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「Victoria 3」開発日記#24――海軍と提督

Vic3 開発日記

「Victoria 3」開発日記#24が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回は海軍と提督について。本体発売前の開発日記です。

前回:開発日記#23――戦線と将軍


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開発日記

開発日記#24は、海軍と提督について。

  • 今回は海軍と、私たちがどのようにして史実と同じく海軍を戦争に勝つために戦略的に重要なものにしようとしたかについて述べる。この開発日記は「戦争の概念」で示された戦争のビジョンと、「戦線と将軍」で示された中核的な仕組みの多くに基づいている。

ポルトガルの植民地ステートである北アンゴラのルアンダを出港するクリッパーは、リスボンの市場中心地(Market Capital)との接続を表現している。

  • 帝国を維持する能力は公海上でどれほど力を発揮できるかによるところが大きい。この時代は真に世界規模の貿易の時代であり、それは国家が貿易の混乱の影響を非常に受けやすいことを意味している。高くに登るほど、落ちることは厳しいものとなるのだ。
  • Victoria 3で戦争中にも自国市場・海外植民地・貿易ルートを保全しようと思うなら、強大な外洋海軍を維持するのは高額だが必要な出費だ。また、平時であっても堂々たる艦隊は国家に相当な威信(Prestige)をもたらす。
  • Victoria 3における海軍のゲーム上の設計意図は、海洋国家間の紛争で戦略的な精密機器として役割を果たすことだ。海は戦争における別の「戦線(front)」ではない。プロヴィンスを基礎として動く戦線システムは領土を巡る紛争の表現には適しているが、広大な海をどの国家も実質的に「支配」しているとは言えない海では理にかなっていない。
  • かわりに、提督とその分艦隊(Flotillas)は敵の軍事作戦や経済を混乱させたり、敵のそうした試みを防ぐという特定の戦略目標を満たすために配置される。強力な海軍はそれだけでは戦争に勝つことはできないが、適切な状況下で正しく配備されれば理論上は優勢な敵でさえも出し抜くことができる「奥の手」になり得る。

海軍パネルに描かれた提督のアートがあるモックアップ。Ruiz提督と彼の10個分艦隊は現在イベリアの司令部で迎撃任務に就いており、上陸作戦や封鎖によってスペイン本国の戦線が脅かされないようにしている。

  • 陸戦や将軍と同様に、海軍は提督によって管理される。将軍と提督には多くの共通点があり、どちらも本拠地とする戦略地域の建造物から得られる軍事資源を供給される。獲得できる資源量は彼らの階級(Rank)に依存し、階級はプレイヤーの好きな司令官を昇進させることで与えることができる。階級はそのキャラクターが好む利益集団(Interest Group)に政治力(Political Strength)/影響力(Clout)をもたらす。さらに、将軍や提督は自身や指揮下の将兵に影響を及ぼす特性(Traits)を得る。
  • もっとも重要なこととして、将軍がプレイヤーの陸軍を指揮するインターフェースであるの同様に、提督はプレイヤーの海軍を指揮するインターフェースであるということだ。提督には命令が与えられ、配属された分艦隊を使って全力でそれを遂行しようとする。命令は以下のとおり。
    • 迎撃(Intercept):沿岸に艦隊を停泊させ、特定の戦略地域の味方の海岸線周辺の敵海軍を迎撃する
    • 哨戒(Patrol):提督の本拠地と遠隔地の間の航路を哨戒し、遭遇した敵海軍を迎撃する
    • 通商破壊(Convoy Raid):敵の航路に損害を与えるため、特定の海域で通商破壊を行う
    • 上陸作戦(Naval Invasion):共同作戦において将軍の陸軍部隊を護衛し、敵地に橋頭堡と戦線を確立する
  • まだゲームにはないが、5つ目の命令である封鎖(Blockades)も追加したいと考えている。これは敵の港を無力化し、敵兵力が海を渡れないようにするものだ。

上の北アンゴラの海岸線をズームアウトした画面。アフリカ南西部沿岸の主要航路が見える。黄色いピンはこの航路がポルトガルの補給網(Supply Network)の一部であることを示している。

  • 通商破壊と上陸作戦はさまざまな手段で敵に損害を与えることを意図した攻撃的な命令で、迎撃と哨戒は他の2つの命令に対抗する防御的な命令だ。しかしこの仕組みを理解するには航路(Shipping Lanes)と補給網(Supply Network)について説明する必要がある。
  • 航路は船団(Convoys)と呼ばれる船舶によって確立されるもので、船団は建造物「港湾(Port)」が産出し、商品や人を海外に移動させる必要があるときに自動的に作成される。これは隣接していない市場を結ぶ海上の貿易路(Trade Routes)、離れたステートが港湾を経由して市場に接続すること、艦船によってのみ補給可能な戦線に送られる大隊という3つの主な理由によって作成される。プレイヤーがこうした航路を確立しようとするとその行動に必要な船団数について警告される。この船団数は航路の長さや補給を受ける部隊数に基づく。
  • 航路は常に通行可能な最短の経路として確立され、これは通過する海上ネットワークのノード数によって定義される。

ポルトガルの補給網に関する見た目の点でまったく未完成の画面。アゾレス諸島からアフリカ大陸を回ってポルトガル領ボンベイに向かっている。右下には東に向かう線が見えるが、これは中国から磁器を輸入する貿易ルートだ。

  • 国家の航路の合計はその国家の補給網の範囲を決定し、港湾による船団の産出と補給網の船団コストの合計との比較が補給網全体の強さを決定する。つまり、航路の(注:補給網の?)合計コストが船団500だが港湾が400しか供給できない場合、補給網全体の効率は80%にしかならない。これはすべての航路に影響し、市場間貿易が最適な状態よりも減少することになり、海外の部隊の補給と士気にも影響する。
  • 特定の海上ノードで通商破壊を担当する提督は、通過する敵の輸送船を密かに沈めようとする。これによって、影響する航路に時間をかけて損害を与え、相手国の補給網全体の効率を低下させ、同時に損害を受けている航路の効率を大きく低下させる。結果として、交通量の多いところに艦隊を駐留させることで敵国の貿易に大きな損害を与えたり、敵国が前線に送れる軍需物資の量に直接影響を及ぼすことができる。

マカロネシア海で現在起こっていることに関するまったく未完成の詳細。このうまみの大きな襲撃目標を見よ!

  • 補給網のある区間の哨戒を担当する提督は襲撃してきた艦隊を探知して交戦でき、海戦によって艦船を撃沈するのみならず、負けた側は修理のためにしばらくは基地に戻される。
  • 沿岸のすべてのノードにおける迎撃を担当する提督も沿岸のすべての襲撃艦隊に対して同様のことができる。
  • 英仏海峡のように主要港のすぐ近くで通商破壊を行うと、多くの航路を大きく混乱させる可能性があるが、同時に大西洋横断航路を遠洋で襲撃するよりも発見や迎撃のリスクが高くなる。海軍の構成はこれに大きく影響する。潜水艦を伴った艦隊は迎撃される前により多くの損害を与えることができ、モニター艦(Monitors)の艦隊は襲撃艦隊を迎撃しやすいがより強力な艦隊に遭遇した場合は簡単に撃沈されるかもしれない。
  • 提督が哨戒しなければならない距離に違いがあるため、通商破壊と哨戒には本質的な非対称性がある。鎖はもっとも弱い部分の強度しかないため、襲撃艦隊が与える航路の損害は長さが1ノードでも10ノードでも同じだが、10ノードの航路を1ノードの航路と同じように効果的に守るには10倍の分艦隊が必要になる。

ゲーム序盤の戦列艦(Ship-of-the-Line)と終盤の弩級艦船(Dreadnought class vessels)のコンセプトアート。

  • 上陸作戦は将軍による敵の海岸への上陸を海軍が支援する命令だ。艦隊の規模は以下の2つのことを決定する。第一に敵の迎撃艦隊を撃破できる可能性、第二に上陸させられる大隊の数だ。敵に防衛艦隊がまったくない場合でも、あまりに小規模な艦隊で行う上陸作戦は初期の上陸兵力が弱すぎて後続の到着まで持ちこたえることができない。上陸作戦は一度きりの命令であるため、完了すると自動的に新たな戦線に補給を行う航路を守る哨戒命令に切り替わる。
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分艦隊を展開した海軍パネルのアートつきのモックアップ。アルバレス・デ・トレド提督はマンノウォーの分艦隊を20個指揮してスペインの重要航路を確保する哨戒任務に就いている。

  • 海軍は分艦隊で構成され、分艦隊は海軍基地(Naval Bases)で建造され、維持される。海軍基地は当然ながら沿岸部にしか建設できず、造船所で建造されたマンノウォー(Man-o-Wars)や装甲艦(Ironclads)などといった軍用艦船を消費する。海軍基地は兵舎と同様に兵士や士官を雇用し、自国の海軍の形態によって戦闘状態を維持するためにその他の物資(弾薬や無線機など)も消費する。
  • 分艦隊は大隊と異なり、編成とアップグレードに時間がかかる。優位性のある海軍の建設は宿敵が既に武力で威嚇している段階になってから検討を始められるものではない。
  • 分艦隊と大隊のもうひとつの違いは、海軍は常に完全な軍務に就いているとみなされることだ。将軍は平時には陸軍を低レベルの警戒態勢に保って物資消費と支出を制限でき、戦時には必要な部隊だけを選択的に動員できる。一方、提督は平時であっても法外な物資需要と支出があるため、海軍の規模と技術を適切に設定することは予算が限られている帝国主義者にとって重要な考慮事項だ。
  • 海軍はプレイヤーに大きな戦力投射能力(Power Projection)を与え、自国に相当な威信をもたらす。世界規模の海軍を持つことは列強になるための厳密な必要条件ではないが、自国が特に巨大で自給自足可能な世界規模の帝国なら、列強の称号を得てそれを維持するのに役立つことは間違いない。
  • 最後に、「敵艦隊を捜索して撃破せよ」という命令がないことについて少し触れておきたい。Victoria 3では将軍と提督は戦略目標を与えられ、その実行のために人員や資源を最大限に活用する。その過程で敵軍と衝突した場合(ほぼ確実にどこかでそうなる)に戦闘が発生し、そうした戦闘の結果がその後の戦争の方向性を決める。このようにしたのは司令官のお守りをしなくて済むようにするためだ。
  • 例えば「索敵と殲滅」という命令があるとしよう。最善の選択はこの命令を最強の司令官にのみ与え、戦闘を行い、この命令を取り消して最初の司令官が回復している間は別の司令官に同じ命令を与えるというようなことになる。
  • 「戦線の前進」という命令なら、将軍の意図は単にできるだけ効率的に、理想的には敵の妨害を避けながら領土を獲得することだ。敵を避けられないならできるだけ弱い敵軍に迎撃されるようにすることが不可欠だ。「戦線の防衛」なら敵が進出してきそうな場所をできるだけ強力な戦力を投入して守ることで敵の侵入を防ぐという意図がある。
  • 同様に海上では、「通商破壊」は発見されないようにしつつ航路の損害を最大化しようとし、「哨戒」は船団を攻撃している敵艦を捜索して撃破することで船団の損害の最小化を図るが、敵艦の撃沈を目的としているわけではない。
  • 戦争の展開に応じて優先順位や全体的な戦略が変化し、これによって命令を変更したり資源の配分を変えることがあるが、私たちの設計意図はこうしたことが敵の動きに対抗したり勝つための手段に極振りしようとするためでなく、プレイヤーの戦略を発展させるためにのみ必要なことであるはずだというものだ。
  • これは戦争の仕組みのうち海軍に関する部分では特に重要な検討事項だ。戦略ゲームにおける海戦(と空中戦)は一般に移動を妨げる障害物がないため、膨大な移動の選択肢があるという問題に直面する。攻撃してはすぐに隠れるという振る舞い(turtling behavior)に対抗するために、通常は戦争の霧や迎撃範囲の仕組みが採用される。AIもまたこのような環境下でプレイヤーをかわしたり迎撃したりするのがうまくなりすぎないように強制的にミスさせなければならないことが多い。
  • Victoria 3では戦略レベルの意思決定ができるようになったとはいえ、海の「移動」の自由度によって敵と同じ場所にいる/いないことで戦闘が始まる/始まらないというシステムは極めて重いマイクロマネジメントとなり、煩わしく、実装次第では人間とAIのどちらか一方にとって非常に不公平なものになる。Victoria 3ではそのかわりにプレイヤーが提督たちに戦争の全体的な優先順位を伝え、彼らは割り当てられた資源でそれを実行しようとし、敵の提督が自分たちの命令とぶつかる命令を受けていることに気づいたときだけ戦いに入る。

質疑応答

Q:2か国の海軍が同じ海域で通商破壊をしている場合は戦闘になるの?

A:彼らの命令はぶつかるものではないので、戦闘は発生しない。同様に、ある戦線のすべての将軍がその戦線の防衛を命令されている場合、戦闘は発生しない。

Q:技術が直接艦船をアップグレードするの? それとも新しい技術を利用するために艦船を交換したり改修する必要があるの?

A:即時的で痛みのない過程ではない。新たな投入物資を確保し、新たな艦種に切り替える必要があり、アップグレードされる海軍基地や軍艦にしばらくは大きな混乱がある。木製の軍艦を鉄甲船に置き換えるのは一晩でできることではない。

Q:リストでは個々の艦船やその艦名を見たりできる?

A:できる。

Q:分艦隊というのは主力艦+護衛艦のこと?

A:主力艦に護衛艦や支援艦を合わせたものだ。モニター艦のような小さな艦船のグループについてはそのうちの1隻から分艦隊の名称としているとみなされる。分艦隊は士官と兵士1000人からなる戦力を表現している。

Q:船団の需要は取引量には関係しないの?

A:現在はノードの数のみだが、近いうちに商品の量と航路の長さに応じて変動するようにする予定だ。

Q:港は資源を使って船団を作るの?

A:造船所で生産された商品としてのクリッパーや蒸気船を消費して船団を作る。


来週は戦争の経済への影響について。次回で軍事に関しては一旦終了とのこと。

次回:開発日記#25――戦争のコスト

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コメント

  1. この海軍の仕組みも非常に期待が持てます。
    HoI4の日米英プレイで、初期艦隊の再編成や戦争中の任務割り当てを面倒くさく感じてしまうので、このくらいのおおざっぱさは歓迎。
    全体の仕組みがどうなるか、続報も楽しみです。

  2. プレイヤーは戦略だけ考えて戦術以下は提督に委任って感じか、本当大胆に細かい所を切って来たな。
    とはいえIronclad海岸線に並べて手動哨戒とかすっごい大変だったし、それを考えると良い変更なのかも。
    何にせよ上陸作戦にも一定以上の海軍力が要されそうだし、重要性は上がってそうかな?

  3. HoI4の制海権50%で上陸し放題だったり全くできなかったりするのは好きじゃないから、その辺面白いシステムになってるといいなあ

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