「Victoria 3」開発日記#38が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回は貿易路と関税について。本体発売前の開発日記です。
開発日記
開発日記#38は、貿易路と関税について。
- 貿易(trade)とは商業取引の手段として2つの市場間で商品を移動させることだ。貿易は企業間や国家間で行われるのではなく、国内市場間で貿易中心地(trade centers)を通じて行われる。
貿易中心地
港と人がいるところには貿易が生まれる可能性が高く、利益も生まれるかもしれない。
- 貿易中心地は以前の開発日記で紹介した中心市街地のような機能を持つ。これは手動で建設する建造物ではなく、貿易路が確立された結果として発展するものだ。プレイヤーが自国産業のために商品の輸入路をひとつ作成すると、自国内で貿易中心地が1レベル発展する。中心市街地は工業建造物が多い場所で発展する傾向にあるが、貿易中心地は市場中心地(market capitals)や国内の港で発展する。
- 貿易中心地の配置を自由に決めることはできないが、プレイヤーは適したステート、例えばインフラとPopが容易に利用できるステートに港を建設することで、貿易中心地の発展に影響を及ぼすことができる。
ニューヨークを行き来するすべての商品はPopがヒッチハイクしやすいということを意味している。
- 貿易中心地には職員が必要だ。商品はある国家から単に現れるのではなく、官僚、作業員、事務員などが貨物の積み下ろし・計算・課税・配送を行えるように維持する必要がある。貿易中心地は政府が運営するサービスではなく、通常は資本家が所有する民間企業であることがほとんどだ。
- 貿易中心地にPopがいなければ思いどおりに貿易を行うことはできないが、歴史的に貿易中心地は移民の中心地としても知られており、国内外からの移民がよりよい生活を求めて集まるため、管理はそれほど難しくないはずだ。
- 貿易中心地は管理する貿易路の両側で収益を獲得し、これは移動した商品量と貿易路がそれぞれの市場価格に与えた影響に関連する。この収益は他の産業と同じロジックで従業員に配分され、課税される。つまり、貿易で誰が儲けるかは経済の他の部分と同じくプレイヤーの国内政策と関連している。
貿易政策
- 貿易はすべての国家が参加できるものだが、貿易をどれほど効率的に行えるか、貿易によってどれほど損害を受けないようにできるか、貿易からどれほど利益を得られるかはその国家の貿易政策(trade policies)に関係しており、また貿易政策は国家が禁輸や関税をどのように利用できるかを決める。
最初は1つだった法律カテゴリーが今では2つになっている。
貿易政策法は4つのイデオロギーのカテゴリーに分かれており、国内の経済システムそれぞれと関連している。
- Victoria 3の経済法は法律に関する開発日記から変更が行われ、経済システム(Economic System)は国内経済を、貿易政策は国際的な活動を対象とするように分割された。貿易政策は関税同盟との関わり方、禁輸や関税の利用、貿易の一般的な効率性を管理する。
禁輸
保護貿易主義は禁輸を維持しやすいだけでなく、より効率的に行える。
- 禁輸(Embargos)は政府が自国市場とその利益を守るために影響力を拡大する能力を表現している。ほとんどの国家が商品の禁輸を行えるが、その効果は政府の貿易政策に依存する。保護貿易主義の政府は重商主義や自由貿易の政府と比べてより効率的な禁輸を実施しやすい。
- 国内で課税するには権限(authority)が必要だが、禁輸には影響力(influence)が必要となる。禁輸に実効性を持たせることは、それを尊重するよう他国に影響を与えることができるかどうかにかかっている。
- 禁輸はその商品を完全に止めるものではなく、その貿易の容易さを妨げるだけだ。他国はプレイヤー国家に商品を売り込もうとするだろうが、それを促進するためにはさらなる努力を必要とする。
関税
高い関税は事業で得られる利益を最小限にし、貿易を阻害する。
- 関税は輸出品と輸入品の両方に設定される(注:輸出と輸入で別に関税水準を設定できるということではなく、プレイヤーは両者を一体として関税水準を決定し、その中で輸出と輸入の関税に差があるということのようです)。輸出入の関税の比は貿易政策に依存し、重商主義的な貿易政策では輸出が輸入を上回るようにするため、輸出にかかる関税は間違いなく低下する。保護貿易主義では輸出入の関税で違いはなく、これは国内経済を好況・不況どちらからも保護するためだ。自由貿易では関税を気にせず、他の手段で(注:国家が)利益を得ようとする。
- 輸出入の関税の比は法律で決まるが、予算画面で関税水準をさらにカスタマイズできる。関税水準は収入をもたらすだけでなく、Popにインセンティブを与える。低い関税は貿易を促進するが、高い関税は貿易の効率を低下させる。
条約港
ゲーム開始時にポルトガルはマカオの条約港を保有しており、非常に利益のある貿易を行っている。しかしそうした貿易は列強の注意をひくのではないか?
- 条約港は禁輸や関税にかかわらず国内市場へのアクセスを確保するための手段で、陸続きの隣接市場で設定された禁輸や関税を回避できるという特別な機能を持つ。条約港はその市場へのアクセスを開く恒久的な手段だが、同様に恒久的な投資も必要とする。というのは、条約港はなによりもまず港であるため、間違いなく貿易中心地となり、その機能を果たすためのインフラと人員が必要となる。この利益のある活動に投資する際は、これを奪おうとする他の帝国主義国の目から守る必要があることを知っておいてもらいたい。
関税同盟との関わり
- 前回の開発日記を思い出してもらいたいが、関税同盟はある国家が他国の市場に従属することに同意する協定だ。自国市場を他国に従属させることに同意するのは、他国の経済システムや政策に従うということだ。(注:関税同盟に入っても)プレイヤーは国内市場間での貿易を行うことが依然としてできるが、特定の商品の禁輸や市場全体の関税政策を設定することはできなくなる。しかし、関税収入の分配を受けることはできる。これは有益な場合もあれば、国家の収入源を大きく損なう場合もある。
質疑応答
Q:特定の商品に関税をかけて優遇することはできる?
A:今のところ関税は商品ごとに設定されるのではなく、すべての商品に一律に設定される。商品ごとの関税は検討されたが、実行には移されていない。
Q:商品別の関税を導入するゲーム開発上の難しさはなに?
A:主に2点ある。
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- 特定の商品を守るための対応として(あるいは先回りするため)の手段という点で、禁輸の機能と重なる。
- 禁輸を先回りして使うということは実質的にはお金を生まないものに影響力を使うということになり、これはいいゲームプレイの流れとは言えない。
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私たちは輸出入を奨励したい商品を選択的に免税にすることを検討してきた。
Q:貿易路はどうやって作るの?
A:貿易は市場画面かUI下部の貿易レンズで行う。このやりとりで貿易中心地が作成され、その後は貿易中心地のメニューにまとめられる(ただ、このUIは市場の概要にもある)。
Q:(商品ではなく)特定の国家に対して禁輸を行うことはできる?
A:今のところできないが、そのような機能をつけるとしたら、国家それ自体は貿易をしないため、特定の市場を禁輸することになると思う。
Q:貿易路の商品の量は固定なの?
A:ある市場から実際に供給できる量よりも多くの輸出需要がある場合、各貿易路の相対的な競争力によって誰がどれほどのシェアを得るかが決まる。
Q:このシステムでどれほど経済戦争ができるのか?
A:例えば原料を輸出すると同時に製品で溢れさせれば、相手の国内産業を破壊できる。条約港を獲得したり自由貿易を強制することで、反撃の手段をあまり持たせないようにしたときには特にそうだ。
来週は航路(Shipping Lanes)について。航路については開発日記#24で一度説明されていました。
次回:開発日記#39――航路
コメント
ここでいう禁輸っていうのは国内市場の保護の重商主義的な話であって軍需品の輸出禁止ではなさそうな感じだな