「Hearts of Iron IV」開発日記2021年10月13日分が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回は将校団のまとめとAIの改善について。1.11「バルバロッサ」リリース前の開発日記です。
前回:開発日記2021年10月6日――「No step back」AAR:ポーランド未だ敗れず
開発日記
開発日記2021年10月13日は、将校団のまとめとAIの改善について。
- 個々のシステムや機能の一部に目を向けるときは細かいところにばかり注目しがちだ。毎週、これまでに部分的にご紹介してきたコアシステムの概要と、最初にご紹介したときからの変更点を述べていく予定だ。これに加えて、「No Step Back」のAIに加えられた変更点にも触れるので、そちらが気になる方は最後までスキップしてほしい。
将校団の概要
- 軍種の長、理論家、最高司令部は将校団画面に移動しているが、アクセスしやすいようにこれまでどおり国家概要画面からも表示や任命が行える。このような変更はプレイテストの際に出てくるもので、同様のものをまとめることは理にかなっているが、プレイヤーの期待するプレイの流れを変えるべき理由にはならなかった。
- 顧問の任命方法にも少し変更がある。私たちは将校団の開発過程で、理論家ではない顧問が持つ「ランク」(専門家(specialist)・達人(expert)・天才(genius))をより重視することにした。顧問のランクの高さによって減少する一律の指揮力配分(指揮力の最大値の減少))を追加したことに加えて、より高いランクの顧問では政治力コストも上昇するようにした。
- 軍種の顧問は毎日経験値をもたらすため、戦争前の軍の発展のためには幹部をうまく配置することが極めて重要になる。さらに、ドクトリンは研究ラインではなく経験値を消費するようになった。
- 「No Step Back」の所有者は各軍種を軍の精神(Military Spirits)の形で特化させることができ、これは経験値でアンロックできる。しっかりバランスをとった選択肢を作るには数は少ないほうがよいということに開発中に気づいたため、各カテゴリーの選択肢数を6つ程度に制限した。各カテゴリーは士官学校(Academy)・兵役(Military Service)・司令部(Command)をテーマとしている。選択肢に微妙な差異を持たせるため、各カテゴリーに状況に関する要素(イデオロギー、ドクトリン、まれに国家の選択など)に応じた選択肢を用意している。
- 強力な将校団を育成する上でもっとも重要なことは、信頼できる司令官に顧問の役割を与えることだ。実際の戦闘で獲得した司令官特性が特別な顧問の役割を持つ資格となり得る。この方法で顧問に昇格したキャラクターは、司令官としてのレベルが上がるにつれて顧問のランクも上がる。
- 最後に、優先する戦術のウェイトに関するシステムをご紹介する。これは国家レベル・元帥レベル・司令官レベルで優先する戦術を設定するもので、戦闘時にその戦術を選択する確率を加重できる。国家レベルの優先する戦術はコストを支払って変更できるが、司令官や元帥の優先する戦術の選択は永続的なものだ。これは特定の理論の信奉を表現している。
- もちろん、将校団に合わせて新たなアラート、資源ツールチップの改善、敵国の情報録へのこうした情報の追加など、細かな変更点も多くある。
AI
AIの前線の優先順位を評価する新たなゲーム内ツールのひとつ。こうしたツールはMod制作者も利用でき、strategiesやdefinesを使って自身のニーズに合ったAI調整が行える。ここではAIが最上位の防衛命令を評価し、最低7個師団、「理想的」には8個師団、最大50個師団を要求している。防衛命令は「理想的」なユニット数の変動が大きい傾向にある。他の場所で必要のないユニットで構成するため、非常に弾力的になっている。
- 「La Resistance」開発中に、Mod制作者やユーザーがさまざまな内部データを見ることができる、imguiによるさらなるツールの開発に着手した。NSBではこのツールの追加と将来のAI開発へのサポートにかなりの時間が費やされ、AIの挙動などをより簡単に反復できるようにする基礎ができた。
- ここで行われた作業の多くは将来のための投資だったが、AIが部隊を投入する場所などの評価方法に大きな変更を加えている。AIに関して客観的な改善点を示すのは難しいが、今回のリリースで改善を狙った以下のようないくつかの重要な領域がある。
- 特化した師団の使用:装甲部隊や特殊部隊を適切な戦線に配置するAIが改善された。実際には装甲部隊を不適切な命令(守備や純粋な防衛線など)に割り当てているのを見かけることが減り、山岳部隊を適切な地形種別を持つ前線で使用するようになるはずだ。
- ユニットのウェイト配分:新たな補給システムに合わせて、ユニットを配置する場所の評価AIが全面的に見直された。実際にはAIがより多くの部隊を重要地域(港や海岸)の防衛に投入するのを見かけることが増え、前線の有効な補給状況をより気にするようになり、他の場所で前線が優勢でも自国の中核領土では縦深防御のようなものを作るようになる。
モスクワが陥落した後、東進するにつれて補給状況はとても悲惨なものになり得る。
- AIが前線のユニット配分を評価する際に、補給を注意深く考慮しているのがわかるだろう。前線の理論上の補給能力をAIが超過するという状況はある。防衛線が数的優位にある敵と接している場合や、AIが戦争に早く勝つ必要があると判断した場合は特にそうだ。
- 上陸作戦:AIの上陸作戦のロジックは大幅に改善された。全体的により大規模であまり頻繁ではなくなった。AIは沿岸防御の弱点を利用するようになり、一般的に戦域を支援する上陸しようとするようになった。これは非常に恐ろしく、私たちは何度かこの新たな機能を弱めなければならなかった(もちろん調整して元に戻すこともできる)。
- カウンター:テンプレートを切り替えたり、特殊なテンプレートを作成する「適切な」時期を決めるのは難しいが、駆逐戦車のような特化した師団を関連する状況で利用する主要国のロジックを改善した。AIはプレイヤーがぶつけてきたものをもう少し気にするようになるはずだ。
- 緩衝前線:一部のAIの戦略は緩衝前線を使用する。これは特別に定義された地域防衛命令で、国家の師団の一定割合を要求して配置する。通常の守備命令と異なるのは、こうした戦線は近隣の前線や上陸作戦にユニット割当数を「貸し出す」点だ。
- 例として、上のヒートマップは「オーバーロード」作戦数か月前のアメリカ陸軍の配置を示している。アレクサンドリアとイギリスに駐留している部隊はヨーロッパの前線に補充する緩衝戦線を使用しており、遠方から部隊を移動させる必要がないようにしている。画像では(やや時代錯誤的な)ギリシャ領の防衛がアレクサンドリアの緩衝戦線によって補充されているのがわかるが、この緩衝戦線は順にアメリカ本国から師団の補充を受けている(地中海を経由して到着する)。
質疑応答
Q:イギリスのAIは自国の島を無防備にしたり形だけの守備隊を置くのではなく、常に守備隊を置くようになった?
A:それは実際にはバグだったので修正した。
Q:AIはさまざまな地形の戦闘正面幅にどう対応するの?
A:どういうことを言っているのかわからないが、以前から正面幅に関する基本的な処理は行われていた。AIは地形の正面幅の変化を考慮してテンプレートを更新する。
Q:将軍の顧問ランクを上げるにはなにが必要なの?
A:純粋に司令官レベルと関連している。専門家・達人・天才はそれぞれ4・6・8だったはずだ。
既に実装される機能の紹介は終わっていてリリースはかなり近いと思うのですが、開発日記は今まで紹介してきた機能の振り返りを始めるとのことなので、先週サブ開発日記で紹介された戦闘に関する調整かなにかで問題が起こっているのかもしれません。
年内発売とするとリリース後のサポート期間も考慮して遅くとも12月上旬リリースとなるはずで、そうすると11月半ばまでには発売日を発表することになる(直近の大型DLCであるLaRは32日前、その前の大型DLCであるMtGは20日前であるため)ように思いますが、どうなるのか注視したいところです。
コメント
ブリテンをがら空きにするAIがようやく改善されるのか嬉しい
ついでにドイツAIのアシカ作戦発動をもうちょっと積極的にしてくれると嬉しいんだが
Stellarisも(こっちは内政だけど)AI改善するって言ってるし、どこも頑張って欲しいな。ソロ専だからやっぱりAI改善には期待してしまう。
ようやくあのアホAIが改善されるのか
インドネシアやフィリピンさえ落とせない日本はつまらない
1.10台のAI日本は強かったと思うけど
放置してたらオーストラリアまで落とす可能性が高い
AIの山岳師団が平地を守ってたりしてすごい気になってたんだよなあ
根本的な改善というより、改良という感じっぽいけど楽しみ
上陸作戦や上陸阻止がやたら上手いAIは確かに恐ろしいな…。現行バージョンの上陸作戦への対処さえも迅速すぎる印象。
イギリス本土がガラ空きなのがバグなら、アプデまでどうプレイすればいいんだ