「Crusader Kings III」開発日記#24――異端とdoctrines

「Crusader Kings III」開発日記#24が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回は異端とdoctrinesについて。本体発売前の開発日記です。

前回：開発日記#23――宗教騎士団

開発日記

開発日記#24は、異端とdoctrinesについて。

熱意（Fervor）

• すべての教派には「熱意」というスコアがあり、これはその教派の信徒が彼らの宗教上・世俗上の指導者の正しさをどれほど強く信じているかを表す。

現行犯で捕まった後の教皇の罪深そうな顔のスクリーンショット

• 熱意は時間経過でゆっくりと上昇していき、これは主に教派の指導者の徳の高さや罪深さに影響される。徳のある聖職者は民衆を鼓舞し、自分たちのもとに民衆を結束させることができるが、罪深い聖職者（特に宗教的指導者）は大規模な不祥事を起こし、宗教上の組織に対する信徒の信頼を損なうことがある。
• 熱意の高い教派の信徒は自分たちの信仰のために戦って死ぬことをいとわない。彼らは他の教派への改宗に対して抵抗するボーナスを持ち、宗教上・世俗上の指導者は自信の教派を世界に広めるために聖戦を布告できる。
• 聖戦が布告されるたびに教派の熱意は少し損なわれるが、聖戦に敗れて土地を失うと、追い詰められた信徒たちは立てこもって自身の生き方のために戦うため、教派の熱意は高まる。
• 教派の熱意が低下すると、その教派の信徒は改宗を受け入れやすくなる。キャラクターは改宗の要求（Demand Conversion）を受け入れるようになり、宮廷司祭の任務「伯爵領の改宗（Convert County）」は自教派より熱意が低い教派に対して変動するボーナスを得る。
• 教派の熱意が充分低下した場合、教派は異端が発生しやすくなる。

異端の発生（Heresy Outbreaks）

イギリス南部で発生したロラード派のスクリーンショット

• 異端の発生は領主が現在の教派に幻滅し、異なる教派に加入しようとするときに発生する。既に近くに異端の教派が存在する場合は、自動的にその教派に改宗する。
• 周囲に適した異端がいない場合、彼らは異端の指導者となり、まったく新しい教派を支持し、これは一般には（しかし常にではない）自身の宗教の中の教派となる。
• 異端教派に改宗したり設立したりした領主は、以前の教派の近隣の領主を改宗させようとし、その成功率は以前の教派の熱意がどれほど低下しているかによる。つまり、異端の発生の規模はさまざまだが、異端への改宗は特定の地域に集中する傾向がある。これは生まれたばかりの教派を守ると同時に、遠く離れた土地への影響を制限することにもなる。
• 異端の発生は信じられないほどの不和を引き起こすできごとであり、その結果として異端が発生した後は古い教派と新たな異端教派の双方で熱意が大幅に上昇する。これによって聖戦が起こりやすくなり、新たな宗教的暴力の時代が訪れることもめずらしくない。
• 結局のところ、スキャンダルから異端、熱狂とその揺り戻しの流れで熱意は大きく変動する。これは大きく支配的な宗教でも弱い時期があるということを意味する。

宗教的敵対心（Religious Hostility）

• CK3では、教派や宗教がほかの教派や宗教をどう見ているかは宗教的敵対心のシステムで扱う。特定の教派のキャラクターは、ゲーム内の他のすべての教派に対して以下のいずれかのランク付けを行う。
  1. 正当（Righteous）
  2. 堕落（Astray）
  3. 敵対（Hostile）
  4. 邪悪（Evil）
• 正当はその教派を自派と同様に見ているということであり、ごくまれな状況だが、共通している部分がある。正当な教派は互いになんのペナルティもない。
• 堕落はその教派が同じような目標や理想を持っているが少しだけ間違っているということだ。例えば、正教とカトリックは互いを堕落していると見ている。堕落している教派は互いに小さな評価ペナルティしかない。
• 敵対はその教派を異端や他の著しく異なる教派と見ている。このレベルでは評価ペナルティがより大きなものとなり、領主は敵対する宗教の領主に対して聖戦を布告できる。一方で、政治的に都合が合えば婚姻するのが一般的で、敵対する教派の領主の間で同盟を結ぶこともできる。
• 邪悪な教派は忌み嫌われており、容認できないものとみなされている。もっとも厳しい評価ペナルティを受け、互いに聖戦を行うのも普通のことだ。領主は邪悪な教派のキャラクターとの婚姻をほぼ認めず、同盟関係は不可能に近い。

宗教的敵対心を計算するスプレッドシートのスクリーンショット。アブラハムの宗教の教派がもっとも不寛容で、東洋宗教の教派が最も寛容。

• 宗教的敵対心を決める第一の要素は、所属する宗教系統（Religion Family）だ。しかしアブラハムの宗教の教派が同じ宗教の教派を敵対とみなすとき、なぜカトリックと正教は互いを堕落としか見ないのか？　その答えがDoctrinesだ。

DoctrineとTenetのショーケース

特定のキリスト教の教派間の敵対心を軽減するDoctrine「Ecumenism」のスクリーンショット

• まずカトリック、正教、Apostolic、コプト教はすべてDoctrine「Ecumenism」を持ち、これはこのDoctrineを持つ教派同士は互いに敵対心を「堕落」に変更し、友好的な関係を維持できるようにする。
• 同様に、さまざまなイスラム教の教派はすべてムハンマドの真の後継者に対する信仰を表すDoctrineを持つ。さまざまなスンニ派の教派はすべて互いを「堕落」とみなし、シーア派・Muhakkimaの教派でも同様だ。

グノーシス主義の教派間の宗教的敵対心を解消するTenet「Gnosticism」のスクリーンショット

• グノーシス主義の教派はこれをさらに強化している。自分たちの信仰を受け入れさせるために戦ってきた彼らは、他のすべてのグノーシス主義の教派を「正当」とみなす。これにより、ある宗教の中で、あるいは外であっても、一部の教派を同盟相手、それ以外を敵と見る教派連合を作ることができ、CK3の宗教上の関係の原動力を完全に変える。

宗教全体に対する宗教的敵対心を軽減するさまざまなTenets「Syncretism」のスクリーンショット

• 自教派とほかの宗教の教派の互いの見方を補正するTenetsもある。

十字軍を可能にする「Armed Pilgrimages」をはじめとした、戦争に焦点を当てたさまざまなDoctrinesとTenetsのスクリーンショット

• 外交は得意じゃない？　戦争を試そう。

より霊的な性質を持ったさまざまなTenetsのスクリーンショット。占星術、Auspicious Birthright、輪廻転生、太陽崇拝、鳥葬、秘教。

• 結局のところ、宗教とはスピリチュアリズムのことで、我々の理解を超えた別世界の存在を信じることではないか？　それならばこうしたtenetsのどれかがプレイヤーに合うかもしれない。

教派作成画面から利用できるTenetsの一部

• もちろんこれはCK3のDoctrinesとTenetsのサンプルにすぎない。すべてをこれくらいの詳しさで紹介するのは長くなりすぎるが、教派作成画面から利用できるTenetsの一部の紹介を置いておく。

次回：開発日記#25――マップの特徴とマップモード