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「Crusader Kings III」開発日記#38――遺産のショーケース

CK3 開発日記

「Crusader Kings III」開発日記#38が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回は家系の遺産について。本体発売前の開発日記です。

前回:開発日記#37――Modの作成


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開発日記

開発日記#38は、家系の遺産について。

  • 家系(Dynasties)についての開発日記でも紹介したように、プレイヤーは惣領(Dynast)として力を使うか、遺産(Legacies)のために貯めるか、慎重に選択する(あるいはバランスを取る)必要がある。遺産のアンロックは超長期的目標だが、ゲームのプレイ方法を根本的に変え得るものだ。遺産は永続的なものであるため、そのボーナスはライフスタイルによるものほど強力ではないが、ゲーム終了まであてにできるし、家系の全員に適用される。
  • プレイ方法によって、アンロックできる遺産の数はさまざまだ。すべての子供の結婚を慎重に計画すれば複数のトラックを完了させることも可能だが、最初に選択したトラックは通常、自分の家系を特徴づけるものだ。
  • 遺産のコストは固定で、トラックのステップごとに高くなっていく。最初のステップでは名声(Renown)1000、最後のステップでは5000だ。プレイヤーのほとんどは他のトラックに行かずにひとつのトラックを完結させようとする(ボーナスが徐々に強力になっていくため)が、最初に安いものをいくつか取得するのも立派な戦略だ。
  • 以下ではそれぞれのトラックについて簡単に説明する。

戦争(Warfare)

  • 戦争の遺産は家系の構成員を有能な騎士と強力な指揮官に育てる。真の戦争狂や、正当な権利がある土地を確実に守りたいプレイヤーに最適だ。個人的には(注:筆者のrageair氏)、部族プレイやインドと中東の中間地点などの攻撃を受けやすい地域でプレイしているときに非常に有効であるように感じている。
  • 最初の遺産「House of Warriors」は家系のすべての構成員に武勇(Prowess)を+2し、領地持ちの構成員の騎士の有効性(effectiveness)を15%引き上げる。ゲーム序盤では非常に強力な遺産であり、客観的に軍事力を増加させる唯一の遺産でもある。
  • Generational Belligerence」は戦争にかかるコストを20%削減し、征服や第三者の請求権による戦争を始めやすくなる(自分の請求権なら常に安いが、他人の請求権で宣戦布告するのは高くつく)。早く勢力を大きくしたい人に適している。
  • Squire Traditions」は家系のすべての構成員に軍事ライフスタイル経験値をさらに10%もたらす。他のライフスタイルにも同様のものがあり、こうしたボーナスは教育から得られるボーナスに重ね掛けできる。
  • Inherited Tactics」は家系のすべての構成員が軍を率いている間に+5のアドバンテージ(Advantage)をもたらす。アドバンテージは戦争では決定的な要素となる。これが+5されるのは非常に大きなことだが、もちろん敵はプレイヤーの家系の構成員をプレイヤーに対する軍の指揮官にすることもできる……。
  • 最後の「Private Army」は常備軍(Men-at-Arms)の追加スロットをアンロックする。自分の格(注:tier。伯爵・公爵・王・皇帝といった称号の格のことと思われる)を上げる以外に追加スロットを得る手段はないため、軽視できないものだ。さらに、これは「House Guard」連隊を利用できるようにする。これは無料の特別な重装歩兵の常備軍連隊で、常備軍スロットをひとつ消費し、それ以上大きくすることはできない。これにより、プレイヤーの家系の卑しい伯爵ですらも非常に強力な軍を配備できるが、一方で強大な皇帝であるなら追加スロットを装甲騎兵のために使うかもしれない。

法律(Law)

  • 法律の遺産は安定性と統合に重点を置いており、家系の構成員を素晴らしい封臣にし、反乱確立を低下させる。個人的には、大きな勢力、特に複数の文化を含む勢力を運営する際に、この遺産を使うのが好きだ。
  • 最初の遺産「Mostly Fair」は領地の住民からの評価を5上昇させる。これは非常に強力で、同じ文化グループで異なる文化のペナルティをすべて相殺する。領地の大部分が他の文化や教派である場合には素晴らしい遺産だ。
  • Faithful Magistrates」は領地全体の支配度(Control)上昇を+0.2/月する。征服や称号剥奪で得た領地の支配度を高めるのは困難であり、また、元帥は一度に1つの伯爵領にしか割り当てることができない(注:元帥は支配度を高める任務を行える)。これは家系の構成員が新たに征服した領土の有力な封臣候補になるということでもある。
  • Power and Prosperity」は管理ライフスタイル経験値を10%上昇させる。
  • Delegated Authority」は有力封臣(powerful vassals)からの評価を5上昇させる。これは彼らを喜ばせるのがどれだけ難しいかを考えれば、小さなものではない。特にプレイヤーが皇帝のときには、単純に有力封臣全員を評議会に入れることはできない。
  • 最後に「Home Estates」は領地上限が1上昇する。これは管理能力が高くないキャラクターでプレイしているときには特に素晴らしいボーナスだ。これによって世代を超えて領地を維持しやすくなる。

狡猾(Guile)

  • 狡猾の遺産は恐るべき暴君として統治したい人、あるいは殺人を最上位に置きたい人に最適だ。自勢力を平和的に維持できないことがわかっている場合、私はこれを選ぶだろう。畏怖(Dread)増加量の上昇は始めたばかりのときには非常に価値あるものであり、特に計画を素早く進める必要がある場合には非常に有効だ。例えばスペインでは、国土の統一に時間がないので、兄弟を一人ずつ排除しながら恐怖で支配するのは立派なプレイ方法だ。一般的に、自分と同じ家系の封臣を多く持つ計画しているのであれば、こうした遺産の取得は避けるだろう。
  • 最初の遺産「Ominous Reputation」は畏怖増加量を20%増加させる。世代を超えて恐怖で支配したいときには素晴らしい最初の遺産だ。
  • Long Reach」は敵対的策略(Hostile Schemes)の成功確率を10%上昇させる。これは殺人だけでなく、Hookの捏造、誘拐、その他の敵対的策略すべてに適用される。
  • Natural Schemers」は陰謀ライフスタイル経験値を10%上昇させる。
  • Venial」は圧政度(tyranny)の減衰を20%早くする。称号剥奪や取り消しによって勢力を素早く再編するにあたっては、畏怖との組み合わせに最適だ。
  • 最後に、「Family Connections」は家系の構成員それぞれに彼らを標的とした殺人の策略成功を回避する大きな可能性をもたらす。恐るべき統治者はしてプレイしている場合、殺害は頭上にぶら下がっている唯一の絶え間ない脅威だ。

血筋(Blood)

  • 血筋の遺産は特性の継承に影響を与え、プレイヤーの家系はある特性を持つと知られるようにすらできる。この遺産トラックは品種改良ゲームをプレイし、後継者を最良の領主にしたい人に最適だ。
  • Noble Veins」は先天的なよい特性を継承する確率を30%高め、新たによい特性が発現する(明らかに小さな)確率を30%向上させる。これは優れた最初の遺産であり、品種改良ゲームをキックスタートさせることができる。
  • Convergent Blood」は遺伝的特性が強化される確率を30%高める。これはつまりレベル1の遺伝的特性を持つキャラクターの子孫がレベル2の遺伝的特性を得る可能性が高まる、ということだ。当然のことながら、この確率は両親がそうした特性を持っていることに依存する。
  • Resilient Bloodline」は「Noble Veins」と似ているが、悪い遺伝的特性が発現する確率を30%下げる。
  • Architected Ancestry」は以下の特性から1つを自分の家系で共通して発現しやすいものとして選ぶ。すなわちTier 1の美しさ(Beauty)、Tier 1の体格(Physique)、Tier 1の知性(Intelligence)、多産(Fecund。50%生殖能力が上昇)、巨人(Giant)、小人(Dwarf)、鱗肌(?Scaly)、白子(Albino)だ。これはロールプレイングに最適で、例えば巨人の家系なら非常に興味深いストーリーになるだろう。史実でもある「特性」が共通している一族があり、この遺産はこれを表現している。新生児がこうした特性を持つ確率はだいたい2%以下であるため、本当に共通する特性にしたいならさらなる努力が必要だ。
  • Octogenarians」は寿命を5年延ばす。一定値の健康度ブーストとは異なり、これは女性が子供を持てる期間も5年長くし、またキャラクターのポートレートは視覚的に年をとるのが遅くなる。

博識(Erudition)

  • これはPietyと聖職者に重点を置いた強力なものだが、最後の遺産は有能な評議会を擁している場合にはもっとも強力なものになるかもしれない。個人的には、神聖ローマ帝国やインドのような広大な封建制の地域でプレイするときにこうした遺産を好む。というのは、中東やアフリカのような氏族(Clan)/部族(Tribal)制よりも、招いた客人(guest)が拡大のためにずっと重要だからだ。
  • Vibrant Court」は廷臣と客人からの評価を+10し、宮廷をより優れた客人を惹きつけるものにする。廷臣がプレイヤーに対して策略を行う可能性が低くなるため、この評価は非常に有意義だが、この遺産の真の力はより優れた客人を惹きつけることにある。請求権者や並外れて優れた指揮官/騎士は、旅先を選ぶときに範囲内であればプレイヤーの元を選ぶ可能性が高くなる。他国の請求権者を使って早期に拡大しようとしている場合にこの遺産は最適だ。
  • Ordained Rulership」はPiety獲得量を10%増加させる。このゲームでは数少ない無条件のPietyの源泉だ。これは自身の教派を持とうとしている場合や教皇からの恩寵を得ようという場合に適している。
  • Treasured Knowledge」は学識ライフスタイル経験値を10%上昇させる。
  • True Believers」は聖職者からの評価を+5し、領内の聖職者とHead of Faith双方からの厚意を得やすくする。聖職者がいない教派の場合はその教派のキャラクター全員からの評価が+3される。
  • Bureaucrats」は評議員の任務に対する評議員のスキルの影響を10%高める。これはすべての評議会の任務が10%早くなるということだ。もちろん、この効果は評議会が有能であるほど有用だ。「Vibrant Court」で惹きつけた有能な客人を使えば適切な候補者がいないということもない。

栄光(Glory)

  • 栄光の遺産はすべて家系の名をどれほど広めるかに関するものだ。当然のことながら、これは威信(prestige)を必要としている人(これには部族の領主も含む)にとって最適のトラックだ。こうした遺産は有益な結婚を手配したり、必要な援助を受けたりしやすくするため、非常に有用だ。
  • Desirable Match」は結婚の受諾値を30増加させる。結婚の受諾を決定する要因はたくさんあるが、受諾値の30増加は基本的には現在の地位よりも一段階上の結婚ができるということを意味する(例えば伯爵として公爵の子と結婚できる)。これはライフスタイルツリーのパーク「Gallantry」と組み合わせたときに真の輝きを発揮し、合計で80のさらなる受諾値を得ることができる。長期の婚姻ゲームをプレイする人にとって必須のものだ。
  • Renowned Name」は威信の獲得を10%増加させる。このゲームでは数少ない無条件の威信の源泉だ。威信はLevel of Fame(評価)を増加させるのに役立ち、宣戦布告のための資源にもなるため、ありすぎるということはない。
  • Earning Respect」は外交ライフスタイル経験値を10%上昇させる。
  • Assertive Rulers」はShort Reignペナルティを20%低下させ、継承の安定性を大きく高める。
  • Righteousness」は全キャラクターからの評価を10増加させる。勢力内に派閥のない状態を保つには非常に有用だ。基本的に、栄光の遺産トラックを完成させた家系は大きな勢力であっても問題なく維持できる。

親族(Kin)

  • 最後に、親族の遺産は家系の構成員が互いに助け合い、ほとんど争わないような非常に大きな家系を望む人向けのものだ。封臣のほとんどが自分の家系であるような大勢力にしたい人にとって最適だ。親族はよく教育され、プレイヤーが懇親(Sway)や交友(Befriend)の策略(あるいは誘惑……)を使える時には平和を保つのが容易になる。私は一夫多妻制の教派でプレイするとき、例えば中東の氏族の領主としてプレイするとき、この遺産トラックを好む。
  • Bounteous Loins」は家系全体の生殖能力を10%高める。これは家系の基礎作りをするゲーム序盤の「壁」を超えやすくし、長期的には家系をより大きなものにする。
  • Studious Youth」は家系の構成員がよりよい教育特性を得る可能性が高くなり、学識能力の高い後見人を見つける必要をなくす。
  • Constant Care」は配偶者からの評価を+10し、妊娠中の厄介ごとの発生確率を下げる。長期的に見れば、これも家系をより大きなものにする。
  • Close Bonds」は家系全員からの評価を+5し、つまり家系全員が互いをもう少し好きになる。さらに、個人的策略(Personal Schemes)の成功確率を30%増加させる。懇親から駆け落ちまですべての個人的策略が対象だ。
  • Graceful Aging」は家系の構成員が加齢によって武勇を失わないようにする。通常、年配のキャラクターは時間の経過とともに武勇を失っていくが、かつての偉大な騎士も新進気鋭の騎士との個人戦闘に堪えるようになる。また、家系の構成員は年を重ねるとランダムにスキルが上昇する可能性があり、家系内の年長者は真に賢明になり、指揮官としても騎士としても評議員としても非常に有能になる。

次回:開発日記#39――実績のショーケース

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