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「GearCity」プレイ日記:日本縛りプレイ 第11回(最終回)

GearCity

欧米進出を縛った1900年日本スタートで第一次世界大戦後まで生き残るプレイの第11回(最終回)。今回は第一次世界大戦後半の状況から見ていきます。

前回:日本縛りプレイ 第10回


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前回の振り返り

前回は第一次世界大戦の前半を乗り切り、新車両シューティングブレークのために今回は新工場建設ではなくアップグレードを行ったところまで。今回は第一次大戦後半を進め、またご紹介しきれなかった要素についてもご紹介していきます。

工場のアップグレード費用(1917年1月)

アップグレードは短期間で新工場と同じような規模の支出を行うため、一気に巨額の建設支出が行われます。今回は40万ドル/月ほどの建設支出。

1917年の新車両開発と生産ラインの整備(1917年2月)

1917年はツーリングカーの後継車両と新車両としてコンパクトカーを開発します。シャーシが古くなっているので、新たに設計しておきます。

今回は再設計で生産ラインを増やしてみましょう。建設費も高くつきますし、期間もかかりますが、アップグレードとは異なり、生産ラインの生産台数を増やすことができます。また、もうひとつの利点として、工場新設とは異なり、建設期間に関して戦時の遅延が発生しません(ただしイベントによる遅延は起こり得るでしょう)。

さらなる需要拡大(1917年3月)

1916年も相当な需要拡大が見られましたが、1917年も日本の自動車需要は継続的に拡大。既にかなり高価になっていますが、多くの機会損失が生じている車両が複数出てきました。

この後も1年を通じて強烈な需要拡大が続き、年末には販売価格が1.5倍くらいになる車両も出てきます。

第一次世界大戦の拡大(1917年6月)

設立から10年もたたないDay Hot社が海外メーカーと合併。日本の自動車市場は新たな局面を迎えそうです。

新車両設計(1917年12月)

今まで長らくスライダー位置は全部20のままでしたが、今年初めてスライダーを動かす余裕ができました。

日本の平均年収は172ドル。詳しいやり方は第3回に書きましたが、ここではターゲットの所得階層を「上流」に設定することで材料費が平均年収の2.5倍(ここでは430ドル)以下になり、「上流」では平均年収の2.5倍まで材料費をかけていいことにしているので、そこに到達するまでスライダーを上げていきます

コンパクトカーはディペンダビリティがもっとも重要な性能なので、ディペンダビリティを最優先に上げていきます。スライダーは「車両デザイン:試験」のスライダーを上げるとプロジェクト費用がかさみますが、材料費と性能上昇の比率が良好なので、基本的にはここから上げていくのがいいでしょう。今回上げた「信頼性試験」は主にディペンダビリティが、「ユーティリティ試験」では主にディペンダビリティと積載が高まります。

販売価格の高騰(1918年7月)

1916年から続く戦時下での需要拡大は18年に入ってもまだ強烈に続きます。フェートンは競合がほぼいないこともあって、価格を上げ切ってもまだ販売台数は充分減らず、明らかに生産ラインが1本では足りなくなっています。このあたりで創業以来18年にわたって維持してきた「1車両1生産ライン主義」を放棄し、1種類の車両を複数の生産ラインで生産する体制に考え方を改めましょう

すぐにでも新たな生産ラインが欲しいので、ここはアップグレードで対応します。

オーストリア=ハンガリーの解体(1918年10月)

第一次大戦も終盤に差し掛かり、オーストリア=ハンガリーが崩壊。

第一次世界大戦終結(1918年11月)

1918年11月、4年以上続いた第一次世界大戦が遂に終結。同時に生産と需要が回復します。

終戦時の月次業績は35万ドル/月もの猛烈な資金流入。現在の手許現金は250万ドルほどですが、開戦時に起債した1920年(実質的には1919年12月)満期の約480万ドルの社債償還もこのまま行けばまったく問題ないでしょう。

1900年日本スタートは最序盤を生き残れるかが最大の問題です。しかし本プレイ日記でお見せしたように、そうした状況でも生き残ることは決して不可能ではない(少なくともノーマルモードでは)ということが立証できたものと思います。

研究予算について

ご紹介しきれなかったものとして、ここで研究についても取り上げておきます。

会社にはデザインスキルというものがあり、コンポーネントや車両の開発と研究予算の割り当てによって四半期ごとに上昇していくというのはレビュー記事でも書きましたが、上げるのには膨大な時間とコストがかかります。戦間期には日本市場だけでも大変な額の黒字が出続けるので、研究予算もかけやすくなるでしょう。

コンポーネントや車両の開発によって上がるデザインスキルは直近5年間に開発したコンポーネントや車両の総合評価の平均が現在のそれぞれのデザインスキル(例えばシャーシのデザインスキルは直近5年のシャーシの総合評価を参照する)を上回っているとき、+0.25/四半期だけ上昇していきます。逆に直近5年間のものがデザインスキルを下回っている場合や直近5年間に開発したものがない場合は-0.25/四半期だけ低下していきます。

本プレイ日記ではコンポーネントを6年周期で開発していますが、これには上記のデザインスキルの上昇を止めないためという理由もあります

デザインスキルが25に到達するくらいまではこのコンポーネントや車両の開発による上昇で問題なく上昇しますが、デザインスキルが開発するコンポーネントや車両の総合評価に追い付いてしまうと、契約用に高性能なコンポーネントを開発したり(例えば海軍艦艇用エンジンなど)、レース用の車両を開発したりしなければならなくなります。

今後の経営

倒産の不安は当面ないものの、好況が続く戦間期にはいかに大きくリスクをとって大きな利益を叩き出すかという攻めの経営手腕が問われます。戦間期に積み上げた利益が世界恐慌期を乗り切る原資となり、また業績不振の競合他社を買収して業容拡大を進める原資になることもあるかもしれません。

防衛的な経営一辺倒では会社はなかなか大きくできません。稼げるときには大きく張って大きく稼ぐというメリハリのある経営ができるようになりたいものです。

プレイ後の所感

「GearCity」はどのように経営するかはプレイヤーに任されていますが、しかしめちゃくちゃな経営では当然会社が潰れるので、ある程度の枠組みを自分で考える必要があります。本プレイ日記では私がプレイするときの枠組み(車両開発スケジュールや車両設計の材料費目標設定など)をいろいろとご紹介しました。これはあくまで一例であって、もっと楽で優れた枠組みを考えることはできるかもしれませんが、いずれにしろ枠組みなしに遊んでいくのは容易ではないと個人的に思います。

今回で1車両1生産ラインというこれまでの暗黙の枠組みを改めて1車両を複数の生産ラインで生産するように枠組みを転換しましたが、「GearCity」はこういう枠組みの転換、かっこよく言えばパラダイムシフトを何度も味わわせてくれます。

例えば本プレイ日記のような日本プレイでは、戦間期には空前の好景気となり、また材料費が低下して富裕層から中産階級まで顧客の裾野が広がるため、それまでのような慎重な経営では業容拡大が遅れます。逆に世界恐慌期にはそれまでのような放漫経営ではあっという間に手許現金が尽きてしまうでしょう。第二次世界大戦では一般販売が制限されて軍用車両生産に対応しなければならないでしょうし、戦争が終わって石油危機の時代になれば急速に車両の燃費が問題になるでしょう。

UIなどに不親切な点や不便な点があるにもかかわらず私が本作に強い魅力を感じるのは、こうしたパラダイムシフトを味わえるというところがかなり大きいのではないかと感じています。そうした体験が私にはとても新鮮に感じました。そもそも経営シミュレーションとして非常に面白いゲームのですが、パラダイムシフトを体験させてくれるゲームというのは他に類を見ない部分だろうと思います。


本プレイ日記はこれで完結です。今までご覧いただきましてありがとうございました。正直なところもっと短くまとめる予定だったのですが、全11回にもなる長編になってしまいました。しかし「GearCity」の私なりのポイントはおおむね触れられたように思っています。ご覧いただいた方の「GearCity」プレイの参考になれば、また本プレイ日記を楽しんでいただけたならうれしく思います。

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コメント

  1. 最終回お疲れ様です!

    Capitalism2の様な複雑な経営シミュレーションゲームでしたが、見事な分析と経営手腕でww1を乗り気って素晴らしかったです。

    ゲームに対する細かな分析や解説がとても参考になりましたし、自分は読んでいて楽しかったです。

    ブログ主さんの現実でも経営者出来そうな分析・経営能力も垣間見えて少し笑いました。

    全11回お疲れ様でした( ^ω^ )

    • ご覧いただきありがとうございました。楽しんでいただけたようでうれしく思います。
      GearCityは最後に書いたように本当に同じような体験ができるゲームが他にないものだと思いますので、ぜひいろんな方にプレイしていただきたいですね。

  2. 最終回及び目標達成お疲れ様です。

    当初は自動車に対してあまり興味が無いこともあって、開発日記(主にVic3)のついでといった感じで覗いていたのですが、『車の』というより『自動車会社の』ゲームなのだな、と途中からは会社の興隆を見るような感じで楽しませて貰いました。

    経営シミュとしてデータが多く、かなり自由度が高い中、序盤購買力があるとは言えない日本市場で生き残るための枠組や基準を作り出し、余裕をもって第一次大戦を乗り切っていてすごいなと感心しています。きっとこの裏には沢山の破産した企業達が……

    また、プレイ後所感にも書かれておられるパラダイムシフトを味わえるというのは、ゲームを通しての最適解が無く(あるいはあっても極めて複雑で)、時代、情勢、市場、等それぞれの状況下で有効と思われる戦略を立て、試し、その結果をフィードバックしていく……という試行錯誤し決断する面白さが常にある、ということなのかなと感じました。そして、それだけこのシミュが作り込まれているという事でもあるのでしょう。

    読み終わって早速Steamに積ませていただきました(時間さえあれば……!)、重ねて完結お疲れ様です。

    • ご覧いただきありがとうございました。お察しのとおり、たくさんの自動車会社を潰してきました……。
      パラダイムシフトについてもおっしゃるとおりです。会社規模が大きくなるとそれに合わせて経営に失敗したときの損失も大きくなりますし、時代が進むと「ゲームチェンジ」が起こるので、シミュレーションゲームにありがちな「勢力が大きくなったゲーム中盤以降負けなくなってしまい、緊張感がなくなる」問題が非常に起こりにくいという面もあります。
      レビュー記事で書いたようにUIがちょっとわかりにくいですが、ぜひ遊んでみていただければと思います。

  3. 始めてみましたけどとても面白いですね
    ただ世界規模に展開した場合、在庫に合わせて生産車種を調整するのがかなり大変
    印象としてはスケールメリットがかなり効きやすい、リアルと言えばリアルですが

    あと日露戦争がないのはかなり有情でゲーム的には全面戦争ではないけど生産半分でもおかしくなさそう。

    • ご覧いただきありがとうございました。世界展開すると生産は自動生産にしないと操作量的に大変すぎるかもしれませんね。
      日露戦争も確かに新聞に載っているだけでなく「小規模な軍事衝突」などになっていていいような気がします。

  4. 完結お疲れ様です!次はエチオピア縛りプレイなんていかがでしょうか?(ゲス顔

    管理人さんの紹介記事でGearCityを知ってからずっとプレイしている者ですが、飽きませんねぇ・・・とにかくリプレイ性が高いです。

    世界展開した時には自動設定を使ってミクロマネジメントを緩和できるのも有難いですし、作者さんの丁寧な作りが伺えます。

    • ご覧いただきありがとうございました。エチオピアで始めて生き残れるのかどうか……。
      ハマれれば長く遊べるゲームですし、自動化についても(紹介記事で触れたようにちょっとわかりにくく私には感じられたのですが)幅広くさまざまな領域がカバーされていてありがたいですね。

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