「Victoria 3」新DLC「Sphere of Influence」発売は5月6日!

「Hearts of Iron IV」開発日記2021年5月5日――戦闘と能力値の変更

HoI4 開発日記

「Hearts of Iron IV」開発日記2021年5月5日分が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回は最高司令部ボーナス・戦闘正面幅・その他の能力値について。1.11「バルバロッサ」リリース前の開発日記です。

前回:開発日記2021年4月28日――戦車デザイナー


スポンサーリンク

開発日記

開発日記2021年5月5日は、最高司令部ボーナス・戦闘正面幅・その他の能力値について。

  • 今日は戦闘やユニットに影響するさまざまな変更についてだ。「バルバロッサ」アップデートでは最適解を少しばかり変革し、戦車デザイナーの使用をより面白く意味のあるものにするために一部の能力値その他の側面も変更したいと考えた。

最高司令部(High Command)ボーナスの変更

  • 長い間、最高司令部からのユニットボーナスはプレイヤーを混乱させてきた。ほとんどのプレイヤーは大隊に適用されると思っているが、実際には対象となるユニット種別が「多数派の種別」である場合にのみ適用され、この種別の計算は基本的には重み付けされたものだった。こうしたボーナスは重複することもあった。プレイヤーの意図しない方法で重複して歩兵・山岳兵・砲兵のボーナスが同じユニットに適用されることがあり、あまり直感的ではなかった。
  • このシステムは変更され、師団はその構成に基づいてボーナスを得るようになった。これは各種別の非支援大隊の数に基づいた直接的な比率で、つまり砲兵2個大隊・歩兵3個大隊の師団は砲兵40%、歩兵60%となる。大隊は以下の優先順位に基づいて、このうちのひとつの種別(複数の種別とスクリプトされているものもある)に常に分類される。
    • 騎兵>戦車兵>砲兵>自動車化歩兵>機械化歩兵>歩兵
  • 例外はロケット砲兵と特殊部隊で、どちらも追加物とされる。つまり上記の例で師団の歩兵3個大隊が山岳兵大隊なら師団は60%が特殊部隊ともなり、砲兵2個大隊がネーベルヴェルファーならロケット砲兵40%ともなる。(20:30追記:山岳兵大隊の場合は歩兵ボーナスに加えて特殊部隊ボーナスが付き、ロケット砲兵大隊の場合は砲兵ボーナスに加えてロケット砲兵ボーナスが付くということのようです。コメントにてご指摘いただきました。ありがとうございます)
  • 軍の大隊数を数えるとき(つまり、師団テンプレートだけでなく実際のユニットがあるとき)、装備が不足している大隊は小さくカウントされる。したがって半分しか戦車を持っていない軽戦車大隊は0.5個大隊とカウントされる(まったく戦車がなければカウントはされない)。その場合でも、構成の合計は100%となる(すべての大隊が装備を持っていない場合を除く)。

  • これを見やすくするため、師団ウィンドウに内訳を示すインジケーターを表示するようにした。

戦闘正面幅(Combat Width)

  • 40/20幅の最適解を変革するため、私たちはプロヴィンスの地形の戦闘正面幅を変更し、75-96の間となるようにした。平地の戦闘正面幅は90、山岳は75だ。こうした正面幅のほとんどは簡単には割り切れず、理想的な正面幅を10の倍数とならないようにした。
  • 都市プロヴィンスは96と、「もっとも広い」正面幅となっているが、これは都市がもっとも圧倒しやすいプロヴィンスであることを意味しない。山岳・湿地・都市プロヴィンスは増援による正面幅がプロヴィンスの正面幅の1/2ではなく1/3となっている。これにより、こうしたプロヴィンスではわずかに防御力が強化され、一方でより開けたプロヴィンスにおける押し出す力が増す。
  • この変更に伴い、過剰スタックペナルティの緩和も検討している。これによって特定のプロヴィンスにぴったり合う正面幅の師団を持つ必要性がある程度軽減されることを期待している。しかし同時に、小国では師団の正面幅を自国の地形に特化させることもできるようになるはずだ。
  • 正面幅の詳細(数値は最終的なものではない)
    • 平地
      • 通常90
      • 増援45
    • 砂漠
      • 通常90
      • 増援45
    • 森林
      • 通常84
      • 増援42
    • ジャングル
      • 通常84
      • 増援42
    • 丘陵
      • 通常80
      • 増援40
    • 湿地
      • 通常78
      • 増援26
    • 都市
      • 通常96
      • 増援32
    • 山岳
      • 通常75
      • 増援25
  • 40幅の装甲師団がのような大きな師団が小さな師団と比べて不釣り合いに攻撃する主な要因のひとつは、敵の防御値との関係で目標選択とダメージが戦闘においてどのように機能しているかだ。基本的に大きな師団は防御を突破するためにダメージを集中させて効率的に使用する。
  • これを解決するため、私たちはいくつかのことを行った。まず正面幅の大きな師団が目標になりやすいように目標選択に重み付けした。また、目標選択の際に正面幅の大きな師団に常にダメージを集中させるのではなく、小さな範囲にダメージが分散するようにした。大きな師団は依然として激しく攻撃するが、正面幅の変更と大きな師団の不利な点によってそこまで強力ではなくなる。

  • しかし、この部分はまだあまり進めていないので、どうなったかわかったときに今後の「その他のいろいろなもの」の開発日記で詳細に取り上げるつもりだが、現時点で言及しておく必要があると思った。とはいえ、食欲をそそるために開発中のデバッグマップモードを少しだけご紹介する。

装甲値(Armor)と貫徹値(Piercing)

  • 現在は、敵が貫徹できるよりも強力な装甲を持つことや敵の装甲を貫徹できることの効果は二元的で、固定のボーナスをもたらしている。つまり、敵の貫徹値を止める以上の装甲値を持つことになんの利益もなく、また貫徹値が敵の装甲値を下回るときはまったく貫徹値がないのと同じくらい悪いことだった。つまり、非常に二元的だった。
  • 戦車デザイナーの登場に合わせて、私たちはアップグレードに投資することは常に価値があると感じられるようにしたいと思い、装甲値と貫徹値の効果をより段階的にした。
  • 装甲値>貫徹値のとき
    • ユニットは半分のダメージを受ける(現在と同じ動作)
  • 装甲値<貫徹値 かつ 装甲値>0.75×貫徹値のとき
    • 値の差に応じてダメージの半分から通常のダメージを受ける
  • 装甲値<0.75×貫徹値のとき
    • ユニットは通常のダメージを受ける
  • 例を挙げて説明する。
    • 機甲師団は52の装甲値を持つ
    • 対戦車砲を装備した歩兵師団に攻撃されており、この歩兵師団の貫徹値は60
    • これまでのシステムではこの装甲値には価値がなく、ダメージを低減することは全くできなかった
    • 現在のシステムでは装甲値が充分近接している(45-60の間にある)ため、通常の半分の25%程度のダメージ軽減効果がある

信頼性(Reliability)

  • 戦車デザイナーのためには、信頼性が設計の他の側面とうまくトレードオフするかどうかについて大きな影響を持つことが重要だったため、これを変更する必要があった。今では、信頼性は損耗による損失率に影響するだけでなく、他のさまざまな側面にも影響するようになった。
    • 信頼性はこれまでどおり損耗による損失に影響する
    • 信頼性は移動時の組織率の回復に影響するようになり、また信頼性が低い場合は天候による組織率への影響がより大きくなる
    • 信頼性が低いと天候による影響が大きくなるため、厳しい天候になったときに信頼性の低い装備を持つユニットは厳しい天候による影響により一層苦しむことになる
    • 戦闘終了時に信頼性の高い装備を持つユニットは一定量の戦車などを取り戻すことができる。これは単純で信頼性の高い構造だと戦場で修理しやすく、ダメージを受けても壊れにくいことをシミュレートしている。つまり戦闘中に敵の装備を鹵獲するのと少し近いが、逆だ
  • 私たちの目標はこれによって装備を設計する際に興味深いトレードオフを生み出し、ロシアの冬や北アフリカ、ジャングルのような天候が悪かったり過酷な地域で活動する際に速度と火力を重視した戦略を信頼性を重視した戦略に切り替える価値があるかどうかをプレイヤーに検討してもらうことだ。
  • 天候に関する変更や関連するその他の素晴らしいものについては今後開発日記があるはずだ。したがって、こうした変更は完全に独立したものではない。

スタジオゴールド

  • こちらでご覧いただいたように、私たちは組織変更を行い、大きく集権化されたストックホルムのスタジオからレッド、グリーン、ゴールドの3つのスタジオに分かれた。これは主に社内の組織変更で、成長し続ける組織がよいゲームを作ることにしっかりと集中し続けられるようにするためだ。クラウゼヴィッツエンジンでグランドストラテジーゲームを作っているパラド社開発スタジオのままなので、短期的にはみなさんが大きな違いを感じることはないだろうが、私たちは各スタジオを特定のゲームに合わせることができるようになった。

この後、HoI4を担当するスタジオゴールドのスタジオマネージャーとなったBesuchov氏の挨拶が述べられています。HoI2の時代に入社してHoI3とVic2のリードプログラマーを担当し、EU4のプロジェクトリーダー、パラド社開発スタジオのスタジオマネージャーを経て現職とのこと。

スポンサーリンク

質疑応答

Q1:60%が歩兵の師団が60%の強化を受けるということは、政府に攻撃強化補正+15%の人がいたらその師団は+9%の攻撃補正を受けるということ?

A1:大体そんな感じだ。

Q2:装甲値と貫徹値は依然としてまだ二元的すぎるように見える。

A2:貫徹値が高いときにはさらなるダメージがあるということを言っているだろうか? このようになっているのは基本的に対戦車兵器が素晴らしい歩兵殺しにならないようにするためだ。装甲化率(hardness)によって攻撃を割り当てるアイディアも考えたが、開発日記に書いたように目標選択に関する変更を掘り下げる準備がまだできていない。というのは、テストも実装もしていないので、受けるダメージの正面幅による拡散以外にどうなるか正確にはわからないからだ。

Q3:最高司令部ボーナスはなぜ大隊に適用されないの?

A3:このアイディアは諸兵科連合のように機能する(ご存知の方はHoI3のようなものだ)。言うなれば、全体は部分の総和よりも大きいということだ。このアイディアは砲兵のみではなく砲兵の支援を受けているために師団全体がよりよく機能するというものだ。

Q4:ゲームを複雑にするあなた(注:ゲームディレクターのpodcat氏)のかわりに、プレイヤーが実際に修正して欲しいものを決めるアンケートをするのは難しくない。

A4:必要ない。何年にもわたって何百もの戦闘正面幅に関する議論のスレッドを読めば、もっとも人気がある変更は以下の2つだ。

    • 正面幅のバリエーションを増やし、正面幅超過ペナルティを減らし、どの正面幅を使うか、完全に正面幅を合っているかどうかは重要にならないようにする。
    • 目標選択とダメージの配分が戦闘正面幅の大きな師団でそこまで有利にならないようにする。

Q5:正面幅2の師団や装備の整っていない師団を防衛のために大量に出すのを不可能にするものはある?

A5:スタックペナルティは過去に正面幅10の最適解プレイが問題になったときに導入したもので、大量の小さな師団がいるときに効果を発揮する。

Q6:この変更はDLC所有者だけ?

A6:無料パッチの内容だ。

Q7:都市はどうやって平地より戦闘正面幅を広げるの?

A7:射界が制限されていることと、それによって区域の防衛や火力の集中が難しくなることによる。平地では1個大隊が500mの正面で攻撃することもあれば、拠点間を哨戒部隊の巡回によって結ぶ非常に細い防衛線で2-3kmを守備することもある。スターリングラードやアーネムなどでは複数の大隊が1本の通りの正面で攻撃していた。

Q8:ジャングルと森林を比べると物足りないように感じる。湿地と同じくらいじゃない?

A8:これは依然として非常に厳しいジャングルの戦闘補正を割り引いたものだ。


次回:開発日記2021年5月12日――バルト三国1/2とポーランド3/2

スポンサーリンク

コメント

  1. 翻訳お疲れ様です
    これは陸軍が別ゲーになりますね
    戦闘正面幅の仕様変更で、初心者向けの「とりあえず20幅にしておけ」が通じなくなりそう

  2. ロケット砲兵と特殊部隊の下りですが、原文のwould also beとその下の画像から、多分一段落上で書かれた大隊種別を持った上で、更に特殊部隊比率やロケット比率は別のボーナスとして扱われる…って感じじゃないでしょうか(例えば山岳兵の例でいえば、Compositionとしては歩兵60%として扱われるが、更にその上で特殊部隊比率60%分のボーナスも受けられる…みたいな)うまく表現できず申し訳ないですが

  3. 特殊部隊とロケット砲兵の話は師団補正とは別に受けられるという意味だと思います

    例えば歩兵8個大隊砲兵2個大隊なら歩兵師団に対する補正を80%得られる一方、砲兵の補正は一切得られないが、
    歩兵8個大隊ロケット砲兵2個大隊なら歩兵師団に対する補正を80%受けた上で更にロケット砲兵に対する補正を20%受けられる(当然通常の砲兵に関する補正は受けない)
    と解釈しました

  4. ご指摘のように画像で山岳兵大隊分について特殊部隊のボーナスも乗っているところを見ると、歩兵ボーナスに加えて特殊部隊ボーナスもつくと考えるのが自然かなと思いましたので、そのように記載を修正しました。
    お二方ともコメントいただきましてありがとうございます。大変助かりました。

  5. 戦車デザイナの話で貫通考えるの面倒になりそうだなと思ってたけど開発も認識してたのか

  6. 翻訳ありがとうございます

    戦闘幅変更と補給システム改変が合わさると、ソ連や中国の人海戦術プレイが弱体化するのだろうか…
    独ソ戦が一方的に成らないよう、バランス調整には気を付けて欲しいなぁ

    • たぶん新しくなるであろうドクトリンシステムが、その辺をなんとかしてくれるんでしょ。
      元から人海戦術は、他のドクトリンにない戦闘幅や補給を改善してたドクトリンだし。

  7. ここまでいじっちゃうとバランス取り大変そうだなあ。

    開発頑張って。

    • バランス取りは大変だろうけど計算式そのものを変えるよりはバランス取りやすいんじゃないかな。
      計算式変えちゃうと根幹からバランス調整する必要あるけど今回の場合は戦闘幅関連だけで済んでるしね。
      今回の修正で計算式を変えろって批判もあったけど自分はこれでいいと思ってる。

  8. 今の案だと正面幅は20幅でだいたいいけそうですね
    山も二方向から攻めれば100幅ピッタリだし

  9. 増援の幅を考慮すれば30幅は適正値かな

  10. 40幅ナーフのための修正だから20幅自体は使う余地残るのかな.

    師団幅の多様性つってもそれを簡単に管理して地形ごとにこの幅が突っ込むように自動戦闘してくれるってわけじゃないなら一元管理しやすい20の倍数でええやんって気持ちが正直強い.

    取り切れていないバグだってかなり多いし,新システム組むよりそっちをなんとかしてほしい.
    “ゲームを複雑にするあなた(注:ゲームディレクターのpodcat氏)のかわりに、プレイヤーが実際に修正して欲しいものを決めるアンケートをするのは難しくない。”

    • 「開発はユーザーの意見を無視しており、アンケートを取れば私の意見がユーザーの総意であることがわかるだろう」なんてのは傲慢という他ないね

      フォーラムで色んな意見を見聞きすることをおすすめするよ

  11. 海が既にアップデートされ、次が陸。ということは、その次は空か?ワクワクですな。

    • そう言えば空戦がいちばんあっさりしてる気はしますね。
      戦法だと空戦でロッテを組むようになるとか、跳飛爆撃するようになるとか。
      装備なら機関砲や爆弾の開発までやるとか。
      照準器性能を上げたりレーダー積んだり。
      ……複雑になる一方かな。

      • 自国周辺の空域で完全に制空権をとっていても、航続距離さえ足りていれば時刻を爆撃 or 核攻撃されてしまい現状のシステムはちょっと微妙と思ってる。

        制空権をとられた空域の内側には侵入できないようにとか、途中で迎撃されたりとか、海軍の制海権に準じたシステムにしてくれないかなー

      • 空は欧州以外の空域が広すぎるのをまず何とかして

  12. 比較的小さめの師団をスタックさせれば幅をどこでも無駄なく使えるようになるんじゃない?
    歩兵6+砲兵1の幅15とかで。

  13. アンケート取るのは簡単と言ってるけど、アンケートは取った後のまとめや検討が大変なんじゃなかろうか。
    船頭多くして船山を登ると言うし、多数の意見を取るのが必ずしも良いとは言えない。

  14. 製品への責任はパラドが負っているから何をするか決定しなきゃいけないのはパラド
    フォーラム民が株主であって、手持ちの株券が大金になるか紙屑になるかを賭けた上でアンケートに答えるってなら話は別だが

  15. 個人的には特殊部隊の制限撤廃して欲しいなあ
    ALL戦車が許されてALL海兵が許されないのは何故なのだ

    • まあ、ALL特殊部隊になってしまったら、いったい何が「特殊」なのかって話になるわけで。

タイトルとURLをコピーしました