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あなたのトヨタを作ろう! 自動車メーカー経営シミュレーション「GearCity」

GearCity

1900-2020年の世界で社長として自動車メーカーを経営していく経営シミュレーション「GearCity」のご紹介。日本語でもプレイ可能。


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どんなゲーム?

  • ジャンル:自動車メーカー経営シミュレーション
  • リリース日:2022年1月15日(早期アクセスは2014年5月30日から)
  • 開発元Visual Entertainment And Technologies
  • Steamで購入可能(2,050円)
  • デモ版あり(Steamストアページの右側の列の「デモをダウンロード」から)
  • 記事執筆時点での最新バージョン:2.0.0.0
  • 日本語でのプレイ:可能
  • Wiki日本語版あり

1900-2020年の世界で自動車メーカーを経営していく経営シミュレーションです。記事タイトルには「あなたのトヨタを作ろう!」と書きましたが、トヨタのような大衆車メーカー以外にも、フェラーリやロールスロイスのような高級車メーカー、いすゞやUDトラックスのような商用車専業メーカー、さらにはシャーシ・エンジン・ギアボックスを供給するサプライヤーになることもできます。

Steamでは2014年からおよそ8年にわたって早期アクセスを続けてきた本作ですが、2022年1月15日に遂に正式リリースされました。

複雑なゲームシステムである上にUIも使いやすいとは言えず、多くの人に広くお勧めできるゲームではないというのが正直な感想ですが、ハマれば非常に楽しいゲームです。パラドゲーのような複雑なシステムのゲームが好きという方は向いているゲームなのではないかと思います。

なお、本記事で掲載するゲーム画面の日本語フォントは私が変更したもので、ゲームのデフォルトのものではないという点にご注意くださいフォント変更のやり方はこちらの記事でご紹介しています

2021年7月19日追記公式チュートリアル動画の日本語版が公開されました。複雑な本作の基礎を理解するのにうってつけですので、プレイする際にはぜひこちらもご覧ください。

ゲームを始める前に

最初は英語になっていると思いますので、起動画面右下のメニューの「Settings」から設定画面を表示し、言語設定で日本語を選択します。ゲームを再起動すると変更が反映されますが、再起動する前に……。

ゲームの動作が変に重くもっさりしているという場合は、その左上の「Render Selection」を「OpenGL」から「DirectX9」に変更しましょう(OpenGLで問題なければそのままにしておく)。DirectX9にして再起動すると、動作の変な重さは解決しているはずです。ただ、DirectX9にしているとゲームが不安定になりやすく、バックグラウンドでウェブブラウザーなどを使っていて何度もウィンドウを切り替えるとゲームが落ちることがあります。

また、ゲーム中の単位表記もここで変更できます。日本在住だとヤードポンド法にはあまり馴染みがないと思いますので、気になる場合はメートル法基準の表記に変更してもいいでしょう。

ゲームの流れ

ニューゲームを始めるときにはまずゲームの設定を行います。基本的にデフォルトで問題ありません。ゲームに慣れてきたら設定を変更して遊んでもいいでしょう。

続いて、マップ上から好きな都市を本社所在地として選択します。ゲーム序盤の年代ではまともに自動車が売れるのは欧米のみなので、1900年スタートなら最初は欧米の大都市を選ぶのが無難でしょう。日本の都市も選択できますが、日本で生き残るのは非常に困難(しかし不可能ではない)です。

最後に社長の名前と会社名を入力し、会社のロゴとライバル会社の数を選択して設定は終わりです。

ゲームのセットアップが終わると、このような執務室の画面に移ります。この画面ではトップバーのボタンや、それに対応する執務室内のオブジェクトをクリックすることでさまざまな行動を起こせます。

本作はターン制のゲームで、1か月が1ターンとなっています。ターンごとに車両設計・工場建設・生産量決定・価格設定などの意思決定を行い、ターンを送るとその月(つまりそのターン)の業績や生産・販売台数などのレポートが表示され、それを元にまた意思決定を行っていく……というのが基本的な流れです。

なお、実際のゲームではここまでくるとチュートリアルが始まります。長いですが、実際にゲームをされる場合はチュートリアルを飛ばさずにやっていくのをおすすめします。また、開発元のYouTubeチャンネルにはさまざまな公式チュートリアル動画(英語ですが、一部の内容は日本語Wikiで和訳されています)が投稿されています。

車両設計

アシスト付きデザイナー(簡単に設計できるモード)でコンポーネントのひとつであるシャーシを設計しているところ。サブコンポーネント(コンポーネントの構成要素。ここではシャーシのフレーム、ドライブトレイン、前後のサスペンション)の選択と少数のスライダー調整だけで済む。

アドバンストデザイナー(詳細に設計できるモード)でエンジンを設計しているところ。直列・V型・ロータリーといったエンジンの種類、気筒数、ボア径とストローク長、寸法、重量、燃料、バルブトレイン、過給機を設定できるほか、エンジンのさまざまな性能を多くのスライダーで細かく調節できる。

デフォルト設定のままであればゲーム開始時点で既に工場と支店(直接顧客に販売するディーラーではなく、その都市での販売価格を決めたりディーラーと契約したり販促活動を行う拠点)を持っていますが、生産・販売する車両がありません。

本作ではライセンスの概念があるので他社からライセンスを購入して生産することもできますが、もちろん自分で自動車を設計することも可能です。本作の自動車はシャーシ・エンジン・ギアボックスの3つのコンポーネントからなり、完全に自社で設計する場合はこの3つのコンポーネントから設計することになります。設計内容の確定から実際に設計が完了するまでは一定の期間がかかります。

アドバンストデザイナーで車両を設計しているところ。さまざまな性能をスライダーで調節できるほか、販売する顧客層(性別・年齢・所得階級)も設定できる。もちろんアシスト付きデザイナーで簡単に設計することも可能。

あらかじめデザインされた車体を使うだけでなく、自分で車体を作ることも可能。空気抵抗などを通じて実際の性能にも影響する。

シャーシ・エンジン・ギアボックスの設計が完了すると、いよいよ車両を設計できるようになります。設計した(あるいはライセンスを取得した)コンポーネントを組み合わせ、さらに車体のデザインや性能の調節などを行って実際に生産・販売する車両を設計します。コンポーネントと同じく、車両も設計内容の確定から実際に設計が完了するまでは一定の期間がかかります。

車両の生産と価格設定

設計が完了するとようやく車両を工場で生産できるようになります。生産は車両ごとに行われ、工場が持つ生産ラインの割り当て数と生産ラインの速度で生産台数が決まります。生産速度は最大にし、割り当てる生産ラインの数で生産台数を調整するというのが基本的なやり方でしょう。

工場で生産した自動車は支店を通じて販売しますが、このときに販売価格を設定します。当然ながら製造コスト以上の価格で販売しないと利益が出ませんが、価格が上がると購入する顧客が減りますし、また画面下の「競合他社」の欄に他社の同じタイプの車両が表示されているように、他社との競争に勝つ必要もあります。

しかしながら、まず第一に生産台数以上に自動車を売ることはできないので、生産力によほど余裕があるのでない限りは「作れる分だけ売れる価格」に設定することになるでしょう。

月次レポート

価格を設定してターンを送ると翌月になり、前月の月次レポートが表示されます。レポートには月次業績や車両ごとの販売台数が表示され、またレポート一番上のメニューからさまざまな項目を表示できます。

こうした月次レポートを元に次の一手を考え、車両設計や工場・支店の建設、今月の生産計画や販売価格設定などを行っていきます。例えば上のレポートでは高級セダン以外の3つの車両タイプ(日本語表示ではゲーム中で用語が統一されておらずややこしいですが、レポート中の「車種」のこと)の車両は大量の販売機会損失を出しているのがわかるので、価格を上げるか生産量を増やして対処するというような意思決定を行うことになるでしょう。

別のレポートを見てみましょう。都市販売レポートからはデトロイトで車両を生産してデトロイト・ニューヨーク・フィラデルフィアで販売していることがわかりますが、デトロイトからフィラデルフィアへの輸送費がかさんでいるのがわかります。生産を増やして販売機会損失に対処する場合、この輸送費もどうにかしたほうがよさそうです。そう考えると、フィラデルフィアに工場を建設してそこで生産してしまえばいいのではないでしょうか?

……こんなふうにしてさまざまな意思決定を行っていくというのが本作の基本的な遊び方です。

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史実のイベント

本作では史実で発生したさまざまな出来事の多くがゲーム中でも発生します。イベントは執務室の新聞から閲覧でき、例えば1914年8月の新聞には第一次世界大戦勃発の記事が掲載されています。これはゲーム上も影響のあるイベントで、ヨーロッパの主要参戦国の都市では自動車がまったく売れなくなり、代わりに軍用車両の納入契約を軍と結んだり、自社工場で弾薬生産を行ったりすることなります。日本のように実際に激しい戦闘に巻き込まれてはいない参戦国でも、自動車の需要と生産が半減します。

1929年の世界恐慌はまさしくプレイヤーの心胆を寒からしめるレベルの大変なイベントで、事前に発生を知っていても膨大な損失を余儀なくされるでしょう。難しいのは、「29年には世界恐慌だから積極的な投資は控えよう」と考えると戦間期の好景気で儲け損なってしまい、世界恐慌を凌ぐだけの利益を会社に蓄積できなくなってしまうという点です。好景気ではしっかり投資し、不況では素早く財布のひもを締めるというメリハリのある経営が必要です。もちろんそれは従業員をクビにするということでもあり、従業員の士気低下を引き起こすことになりますが……。

契約

軍用車両の納入契約は戦時ほどではありませんが、平時でもあります。軍用車両に限らず、戦車・艦艇・航空機のエンジン納入や都市の大口需要家への納入、自動車レースチームへのコンポーネントやレーシングカー納入など、一般向けの車両販売とは異なるさまざまな販売契約を「契約」システムで締結することができます。

契約は需要家が一定の要件を提示し、それに適合する車両やコンポーネントを決められた数だけ毎月納入するというもので、契約を結んだにもかかわらず一定回数納入に失敗すると違約金を請求されます。契約はすべてコンペ形式で、基本的に他社より安くあるいは優れた性能のものでなければ締結に至らず、契約が取れるかどうかは運も大きいですが、単価が決まっている契約なら大抵は非常に大きな利幅を取ることができますし、毎月の要求量より多く納入しても構わないので、例えば世界恐慌などで一般の需要が急減した場合でも契約で需要の穴埋めをすれば工場を遊ばせずに済みます。

株式

本作では資金調達手段として銀行借入や社債発行などがありますが、株式を上場させるという手段も用意されています。つまり、どうしても資金の工面に困ったら自社株式を売却して資金調達できる(ゲームの単純化のためだと思いますが、ゲーム中では社長の持株と会社財産が混同されており、持株を売却すると会社に資金が入るようになっています)一方で、競合他社の株式を買い占めて買収してしまうこともできるということです。

しかし買収を繰り返して自動車市場においてあまりに自社が強くなりすぎると、政府によって訴訟を起こされ、会社分割の憂き目に遭うということもあります。

技術

本作には会社の技術水準の概念があり、コンポーネントや車両の開発をしたり研究予算を投じることで会社のデザインスキルが向上し、新技術が使えるようになっていきます。例えば、1900年スタートでは現在当たり前に搭載されているオートマチックトランスミッションは利用できず、技術解禁年以降で必要なデザインスキルに到達することで初めて利用できるようになります。

その他

そのほか、自動車レースへの出資や政府へのロビイングといった要素もあります。レースへの出資は会社のイメージに、政府へのロビイングは軍用車両等の契約獲得や、工場建設時の補助金などに影響します。また、本記事の最初のほうでサプライヤーにもなれると書きましたが、自社開発コンポーネントの生産を受注して他社に販売したり、あるいは車両のOEM生産も可能です。非常に多岐にわたる要素がこのゲームにはあります。

気になる点

まずこの手のゲームにはありがちですが、ゲームシステムの学習が非常に大変という問題があります。随所に解説ボタンが配置されていますし、チュートリアルもある程度整備されているものの、とにかく知っておくべきことの分量が多いので、そこまで興味を持続させられるかが問われます。

2点目はUIの問題で、特にスライダーの調整に非常に神経を使わされるという点です。上に掲載したように、本作では車両やコンポーネントの設計時にスライダーを多用していますが、スライダーが1目盛りズレるだけで完成が1か月遅れたり、ペナルティがついたり、エンジンがシャーシに入らなくなったりというようなことが起こります。もちろん慣れや考え方の問題でもあるのでしょうが、このあたりはやっていて非常に疲れる部分です。

3点目として、本作には操作量を減らすために自動化システムが多く組み込まれていますが、こうした自動化の中には結果がどうなるのか、なぜそうなるのかがプレイヤーにはよくわからないものがあるという点があります。自動生産についてはどういうロジックが動いているかが動画で解説されていますが、これを見ても、それではプレイヤーとしてどうすれば自動生産を使った状態でもそれほど生産性を落とさずに済むのか(自動生産は手動設定よりかなり生産効率が下がります)というようなことが、少なくとも私にはよくわかりません。これも慣れの問題であったり、あるいは私の勉強不足なのかもしれませんが……。


さまざまな欠点は確かにありますが、それを差し引いても間違いなく非常に面白いゲームだと個人的には感じています。ただ、冒頭に書いたように合わない方もいると思いますので、興味がある方は購入前にSteamストアページの右側の列の「デモをダウンロード」からデモ版をダウンロードして遊んでみることをおすすめします。

2022年1月9日追記

開発者のEric氏による「契約なし、ライセンスなし、外注なし、国内販売縛りで日本プレイ」という動画が公開されています。難易度ハードの1900年日本(大阪)開始で利益をあげるまでのプレイが紹介されています。

2021年7月19日追記

記事の最初のほうにも書きましたが、公式チュートリアル動画の日本語版が公開されています。複雑な本作の基礎を理解するのにうってつけですので、プレイする際にはぜひこちらもご覧ください。ゲーム中からもアクセスできます(「ビデオチュートリアル(英語)」となっていますが、日本語で表示されますし、動画も字幕は日本語です)。

2021年7月9日追記:記事中で「生き残るのは非常に困難(しかし不可能ではない)」と書いた日本プレイについてのプレイ日記を始めました。よろしければこちらもご覧ください。

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コメント

  1. ごめんなさい

    機械翻訳。

    次のアップデートでチュートリアルビデオの多くの日本語字幕! 多くが完成しました。 翻訳してくれた日輪自動車に感謝します。

    • コメントいただきありがとうございます。開発者の方からコメントをいただき光栄です。

      https://www.nicovideo.jp/watch/sm37475590
      日輪自動車さんというのはこちらの動画の方ですね。

      ツイッターでも返信をお送りしましたが、次のアップデートで日本語字幕のチュートリアル動画を出されるとのことで、とても楽しみにしています。
      複雑なゲームであるGearCityの日本語プレイヤーの助けになることと思います。

  2. シミュレーションゲーマーなのに知らなかった……
    ゲーム紹介の記事は密かに楽しませてもらってます
    隠れた(?)名作を紹介してもらえるのは本当にありがたい

    • ありがとうございます。そう言っていただけると大変励みになります。
      今はどうしてもパラドゲー開発日記の記事に偏ってしまっている(こちらももちろん重要と思っていますが)ので、こうした記事も増やしていけたらいいなと思っています。

  3. これで戦車作って国に売り込もう!(hoi脳)

    というネタ書き込みしようと思ったら
    そういうシステムも既にあるらしくて驚いたw

    楽しそうなゲームです

    • お読みいただきありがとうございます。面白いゲームですので、興味がおありでしたらぜひデモ版をプレイしてみてください。

  4. 恨むぜ管理人さんよ…この記事のせいで睡眠時間がまた減っちまったぜ(いつも魅力的なゲームの紹介ありがとうございます)

    • いつもご覧いただきありがとうございます。睡眠不足にはどうぞお気をつけて……(そう言っていただけると励みになります。ありがとうございます)。

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