「Victoria 3」開発日記#43が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回はアメリカ南北戦争について。本体発売前の開発日記です。
開発日記
開発日記#43は、アメリカ南北戦争について。
南北戦争前のアメリカの動揺は、奴隷制を中心としたものだった。
- 南北戦争の中心は奴隷制度だった。こうした歴史解釈は十分な証拠に基づいた堅固な基盤の上に成り立っており、「Victoria 3」はアメリカ南北戦争の基礎としてこのアプローチを採っている。
- アメリカ合衆国(The United States of America)は既にジャーナル記事(Journal Entry)が進行中の状態でゲームを開始する。1830年代は既に奴隷制の問題をめぐる国民的議論が盛んだったが、暴力はエスカレートし始めたばかりだった。この時点の国家全体でできることは、奴隷制廃止論者と賛成論者の圧力のバランスをとり、エスカレーションを抑えるか、どちらか一方をしっかり支援することだ。
アイオワは奴隷制を巡る戦いの最前線となり、どの選択肢を選んでも動揺が高まる。
- 宥和政策や和解政策でも、緊張の高まりを完全に止めることはできない。どの選択肢を選んでも緊張が高まるイベントもある。この選択肢の主な違いは、その後の政府の行動によって誰を怒らせ、誰をなだめるかを決めることだ。
- 緊張が高まれば暴力も増え、イベントはさらに対立的なものになる。初期のイベントは一人の上院議員の発言やある都市での一人の死についてのものだが、問題が長引くとどちらかが譲歩するまで事態はますます悪化していく。新聞の討論は上院での議論に変わり、それが鞭打ちに変わり、人々はパンフレットによる運動をやめて民兵組織による作戦を始める。
奴隷制廃止はアメリカで反動的な運動を引き起こす可能性が高い。
- 奴隷制をめぐる議論を終わらせるもっとも単純な方法は奴隷制を廃止することだが、これには大きなリスクが伴う。こうした法律が成立する可能性に反発して、政治運動が起こるかもしれない。もちろん、奴隷制を廃止しないことによって奴隷制廃止を明確に主張する運動が起こる可能性もあり、これにも問題がある。
南北戦争を早期に引き起こしたのは少し異なる州の分離独立だった。フロリダにはアメリカ連合国の基礎となった戦前の運動に参加する奴隷制支持者がそれほど多くいなかった。
- よりダイナミックなアメリカ南北戦争を実現するため、私たちは革命システムを南北戦争に使用することにした。奴隷制をめぐる革命が勃発したときにジャーナル記事「奴隷制を巡る議論(Slavery Debate)」が有効であれば、革命政府は分離独立政府に変わる。
- 分離独立はどの州が奴隷制維持や奴隷制禁止の急進派運動に加わるかによって決まる。つまり、分離独立政府の強さは革命勃発前にどの利益集団が急進派運動と手を組むかによって大きく変わる。奴隷制支持派の利益集団が自身の急進化や革命の前に繰り返し強化された場合、その分離独立主義派は多くの州を支配するが、その影響力を繰り返し制限されていた場合、戦争勃発時のその政府はずっと小さなものになる。
もちろん列車を中心としたイベントがある。
- 戦争自体にもイベントがあり、勝利の追求を複雑にしたり、ユニークな機会をもたらしたりする。国境を越えて略奪者が跳梁跋扈して混乱を引き起こす一方で、分離独立派の支配地域の連邦主義支持者や連邦派の支配地域の分離独立主義支持者は、戦争が続く限り地方政府の権威に挑戦する。分離独立派が奴隷制支持だがアメリカ合衆国がまだ奴隷制廃止を完了していない場合、合衆国にはある宣言によって法改正を急ぐ特別な変更手段がある。
再建は内戦がどのように行われたかによって変わる。
- 戦争それ自体は通常どおりに展開する。分離独立派が勝利すれば北アメリカに新国家が樹立される。しかし合衆国が勝てば、再建(Reconstruction)が行われる。再建は長く、さまざまな過程がある。誰が戦ったのか、どんな法律が成立したのか、戦争終結時のアメリカ全体の形によって、出現するジャーナル記事はさまざまだ。解放民局(the Freedmen’s Bureau)の設立と平等の大義の追求は奴隷制と戦ったときにのみ意味を持つ。逆に言えば、再建の目標が複数あって、互いに矛盾することもあり得る。
内戦が終わった後も暴力のエスカレートは脅威だ。
- 再建は困難なものになる。史実でも欠点のない円滑な過程ではなかったし、ゲームでも同じだ。戦前の政治力を取り戻し、人種の優越の考え方を社会に強いる反動的な連合の抵抗に対して、再建の目標のバランスをとる難題があった。平等の追求はこうした人々を疎外し、統治をより困難に、より高くつくようにする一方で、彼らの機嫌をとることは再建の基盤を弱体化させ、ゲームの残りの期間に争わなければならない別の疎外された人々を生み出す。すべてのステップが政府と民衆の福祉に対する挑戦であり、再建は荒々しいものになる。
辺境の正義は厄介なものだ。
- 戦後の混乱は戦闘が行われた場所に限られず、政府の中枢から辺境の地まで国家全体に及ぶ。こうした多くの難題に国家がどう対処するかはプレイヤー次第だ。みなさんはどんなアメリカを作りたいだろうか?
質疑応答
Q:南北戦争は関税と貿易法をめぐる議論に端を発しているのでは?
A:関税の危機が分離独立につながるのは素晴らしいが、今のところそれはアメリカ南北戦争のコンテンツに含まれてはいない。奴隷制の問題だけに固定されている。
Q:Vic2みたいに南北戦争期のブックマークはある?
A:魅力的なものであることはわかるが、1836年について大量のPopやリーダーの調査を行い、データベース構築を行っており、1861年の分に同じことをやりたくはない。
来週は戦争の戦い方について。
次回:開発日記#44――戦闘
コメント
ゲーム内の歴史に物語を持たせることを考えると南北戦争のテーマを奴隷解放に絞るのはとても良いと思った。
他の大規模な史実イベントにも期待。
ゲーム開始時からトリガーしてるのは気になるかも
「ほとんどの確率で起こる」、あるいは「順当にプレイすれば起こる」と「発生が確定している」のは大きな違いがありそう。Vicエアプだから歴史の追体験がVicの核だよ!って言われるかもだけど自由な歴史を描くのは難しそうな気配
Vicシリーズは歴史の追体験に焦点を当てたシリーズではないから
ゲーム開始時から南北戦争をトリガーしているのは開発日記にある通り1836年時点でアメリカの南北間対立が深刻化していたからだと思う
清やオスマントルコの崩壊がトリガーされてる理由と同じ
ただそれらより避けるのが難しそうには見える
> 1836年について大量のPopやリーダーの調査を行い、データベース構築を行っており、1861年の分に同じことをやりたくはない。
リアル3Dキャラクターも作らないといかないしねぇ…
CK3でも2通りしかブックマーク無いのはリアル化基調の犠牲ということなのか
南北戦争の争点を奴隷制に絞るってことは、CSAでプレイすると独立達成後が地獄になる予感
奴隷制維持のための戦うのに、奴隷制を維持するメリットがプレイヤーにはほぼほぼ皆無っぽいのよな
わかる
時流的に無理かもしれないけど「奴隷制のメリット」がなければ元々成立してないわけだからね…
そこを見ない振りしたらそれこそ現代の尺度で過去を評価する反歴史的な内容になっちゃうし
>農業/プランテーションに注力する経済を保とうとしていて、なおかつ労働力不足に悩む国家では、人的損失に耐えて抵抗を押し潰せるなら奴隷制の残酷な経済性が有利に働くかもしれない。
(開発日記#15『奴隷制』より)
ただVicシリーズの一般的なプレイングとの相性が最悪なだけで態々CSAでプレイしようというプレイヤーのプレイスタイルには合致するものがあると思う
奴隷制維持派が勝っても反奴隷制の国に戦争ふっかけられて奴隷制撤回みたいな元も子もない結末に陥らないといいが
ゲーム的には南軍が勝利することで分離するメリットないよね。南部分離後スーパー国家になってなおかつ一度の戦争で合衆国統一できない限りは