「Europa Universalis IV」開発日記2018年4月24日分が公開されましたので、その内容をご紹介。今回はインドについて。
概要
2018年4月24日分の開発日記は、インドについて。ゲームディレクターのDDRJake氏が休暇中のため、今回はコンテンツデザイナーのTrin Tragula氏によるものです。
- 今回から3回は私たちが次のパッチでのマップ変更に向けて行っていることについて述べる。1.26では、私たちはインドやその周辺のことに重点を置くつもりでいる。インドのマップは2014年のArt of War以来のアップデートとなる。
- Art of WarでのアップデートでインドにはEU4リリース時と比べて大きな深みがもたらされたが、今ではそこから長い時間が経過している。マップの詳細さは今では大きく高まっており、中東と同様にインドも手直しをする頃だ。
- インド亜大陸は、EUシリーズで描かれる時代においてさまざまな点で時代の中心だった。インドは世界規模の製造業の大部分の起源であり、ヨーロッパ大陸と同じくらいの人口がいた。インドの富を追い求めることは、Age of Exploration(探検の時代)の燃料となり、インド貿易の支配権をめぐる対立に大海軍を持つヨーロッパ諸国が関与するきっかけとなった。
- 豊かで人口の多いインドはこの時代のヨーロッパと同じくらい政治的に多様で、Vijayanagara Empire(ヴィジャヤナガル王国)、Delhi Sultanate(デリー・スルタン朝)、寿命は短かったがSur Empire(スール朝)など、多くの強力な国家があった。そして、そうした国家のほぼすべてはおおよそthe great Mughal Empire(ムガル帝国)の盛衰と関連している。この帝国はBabur(バーブル)によって建国され、Maratha Confederacy(マラーター同盟)の急速な興隆やさまざまな地方の政治指導者の独立まで、200年以上にわたって彼の子孫によって維持された。最終的にインドは、大英帝国とイギリス東インド会社が苦心して作り上げた大植民地帝国となった。
- 全体を見渡すと、オーバーホールはインドに106の新たなプロヴィンスを追加するものとなった。これはこの地域の地方国家もよりよくカバーできるようにし、またヨーロッパ諸国が足がかりを得て拡大していけるようにすることを目標としている。
- 今日は特にヴィンディヤ山脈の南の国を見ていくことにする。
デカン高原中部――The Bahmani Sultanate(バフマニー朝)とヴィジャヤナガル王国
- 1444年には、インド南部には2つの強大な勢力が存在し、双方ともこの地域の中央部にある乾燥した高地に都を置いていた。この二国はクリシュナ川からトゥンガバドラー川の間の豊かなライチュール・ドアーブを挟んで分かれていた。
- 勝利の都という意味のVijayanagar(ヴィジャヤナガル)はヒンドゥー・サンガマ朝に率いられた王国の中心であり、明確な勝者もないまま100年以上のあいだBidar(ビーダル)のバフマニー朝のスルタンたちとほぼ常に対立していた。
- その後、Kapilendra Gajapati(カピレーンドラ・ガジャパティ)によって突如として奪われたOrissa(オリッサ)が第三のプレイヤーとしてこの争いに参戦している。バフマニー朝とヴィジャヤナガル王国双方を打ち負かし、オリッサはアーンドラ地方やテランガーナ地方へと拡大し、南はカーヴィリ川まで達した。
- 南部のスルタン国であるバフマニー朝は、ある意味で辺境国家であり、不安定な状況にある。100年前のデリーからの決別の後、バフマニー朝は人と馬の両方をインド洋の港を通じた輸入に頼らなければならなかったが、それも60年前にヴィジャヤナガルの君主によって奪われた。また、派閥争いという深刻な構造的問題を抱えており、西方からの移住者であるGharbiansと、地元の領主であり第二世代のムスリムの高官であるDeccanisが、権勢を得ようと争っている。
- パッチ1.26では、この地域のプロヴィンスの多くが分割される。これは大規模な抗争の細部をよりよく捉えるためであり、またライチュール・ドアーブや西部のJungle Desh高地のような、一般的な地理の特徴をよりよく表現するためだ。特に後者はのちのマラーター王国のために必要な基礎となり得る。
- 1444年で新しくプレイ可能となる国家
- Telingana:1444年時点でバフマニー朝の宗主権のもとにあったVelama(注:テランガーナのカーストのひとつ)の領主たちを表現している。史実ではオリッサのガジャパティ朝がVelamaの反乱軍を支援してテランガーナに進出した。
タミル人国家とMalabar Coast(マラバール海岸)
- 南部はヴィジャヤナガルに支配されており、王国の中心地である乾燥した高原よりも豊かだったタミル人国家は、1444年時点では最近征服されたばかりだった。この地域の征服後も長い間タミル人の貿易都市は強い経済的・政治的影響力を持っていたため、史実では南部の統合には長期間を要した。
- この地域の見直しをするにあたり、私たちは政治的な地理と地形それ自体の双方をよりよいものにするよう注意した。豊かなCoromandel(コーラマンデル)やマラバール海岸は多くの小さな沿岸プロヴィンスに分割し、豊かな貿易海岸であることを表した。また、これによってヨーロッパ諸国が足がかりを得る場所も増えた。実際にも多くのヨーロッパ諸国がこの地域に植民地を設け、イギリスやフランスはもちろん、植民国家としてはあまり知られていないデンマークやスウェーデンもここに植民地を持っていた。
- 私たちはこの機会にスリランカ島もさらに分割することにし、1444年時点で3つの国家が相争うようにした。
- 1444年で新しくプレイ可能となる国家
- Kolathunad:マラバール海岸の貿易王国で、Calicut(以前はMalabarというタグだった)の宿敵。
- Kandy:Kotte(以前はCeylonというタグだった)に従属するスリランカの王国。最終的にスリランカ島最大勢力となったが、植民国家によって支配領域が内陸部に限られるようになった。
オリッサとthe Garjats
- 1444年で非常に興味深い国家なのがオリッサだ。新たな王であるオリッサのカピレーンドラは地方の指導者から新興国家を作り上げ、インド東部全域に対して力を誇示していた。ゲーム開始時点ではオリッサはちょうどJaunpur(ジャウンプル)に率いられた北部同盟との戦争に勝利し、南部のコーラマンデル海岸に進出しようとしている。
- 1.26では、私たちは多くの「Garjat」国家を追加した。これはオリッサに従属するさまざまな部族諸国を表現するもので、オリッサを分解してその一部を構成する。EU4のプロヴィンスよりもずっと小さい国家が多いため、ゲームにおけるスケールではこの地域の国家をすべてカバーすることはできないが、新たな設定ではより適切にオリッサのGarjat地域に対する影響を表現できるだろう。属国の軍の「大群」がオリッサのあらゆる攻勢に付き従い、それによって史実のような功績を立てることもでき、また一方でオリッサ自身が中心地を攻撃されるとどれほど脆弱であるかを表現することもできる。
- 1444年で新しくプレイ可能となる国家
- Ratanpur:部族王国。RatanpurのHaihayasが同じ地域のKalachuri王国やチェーディ王国まで遡る地位を主張している。この2カ国はCK2のインドでプレイできる。
- Patna:Chauhan dynasty(チャウハーン朝)の小さな部族王国。
- Kalahandi:Nagavamsi dynastyの小さな部族王国。
- Jeypore:オリッサに従属する小さな部族王国。
- Parlakhimidi:オリッサに従属する小さな部族王国。1444年時点ではカピレーンドラの息子が統治している。
- Mayurbhanj:オリッサに従属する小さな部族王国。
- Bishnupur:Bishnupur(ビシュヌプル)の君主はベンガル東部で小さな侯国を治める古い家系だ。彼らは史実ではベンガルのスルタン国やのちの大英帝国の従属国としてしばしば登場する。
来週はインド北部とインド全体の新たな貿易ノードの設定について。
コメント
いつも翻訳ありがとうございます。小さな誤字ですし揚げ足取りの様になってしまうのですが、インド亜大陸は(省略)さまざまな点で時台の中心だった、の時台が誤字になっています!
いつもお読みいただきありがとうございます。修正しました。