「Victoria 3」新DLC「Pivot of Empire」発売!

「Victoria 3」開発日記#48――統合

Vic3 開発日記

「Victoria 3」開発日記#48が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回は統合について。本体発売前の開発日記です。

前回:開発日記#47――改宗と同化


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開発日記

開発日記#48は、統合について。

プレイヤーが行える統合はバルチスタンのような1地域の小国からインドのような広大な国までさまざまだ。

  • 統合(Unifications)とは1871年にプロイセン王国がドイツ帝国になったように、ある国家が別の「より大きな」国家になる過程を言う。統合には通常の統合と大国の統合(Major Unifications)の2種類があり、後者には特別なシステムがある。まずは前者から説明しよう。

通常の統合

オーストラリアの不可欠なステート地域9つのうち7つを支配下に置き、ニューサウスウェールズはオーストラリア自治領となることを宣言する準備ができている。

  • 通常の統合は他の国家によって建国される特定の国家のことを指す。こうした国家には、過去に存在した国家(ポーランドなど)、1836年以降に誕生した国家(イタリアなど)、私たちがもっともらしいとみなしたり、ゲームに追加するのに充分興味深いと考えた国家(アラビアなど)、1836年に既に地図上に存在していた国家でも、分裂したり征服されたりすれば再び建国できる国家(中央アメリカ連邦など)がある。
  • ある国家が別の国家になるには、以下のような満たさなければならない条件がある。
    • 建国しようとする元の国家は統合後の国家と少なくとも1つ主要文化を共有していなければならない。例えば南ドイツ文化と北ドイツ文化のいずれかを主要文化とするすべての国家は、その両方を持つドイツを建国できる。
    • 建国しようとする元の国家は統合後の国家より国家階級(country tier)が低くなければならない。国家階級とはその国家が史実でどのように認識されていたかに基づいて割り当てられる固有の「地位」であり、その高さに応じて威信(Prestige)をもたらす。例えば史実で王国とみなされていた国家は単なる郡にすぎなかった国家よりも少し多くの威信を得る。ある国家や称号が他のものよりも本質的に格が高いという考えはゲーム中の時代には廃れていたため、これはかなり弱い効果だが、どの国家が現実的に自身のアイデンティティを変えようとするかを決めるのに役立つ手段だ。というのは、ポーランドがガーリチ・ボルイニに変わろうとするのは考えにくいが、クラクフはその機会に飛びつくかもしれないということだ。このルールには例外があり、ある国家自身が大国の統合に含まれる前であれば、同じ階級の大国の統合を行える。例えばオーストリア帝国はその過程で国家階級が上がらないにもかかわらず、ドイツ帝国になることができる。
    • 建国しようとする元の国家は統合後の国家になくてはならないステート地域(State Regions)を充分な数だけ所有するか、所有者の宗主国になっていなければならない。通常、統合国家が不可欠のものとみなすステート地域はその主要文化の文化の故郷(Cultural Homeland)に直接対応する。したがって、イタリアの不可欠なステート地域は北イタリア文化と南イタリア文化それぞれの文化の故郷とみなされるすべてのステート地域だ。
    • 特定の統合では国家主義(Nationalism)や汎国家主義(Pan-Nationalism)などの技術を研究する必要があるかもしれない。
  • こうした条件が整えば、統合はボタンを押すだけだ。ボタンを押すと建国しようとする元の国家は直ちに統合後の国家に変わり、その過程で統合後の国家と主要文化を共有し、不可欠のステート地域内に領土を持っているすべての従属国を併合する。このため、プレイヤーの統合の夢の妨げとなる他国を完全に征服することは必ずしも必要ではない(し、望ましくもない)。そうした他国を従属させることでプレイヤーは必要な目標に対してその従属国の領土を算入でき、他の手段で領土を得た場合と比べて低い悪名(Infamy)でそうした従属国を統一国家に統合できる。

大国の統合

  • 大国の統合はドイツやイタリアなど、史実で強い民族主義運動が分裂していた政治的実体からその建国を扇動した国家を言う。ゲーム開始時は通常の統合とほとんど変わらないが、統合後の国家と主要文化を共有するいずれかの国家が技術「国家主義結社(Nationalism Society)」を研究すると、統合候補国(Unification Candidates)と統合に関する外交上の駆け引き(Unification Diplomatic Plays)が有効になる。
  • 統合候補国は前述のような分裂していた政治的実体をひとつの旗の下に統合しようとする国家のことで、史実の例としてはドイツ統一を目指したプロイセン王国が挙げられる。統合候補国となるには少なくとも大国(Major Power)でなければならない。しかし、列強(Great Powers)である他の(潜在的、あるいは現在の)統合候補国がある場合は、比較してあまりにも弱いとみなされるため、大国は有効な統合候補国とはみなされない。
  • 統合候補国は常に最大3か国まで存在することがあり、潜在的にそれより多くの候補国がいる場合はもっとも威信の高い上位3か国が選ばれる。また、少なくとも大国である候補国がいない場合には、統合候補国は存在しないということもある。国家の順位が変われば統合候補国も変わる。順位がしきい値を下回る候補国は候補国ではなくなり、しきい値を超えた潜在的候補国は候補国となる(空き枠があるか、既存の候補国に威信で勝てればの話だが)。

プロイセンとオーストリアはそれぞれドイツ統一のために一定の支持国を得ているが、ドイツの小国のほとんどは中立のままだ。

  • 実際に統合候補国になったらどうすればいいのか? もっとも重要なのは、統合後の国家と主要文化を共有する非統合候補国の支持を得ることだ。こうした国家は既存の候補国のいずれかを支援でき、より大きなものの一部になろうとしていることを世界に訴えることができる。
  • 不可欠のステート地域のうちの必要数を確保するために、すべての統合候補国は自国を支持する国家の領有する領土を確保する。つまり、メクレンブルク公国がプロイセンを支持した場合、プロイセンは必要な南ドイツ/北ドイツ文化のステート地域の数にメクレンブルクを算入できる。

多くの支持国を集めたプロイセンはドイツ人の主導権を巡ってオーストリアに対抗する姿勢を取り、唯一の統合候補国になろうとしている。

  • さらに統合候補国は2種類の特別な外交上の駆け引きを利用でき、これは国家形成(Nation Formation)画面から行える。こうした外交上の駆け引きは「民族の主導権(National Leadership)」「統合(Unification)」と呼ばれ、ドイツが誕生した歴史的な過程の大部分をモデル化している。
  • 「民族の主導権」は複数の統合候補国がある場合にのみ関係し、1866年の普墺戦争で起こったように、ある統合候補国が他の候補国に対する優位性を争う。この駆け引きは常に他の候補国を標的としており、双方は相手国に統合候補国であることを断念させることを主要目標とする。支持国はここで動き始め、一方の候補国を支持すると約束した国家は駆け引きにおいても自動的にそれぞれの側につき、戦争に発展した場合はその陣営で戦うことになる。
  • 「民族の主導権」の戦争目標が強制されると、敗戦国側は恒久的に統合候補国になる資格を失い、その統合後の国家の最大候補国数も1減少する(これは単に支配的な候補国に対抗する新たな候補国が無限に現れないようにするためだ)。つまり、史実のようにプロイセンがオーストリアを破った場合、オーストリアは統合候補国ではなくなり、バイエルンなど他のドイツの国家が列強にならない限りはプロイセンが唯一の統合候補国として残る。
  • 重要なのは、ドイツの統合候補国の資格を失ったオーストリアが実質的にドイツを建国できなくなるわけではないということだ。しかしこうなったことでオーストリアは統合候補国が利用できるツールを使えなくなり、ドイツ建国には暴力に頼らなければならない。

オーストリアが競争から脱落した今、プロイセンによるドイツ統一は目前だ。フランスとロシアの介入を回避するか克服できればの話だが。

  • 統合候補国が1か国しかない(もともと1か国しかないか、他の候補国が敗れたかした)場合、「統合」の外交上の駆け引きを使用できる。これは統合後の国家と主要文化を共有し、統合後の国家の不可欠なステート地域内に領土を持つ、列強ではないすべての国家が関与する特別な駆け引きだ。先ほどと同じく、こうした国家のうち統合候補国を支持する国家は自動的に統合候補国につき、それ以外の国家(過去にどの国家を支持していたか、支持していなかったかにかかわらず)は敵側となり、その中でもっとも強力な国家が戦争指導国となる。他の外交上の駆け引き(「民族の主導権」含む)と同様に、その地域に関心を持つすべての国家はこれに干渉できる。
  • 「統合」の駆け引きにおいて攻撃側は潜在的な対象国リストにあるすべての(列強ではない)国家を完全に併合することを目指す。これには自国の支持国も含まれる(最終的に併合するために戦うことになるかもしれない)。そのため、統合候補国ではないプレイヤー国家は統合候補国を支持する理由がほとんどないように見えるかもしれないが、(自国の併合がプレイヤーの目的でないと仮定すれば)そうする正当な理由がある。すなわち時間稼ぎだ。統合候補国を支持することで彼らは自国に対して友好的になる可能性が非常に高く、例えばプロイセンに四方を囲まれたアンハルトをプレイしている場合、プロイセンを支持することで自国に対して「干渉」されることを防ぎ、強力な同盟国を確保したらその支持を取りやめることは有効な戦略となり得る。

質疑応答

Q:帝国領を維持することを決めたオーストリアですごく変なドイツを建国できるの? それともドイツ文化以外の領土は解放しなきゃダメなの?

A:ドイツ文化以外の領土を解放する必要はないが、そうした領土を持っていることでプロイセンより統合候補国としての支持を得られる可能性は低いはずだ。オーストリアがドイツを建国するときにドイツ文化ではない領土を解放することを誓約して支援を受けやすくする手段を追加したいが、現時点ではあったらいいものに過ぎない。

Q:普仏戦争はモデル化されていないの?

A:普仏戦争はフランスがプロイセンに介入するドイツの統合戦争としてモデル化されており、このシステムで間違いなく発生し得る。

Q:ドイツとイタリア以外の大国の統合は?

A:今のところドイツとイタリアだけだが、もっと多くの建国可能国家に拡張することは容易なシステムだ。

Q:新国家では宗教はどうなるの? それから現在の主要文化のひとつが統合後の国家では主要文化ではない場合、主要文化は失われるの?

A:新国家建国時に主要宗教は変更されないが、主要文化は失われることがある。

Q:ドイツやイタリアのような国家の統合を支持したり反対したりした社会的・政治的勢力はモデル化されているの?

A:より民族主義的な利益集団が政府にいればより統合を支持するようになるという考え方によって、これは少なくとも一部はAIによって処理される。だが、私たちができることはもっとあるという見方には同意する。例えばプレイヤーがドイツ建国を拒否した場合、統合を支持するPopが急進的になるなどだ。


来週はキャラクターについて。

2022年5月31日追記予期せぬ事態により今週の開発日記はお休みとのこと

次回:開発日記#49――グラフィックの概要

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コメント

  1. 国家形成的な感じか

  2. 日本も徳川幕府と薩摩でこんな感じのモデルが作れそうだな

  3. 周辺国からすると一回負けたら主導権剥奪はなかなか厳しいな
    いつの間にかオーストリアが負けて均衡政策が吹っ飛びそう

  4. >今のところドイツとイタリアだけだが
    スカンジナビアでもやりたい

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