「Hearts of Iron IV」開発日記2020年9月23日分が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回はトルコについて。「Battle for the Bosporus」リリース前の開発日記です。
開発日記
開発日記2020年9月23日は、トルコについて。
- トルコを見直した要因のひとつは多くのプレイヤーがトルコでのプレイを好んでいるからだ。今でもHoI4の見直されていない小国の中でもっともプレイされている。
- トルコ建国の父ムスタファ・ケマル・アタテュルクは自由民主主義のトルコに傾倒していたが、すべてのケマリストがそうだったわけではない。ケマリズムはアタテュルクの独自のイデオロギーであり、イデオロギーとして非常に柔軟だった。
- バルカン半島諸国と比べるとトルコの地位はずっと安定しているように見えるが、その強さは非常に不安定だ。ケマリストの統治システムはトルコの父が死ねば不確実なものとなる。トルコの立場をこれほど脆弱にしているものはなんなのか、そしてトルコが戦争に突入しなくてもいい理由はなんなのかを見てみよう。
- オスマン帝国はトルコにどうしようもないほどの債務を残した。オスマン債務管理局は協商国が議長を務める債務評議会(Debt Council)に再編された。債務評議会は取り除けない国民精神として初期の工業設計社となっているが、プレイヤーはトルコ全体を再編してこれを取り除きたいと思うだろう。
- 国家建設の過程で資源をどのように配分するか、特に慎重にならざるを得なかった。アタテュルクの「家庭に平和を、世界に平和を」という主張により、軍、とくに陸軍は他国と比べて少し遅れをとっている。
- トルコ軍でもっとも優れているのは、献身的で経験豊富で忠実な将校団だ。だが、彼らが実際に忠実であるかどうかはケマリズムの理想と原則にプレイヤーがどのように取り組むかによる。アタテュルクのビジョンに忠実であれば多くのボーナスを得られるが、その道から外れると、国家に悪影響を及ぼすかもしれない。
- トルコの内情はよくはない。東部にはクルド人の反乱軍、内陸部では筋金入りの伝統主義者、西部と北部にはケマリストがいる。こうした分断は党派ではなくむしろ地理的な要素によって分かれており、トルコ独自の派閥システムがある。
- トルコのステートとプロヴィンスの見直しを見ていこう。ステートの境界とカテゴリーはより現実に近くなるように修正され、大きなステートは小さく分割した。イスタンブールは独立したステートとなり、ボスポラス海峡の通航権を得ようとする国家はエディルネのすべてを獲得する必要がなくなった。トルコのプロヴィンスも現実に近くなるように修正され、つまりトルコの真ん中は巨大な砂漠ではなくなった。
- ここで、開発者とプレイヤーの関係はギブアンドテイクの関係であることを指摘しておく必要がある。これは人によっては議論があるかもしれないことはわかっていることだが、DLCの所有者はトルコにクルドのコアステートがトルコのコアとして始まることはない。そこで、派閥システムにおけるクルド人の役割を見ていこう。
- トルコ国内でのクルド人の独立は多少議論のある話題と言っても過言ではない。トルコ共和国が建国されてからHoI4が始まるまでの間にクルド人の反乱が何度も起きていたし、HoI4の期間中にも反乱があった。これは「La Résistance」で導入されたレジスタンスシステムが最適の手段であるように思われた。
- クルドのステート補正はクルド人地域を統治することがそこに住む人々との絶え間ない綱引きと感じられるようにする。この補正は増大することもあれば問題にならない程度にまで縮小することもある。非史実ルートの多くはコアを獲得するためにレジスタンスを低下させ、迎合性を高めるのを促進するが、史実ルートではコア化するよりこうしたステートを鎮撫することに注力する理由については、言うまでもなく理解していただけるものと思う。
- ケマリズムの特に対立の原因となる点は世俗主義と政教分離への取り組みだ。伝統主義者の補正はクルド人の補正と同じく変動し、よくも悪くもなる。政府がケマリストでない場合はずっといいものになるが、そのときケマリストのステートは……。
- ケマリストの補正は多くはなく、広めるのは高くつくが、都市化され工業化された地域のほとんどで見られる。これによってプレイヤーはこうしたより豊かな地域への投資を促されるという望ましい効果を得られる。ケマリストの補正はさらに徴兵可能人口を拡大し、非コアステートのクルド人地域の徴兵可能人口を埋め合わせる。
- ゲームスタート時にすべてのステートが派閥に属しているわけではない。プレイヤーはAIが敵対的な補正を広める間にできるだけ多くのステートに自身の補正を適用する時間との戦いであることに気づくだろう。
- 国家方針ツリーには2つの中立主義ルート、2つのファシストルート、2つの民主主義ルート、1つの共産主義ルートがある。
- 政治ルートはひとつを除いてなにもないところからファシスト政党を作り出そうとしたりするのではなく、ケマリズムのイデオロギーとはなにかを国家にとってなにを意味するのかを再定義しようとする。左側は自由主義と民主主義のルートで、小さな工業ツリーと結びついている。中央は史実ルートで、ハタイはステートとして追加されている。右には広範囲に渡る権威主義的な政府形態があり、国家方針「Peace at Home」から始まる史実ルートもある。
- すべてはモントルー条約から始まり、イギリス・トルコ・ソ連がボスポラス海峡とその通航権を議論する連鎖イベントがスタートする。海峡に対するボリシェヴィキの渇望を軽視してはならない。戦争になる可能性すらあるのだ。
- 最初の危機を乗り切った後、イシュバンクとその政治的後ろ盾を政府に取り込んでジェラル・バヤルとその自由民主主義的な仲間を支持することができるし、あるいは史実の将来の大統領であるイスメト・イノニュに支持された一党独裁と国家主義(Etatism)的経済政策の継続もできる。国家主義はトルコを素早く工業化する強力なボーナスを持つが、集権的な経済と戦争経済をうまく扱えば交渉するより多くのものを手に入れられるかもしれない。
- トルコの父が亡くなった後にケマリストの遺産を受け継ぐ二人の後継者がいる。イスメト・イノニュの左派的な中道主義のルートは国家方針「Peace at Home」から利用でき、誰もが真に満足することはないが、すべての派閥とうまくやる。フェヴズィ・チャクマクの右派的中道主義のルートは国家方針「Reinvigorate Turkish Nationalism」から利用でき、ケマリズムのまま伝統主義者をなだめようとする。フェヴズィ・チャクマクは国家方針「Fatherland First」ではフランコのようなファシストの独裁者の役目を担うこともある。
- より急進的なケマリストとしてレジェプ・ペケルとŞevket Süreyya Aydemirがいる。ファシストと共産主義のルートはトルコを特定のイデオロギーに完全に傾倒させるのではなく、急進的路線に合わせてケマリズムを改造することを目指している。どちらも自由にスペイン内戦に介入でき、クルド人をトルコの中で対等な立場に引き上げつつ、伝統主義者の扇動を取り締まることに注力する。
- 民主主義ルートのジェラル・バヤルと保守派のアドナン・メンデレスもいる。ひとたび自由で公正な選挙に門戸を開けば、もう後戻りはできない。
- 選挙が発生すると、ケマリストがに民主的な統治権が与えられるか、メンデレスと彼の率いる民主党によってケマリストの政権が短命に終わるかのどちらかになる。後者の場合はトルコの歴史を早送りしたようになり、最終的な結果が現実と大きく異なることは期待できない。彼らの意見に迎合し、彼らの敵を打倒した場合、古い亡霊が再び国家に取り憑くのを警戒すべきだ。
- 国外に目を移そう。外交政策ツリーでは1945年まで国外に関与しない史実ルートをプレイできる(史実AIはこれを選ぶ)が、プレイヤーが選択した派閥に応じて行動を起こせるようにもなっている。
- スポンサーから得られる好意にはかなり大きなものもあり、総力戦に備えようとするトルコに非常に役立つ。トルコが平和的に、あるいはより伝統的な手段で拡大する手段はすべての派閥にある。
- 連合国に参加すれば中東における覇権主義的な狙いを支援してくれるかもしれない。枢軸国に参加すればイラクの黄金の方陣のクーデターを支援して中東に混乱を引き起こし、コーカサスを通ってモスクワへ冬の長い行軍を行う準備を進めよう。スターリンに忠実なトルコのボリシェヴィズムのために、コミンテルンと手を結んでいつわりの社会主義を捨て、トルコ共産党の亡命を解除しよう。あるいはさらに独立した路線が正当化されるかもしれない。イタリアとCovenant of the Mediterraneanを組むか、Anti-Bolshevik Accordに共和派スペインを招待することもできる。
- 大国を完全に排除して、真に独立したルートを取ることも可能だ。ケマリスト政権の下で安定した自由なバルカン半島の実現という政府の長年の外交政策の目的を継続できる。バルカン条約を正式なバルカン協商(Balkan Entente)に拡張し、バルカン諸国の指導的地位に立つ。
- トルコの見直しはオスマン帝国の復古ルートが欠かせない。選挙でケマリストに勝てば彼らは軍への影響力で打倒しようとするだろうが、それはファウスト的契約が成立するときだ。
- ケマリストを追い出して弱体化した国家をスルタンの帰還に備えさせよう。
- 彼の宮廷には復讐に燃える元亡命者が溢れている。彼らは威信とアイデンティティを叩きつぶされた第一次世界大戦の屈辱的な結末を正す二度目の機会に狂喜している。
- 存在していれば、古い紐帯を取り戻して中央同盟国と連携することもできる。存在していない場合でも、オーストリア=ハンガリーがいるなら中央同盟国を改革できる。自国だけなら、オーストリア=ハンガリーの請求権を主張して彼らの名のもとにバルカン半島南部で騒乱を起こそう。スルタン国が強固になったら、カリフの称号と帝国を取り戻すために努力することもできる。
- ラクダ騎兵ユニットを紹介する。騎兵よりも頼りになり、資源効率が高いが、速度が遅く、訓練が難しく、装備のコストも高い。騎兵はさまざまな環境で活躍するが、ラクダ騎兵は一部の環境では優れているが、それ以外ではそうでもない。しかし、騎兵よりも抑圧値が高く、ピンチの時には素晴らしい駐屯部隊となる。トルコはアラビアの一部を征服したときにラクダ騎兵を利用できるようになる。この時代にラクダ騎兵を運用していた他の国家(イギリス、フランス、スペインやアラビア半島の国家)も利用できる。
- 第二次世界大戦後の世界はプレイヤーの感覚では味気ないまま放置されているかもしれないが、国家方針「Reconfigure Turkish Foreign Policy」ルートの最後に続いて、大国の意思に反して自国独自の利益を得ようとするならず者国家の役を演じることができる。しかし外交政策の突然の転換はすべての主要な派閥の指導者に好意的に受け取られるとは限らず、度が過ぎれば政権を追われることになるかもしれない。
- ならず者国家を演じるなら行くところまで行って究極の嫌われ者国家になってもいいだろう。
質疑応答
Q1:次の国家方針ツリーの見直しはイタリアだと思ってる。
A1:テーマがなんであるかによる。しかし、以前の開発日記で説明したように、カントリーパックは中小国にのみ注力するものだ。
コメント
ラクダ騎兵でロシアの大地を爆走するプレイもできるのかな?
ラクダ君って寒い所でも大丈夫なの?
ラクダって寒暖差の大きいモンゴル高原にまで生息してるらしいから案外大丈夫なんかも知れないな
むしろ湿気がダメらしくて高湿地帯に連れてくとヒヅメが腐食してくるらしい
だからロシアの冬は何とか乗り切れたとしても泥濘期に入ったらお手上げじゃね?
湿気がダメなのか。日本の風土には馴染みそうにないですね…
超長文の翻訳ご苦労様です。
マップ変わるんか。。。modは作り直しなのかな。
相変わらず国家方針がデカすぎる
DLC購入しなくてもイスタンブールなどのステートは変更されるのかな?
「オスマン人ムスリムが大部分を占める地域」の分割を決して認めなかった狂信的オスマン主義者にして1911年にリビアに殴り込んだ超国家主義者としてのムスタファ・ケマルは割と軽視されるよね
ムスタファ・ケマルによる大オスマンルートはロマンがあると思うんだが
ケマルさんって38年には死んでなかったっけ?
だからこそのケマリストでしょ
オスマン主義じゃなくてトルコ主義では?
トルコ人の権益として必要な部分を死守して不毛の大地はバッサリ切り捨てた。
DoDの時を考えるともう1カ国くらい来そうだな
どこだろう?
アナトリアの息子たちを何人イエメンの灼熱の砂漠で死なせたのか?
アフリカにおける権益を維持するために、シリア・エジプト・イラクを保有するために我々はいかなる損害をこうむったのか?
結果は瞭然だろう。
新生トルコの人民はもはや自分の存在と繁栄以外考える理由など存在しない。もう他国の人々に与えるものはない。
(1922年12月7日のケマル議会演説)
トルコが好まれてるのは様々な遊び方ができる国だからであって
NFでガチガチに縛られたらつまらんよ
確かに汎用NFならではの楽しみ方ってあるよね。でもまぁ今回はシステム面で大きな変更無いし、DLCを導入しないという原始的な方法で対処出来るから良いのでは。汎用NFのトルコ自国にしてAIギリシャやAIブルガリアにはDLCのNF進んで欲しい、とかなら無理だろうけど…
むしろシステム面の変化を伴うDLCを入れないと追加出来ないDLCの方を改善して欲しいかなぁ。海軍周り追加しないで英国中道ルートとか、諜報システム無しでポルトガル第五帝国ルートとかプレイしたい。
最後のってトルキスタン?