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HoI4バージョン1.11での最適な戦闘正面幅を考える

HoI4 その他

1.11「バルバロッサ」で地形ごとの戦闘正面幅が大幅に変更され、これまでの20の倍数ではなくなりましたが、ではどのような正面幅を師団に持たせればいいのかということを考えてみました。

本記事は1.11.4ベータ版時点での内容です。


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1.11「バルバロッサ」での戦闘正面幅

1.11アップデートで戦闘正面幅は大幅に変更されました。具体的にはパッチノートで紹介されたように、

  • 森林とジャングルは戦闘正面幅が84になり、増援の正面幅は42となった。
  • 湿地は戦闘正面幅が78になり、増援の正面幅は26となった。
  • 都市は戦闘正面幅が96になり、増援の正面幅は32となった。
  • 山岳は戦闘正面幅が75になり、増援の正面幅は25となった。
  • 砂漠と平地は戦闘正面幅が90になり、増援の正面幅は45となった。

となっており、丘陵を除いてこれまでのように20の倍数ではなくなりました。

昨日公開したレビューでは「「正解」以外の編制が使いにくかったところからさまざまな編制を使えるようになったことで、師団編制システムが活用できるゲームにな」ったと書きましたが、そうは言っても目安くらいは欲しいというのが人情というもの。そういうわけで、どのような戦闘正面幅がよさそうなのか、せめて数値の範囲くらいは見積もりたいというのが本記事の趣旨です。

結論

これまでのように地形の正面幅にぴったり合うように師団編制を作ってしまうと地形によって多すぎたり足りなかったりということが起こるため、ぴったり合わせに行くのはあまり得策ではなさそうです。

地形の戦闘正面幅との差を最小にするアプローチでは師団正面幅42あるいはもう一回り小さい28がよいのではないかという結果が出ましたが、この結果には多くの問題点があります

結局のところ、師団正面幅について「これさえやっておけばよい」というような最適解は存在しないか、あるとしても簡単には見つけられないようです

素因数分解によるアプローチ

1.10までなぜ20/40幅が中心だったかと言えば地形の正面幅が20の倍数だったからということになるでしょう。ということは、各地形間の正面幅の公約数を考えれば、各地形の正面幅はその倍数ということになるわけですから、どの地形でも有利に戦える戦闘正面幅と言えるはずです。公約数を考えるには地形の正面幅を素因数分解し、その共通の因数がどれかを確認すればいいことになります。というわけで上記の地形の正面幅を素因数分解したのが以下。

  • 森林とジャングル:84=2*2*3*7、増援は42=2*3*7
  • 湿地:78=2*3*13、増援は26=2*13
  • 都市:96=2*2*2*2*2*3、増援は32=2*2*2*2*2
  • 山岳:75=3*5*5、増援は25=5*5
  • 砂漠と平地:90=2*3*3*5、増援は45=3*3*5
  • 丘陵:80=2*2*2*2*5、増援は40=2*2*2*5

ここで全世界のプロヴィンスの地形を確認すると、アジアでもヨーロッパでも平地と丘陵で戦うことは少なくなさそうです(ベージュが丘陵でオレンジが平地)。アジアではさらに山岳とジャングル、ヨーロッパでは森林と都市が多いのがわかります。湿地は一部地域にまとまって存在していますが、数は多くありません。

平地と丘陵の戦闘正面幅の共通因数は2*5=10なので、10の倍数の正面幅を持つ師団編制が有効ということになりそうですが、アジアの山岳とジャングル、ヨーロッパの森林と都市はいずれも10の倍数ではなく、平地と丘陵に最適化してしまうとこうした地形では戦うのに工夫が必要となりそうです。しかも10という正面幅は最適なはずの平地ですら増援では2方向から送らないと10の倍数にならず、10の倍数に合わせるという編制方針はあまりうまくいきそうにありません。

地形の戦闘正面幅との差を最小にするアプローチ

1.11の地形の戦闘正面幅にぴったり合わせるという方策はどうやら筋が悪いということがわかりました。では、ある地形の戦闘正面幅とぶつけたときの余り(つまり正面幅の不足分)を小さくするなら、それはその地形で優れた戦闘正面幅と言えるのではないでしょうか? そしてすべての地形でこれを勘案してその合計が小さいなら、すべての正面幅で優位に戦いやすい戦闘正面幅と考えていいのではないでしょうか?

ということでExcelで計算した結果がこちら。結論を先に述べると、絶対値/正面幅を見るともっとも有利なのは師団正面幅42で、その周辺(正面幅40~45)も非常に有利ですが、これは絶対値を正面幅で除算していることによる影響かもしれません。現実的な線では正面幅28が有利でその周辺(27~29)もまずまず有利となっている一方、正面幅31~37は不利なようです。平均値/正面幅もおおむね同様の結果でした。ただし、この評価方法には重大な注意点があります。

詳しい説明

表の横列は地形、縦列は師団の戦闘正面幅を表しています。上に掲げた表は地形の正面幅に対する師団正面幅の超過・不足分がもっとも小さくなる師団数を戦闘に参加させたときの超過・不足分の絶対値です。例えば森林(正面幅84)で正面幅10の師団を戦わせる場合、8個師団を戦闘に参加させれば10*8=80となりますが、これは森林の正面幅84に対しては4不足します。一方で、9個師団参加させると師団の正面幅合計は90ですが、これは森林の正面幅84に対しては6超過します。

この超過・不足分をどちらも等価と仮定し、正面幅の超過・不足分が少なくなる場合を計算して表にしたのが上の画像です。

表最下段4行の数値が小さいほど(オレンジ色が濃いほど)問題の少ない師団の正面幅と考えられます。絶対値と平均値で評価を行い、それぞれの値は元の正面幅が小さいほど有利に出るので、正面幅で割ったものも表示しています(これは逆に正面幅が大きなものが有利に出やすくなってしまうのですが)。

注意点

第一に、上記の計算はすべての地形を同じ重み付けで評価したもので、地形の重要性(攻めにくさなど)や地形の多さなどはまったく考慮していません特定の地形を重視する場合、上記の評価はまったく変わってしまう可能性があります。例えば山岳師団は山岳や丘陵での戦闘に優れていることが期待されると思いますので、山岳や丘陵の値に重み付けしてより重視するというような工夫が必要でしょう。

第二に、上記の表では戦闘正面幅のことしか考慮されておらず、実際にゲーム中で有利な正面幅であるかは未知数です。例えば1.11では戦闘正面幅の小さな師団は戦闘では活躍しにくいように調整されていると開発日記で言及されていますし、大きな師団は補給を大きく圧迫すると考えられますが、そうしたことは評価に入っていないため、あくまで戦闘正面幅のみから考えた評価であるということにご注意いただきたいと思います

第三に、上記の計算は簡便化のために師団の正面幅の地形の正面幅に対する超過分と不足分を等価と考えて行っていますが、実際には地形の正面幅に対する超過分はペナルティがあるとはいえ戦闘力として算入される一方で、地形の正面幅に対する不足分はなにも戦闘力に加算されません。このことを考えると、地形の正面幅に対する超過分をある程度重く評価するほうがより実態に即した評価になると考えられます

第四に、第一の注意点とも関連しますが、総合評価で優れているとされている師団正面幅でも、弱点となる地形が存在するという点です。上で高い評価値となった正面幅42と28は、表の各地形の数値を見るといずれも都市と山岳という険しい地形で大きく不利であることがわかります。戦闘正面幅についてどうしても最適な状態で戦いたいという場合は、ゲーム中で複数の正面幅の師団を使い分ける必要がありそうです。

そもそも戦闘正面幅をどこまで気にする必要があるのか?

ここまでの計算をやってみて、上記のような大量の留保がついた一応の結論のようなものは出ましたが、そもそもプレイヤーは1.11「バルバロッサ」において戦闘正面幅をどれほど気にするべきなのでしょうか。結論としては、大きく逸脱することがなければさほど気にする必要はないのではないかと感じています。

というのは、上記の計算からわかるような適切な戦闘正面幅の把握の難しさと、パッチノートにある「正面幅超過ペナルティを1%あたり2→1.5に引き下げ。」という変更が理由で、1.11「バルバロッサ」はおそらくプレイヤーに戦闘正面幅について実質的な制約をかけないように注意深く調整したのだろうと考えられます。

ではその「大きく逸脱することがなければ」というのはどういうことかと言うと、上の注意点で触れたような点から2幅の大量の師団を出すとか、あまりにも大きな正面幅の師団を出す(おそらく補給が重すぎて実際には運用できない)というようなことをやらないということになるでしょう。

もちろん今後なにかうまい方法が見つかる可能性もありますが、少なくとも現時点では好きなように師団編制を作ってよいと考えてよさそうに思います。


私としては師団編制を自由にできるというのは非常に歓迎しているのですが、一方でなんらかの指針が欲しいという方もいらっしゃるでしょう。本記事では上記のように否定的な結果となりましたが、好きなように編制を作ってよさそうということはこれまでの師団編制の定石がまったく無駄になったわけではないということでもあるので、日本語Wikiの指南ページの内容をとりあえず試してみて、そこから状況に応じて自分で変えていくというやり方でいいのではないかと思います。少なくともこれでまったくおかしなプレイになってしまうということはないはずです。

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コメント

  1. 全体的に史実に近い編成が無難な感じに見えるような調整かなという気がします。(Paradox wikiにも史実はこういう感じというコーナーがあります)
    私個人としては、穴埋め用小型師団と攻勢用の正規師団を用意してやり繰りという形に落ち着くのかなとふわっと思っています。

    • > 全体的に史実に近い編成が無難な感じに見えるような調整
      そうですね。まさにそういうところを目指した調整ということなんだろうと思います。

  2. 基本の幅と増援込みの幅を表にしてみると
    80前後が4つ、90、100前後が3つ、120から135までが6つ、150、156から168が4つ、180…
    とある程度まとまっている所があるので
    20幅はそこそこ良く、80、96、128、160を出せる16幅もいいかなと思ってます

    小さい師団は超過できる幅に1個まるまる入ってしまいかねないのがネックですが…

    守る側は地形に合わせた編成にでき、
    攻める側は殴る方向を増やすなどで対応するといいのかなと思ってます

    • 基本の幅と増援の幅を合わせて考えると(特に攻撃側になる場合は)確かにより実戦的ですね。
      攻撃側になるか防衛側になるか(つまり増援の幅をどう考えるか)で変わるというのも、記事ではまったく意識していませんでしたが、言われてみれば確かにそうですよね。

  3. 素晴らしい記事をありがとうございます。
    今アップデートの特色として増援幅の割合もまた地形に応じて異なっていることが挙げられます。増援幅は基本幅の約数でもあるので、増援幅に着目して同様の考察を行うのも良いと思いました。
    また、幅超過ペナルティの緩和もありましたし、基本幅ではなく(超過ペナルティ有りの)上限幅でも思考してみたいものですね。

    加えて師団の生産コストも含めた最適幅も面白いと思います。

    余る幅を上述の様に上限増援幅で計算して、師団幅が生産コストに比例するものと考えて、あまり幅を師団幅で割りますと、18幅が最適解、次いで31幅となりました。
    この計算結果では支援中隊のコストは考えてません。

    計算結果をTwitterの固定ツイにしておきます。

    • 生産コストとぶつけて考えるのも確かに興味深い結果が出そうですね。
      戦線維持の歩兵師団なのか突破用の装甲師団なのかなどで、正面幅の使い分けも考えることができそうですし。

  4. これはどんな戦闘正面幅・編成が最適と考えるかでドクトリンの派閥ができるな

  5. この記事の主旨とは違いますけど、全世界のプロヴィンスはたくさんあるが実際に戦場となりうる国境付近のプロヴィンスはかなり限られる(敵国土の奥深くでは師団が互いにバラける上、前線が複雑になりやすく最大正面幅の重要性が下がる)ので、国境の特定のプロヴィンスに焦点を当てるのも結構ありなのかなと思います。

    • なんとなく汎用的な編制にするより、開戦直後に明らかに戦闘になる国境地域はもちろん、大兵力同士の戦闘が予想される地域(例えば都市)などに特化したほうがよいというのは確かにあるかもしれませんね。

  6. 参考になるか分かりませんが普段使っている編成の仕方を書きます。前提として一つの最適な幅を目指す物ではなく、複数の幅を用意する時に各編成に最適な幅を考える方法です。今回は攻勢師団、前師団の攻勢を支える広域攻勢師団、戦線維持師団の三つ(私が苦も無く管理できる数)を運用します。

    1.戦い方を決める
    (包囲殲滅、平押し、線路とハブの奪取等)
    2.戦い方から、三種の師団にキャラ付けしていく
    (得意地形で強い、特定の地形で強い、苦手地形でも戦える、一部の地形は考慮しないと等)

    大雑把に例を挙げると
    1.線路とハブの奪取を中心に戦う
    2.攻勢師団はハブの確保用に都市攻略に特化する。広域攻勢師団は攻勢師団が特化した都市と割に合わない山岳以外の地形を意識する。戦線維持師団は歩兵で構成し、最も守りにくい平原での運用を重視する

    細かい点をあげるなら、敵の補給が切れた地域には戦線維持師団を縮小した第4の師団を用意したり、そもそもコストの問題で戦闘幅に満たなかったり色々ありますが、だいたいこんな感じです。

    長文失礼しました

    • 総合的な陸軍の運用の中で師団編制を考えられるとHoI4の陸戦全体を楽しくできるでしょうし、今回のアップデートはそういう方向性も意識したものなのかもしれませんね。
      詳しく書いていただいてありがとうございます。個人的にとても参考になります。

  7. 一人プレイならさほど気にしなくてもいいでしょう
    マルチならいわゆる「じゃんけん」要素になるため、マルチでこそ意味がある改変と言える

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