2022年5月19日、発表時から当サイトで取り上げていた「太閤立志伝V DX」が発売されました。
ゲームの概要
- ジャンル:リコエイションゲーム
- リリース日:2022年5月19日
- 開発元:コーエーテクモゲームス(ゲームの公式サイトはこちら)
- Steam・Amazonなどの小売店で購入可能(Steamでは4,950円。Amazonではパッケージ版(ただし入っているのはSteamキー)が4,510円)
- 公式マニュアルあり
2022年5月28日追記:攻略サイト「攻略! 太閤立志伝5」が復活していました。太閤立志伝V当時にプレイヤーの多くがお世話になっていたであろうウェブサイトです。
日本の戦国時代を舞台に、武士・商人・剣豪・忍者・海賊などのさまざまな職業として生きていくシミュレーションRPGです(Wikipediaによると「リコエイションゲーム」というのはシミュレーション+RPGを指すコーエーテクモの造語とのこと)。
タイトルにもあるようにゲームとしてもっとも力点が置かれているのは豊臣秀吉(ゲーム開始時に選択できるシナリオでは木下藤吉郎)とその周辺ですが、登場キャラクターの「札」を獲得すればゲーム中に登場するほとんどすべてのキャラクターとしてプレイすることができますし、コーエーテクモの他のシミュレーションゲームと同じく、「新武将」として自作のキャラクターをゲームに登場させることも可能です。
本作は2004年3月12日に発売された「太閤立志伝V」のリマスター版で、最初の発売から実に18年ぶりのリマスター版発売となったものです。「太閤立志伝V」はWindows版とPS2版が発売され、その後PSP版が発売されていましたが、いずれも近年のPCやコンシューマー機では遊ぶのが困難になっていました。
難易度としてはかなり低めですし、戦国時代のさまざまな分野(上に書いたように武士に限らず商人や剣豪など)の有名人としてプレイできるゲームなので、「戦国時代は好きだけどシミュレーションゲームみたいな小難しいのはちょっと……」という方でも楽しめる一方で、ちゃんとシミュレーションゲームとしても遊べる内容になっており、間口の広いゲームだと思います。
私は「太閤立志伝V」PS2版・Windows版にどっぷりハマり込んでいた口で、リマスター版発売というだけでうれしかったのですが、プレイしてみるとやはり今でも面白く感じられるゲームでした。18年前のゲームではありますが、未プレイの方が今始めても十分楽しめるゲームなんじゃないかと個人的には感じます(もちろん私は既に以前からファンだったので、ファンの欲目と言われるとそういう部分もあるかもしれません)。
なお、本記事で取り上げるSteam版にはイベントコンバーター(イベコン)というユーザーが作成したイベントをゲーム内に取り込むツールが付属しています。これは「太閤立志伝V」のWindows版にもあった機能で、当時作成されたユーザー作成イベントの多くは現在でもイベコンを通じてゲーム内で使用することができます。
ゲームの流れ
ゲームを始めると、まず5人の主人公の中からプレイキャラクターを選ぶことになります。ここで示されている武士・忍者・剣豪・海賊・商人が本作の主なプレイ方法で、他に医師・茶人・鍛冶屋がありますが、この3つは武士・忍者・剣豪・海賊・商人プレイと同時に行うことができる、いわば副業のようなものです。
最初から忍者プレイや剣豪プレイをしても問題ありませんが、ゲームとしてもっとも力が入っているプレイスタイルはもちろん武士なので、ここでは木下藤吉郎で始めます。
キャラクターにはさまざまな要素が設定されていますが、重要なのは能力と技能です。能力は他のシミュレーションゲームによくあるもので、ゲームを通じて大きく変わることはありませんが、技能はゲーム中で上昇させることができます。
環境設定などを終えてゲームを始めると、木下藤吉郎が主君である信長から足軽組頭に任命されるイベントが発生します。この後、前田利家が武士プレイの基本となる評定の説明をしてくれます。
本作は元が18年前のゲームにしてはチュートリアルに力が入っており、最初の5人の主人公でゲームを始めるとこのようなゲームシステムの説明が各所で行われます。
評定では自分の身分とその評定での方針によって、さまざまな主命(こなさなければならないクエストのようなもの)から行うものを選択します(主君から命じられる場合もあります)。ここではなんらかの技能を上げる必要がある「修業」を選択。主命を受けた後は60日以内にその主命を果たして主君に報告しなければなりません。
技能を上げるには技能師事を行う必要がありますが、藤吉郎は先ほど指南役となってくれた前田利家と既にある程度親しい関係にあり、技能師事を受けてくれます。足軽と弓術の技能なら教えられると言われるので、ここでは弓術を教わることにします。
弓術の師事ではこのような的当てのミニゲームが始まります。ミニゲームは師事する技能ごとに内容が異なりますが、開始前に説明を読むことができますので、なにをやったらいいかわからないということはないはずです。
この的当てでは矢の発射角度と弓を引く強さを設定して矢を発射し、決まった矢数でなるべく多くの的を射抜くのが目標です。ミニゲームは対応する能力値が高いとクリアしやすくなり、結果として技能を身に着けやすくなっています。
うまくやると技能レベルが上がったり、このようにさまざまな札(戦闘での特技や特定の行動を行うときにボーナスを付与したりするもの)が入手できます。
上の画像では師事を複数回行って弓術技能のレベルを0→2まで上昇させました。弓術技能は合戦で足軽を率いているときの遠隔攻撃能力に影響する技能なので、合戦で活躍したい場合は早めに上げておきましょう。
主命「修業」はいずれかの技能を1上げれば足りますが、今回は弓術を2上げたので主君である信長に報告すると「素晴らしい出来ではないか」と褒めてくれますし、武士勲功も通常の倍の分だけ上昇します。
武士勲功を一定以上まで貯めると身分が上がり、より重要な主命を受けられるようになります。自分が家老になっているときに所属大名家が一定以上大きくなると、城主に任命されることがあり、ひとつの城を任されます。城主になると評定に参加する側ではなく評定を開いて主命を与える側になり、評定を開催するタイミングも自分で決められるようになります。
さらに武士勲功を積むと国主となり、複数の城を任されることになりますが、このあたりの流れは藤吉郎でプレイしていく中で自然にわかるようになるはずです(ならない場合もありますが……)。
ここまでの流れが武士プレイの基本的なサイクルです。毎年奇数月1日に行われる評定で主命を受け(あるいは合戦が行われ)、2か月以内に主命を果たして報告し、余った時間で技能を上げたりお金を稼いだり他のキャラクターと仲よくなったりし、また次の評定で主命を受ける……というサイクルを繰り返して大名家の中で出世し、天下統一を目指します。この評定→主命遂行→その他の活動→評定→……というサイクルは、多少の違いはありますが忍者・海賊・商人でも同様です。
こうしたサイクルの中で、さまざまなキャラクターの主人公札や特技札などの札を集めていくと、新たなシナリオや新武将作成機能などの新機能が徐々にアンロックされていきます。遊んでいくことによって徐々に機能が増えていくというのも本作の楽しみのひとつと言えるでしょう(イベコンを使って即座に全札コンプリートも可能ですが、やってみたところ私の場合はゲームが急につまらなく感じるようになってしまったのでおすすめしません)。
イベントコンバーター
Steam版にはイベントコンバーターという機能が付属しており、ユーザーが作成したイベントをゲーム内に取り込むことができます。詳しい使い方はイベコンのヘルプ(右側のメニュー最下段からもアクセスできます)をご覧いただくのがいいと思いますが、「太閤立志伝5イベコンwiki」のクイックスタートのページでは簡単な使い方と一緒に旧版時代に作成されたユーザー作成イベントのアップローダーも紹介されています。DXになって旧版時代のユーザー作成イベントはそのままではイベコンを通らないものも多くあり、そういったものは自分で直す必要がありますが、説明を読めばそこまで難しくはありません。
手動でファイル移動を行う手間があるため、Steamワークショップ経由で手軽にModを入れることができる近年のゲームほどの利便性はありませんが、上記のクイックスタートページで紹介されているアップローダーでは既にDX向けにさまざまなイベントが投稿されています。今後イベコンに関わる人口がどれほど広がるかはわかりませんが、大きく広がっていってくれることを期待したいところです。
UIについて
最後に、Steamで「賛否両論」となっている評価を見て購入を迷っている方もそれなりにいらっしゃるのではないかと思いますので、Steamのレビューで問題視されているUIについても触れておきます。
多くのレビューでUIが劣悪であるということが書かれていますが、個人的にはレビューに書かれているほどひどいUIとは感じませんでした。
「太閤立志伝V DX」はSwitch版も同時発売なので、おそらくSwitch版メインで開発されてそれをPC向けにも遊べるようにしたものなのだろうという印象をUIから受けますし、合戦が冗長に感じたり、改善できるであろう箇所があるのも確かですが、それを差し引いても当時コアなファンが着いただけのことはある本作の面白さはDXでもきちんと感じられます。
どんなものか気になるという方は、既にYoutubeに数多くプレイ動画がアップロードされていますので、実際にどのようなものか見てみるのがいいのではないかと思います。
おそらく10年ぶりくらいに太閤立志伝Vを遊びましたが、やはり今遊んでもハマれるゲームだと感じました。ベースは18年前のゲームのはずですが、あまり古さも感じません(というのは18年の間に私も年をとったからかもしれませんが……)。
ツイッターなどを見ていると「(おそらくSwitch版について)売り切れていて買えなかった」という投稿を多く見かけますし、上で紹介したAmazonでもWindows向けパッケージ版の発送が6月以降になっているなど、パッケージ版は在庫がなくなっている程度には売れているような印象を受けます。「太閤立志伝V」発売時にはおよそ半年で8万本だった1ということを以前の記事で書きましたが、DXはそれ以上にしっかり売れて「太閤立志伝VI」につながらないかなと期待してしまいます。
コメント
1560年の秀吉で開始しましたが、途中から有力武将がみんな城主になって出ていき、城に残った弱い武将をAIが指揮する攻城戦では浅井朝倉の城を攻め落とせずに詰んでしまいました……
秀吉の忍術を上げて合戦時に城壁爆破の特技を使うとなんとかなりますよ。
千成瓢箪→貯まれば城壁爆破でいけますが、忍術と軍学が高くないと城壁に与えるダメージが少ないのでキツイです。
それでも駄目な場合主命の時に調略になるまで意見、またはセーブ&ロードして城壁破壊工作を何度か受注して成功させると大分合戦時に敵城壁が柔らかくなります。頑張ってください。
野戦に持ち込めたら相手総大将を城から離れさせて撃破するのが簡単
兵数が少なくて城に籠るなら、忍者の援軍を呼ぼう
何か元のゲームから改悪されたという感じはしないので、単純な移植じゃ今やるには色々キツイって事なのでしょう。
自分もPC版をプレイしていますが、城主以上になって配下が増えると各武将に指示を出すのがかなり大変になってきますね。武将プレイができるのは三国志シリーズでもいくつかありますが、ここまで面倒なのはなかったような気がします。
記事でUIについて触れられていますが、UIのダメな所がよく出ているのは、評定>人事>昇進のところだと思います。昇進画面では対象武将の一覧が表示されるわけですが、この後の流れが「武将を選択→武将の詳細画面が出るので決定ボタンを押す→その武将が昇進対象として選択される」となっています。ここ、普通なら「武将を選択→その武将が昇進対象として選択される」だと思うんですよね。
ユーザー作成イベントで笑ったのは「足利義氏が(プレイヤーに)村雨を奪われたら、用済みと判断されて北条氏によって暗殺される」というものでした。
18年もあって6が作れないことが異常
文句無しの良作である事は確かだけど流石に18年のブランクは大きいし、昔のまま出すとちょっと各所で物足りない感じがするのも確か。ちょいちょい新武将や新特技も追加されてるけど足利幕府勢が覚える威風堂々は兵力差を簡単に覆してしまうバランス崩壊特技だし新武将は最近の顔グラの人がいるせいで昔の顔グラの人達と比べるとめちゃくちゃ浮く(特に土居清良)
パラドみたいにこれからのアプデで少しづつ仕様追加してくれると嬉しいけどコーエーはそういう開発スタイルでも無いしなあ…
steamコミュのスクショみてたら、中国人が新武将で野獣先輩作ってて草
当たり前だよなぁ?
なんて腰が引けた記事か
旧pc版を十分遊んだならそれと比較してuiが同等なのか劣化しているのかそれすらもコメントできないのか
こんなものレビューでもなんでもない
旧PC版と比べてUIがどうだったのかは本作のレビューに必須の要素と考えていません。本レビューは第一にこれから太閤立志伝VDXを遊ぶ新規プレイヤーに向けたもので、新規プレイヤーにとっては旧PC版のUIがどうだったかは関係がないためです。
また、UIに問題があるとしてもそれほど重要視するほどのことではないと考えています。現在の環境で太閤立志伝Vが遊べることのほうがずっと大きな利点でしょう。
いずれにせよ、本記事をお読みいただきありがとうございました。
実際UIは言われるほど大した問題ではないよ
どちらかというと気になるのは動作がやや重いところで、マップ上では画面表示を簡易に設定しないと移動にかなり影響が出るし、何度も見ることになる評定もマウス操作だとスキップ手段がなくて(!)テンポを損なってる
まあコンシューマ版基準と考えるとこんなものかもしれないけど、ここは何とかして欲しいところ