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「Hearts of Iron IV」開発日記2018年11月14日――海軍条約と艦船の改装

HoI4 開発日記

「Hearts of Iron IV」開発日記2018年11月14日分が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回は海軍条約と艦船の改装について。

前回:開発日記2018年11月7日――艦船デザイナー


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概要

開発日記2018年11月14日は、海軍条約と艦船の改装について。

海軍軍縮条約

  • 戦間期には艦船の設計はワシントン海軍軍縮条約・第一次ロンドン海軍軍縮条約で厳しく制限されていた。1922年のワシントン海軍軍縮条約は10年間新たな戦艦の建造を禁じ、艦船と艦砲の最大サイズも制限した。1930年にはワシントン海軍軍縮条約の調印国がロンドン海軍軍縮条約の交渉を行い、巡洋艦の建造を制限してそのサイズも厳しく規制した。1936年前半にロンドン海軍軍縮条約は再交渉され、これがトラブルの始まりとなった。私たちは条約の軍艦設計への影響のモデル化と海軍軍縮条約の外交的影響の表現をしようとした。

  • 1930年のロンドン海軍軍縮条約調印国は主力艦の最大コストを制限する国民精神を持っている。先週書いたように、元はトン数を艦船設計の制約条件として使い、これを軍縮条約と関連付けていたが、後になって設計がスロットと建造コストに重きを置くように変わった。

  • また、モジュールの制限を通して艦砲の口径の制限もシミュレートしようと考えていたが、これはプレイヤーに艦船デザイナーを使わせないインセンティブになってしまうためとりやめた。新たな重砲を研究しても条約違反になるからと搭載できないのを想像してほしい。そこで、ゲーム開始初日には最良の艦船を建造できないよう、コスト制限を非常に厳しくすることにした。

  • 1936年のゲームスタート時点で、プレイヤーは第二次ロンドン海軍軍縮会議が進行中であるとリマインドされる。脱退しない場合は自動的にロンドン海軍軍縮条約が締結される。条約からの脱退は会議中一度のみ可能で、政治力を消費するがファシズム国家では軽減される。しかしファシズム国家でも条約に残ることもでき、後に自国の艦船の排水量測定を粉飾して欺くこともできる。

  • 緊張度が一定水準以上になると、可能な国家すべてに再び条約脱退ディシジョンが出現する。軍縮会議やその後にいずれかの国が条約を脱退すると、残った国家に対しては史実の「エスカレーター条項」を発動させるタイマーがスタートする。この条項は制限を若干緩和し、条約調印国がより強力な艦船を建造できるようにするものだ。したがって、エスカレーター条項を発動させないことで条約によって自国よりも敵国のほうがより強く制限されるため、ファシスト国家としてプレイするなら条約に残留するインセンティブがある。
  • 条約外の国家が主力艦でイギリスの隻数の一定割合以上になると、その国家は条約に招待される。その国家がこれを拒否してイギリスと同等程度まで海軍拡大をを続けると、条約参加国はその国家の主力艦を強制的に80%まで制限しようとする。これが拒絶されると戦争になるかもしれない。また、ある条約参加国が主力艦の割当量を超過した場合、その参加国は直ちに安定度が大きく低下すると同時に、主力艦数を減らすミッションを得る。

改装

  • プレイヤーは制限の中でできる限り強力な艦船がほしいだろう。改装機能によって艦船をアップグレードできるようになり、また状況の変化に艦船を合わせることが可能になる。

  • すべてのモジュールには建造コストが設定されているが、これに加えて(通常は)改装コストと撤去コストも設定されていることがある。改装コストは他のモジュールからそのモジュールに変更する際のコストだ。通常はアップグレードなら安い。例えば対空砲レベル1を対空砲レベル2にアップグレードするほうが、後部砲塔を撤去して対空砲を設置するよりも安い。
  • これにはいくつか例外があり、ほとんどは史実に合わせている。エンジンのアップグレードは史実でも非常に長い期間ドック入りする必要があった(船体を切り開いて古いエンジンを取り出し、新しいエンジンを入れ、船体を閉じる)ため、ほとんど実施する価値はない(古い戦艦のエンジンアップグレードでは軽巡洋艦と同じくらいのコストで2ノット程度速くなるだけだ)が、プレイヤーに選択肢は与えようと思った。
  • 一般的なルールとして、低いレベルの艦船を建造してアップグレードするほうが安く上がるということはない。

  • 改装コストがスクリプトされていない場合は、撤去コストを支払って古いモジュールを撤去し、建造コストを支払って新しいモジュールを配置することになる。資源の撤去コストもスクリプトできるので、特定のモジュールを撤去すると資源が返ってくるようにもできると聞けば、Mod制作者は喜んでくれるだろう。

  • 改装を行うには、プレイヤーは派生型を作成し、改装する艦船を選択する。これでその艦船を派生型に改装する命令が下る。その艦船は分離して最寄りの海軍基地に入港し、いくつか特別なメカニクスとともに生産キューに入る。この艦船は技術的にマップ上に残存し、爆撃されたりダメージを受けるし、そうなると改装工事も遅れる。入港しているプロヴィンスが敵に占領されると、その艦船は鹵獲される。

  • 異なる船体の改装はできない(1936年型駆逐艦は1936年型駆逐艦の派生型にのみ改装できる)が、どのように改装するかはコストに制約される以外は自由だ(例えば、最上型は軽巡洋艦として建造され、重巡洋艦に改装された)。特殊なケースは空母で、巡洋艦や戦艦の船体を空母の船体に転用できる。これは最初から空母として設計されたものほどの能力は一般的にないが、古い艦船を遊ばせるよりは……。

海軍旗艦(Pride of the Fleet)

  • 先週、ドイツの艦船のひとつが少し変わっているのに気づいたかもしれない。ゲームスタート時点でアドミラル・シェーアはドイツ海軍旗艦(Pride of the Fleet)であり、ドイツに少量の(5%)戦争協力度ボーナスをもたらし、艦自体にもクリティカルヒットに対する防御ボーナスを得、また経験値獲得にもボーナスがつく。これは「メディアの人気者」特性を持つ提督と組み合わせることで興味深い相乗効果がある。海軍旗艦で指揮を執るとボーナスがつくのだ。

  • 海軍旗艦の設定は、まだどれにも設定していない場合はタダでできる。海軍旗艦の変更には政治力を消費する。海軍旗艦にできるのは主力艦だけで、この艦を失うとしばらく戦争協力度に痛烈なペナルティが付く。

質疑応答

Q1:日本の国家方針はどうなるの? そっちでも建造制限がかかるの? それとも新たしいメカニクスがある?

A1:Man the Gunsがあれば条約に参加することになるが、MtGを持ってなければこれまでの効果が追加される。調印国に残る場合はこの方針は迂回できる。

Q2:艦船を空母に転用すると装甲はなくなるの? それとも船体はそのままだから一部残る?

A2:今のところ、装甲がなくなる。私(注:パラド社スタッフのArchangel85氏。以下同じ)は戦艦や重巡の装甲は主に舷側装甲で、爆撃に対しては限定的なものだろうだと思っている。

Q3:ロンドン海軍軍縮条約は戦争になるとどうなるの?

A3:調印国が他の大国と戦争になると破棄される。

Q4:艦隊旗艦を戦争中ずっと停泊させておくとペナルティある?

A4:今のところはないが、艦隊旗艦が敵を撃沈するとそれを祝うディシジョンを追加するかもしれない。

Q5:航空戦艦は作れる? 日本海軍は山城・扶桑・伊勢・日向があったけど。

A5:戦艦を完全な空母に改装する(例えばレキシントン)ことはできるが、航空戦艦は馬鹿げているのでできない。もちろん、Mod制作者はこれを変更できるが、私の無言の判断に満足することだろう。

Q5-2:「馬鹿げている」というのはどういう意味?

A5-2:航空戦艦は全通甲板ではなかったので空母としてはほとんど使いものにならなかった。また飛行甲板によって搭載できる艦砲も大きく制限された。このトレードオフからなにも得られていない。

Q6:転用空母は戦艦とか巡洋艦に戻せる?

A6:今のところはできないが、ちょっと話してみる。

Q7:建造中の艦船を転用したり改装するのはできる?

A7:できない。


次回:開発日記2018年11月21日――海軍の見直し#1

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コメント

  1. 大和を海軍旗艦にしたいな

  2. 改良型とそれ以前の性能差が気になる人間には非常にありがたい。
    そして一隻一隻に愛着が出て、沈んだ時に凹むんだ。

  3. 海軍旗艦は面白そうだけど、ペナルティの内容によっては史実の第1戦隊のように港から出せなくなりそう。
    >航空戦艦は馬鹿げてる
    ごもっとも…。少し悲しいけど。

  4. 航空巡洋艦……
    あとは大排水量の輸送船とか貨客船を空母改造できないもんだろうか、隼鷹を作ってみたい

  5. 日向に瑞雲を載せる日が来なかったのは残念ですが、もともと航空戦艦は戦艦の空母化の代用案みたいなものだったので、浪漫要素には少々欠けますが本懐の空母改装で我慢するしかないですね

  6. イギリスも航空戦艦建造計画はあったから、浪漫枠として建造できてもよかったのに~
    重雷装艦や大型戦艦も実際の実用性はアレだし。

  7. 馬鹿げてるのは分かるけど、実際にあったものなのにそれだけの理由で実装不可にするのはちょっと違う気はするな
    いやそんなこと言い出したらパンジャンドラムも実装しろって話になりかねないのは分かるんだけど、割と大きな軍艦の艦種がないってのはな

    • 厳密なシミュレーターじゃなくて、あくまでゲームだからねこれ
      そういう線引きは普通に賛同できるな
      Modで追加することは当然できるわけだし

    • システム的には特攻に準ずる挙動(一回出撃したら全損耗)を割り当ててやるのが一番簡単かな、他の基地や空母に依存しない形で実装できる。

      やる気があれば(陸と同様)艦隊か任務部隊に航空部隊を割り当て、その航空部隊は最寄りの空母や基地を使えるような仕組みにして、航空ハンガーモジュールと洋上航空部隊の関連性を疎にしてやればそれっぽく作れそう。
      現時点でも沈んだ空母の航空部隊は適当な基地に降りてるわけだし。

  8. 航空戦艦とかはMODで弄れば空母デッキと主砲を同時に使えるようにできるんじゃないか?
    雷巡と違って中途半端で弱いから複雑化しないために実装したくないんだろう
    いつも通り気に入らないならMODで弄ってくださいってスタンスですな

  9. しかし割り当てられる造船所減るのがどうなるか予想出来ない。空母一つに2年近くかかるようなら旧式艦をチマチマ改装してくのが大事なんかな?並列生産して出来た時には旧式装備とか悲しくなりそう

  10. 海軍軍縮条約の範囲内で色々改装した結果、各国ごとに艦船設計がガラパゴス化するような仕様になればRP捗るな

  11. 海軍のこと考えるとやっぱり36年スタートでは時間足りないと感じるなぁ

    • まー、ただでさえ器用貧乏な航空戦艦をシステム上で再現しようとすれば輪にかけて中途半端な「馬鹿げたもの」になっちゃうだろうなぁ…ってのは分かる。ところで開始時戦艦Ⅱとして新型扱い、建造されてる金剛型やカイオドゥイリオ級は巡洋戦艦Ⅰや戦艦Ⅰの改装中、戦艦Ⅱは別の新型に置き換えられるのかな?

  12. いろいろ入れ込んできて面白いなー
    しかしここまでやっても重要なのは陸地を取る事だから、空軍以下の脇役に過ぎないと寂しいな
    陸戦隊とかを装備することで無防備な海岸プロヴィンスを半占領みたいな感じにできるとか欲しい

  13. 扶桑は航空戦艦じゃないのだが…
    質問者は海外提督かな?

    • 元は山城、扶桑が改装予定だったから、それらを含めた文面でも誤りと言えないのではないか

  14. 正直、(条約周りは別として)船に載せるものをちまちまいじったところであんまり大戦の行方に影響があるとは思えないなあ
    戦略級大戦シムとしては不釣りあいに艦船周りだけ細かいように感じられる

    まあ私みたいな層は買わなければいいだけだけれども

    • 多分なThe Influence of Sea Power Upon History的な要素なんでしょ
      昔も今も、船の武装一つで国の戦略と命運が決まるのですよ。

  15. 馬鹿げているで草

  16. それより海軍の航続距離伸ばしてくれないかな…史実ではドイツ海軍は南米まで行ってるし

    • 今回のmodで改装次第によっては潜水艦でも南米まで行けそう
      もし到達できないとしても装備全外しで航続距離に極振りした「補給艦」みたいなものを艦隊に組み込めば艦隊としての航続距離は伸びるだろうしね

  17. これだけ海軍弄れるようにしたのなら、やっぱり下準備が楽しめる30年やせめて32年スタートが欲しい…。
    色んなものを追加しなきゃいけないからリソース大変なんだろうけどなんとかしてくれないかね。

  18. 海軍だけを考えるとやはり36年スタートは遅すぎる。けど他を考えると逆にそれ以前からスタートすると早すぎる或いは暇すぎるになるんだよなあ

    しかし36年スタートでイギリス以上の主力艦用意できる条約域外国ってあるのかね?早期に戦争終わらせて造船所建造に全力つぎ込んだスペインくらいしか開戦に間に合わないと思うんだがw

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