緑を宇宙へ! 宇宙開発シミュレーション「Kerbal Space Program」

早期アクセス期間中に日本でも名が広まった宇宙開発シミュレーション「Kerbal Space Program」のご紹介。「いまさらかよ」という感じもありますが、とても面白いゲームです。


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概要

  • ジャンル:宇宙開発シミュレーション
  • 発売日:2015年4月28日(早期アクセス版は2013年5月以前のリリース)
  • 販売元SQUAD
  • Steam購入可能(3,980円)
  • 日本語でのプレイ:可能(公式で日本語に対応しています)
  • デモ版あり
  • 日本語WikiKerbal Space Program Wiki

私の認識では2013~14年頃にニコニコ動画に動画が投稿されるなどして広まったのでご存知の方も多いと思われる本作ですが、2017年5月に日本語に対応したとのことで今年のサマーセールで購入したところ、大変面白いゲームでしたのでご紹介します。

なお、ニコニコ動画では「【KSP】 やる夫とやらない夫の宇宙開発 【字幕実況】」というシリーズが、ゲームのバージョンはかなり古いものの、ロケットや軌道操作の基本的な知識が非常に丁寧に解説されていておすすめです。

どんなゲーム?

一言で言うと、宇宙開発をするゲームです。カーバル(上の画像右下に映っているキャラクター。日本での通称は「緑」)たちを準軌道(宇宙空間には出るが周回軌道は描かない)、カービン(カーバルの住む惑星。太陽系で言う地球に相当)の周回軌道、そしてムン(カービンの衛星。太陽系で言う月)へと送り込みましょう! もちろんその後は他の惑星に行くこともできます。

しかしながら、いきなりロケット組立棟に放り出されてもなにをやったらいいのかわかりませんので、まずは「トレーニング」を一通りこなしましょう。ロケットの組み立て、操縦方法、軌道投入のやり方、ムンへの行き方などを学ぶことができます。ただ、トレーニングは簡単ではないので、だいたい操作方法がわかったら途中で投げ出して本編を始めてしまうことをおすすめします。

ゲームモードとしては、「サンドボックス」「サイエンス」「キャリア」の3つがあります。

  • サンドボックスモード:その名の通り好きなパーツを組み合わせてロケットやスペースプレーンを作成できます。
  • サイエンスモード:最初は使用できるパーツに制限があり、天体を調査をして行く中で得たサイエンスポイントを使ってパーツをアンロックしていくゲームモードです。
  • キャリアモード:サイエンスモードのさらなる拡張版で、サイエンスモードと同様に最初は使用できるパーツが限られていてサイエンスポイントでアンロックしていくというもののほか、ロケットやスペースプレーンの打ち上げにはパーツごとに所定の経費がかかるため、その元手を稼ぐためにミッションをこなして報酬を得るというゲームシステムが追加されます。

詳しく

ゲームが始まると、カーバル宇宙センターの全景が表示されます。施設ごとに機能がありますが、上の画像で丸をつけた5つが主な施設です。

ロケット組立棟(センター全景中央の四角い建物)

ここでパーツを組み合わせてロケットを建造し、宇宙センター全景右上の発射場から打ち上げます。もっともよく使う施設です。

スペースプレーンハンガー(センター全景左上のかまぼこ型の建物)

本作ではロケットの他にスペースプレーンも飛ばすことができますが、そうした水平に発進するタイプのものを取り扱うのがスペースプレーンハンガー。ここで建造した機体はその向こう側にある滑走路から発進することになります。

トラッキングステーション(センター全景右下の三角形の施設)

打ち上げたロケットやスペースプレーンが軌道に入ると、操作を一時中断してカーバル宇宙センターに戻ってくることが可能ですが、そうしたときに軌道を回っている宇宙船などの状況を確認できるのがトラッキングステーションです。宇宙を漂うデブリも確認することができます。

研究開発センター(センター全景手前の大きな建物群)

最後に、サイエンスモードやキャリアモードでパーツをアンロックするのが研究開発センター。ここでサイエンスポイントを使って技術を獲得し、パーツを使えるようにしていくことができます。

また、左上の「アーカイブ」という黄色いボタンからは、どのような調査でサイエンスポイントを獲得してきたかというのを確認することができます。

その他の施設

このほかに、キャリアモードでミッションを受注するミッションコントロールセンター、宇宙飛行士の採用を行う宇宙飛行士センター、キャリアモードでさまざまなボーナスを得ることができる運営本部があります。キャリアモードならミッションコントロールセンターをよく見ることになるでしょう。

ロケット打ち上げと軌道投入

では、私がキャリアモードで作成したロケットで、カービン周回軌道に有人ポッドを投入して帰還するまでを見てみましょう。

画像のKSP IVb型ロケットは、ロケット下部の4基の固体燃料エンジンを第1段、中央のロケット最下部に取り付けられた液体燃料エンジンを第2段、最後にロケット中段に設置された大気圏外用液体燃料エンジンを第3段とし、周回軌道を回った後に一番上の操縦ポッドとその下の実験器具類のみが大気圏再突入を行って地上に帰還するというものです。

エンジンの点火、切り離し、パラシュートの展開など、ロケットの行動ステージは画像右下にあるオレンジ色の縦長の枠の「ステージ」というもので制御します。ここをうまく設定してやれば、周回軌道投入やさらに複雑なムンへの有人着陸など複雑な行動を行うことができます(逆に設定し忘れて緑が爆散するのもよくあることです)。

打ち上げ

打ち上げ・操縦画面はこんな感じ。ロケットをいかにうまく目的地に投入するかはもちろんですが、有人の場合はちゃんと生きて地上に帰せるかということも操縦者の腕次第です。

準軌道飛行

画面を切り替えてロケットの軌道を表示することももちろん可能です。これは第1段の固体燃料ロケットを切り離して第2段の液体燃料ロケットで飛行している場面。小さくてわかりにくいですが、現在は山なりの軌道を描いているのがわかります。

遠点(Ap。もっとも天体から遠くなるポイント)付近でロケットを水平方向に向けてエンジンを噴射することで、この山なりの軌道が水平方向に広がっていき、やがてカービンに落下せずに周囲をぐるぐる周る軌道(周回軌道)に入ります。

周回軌道への移行

周回軌道に乗った画像がこちら。第2段の液体燃料ロケットを切り離し、第3段の大気圏外用液体燃料ロケットを使って周回軌道に乗りました。

軌道に近点(Pe。天体に最も近づくポイント)が現れればほぼ周回軌道ですが、カービンはおよそ高度70,000mほどまでは大気があり、空気抵抗で減速してしまって周回軌道を維持できなくなってしまうので、周回軌道に乗せっぱなしにしたい場合は近点の高度を70,000m以上に保つようにします。

この周回軌道に乗った段階で推進剤(右上の「資源」に表示されている酸化剤と液体燃料)が残っていなければ、減速できないのでカービンに帰ってくることができません。救助が来るまで、ポッドに乗った緑は永遠にカービン周回軌道を回り続けます(どれだけ放置してもなぜか緑は生きづつけていますので、その点は安心)。

周回軌道からの離脱

さて、目的は達したので、地上に帰還しましょう。

周回軌道は順行状態(進行方向を向いた状態)で加速すると天体を挟んだ軌道の反対側が膨らみ、反対に逆行状態(進行方向とは逆を向いた状態)でエンジンを噴射する(つまり減速する)と軌道の反対側が縮むという性質があります。また、遠点と近点はちょうど反対側にあり、さらに天体に最接近するポイントが近点ですから、もっとも少ない噴射で周回軌道を外れてカービンの大気圏再突入を行えるのは、遠点において逆行状態でエンジンを噴射することであるというのがわかります。

ということで、遠点まで時間を飛ばして(ゲーム中では時間を早めて進行させることができます)減速したのが上の画像の状態。軌道から近点がなくなっているのがわかります。

なお、ここであまりにも減速しすぎて急角度で大気圏再突入をする軌道に入ってしまうと、減速が間に合わずに地面か海面に激突して乗員が死亡します(機体も当然バラバラ)。ある程度緩い角度で再突入しましょう。

大気圏再突入

大気圏再突入ではパラシュートが開くまで充分に減速できるかが勝負なので、あらゆる手を尽くして減速を試みます(と言っても、充分浅く入れば逆噴射しなくても問題なく減速できるはずです)。ただ、熱対策が甘いと、ここで熱に耐えきれずに爆発するモジュールが出てきたりします。

着陸

私はポッドにドラッグシュート2つ、パラシュート3つを装備しており、最後の着陸の場面ではこれらによる空気抵抗だけで対地速度を5m/s(時速0.3km)前後まで減速します(機体が重すぎると充分減速できないので、そのあたりはうまく設計してやる必要があります)。パラシュートが完全展開すれば、もはや危険はありません。安心して着陸まで見守ってやればOKです。


本作をプレイするようになってから現実の宇宙開発にも興味が出てきまして、ゲーム内の設計の参考のため、最近はJAXAやスペースXのウェブサイトを見たりするようになりました。

もう本作をご存知の方も多いとは思いますが、日本語に対応したこの機会にプレイされて見てはいかがでしょうか。