「Stellaris」の開発日記#239が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回はAIについて。3.3リリース前の開発日記です。
開発日記
開発日記#239は、AIについて。
- この開発日記にはベータ版のずっと前の変更とスクリーンショットが含まれるが、ベータ版には含まれなかった新しい変更もある。3.3ではまだ新たな変更点がみなさんを待っている。
Popの職業システムの変更
- 3.3では毎月の更新時に、すべての惑星の職業を更新する。更新時にはひとつの職業で最大1Popのみを取り除いたり追加したりする。
- 3.2では職業の重み付けの計算に冗長な呼び出しがあり、そうしたものを可能な限り取り除くことで、職業の重み付けの計算を約75%削減した。また、同種族・同職業の場合は重み付けを再利用するようにした。これによっていくつかの制限がつくことになり、例えば個々のPopデータに基づいて職業の重み付けをするのは安全ではなくなった。
- 新たなシステムではピンポン動作を引き起こすことなくそれ自体に依存する職業の重み付けの計算スクリプトを書けるようになった。例えば、快適度を産出する職業は惑星の快適度に基づいて重み付け計算ができるようになった。
自国のPopにとっての職
- 3.3ではAIがどのような仕事を作るか決定する際に惑星を認識する方法を変えている。惑星の空いている職業枠を見てその数が少ないときにさらに職業枠を作るのではなく、実際に失業しているPopを見てそのPopが実際に働ける職を作り出す。
- これは3.2で見られたような、AIが奴隷やロボットなどのPopに対して適切な判断を下せない問題を解決するもので、今後も検討を続けるが、正しい方向への大きな第一歩だ。
AIの経済に関する変動する副次的計画
- 3.3では基本的な経済計画は非常に小さくなり、鉱物・エネルギー・食糧のような特に必要なすべての種類の資源について、最低目標を設定する(月収+20のような)。こうした目標が達成されると、次に少量の消費財・合金・研究点の目標を追加する。
- こうした基本的な計画のすべてが達成されると、変動する副次的計画が有効化される。これは達成するたびに何度でも追加されることを除けば、他の経済プランと同様だ。変動する計画はエネルギー/鉱物を少量含むが、主に合金と研究点を含む。つまり、AI経済が成熟するほど基礎資源への注力度合いは小さくなり、軍事と研究点の産出に主な重点が移るということだ。
- さらに、私たちは3つの異なる条件付きの変動する副次的計画を追加した。AI経済をより個性的にするための第一歩として物質主義・軍国主義(と完全な戦争帝国)・精神主義帝国で有効化されるもので、さらなる研究点・合金・統合力の目標を経済計画に追加する。
- 2422年までに難易度元帥(Grand Admiral)の集合意識帝国で合金が月収+3k、研究点が月収+22kに達したテストランがあった(スクリーンショットは統合力の見直し前のもの)。
AIの区域・建造物の特化
- AIには長期的な計画性はないが、過去に建設した区域を建て替えることで特化惑星を作ることができる。例えば、採掘区域と発電区域が5つずつある惑星が2つある場合、一方は採掘区域10、もう一方は発電区域10になるまで、一組ずつ区域を入れ替え、徐々に特化させていく。
- このアプローチは実際にうまく機能する。AIはゲーム序盤にハイブリッドな惑星を作り、帝国が拡大するにつれてより特化した惑星にしていくという意味で、非常にダイナミックでもある。
AIの消費財/合金の生産と開発構想(designations)
- 3.3では手動で惑星開発構想を選ぶAIシステムを追加した。このAIシステムは各惑星の利用可能な開発構想を見てその構想から毎月の資源収入を計算する。そして、得られる資源がAIの経済計画にどれだけ合致しているかで各構想に点数をつけ、経済目標に整合的な高層には追加の点数を与える。
- 例えば採掘区域しかない惑星では明らかに採掘の開発構想を選ぶが、工場惑星や精錬惑星のような開発構想はより複雑で、AIは経済のバランスを保つ手段の中で慎重に選ぶ必要がある。
- 集合意識でない帝国の消費財と合金の生産はこれまで直面したAI経済の最大の課題だ。AIはどちらの資源も自分の経済計画に合わせて個別に生産する必要があるのに、この2つは同じ区域から3つの異なる方法で生産されるためだ。これは間違いなく厄介な問題で、将来的にさらなる調整が必要になるだろう。
AIの合金消費
- 3.3ではAIの合金の消費優先順位は以下のようになっている。
- 艦隊上限に達するまで艦船を建造
- 星系基地モジュールの建設
- 新たな星系基地の建設
- 星系基地のアップグレード
- 30%以上の艦隊戦力増加がある場合は艦船(と防衛プラットフォーム)のアップグレードを行い、造船所にいる間にその艦船が所属する艦隊全体をアップグレードする
- 最後に防衛プラットフォームを建設する
AIの技術の選択
- 3.3ではゲーム内のすべての技術を調べ、AIの優先順位を一から作り直し、AIがゲーム中盤から後半にかけて拡大するのを助ける技術を重視するようにした。例えば、資源生産をブーストする技術、Pop成長に関する技術、資源生産の建造物に関する技術がより奨励されるようになった。
- さらに、AIは他の選択肢に比べて安価な技術を好むようになった。これによってAIは用可能な選択肢をより迅速に選び直し、本当に好む技術を見つけられるようになった。
AIの不必要な破壊
- AIはそうすることで職・住居・建造物スロットをもたらす場合、不必要なものを削除する。こうしたことはAI帝国が他の惑星に侵攻し、そのPopを粛清したときによく起こる。
AIの独善的な奉仕機械(rogue servitor)とバイオトロフィー
- 3.3では国是「独善的な奉仕機械」についてAIを対応させ、バイオトロフィーPopの扱い方を追加した。AIは首都建造物をアップグレードした各惑星に有機生命体の聖域(organic sanctuary)を建設し、バイオトロフィーを他の惑星に拡散させるようになる。
- さらに、私たちはGaia Seeders・spawning pools・chambers of elevationのような特殊建造物をAIが建設できないことに関連するバグに対処した。
AIの比較
- 最後に、3.2と3.3のAIを比較したグラフをご紹介する。以下は難易度少尉(ensign)と元帥の1回ずつのテストランであることに注意してほしい。この比較は証拠として解釈されるものではなく、3.2と3.3の間で変わったことを示すものだ。どのAIの通しプレイでもランダムな要因によってAIの性能には大きなばらつきがある。また、この実験の設定は内部でのAIテストにのみ使用されるもので、実際のプレイを代表するものではない。
- 実験の設定
- 小銀河(Tiny galaxy)
- AI帝国1個
- すべてのテストはUnited Nations of Earthを用いる
- ゲーム中盤・終盤は2575年・2600年に設定し、トリガーしないようにした(注:危機の発生を指していると思われる)
- マップは3.2と3.3の比較では同じだが、難易度少尉と元帥のテストでは同じではない
- 3.2と3.3の難易度少尉の比較を見てみよう。100年目までは軍事力がほぼ同じだが、それ以降は私たちの作業の成果が中盤から終盤にかけてAIのスケーリングで表れている。これにより、ゲーム終盤ではAIが以前よりもずっと面白く振る舞う。
- 150年頃に3.3(「develop」)のAIはゲーム中の全技術を研究したために星系基地上限に到達し、軍事力の増加ペースが鈍っている。
- 3.2のAIは100年目以降30年ほど経済の死のスパイラルに入り、その後脱出して大規模な経済成長を遂げ、30年ほどかけて蓄えていた合金により上限まで星系基地を迅速に建設した。
- 200年目にはこの2つのAIの軍事力の差は小さくなる。どちらのAIも星系基地上限に達し、艦隊上限を超えて高くつく艦船を建造することになっているためだ。200年目の戦力差は主に3.3のAIが優れた技術を持っていることによる。
- しかし難易度元帥ではAIは貿易価値の強化を正しく受けていないことが判明した。適用された場合、AIはプレイヤーにとってより挑戦的なものになる。
- 難易度元帥と少尉では最初の100年はほぼ同じで、その後差が大きくなるという似たようなパターンが見られる。しかし元帥のテストでは軍事力の成長曲線が星系基地上限に達すると平坦化するため、3.3のAIのスケーリング上限が150~200年頃に見える。
質疑応答
Q:この変更はオープンベータにもう入ってる?
A:半分以上は入ってる。
コメント
さぞ訳すのが大変だったに違いない
序盤の速度は変わらないから、絶滅主義だとai強化の実感を得にくいかも?
銀河皇帝プレイなら、内政のやりがいが格段に増えてるかな
ちゃんと実装されたら楽しくなりそう
ただPopを弄るMODがかなり使えなくなるかな?