「Victoria 3」開発日記#23が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回は戦線と将軍について。本体発売前の開発日記です。
開発日記
開発日記#23は、戦線と将軍について。
- 今回は戦線(Fronts)・将軍(Generals)・大隊(Battalions)・動員(Mobilization)その他の中核的な仕組みについてご紹介する。しかし、まずは先週ご紹介したVictoria 3の戦争の柱を思い出していただきたい。これは今回の開発日記を読むうえで前提となるものだ。
- 戦争は外交の延長線上にあるもの
- 戦争は戦略的である
- 戦争は高くつく
- 準備がカギ
- 海軍の重要性
- 戦争は変わる
- 始める前に断っておくが、以下に述べる仕組みのいくつかは現在のビルドではまだ実装中だ。開発日記のスクリーンショットは最終製品を完全に表現するものではないが、今回は特にそうだ。アートのあるモックアップやビジュアルターゲットがある場合もあるし、一方でリリース前に修正される非常におおざっぱなスクリーンショットである場合もある。
- このようになっているのはこれまでの開発日記でも強調してきたように、Victoria 3はなによりもまず経済・政治・外交をテーマにしたゲームだからだ。戦争はこれら3つの要素を結びつける重要な補助システムだが、軍事システムに最終的な細部を加える前にこれら3つの要素が十分に成熟していることを確認する必要があった。加えて、他のパラドゲーの戦争の仕組みとは大きく異なるため、こうしたシステムが他のパラドゲーと同じように完全に固まるまで多くの時間が必要だった。
- 発売が近くなったら修正点をみなさんにお知らせし、より最終版に近いゲームのスクリーンショットをお見せする予定だ。
戦線
- Victoria 3ではマップ上で陸軍を手動で移動させるのではなく、2つの紛争国が衝突している国境のプロヴィンスに(後述するように将軍を通じて)部隊を割り当てる。すべての戦闘は戦線上で行われ、戦線を敵国領土に移動させると同時に自国領土への侵入を阻止することが勝利となる。
- 戦線は外交上の駆け引き(Diplomatic Play)で2つの国家が対立し始めると自動的に作成され、その2か国の支配下にある国境沿いのすべてのプロヴィンスで構成される。したがってひとつの戦線はそれぞれの側(注:外交上の駆け引きにおける首唱国側と対象国側)に常にひとつの国家を持つが、同じ戦線に複数の国家の将軍を割り当てることは可能だ。
初期のドラフトのテキサス・ユタ戦線。この戦線はゲーム開始の時期に本格化している1835年のテキサス革命戦争(Texan Revolutionary War)のものだ。この戦線には前進命令(Advance Order)を帯びたサミュエル・ヒューストン(Samuel Houston)と、防衛命令(Defense Order)を帯びたウィリアム・トラヴィス(William Travis)の2人のテキサス人将軍が配置されている。メキシコ側ではホセ・デ・ロメイ(José de Romay)が10個大隊を率いて前進している。それぞれの側の4つの星(注:右上の戦闘インジケーターらしきものの中に表示されている)は世界最高の戦闘能力と比較した相対的な平均の戦闘能力を示し、ここではメキシコとテキサスがそれぞれ攻撃力40、防御力35で並んでいる。メキシコから見ればこの戦線は現時点ではやや有利で、実際にこの戦線でのひとつの戦闘に既に勝利している。
- 現在のビルドのスクリーンショットを見てみよう。冒頭で述べたように、この開発日記のすべての画像は完成には程遠い。発売までに多くのパラメーターを表示し、UIのレイアウトを行い、視覚効果をさらに追加する。今回お見せしているのは仕組みを理解してもらうためのもので、大幅に修正を行っており、発売時には異なる見た目になっている。そのため、最終製品の見た目を表現しているわけではない。
- 戦線の健全性と状態は戦争がどれだけうまくいっているかを示す主要な指標だ。戦線の兵力は敵より多いか? それはとてもいいことだ。敵国領土にまで進出している? 素晴らしい。戦線の兵士が士気を失い、損耗で大量に死亡している? 非常にまずい。
- ゲーム終盤の大規模な紛争では何十万人、場合によっては何百万人もの兵士を配備しているかもしれず、その管理は大変なことだ。しかし活動している戦線の数ははるかに管理しやすいはずだ。この設計思想は経済のPopモデルと同じだ。私たちの目標はPopシミュレーションの詳細さと完全性を保ちつつ、あらゆる段階で頻繁に一時停止することなくプレイ可能でテンポのいいゲームにすることだ。
- 戦争についてはシングルプレイの中小国間の国境での小競り合いから、すべての列強が参加する大規模なマルチプレイの世界大戦まで、さまざまな規模になる。戦線システムを使うことで、私たちは個々の兵士や士官を非常に細かく把握できる一方で、プレイヤーには戦争を管理し操作する高いレベルの戦略的なインターフェースをもたらすことができる。建造物の経済インターフェースや利益集団(Interest Groups)の政治インターフェースのように、戦線画面からは必要があれば将軍を通じて実際に戦闘を行う個々のPopまでを掘り下げることができる。
特に過酷な戦闘の後、テキサスの兵舎(Barracks)は戦線に送る代替要員を必死に募集している。
将軍
この人物は率直(Direct)な性格で、開けた地形(Open Terrain)で部隊を指揮することを好み、戦場の優れた測量技師(Surveyor)だ。彼は負傷(Wounded)もしており、これはおそらく最近の小競り合いの結果だ。
- 将軍は戦線で兵士や士官を指揮して戦うキャラクターだ。すべての国家は1人か数人の将軍(多くは史実の人物)がいる状態でスタートし、必要に応じて登用できる。将軍は戦略地域(Strategic Regions)から登用され、その地域で利用可能な部隊を指揮上限(Command Limit)の範囲内で指揮する。
- 指揮上限は彼らの階級(Rank)によって決まり、階級は1つ星から5つ星まである。同じ戦略地域に複数の将軍が司令部を置いている場合、部隊は将軍の指揮上限に応じて分割される。軍事作戦は管理が複雑になり得ることをモデル化して、すべての将軍は維持のために一定量の官僚機構を必要とする。将軍は自由に昇進させることができるが、階級の高い将軍はより多くの部隊を効果的に指揮するためにより多くの官僚機構を必要とする。
- 国家元首(Heads of States)や利益集団の長などといった他のキャラクターと同じく、将軍にも能力や弱点を決定する特性(Traits)がある。海軍のカウンターパートである提督(Admirals)も同様だ。こうした特性はキャラクターがどのように機能するかや、指揮下の部隊・所属する戦線・参加する戦闘にどのようなボーナスやペナルティをもたらすかを決める。
- すべてのキャラクターは性格特性(Personality Trait)を持ち、これは彼らが果たす役割によって異なる効果がある。例えば「残酷(Cruel)」な将軍は敵の死者を増やし、戦場での医療によって回復したり扶養家族として帰国する敵のPopを減らすかもしれない一方で、「カリスマ(Charismatic)」のある将軍は補給物資が不足しても部隊の士気を高く保てるかもしれない。
- キャラクターは役割に応じたスキル特性(Skill Traits)も得ることができる。森林やジャングルでの戦闘時に部隊の効率を高める「森林地形の専門家(Woodland Terrain Expert)」や、部隊の防御力を高める「工兵(Engineer)」などといったスキルを身につけることがある。新たに登用した将軍はこうしたもののうちひとつを持っているが、年齢や経験を重ねることでさらに獲得できる。多くのスキル特性にはいくつかの段階があり、多くの戦役で活躍し続ける将軍は時間とともにその能力を深めていくかもしれない。
- また、イベントや時間の経過によってキャラクターは健康状態(Conditions)を得ることがある。これはキャラクターの健康に影響することが多いが、彼らの人気や基本的な任務遂行能力にも影響することがある。「戦争神経症(Shellshocked)」は将軍が獲得する健康状態の典型例だ。
将軍と政治
司令官は、彼ら自身の意思やプレイヤーが彼らを置いた状況によって発生する特別なイベントの中心となることがある。こうしたイベントにおけるプレイヤーの決断はさまざまな形で国家に影響を及ぼす。
- 他のキャラクターと同様に、将軍と提督も利益集団に属しており、それは多くの場合(しかし常にではない)で軍隊(Armed Forces)だ。国家元首や利益集団の長については政治的忠誠心の影響が明確だが、なぜ将軍や提督が問題になるのか?
- 工業化や革命に加えて、19世紀には軍人と政治家の間で頻繁な出入りがあったことも知られている。将軍や提督は通信手段が大きく限られた、首都から遠く離れた土地に頻繁に派遣され、国益を守るためにほとんど監視されることなく膨大な人員と火力を与えられていた。この自律性は現地にいる間に相当な地政学上の力もたらしただけでなく、戦役を成功させて帰国した後は彼らを非常に人気のある人物にした。
- そのため、Victoria 3では将軍が自国の利益集団に対して保持している影響力により、誰を登用し、昇進させ、退役させるかというプレイヤーの意思決定(理想的には実力主義に基づいて行われるべきこと)について、時には国内のパワーバランスや安定性を考慮しなければならないようになっている。
- 第一に、キャラクターは利益集団の政治力(Political Strength)に直接貢献し、政治力はその利益集団の影響力(Clout)を決定する。この政治力の増加量は彼らの階級に依存するため、有望な若い将軍を昇進させると彼らの利益集団が及ぼす影響も大きくなる。
- 第二に、将軍がうぬぼれていたり、老衰やさまざまな病気にもかかわらず退役しない79歳の老人のように健康状態の悪化によって能力不足になり、プレイヤーが彼らを退役させて別の将軍が彼らの部隊の指揮を執れるようにしたいと思った場合、こうしたことは彼らの利益集団の支持(Approval)に影響する。プレイヤーが彼らから政治的な力を奪ったことになるためだ。
- 第三に、もっとも重要なこととして、利益集団が革命勢力になった場合(これについては別の開発日記で述べる)、彼らの将軍や提督はプレイヤーに反発する。プレイヤーがすべての卵を農家の息子である戦略の天才というカゴに入れている中で農民反乱に見舞われた場合、プレイヤーは優れた司令官である彼に対して登用したばかりの未熟な将軍を使って戦わなければならなくなるかもしれない。
将軍への命令と動員
陸軍の概要についての開発中のアートのあるモックアップではすべての将軍が行動のショートカット付きでリスト化されている。この画像では長い名前の将軍のみが動員をかけて(活動して)おり、物資消費量や損耗の増加と引き換えに兵士を戦線に送る準備をしている。
- 将軍と提督は命令(Orders)を受けることができ、それを実行する義務がある。提督の命令については来週説明する。将軍に与えることができる命令は非常に単純だ。
- 待機(Stand By):将軍は現在の戦線から帰国し、部隊は敵の侵入を遅滞させるために地域の守備隊(Garrison)に分散させる。
- 戦線の前進(Advance Front):将軍は部隊を集めて目標となる戦線に移動し、敵に攻撃を仕掛けて戦線の前進を図る。
- 戦線の防衛(Defend Front):将軍が前進しないこと以外は戦線の前進と同様で、敵軍の迎撃と撃退に専念する。
- こうした命令は将軍の特性に応じてさまざまな手段で実行され、その結果として部隊構成や作戦中の戦況もさまざまになる。例えば、「無謀(Reckless)」な将軍は前進中に大隊の攻撃力(Offense)を高めるが、戦闘後に回復する死傷者の数は減る。さらに、彼の無謀さが戦闘中のリスクの高い作戦行動(Risky Maneuver)につながる場合もあり、これは素晴らしい成功や壊滅的な敗北となることがある。より安全に戦いたいなら、名声はなくても「慎重(Cautious)」だが充分補給を受けた将軍を配置できる。
- 戦線の前進を任された将軍は戦争目標として設定されたステートに向けて進軍し、征服しようとするが、その経路は戦争の進行状況や現地の地形どの要因によって多かれ少なかれ遠回りになることがある。そのほか、優先目標の指定のようなものはプレイヤーが戦闘の流れを変えられるものだが、これはシャーマン将軍の海への進軍のような戦略やイベントを表現するために追加を検討している機能だ。現時点ではゲームにないが、戦略的なゲームプレイに面白いものを追加できると考えているため、いずれ追加される可能性が高い。
- 前進や防衛の対象となる戦線は、陸路か海路で到達できるなら共同交戦国の戦線も対象となる。例えば、プロイセンがフィンランドの対ロシア独立戦争を支援している場合、プロイセンが自国の戦線に将軍を送ると同時に、別の将軍をフィンランド=ロシア戦線の防衛支援に送ることで、フィンランドができるだけ長く戦争に留まれるようにすると同時に、ロシア自身の戦争支持に打撃を与えることができる。それにはフィンランドを支援する部隊を海軍の支援を得てバルト海を越えて送る必要があるが、これについては来週述べる。
- 将軍は動員中(Mobilizing)でなければ命令を受けることができない。平時にはすべての将軍が動員解除され、19世紀の将軍が平時にすること(おそらく大量のワインを飲み、不倫をし、政府に対して陰謀を企てること)をしているが、指揮下の部隊は能力を保つために時々訓練をして待機している。
- 外交上の駆け引きが始まるとすぐに、そしてそのあと国家が戦時にある限り、プレイヤーは自国の将軍を動員する選択肢を得る。動員は軍事建造物の消費(銃・弾薬・砲など)を増大させ、その将軍の部隊を戦線で活動できるようにするプロセスが始まる。部隊が準備を整える速度は現地のステートのインフラに依存するため、インフラの値が大きいステートではより多くの部隊を素早く動員できるが、インフラの値が小さなステートでは多くの人員を集めて編成するのに時間がかかるかもしれない。
- これはつまり、動員を開始する時期と動員する将軍や大隊の数が、戦争初期の成功には重要であるということだ。そして誰もが知っているように、相手の意表を突けば最初の数回の戦闘が決定的なものになることもある。
- 動員の規模は決断が下されると直ちに外交上の駆け引きの他の参加国にわかるようになっている。外交上の駆け引きの初期に大規模な動員をかけることは、他の参加国に2つのことを伝える。すなわち、第一にプレイヤーは本気であること、第二にプレイヤーはそれが平和的に終わらないことにも備えているということだ。その結果として動員が連鎖的に発生し、あっという間に平和的解決が不可能になることもあり得る。動員を遅らせるという選択は必要になるまで貴重な資金と命を節約するが、結局は戦争に負けることにもなりかねない。
- 動員された将軍は戦争が終わるまで動員解除が行えない。ひとたび部隊を戦争に投入したら、彼らは和平が結ばれるまで戦場にいて充分な補給を受けることを予期している。戦争で欲しいものを手に入れるのに長い時間がかかる場合、最終的には支出が獲得できるものの価値を上回るかもしれない。
大隊と軍事建造物
アートのあるモックアップの大隊/守備隊に注目したリスト。イラストは支配的な大隊の文化(軍事建造物のPopによって決まる)と技術レベル(軍事建造物で使われている生産方式(Production Methods)によって決まる)に基づいて同様の大隊の集団について選択される。集団は展開して完全なリストを表示できる。プレイヤーはクリックで特定の大隊からそれを支える軍事建造物に移動できる。
- 陸軍は大隊で構成され、大隊は兵士と士官からなる1000人の人員で構成される。他のPopと同じく建造物で働き、この場合は兵舎か徴兵施設(Conscription Centers)だ。兵舎と徴兵施設の違いは、兵舎は手動で建設され、国家の常備軍を収容し、恒久的な部隊とみなされるのに対し、徴兵施設は外交上の駆け引きや戦争に際して必要に応じて有効化され、民間人を一時的な兵役に徴集する。また、兵舎のほうが生産方式の選択肢が多く、特にゲーム終盤の高い技術の生産方式を選択できる。陸軍の職業兵士と徴兵された兵士の割合をどのようにするかは陸軍モデル法(Army Model Law)によって決まり、これについては今後数週間で述べる。
- この2つの建造物の生産方式は他と同様に機能する。つまり特定の職業Popを雇用し、商品を消費して一連の効果をもたらす。今回の場合は兵士と士官を組織形態に応じた割合で雇用し、軍需品を消費して大隊に攻撃力(前進時の有用性を示す)や防御力(前進に対する防衛時の有用性を示す)などといった戦闘能力をもたらす。
- 軍事建造物は工場やプランテーションなど他の建造物と同じロジックで機能するため、市場アクセス、商品の不足、資格など、すべての中核システムがまったく同様に適用される。兵舎の大隊が機甲師団に属しているのに充分な戦車を供給できない場合、募集は極めて遅くなり、攻撃力・防御力双方に影響する。資格のある士官が足りない場合は、建造物が実際に編成できる大隊の数が減少する。新たな種類の大砲やより効率的な陸軍の編制を研究したからといってすぐに近代化の準備が整うわけではなく、また地域のインフラが劣っていれば必要な物資の取得コストが天文学的なレベルに達するかもしれない。
- 軍事建造物の生産方式のアップグレードは、効果を発揮するまでにかなりの期間を要する。物資消費量の変化は直ちに起こるが、戦闘能力の向上は実現までに時間がかかる。ナポレオン時代以前の軍事ドクトリンに戻して平時の軍事費を低く抑えるのは、国庫にとっては喜ばしいことかもしれないが、戦争遂行能力と威信(Prestige)にとっては素晴らしいことではない。威信は陸軍の規模と先進性の双方に直接影響を受ける。
戦闘
- こうしたことはすべて戦闘(Battles)につながる。前進している将軍は最終的に十分な部隊を集めて敵が支配する戦線に沿ったプロヴィンスに攻撃を仕掛け、これは敵の防衛部隊や将軍に迎撃される。つまり、戦闘は一方の軍が充分な死傷者や士気低下を受けて退却するまで一定日数続く。戦闘がどのように行われるかについては今後の開発日記で詳しく述べるが、今のところは多くの大隊が戦闘に関連するさまざまな能力値や条件の中で参加し、その一部は将軍や部隊に関連し、そのほかプロヴィンスの地形や偶然によるものもあると言えば充分だろう。
- 前進側が勝利した場合は勝利の大きさ、使用した技術、敵軍の地域内での分散・集中の度合いなどに応じて、一定数のプロヴィンスを占領する。防衛側が勝利した場合は前進してきた敵軍を撃退し、有利な状態で反撃を開始できる可能性が高い。
- ここで注意すべきは、ある将軍が100個大隊を指揮している一方で相手側の将軍は20個大隊しか指揮していないからといって、その戦線でのすべての戦闘結果が決まるわけではないということだ。ひとつの戦線は広大な土地にわたるもので、100個大隊を持つ将軍が「ひとつの戦線にいる」からといって、彼らが10万人の兵士を連れて野営地を移動しているわけではない。こうした大隊は次の前進の計画と敵の前進の迎撃を同時に行うために分散していると考えられ、前進/防衛側が戦闘に参加させることができる兵力は変わり得る。
- 加えて、同じ戦線にいる味方の他の将軍の指揮下にある大隊をある戦闘のために一時的に借り受けることがあり、また、動員された将軍がいない大隊(地域の守備隊の一部とみなされる)が敵の侵入に対する防衛に使用されることがある。ただし、その戦闘を担当する将軍の直接指揮下にない大隊はその将軍の特性の恩恵を受けない。
- こうして戦闘の規模が変動することで、特に動員コストと相まったときに「ドゥームスタッキング」という支配的な戦略を弱め、戦争がレースというより綱引きのように感じられるようになる。前進/防衛側双方は安く済ませるために相手より少しだけ優位に立つようにするか、費用を惜しまず勝利の機会を増やすかを選ぶことができ、状況に応じてこのスペクトル上のどの位置も有効な選択肢となる。
- 戦闘の解決に関する戦闘能力値については数週間後の軍事建造物の詳細を述べるときに深掘りし、戦闘がどのように展開してマップ上でどのように見えるかについてはもう少し先の開発日記で述べる。みなさんにお見せしたいのはやまやまだが、その前にもう少しビジュアルを追加する必要がある。
まとめ
- 以上が陸戦の概要だ。次の2つの開発日記ではこのシステムの中で海軍が果たす大きな役割と、戦争の経済的・人的コストが密接に関係していることを説明する。ここでみなさんが戦争の仕組みの詳細について忍耐強くお待ちいただいていることに感謝を申し上げたい。私たちがグランドストラテジーゲームの伝統的な軍事システムから大きく逸脱した理由は、経済・政治・外交の各システムがどのように機能しているかを知ってもらわなければ把握しにくいと思う。
質疑応答
Q:2か国が戦争している場合、戦線はひとつだけなの? 分割もできない?
A:敵対する2か国の間にある連続したプロヴィンスは長さにかかわらずひとつの戦線として機能し、手動で分割することはできない。しかし両国が2つの異なる場所で国境を接している場合、当然ながら複数のアクティブな戦線を持つ。一定以上の長さの戦線を分割したことも過去にはあったが、ゲームに寄与することはなにもなく、ただ頭を悩ませるだけだった。
Q:戦線に「プロヴィンスXに進出せよ」というようなもっと具体的な命令は出せないの?
A:現在追加を検討しているのは戦争の目標に優先順位をつけたり、カスタム目標をつけたりするのを国家レベルで(将軍や戦線レベルではなく)できるようにすることだ。ここで気をつけなければならないのは、将軍の優先順位をマイクロマネジメントすることでプレイヤーが技術的に将軍の行動をいちいち正確に制御できてしまうような管理方法を追加しないことだ。
Q:将軍が政治家になったり政権を担ったりできる?
A:特定の状況下でキャラクターが役割を変えることはあり得るが、今のところ同時に複数の役割を担うことはできない。
Q:新しい大砲を得るのは、大砲の技術レベルが異なると別の商品としてカウントされるということ?
A:軍需品の技術レベルの違いは別の商品としてではなく、より大きな数量としてモデル化される。これは軍需品に限らずゲーム内のすべての商品に言えることだが、品質の向上は量の増加としてモデル化されている。優れたパン工場は異なるパンを製造するのではなくより大量の食品(Groceries)を製造する。Popが質のよい服を買うときも、レベル5の服ではなくより多くの服として表現する。
Q:動員ボタンには支出予測機能もある?
A:いま作業している。
Q:一度動員した将軍は戦争が終わるまで動員解除できないのはなんで? 他の最大の参加国とは別に小規模な戦いしかしてない場合でも全軍を動員する必要があるの?
A:そうした特殊な場合に向けてなんらかの例外を設ける予定だ。しかし、将軍をいつでも動員解除できるようにしてしまうとどの部隊をいつ動員するかを選択するという力学が働かなくなってしまうため、デフォルトではプレイヤーが送った部隊は戦争の期間中送られっぱなしになる。
Q:前進速度に影響を与えることはできる?
A:前進速度に影響する要素はいくつかあるが、プレイヤーができるのは大隊の能力を決める軍事建造物のどの生産方式を選び、どの将軍を雇い、昇進させ、どこに配置するかということだ。
Q:別の戦線同士が接するとどうなるの?
A:一体化してそれぞれの戦線に配置されていた将軍が同じ戦線に配置され、それまでどおりの命令を受ける。
Q:戦線が分かれるとどうなるの?
A:戦線が分かれると将軍はどこに行くかを決める。新たに作られた戦線に人がいない場合(分かれた戦線に将軍が一人しかいなかった場合など)はプレイヤーに通知される。
Q:プレイヤーは戦時中に軍事と内政でそれぞれどれくらいの時間をかけるの?
A:国内事情は戦争に参加できる期間を左右するので無視できない。必要に応じて戦線が3、国内が7くらいにできるようにするのがデザインの目標だと私(注:Vic3リードデザイナーのlachek氏)は思っている。
Q:100大隊対20大隊では、確実に勝てないというのが理解できない。
A:時間が経てば勝敗はほぼ確実になるが、個々の戦闘では違う。これが重要なのは兵力の優位性は時間経過で二乗されるからだ。最初の戦闘が100対20なら確実に勝利しておそらく平均して93対10の大隊が残る。次の戦闘ではさらに有利になる。しかし、戦闘ごとの部隊規模が近いと戦闘結果が保証されにくくなり、時間経過で数的優位が二乗されるわけではなくなる。100個大隊を擁する国家が負ける可能性が高いということではないが、戦争には相当な費用がかかるため、勝ちやすさと比較したときの100個大隊を動員して維持する機会費用は、20個大隊を擁する国家よりも大きくなる。
Q:プロヴィンス数を増やしたのはどういう意味があるの?
A:プロヴィンスが増えたのは戦線の動きをより細かいレベルでモデル化するためで、特に1836年から1936年の状況の変化をよりよくシミュレートするためだ。
Q:将軍は戦死するの?
A:将軍が戦死するのはランダムなイベントのようなもので、特定のシステムはない。戦死すると利益集団はその将軍から得ていた政治力を失い、部隊は他の将軍か、指揮上限の空きがない分は守備隊に再配置される。
Q:兵舎のあるステートが占領されるとどうなるの?
A:兵舎からの補給ができなくなり、兵力に占める割合に比例して将軍の補給スコアが下がる。これにより、その将軍の指揮下にあるすべての部隊の最大士気が低下する。
Q:ゲリラ戦術はできる? 組織された軍隊同士の伝統的な戦争しかモデル化されていないけど、このシステムは戦線の背後の軍事行動や対反乱作戦などを表現するのに非常に適していると思う。
A:ゲリラ戦という具体的なものはないが、このシステムがゲリラ戦に適しているという点には同意するし、社内でも議論している。リリース時にそうしたものがある可能性は低いが、将来的に登場する可能性は高いと思う。また、特定の地域に限定された戦争(例えば植民地戦争)という意味での「限定戦争」もこのシステムに非常に適していると考えており、同様に検討している。
Q:プロヴィンスに名前は付く? HoI4でプロヴィンスの名前がなくなったのにはがっかりした。
A:つかない。4万以上のプロヴィンスに名前を付けろと言っても無理だ。逆に言えば、すべてのステートに4-5個の都市があるので、3000以上の固有の地名はある。
Q:戦闘の規模を決定する要素は?
A:調整中だが、将軍の指揮上限の基礎値、守備隊の規模、戦力差、戦線の長さなどを考慮する。
来週は海軍について。
コメント
プロヴィンス数4万もあるんかw
戦争は外交の延長線上、まさにその通りのシステムだから楽しみだな
想像していた以上に良さそう。今後のパラドゲーの標準的な戦争システムになりうるのか、そのへんも気になる。
んにゃぴ、よくわかんなかったです
仮に細かいプロビ一つ一つに名前を付けることができたとしても
マップ上に小さな文字がぎっしり並んで視覚的にうるさい状況になるから名前なしで良いよ
マップ上に表示せずマウスオーバー時にポップアップ表示させればいいだけの話
開発が言っている様に純粋な作業工数の問題だと思う
>作業工数
その作業工数の問題を無視した場合の話ですよ
あとツールチップにしか表示しないなら尚更無駄な作業ですし、やっぱり不要ですね
まぁそこらへんは好きな人がMODでやればええ話だしな
イベントや通知で小地名が表示されるだけでも没入感はかなり深まるので全くの無駄ではないかと
ただそれに見合わない作業工数だからやらないというだけで
都市名は存在する(おそらくhoi4と同じような感じ)だからそれ以外にも名前をつけるのは全くの無駄でしょう
没入感の話なので細かければ細かいほどうれしい
あくまで「感」の話なのでゲームシステム的には「全くの無駄」でしょうが
長い名前の将軍草
長い名前のときの表示の具合でも見てたのかな?
しかしこの戦争システム、HoIの要塞と中立国と海岸でポケット作って包囲殲滅みたいなプレチじみた事はできなくなりそうだけど、HoI4やるときはだいたい前線引いて計画立ててボタンポチーでやってる自分としては好印象
あとは前線の分割周りがHoI4より賢くなってるといいな。係争中だけど戦争中じゃない前線に将軍や部隊が吸われたりしないとか・・・
その下の特性「性格特性」「健康状態」「スキル特性」「なんか他のスキル特性」もすこ
今のところ良さげに見えるな。
Eu4的な細々した操作も時間がある時には悪くないんだけど、敵の移動がロックされてから此方も移動――なんてのを内政しながらはきつそうだし。
後は動員にもコストがかかるのいいな、お互い安く済まそうとした結果戦力の逐次投入からの泥沼化とか、逆に威嚇のつもりで大きく動員した結果、最初の戦略目標だけでは割に合わなくて戦争に突入とかありそう
鬼ごっこから解放されるんやな。
ところで鬼ごっこって、国の感覚が希薄な中世では当たり前の感覚なんやろか?
外征なら理解出来るけど、杉並区と中野区が戦争してて両軍の軍勢が博多で接敵とか、何してんの?って思う。
国境を接していない海外への上陸戦はどうなるんだろう
海軍の解説であるのかな
確かにそれは気になるな、HOI2みたいに上陸できるプロビンスが決まってて、そこに前線が出来たりするのかな?
むしろCK3はよくあれだけの地名を書けたな
区画一つ一つに名前が付いてるCK2のがヤバそう
このシステム海軍と相性良さそうだから期待