の枯渇は一部のケースにしか用意していないので、面白いとは思うがリリース時に広くそういうものがあるということはないだろう(Mod制作者が鉄などを枯渇する資源にしたい場合はコードでそうしたものをサポートしている)。

Q3:労働者の賃金はどのようにして決まるの?

A3:必要人員の雇用と賃金コストの最小化バランスを取りながら、民間所有の個々の建造物が決定する。簡単に言うと労働者を必要とする建造物は労働者を雇用するために賃金を上げる余裕があるかどうかを毎週チェックし、可能な場合のみ賃金を上げる。これによって労働力が不足している場合は建造物に余裕がある限り賃金が上昇し、農民の供給が多い場合は賃金が抑制されて配当が増える。政府の賃金は民間の平均賃金を元に、限られた範囲でプレイヤーが調整できる。


来週は利益集団について。

次回:開発日記#6――利益集団

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コメント

  1. クトゥルフ要素バニラに入ってるのか(困惑)

    • >もちろん、これによって新たな建造物や生産方式をModで追加するのも非常にやりやすくなっている。

      これ全部決めるのか……悪い意味でHOI3みたいにならないか心配
      イデオロギー関係なく計画経済しなきゃならないのは展開が単調になりそうだけど

  2. クトゥルフわろたw

  3. 宗教要素が今回はちゃんと用意されてるのかな

  4. マジで経済シミュレータを作ろうという強い意思を感じる

    • 本当に。究極の社会シミュレーターの看板掲げてるのは本気なんだなって。
      ただ複雑化してる分、自動化とAIが少し心配だが…。

  5. 生産ひとつ取っても余りにも細かいマネジメントさせ過ぎな気がしてくるのが少々心配だな
    どこかの州のとある工場にどんな設備を増設するかなんて国家指導者が決める事じゃないだろうに
    これが数州程度の片手で数える程の工場ならなんとかなるだろうけど、十州、数十州にもなって複数分野の100を超えるような工場だとどうなるか

    AI任せにもできるのだろうけど今まで頼れるパラドAIに出会ったことがないから結局1から10までする羽目になりそうなのがな

    • 前の開発日記だかに書いてあったけど「プレイヤーは国家元首ではなく国家の精神(national spirit)だ」ってあったから別にいいんじゃね。「工場を改良したほうがいいらしいよ」って雰囲気を醸し出す操作って感じで

  6. 結局のところ何でも自分でやりたい人向けに1~10までやれるようになっているのは正解だと思うけどね
    国家指導者が何もやらなくても最適化された経済が回るなら格差もブラック企業も生まれないわけで
    資本家が1日20時間働かせて貧困層がバタバタ死んで逝くor赤化するの黙って見てられんでしょ(ヴィクトリア期では普通にあった)
    ゲームだから言いたいっていうのはわかるけど現実だってバカなんだからAIが賢くあるわけないわな

    • 最後の現実だってバカなんだからでちょっと納得してしまった…
      お陰で3を待ってる間、馬鹿な2の資本家どもにイライラしなくて済みそうだ、サンクス

  7. まあCKだってプレイヤーは特定の家に取り憑いた霊みたいなもんだし、Victoriaのプレイヤーも国家の精神と考えるとマイクロマネジメントはそこまで矛盾を感じるものでもない

  8. バランスって難しいよね。
    信長の野望みたいに石高と商業と治安だけで内政が表現されるとちょっと物足りない気がするし、かといって細かすぎると作業がダルいよね。

    ヴィクトリアに似たゲームはあんまりないから期待してる!
    Vic3で俺は共産主義者を弾圧しながら明治維新を成し遂げたい!

  9. 食品工場の食べ物の絵が美味しそう

  10. 戦時に生産方式を切り替えて、民生品工場を軍需生産に、国家総動員体制を敷けたりするのかな。場合によっては生産切り替えが上手くいかなくて工場が連鎖赤字出して大恐慌に…なんてのもあったりしたら嬉しくないけど嬉しい。

  11. マイクロマネジメントはリアリティがどうとかじゃなくてユーザーの快適性の問題なので、操作量が多すぎて煩雑になってしまってるかどうかが全てだと思う
    で、見る限りだと特に大帝国でこの仕様をやるのは結構ヤバそうな感じはする
    正直大丈夫かとは思ってる

    • そういうめんどくさいのが好きな人向けじゃない?
      単純な塗り絵じゃないよって言ってる時点でそういうのがめんどくさい人向けじゃないと思ったが。
      というかこういう話になるとよく見かける自分でやるのはめんどくさいけど、他人(AI)のミスには厳しいのはどうかなって思う
      有能な怠け者精神で他人の失敗も鷹揚に構えられるのが国家指導者やぞ。
      というか民間投資家がすぐ潰れる工場建てるくらいで目くじら立てんでもええやんって話である

      • マイクロマネジメントという言葉自体にそもそも肯定的なニュアンスが基本的にない
        つまり過度に細かいという意味で普通は使われるので、マイクロマネジメントがゲームデザインとして矛盾しないという話そのものがおかしいと言ってるわけ
        適度を超えて仕舞えばそりゃもうバランスとしてはその時点で失敗してるってことになるだろ?
        主に操作量の問題とバランスの問題があるわけだが、操作量は言わずもがな、バランスについても、こんな細かいところに葛藤作ってちゃんとしたバランスに仕上げられるのか?(つまり一つの生産方式が明確に最適で、実質的に他のものは選ぶ価値がほぼない、もしくはどれを選ぼうが戦略にほとんど影響しない)という懸念は禁じ得ない
        経済シミュレーターだからこそ、ゲーム中に興醒めしないためのバランスはとても大事だと思う

  12. HoI3の教訓を忘れてはいないだろうし細かいところは自動化もできるのでは
    パラドの自動化システムに期待していいのかは知らない

  13. hoi4もチュートリアルはドイツの子飼いのイタリア君だったしそもそも大帝国から始めようと思うのが間違いだと思われ
    vic3も大国で発展してるけどそんなに大きくないよ位から始めるのが良いんだろうね、スウェーデンとかブラジルみたいな

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