「Victoria 3」開発日記#10が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回はインフラについて。本体発売前の開発日記です。
前回:開発日記#9――国内市場
開発日記
開発日記#10は、インフラについて。
ミンスクは現地のインフラをやや超過しているが、人口が多く、主に食糧を生産しているので、鉄道が敷かれるまでは産業も消費者も問題ないだろう。
- インフラはゲームの経済シミュレーションにおいて重要な機構であり、商品の陸運コストをシミュレートし、大規模な工業化を支えるのに必要な基盤となるものだ。
- では、インフラとはなにか? インフラは各ステートが持つ2つの値で表現される。すなわち「インフラ(Infrastructure)」と「インフラ使用量(Infrastructure Usage)」だ。この2つが市場アクセスを決める。そのステートのインフラがインフラ使用量以上であればなにも問題はなく、そのステート市場アクセスは100%に保たれるが、使用量がインフラを上回り始めると市場アクセスは使用量に比例して減少していく。
- 例えば、インフラが45で使用量が90の場合、市場アクセスは50%にしかならない。市場アクセスとその効果については前回の開発日記でもご紹介したが、もう一度簡単に説明すると、市場アクセスが低いということはそのステートが現地の市場を国内市場に完全に統合できないことを意味し、商品の供給過不足によって望ましくない物価状況につながり得る。
ミンスクの都市建造物(家具製作所(Furniture Manufacturies)・織物工場(Textile Mills)・政府機関(Government Administrations))は伐採場(Logging Camps)やライ麦農場(Rye Farms)と同じ人数を雇用しているにもかかわらず、そのインフラ使用量は2/3に及ぶ。自給自足の農場(Subsistence Farms)と中心市街地(Urban Centers)はインフラを使用していない。前者は生産物のほとんどが内部で消費されるため。後者は自身がもたらすインフラを自身で必要とすることで相殺しているためだ。
- この不均衡は2つの方向どちらにも適用される。自国に穀物を産出するステートと鉄を産出するステートがひとつずつあるとしたとき、どちらも100%の市場アクセスがあれば穀物と鉄の価格はどちらのステートでも同じだ。ここで鉄を産出するステートの市場アクセスが低下したとすると、鉄の市場価格は上昇し、鉄を産出するステートの現地価格は低下する。しかし、これに加えて鉄を産出するステートは多くの穀物を調達できなくなり、穀物の現地価格は上昇するが、市場の他の地域での価格は多少低下する。
- 消費量が現地の生産量が一致していれば、地方のステートでは国民が必要とする食糧が生産されていることが多いため、それほど大きな問題ではない。充分な量の需要を生むほど人口が多ければ、安価な毛織物を供給するために同じ低開発のステートに織物工場と家畜牧場を建てることができるかもしれない。
- しかし、より複雑な商品を生産しようとすると(あるいはより要求の厳しい生産方式を使おうとすると)、自国市場の他のステートからしか調達できない商品や、外国から輸入するしかない商品が必要になる。こうした商品は儲かるかもしれないが、それはその商品の購入者、買う余裕がある人がいる場合のみだ。高級服や磁器で一攫千金を狙っても、自国の遠く離れた裕福なPopに届けられないならうまくいかない。
- ステートのインフラ使用量はそのステートにある建造物の種類とそのレベルによって決まる。一般的に、都会的で特化した建造物であるほどレベルごとにより多くのインフラを使用する。したがって、化学工場(重工業の建造物)は同じレベルのライ麦農場の数倍のインフラを使用する。
この初期の鉄道は少なくとも機械工になる資格のあるPopにとって、急速にミンスクの特に優れた雇用者となった。残念ながらそうした人々はいないため、インフラの産出量は今のところ充分な人員がいる場合ほど多くはない。一方で切符の値段は非常に高い。
- インフラは多くの源泉からもたらされ、補正される。ゲーム内のほぼすべてのステートはそのステートを支配する国家の技術レベルと、ステートを編入しているかどうか(例えば植民地は編入されたステートよりインフラが低い)に基づいて少なくとも少しはインフラを持っている。しかし、ゲームの間にインフラでもっとも重要なのは鉄道ネットワークの規模だ。以前述べたように鉄道は輸送(Transportation)を生み出す建造物であり、輸送はPopに販売される無形の商品だが、インフラの主な供給源でもある。
- これはつまりステートを工業化したい場合、単にそこに産業を作り、そこで働くPopを用意するだけでは不十分で、その産業を支えるのに十分なインフラも確保する必要がある。もちろん、インフラ整備にはさまざまなコストがかかり、鉄道にはそこで働くPopと、石炭やエンジンのような商品の両方が必要になる。
- 短期間利用できる代替物として、権限(Authority)を使って道路整備令(Road Maintenance decree)を出し、住民が道路の荒廃や安全性の低下を招かないようにしたりすることはできるが、そうした選択肢は大規模な工業化に対応するには十分ではない。
- もちろん、鉄道もディーゼル車や電気などの発明によってゲームの期間で効率的になっていき、一定数の建造物を支えるために必要な鉄道レベルは低くなっていく。
高収量のロシアの森林(Russian Forests)はミンスクの伐採産業に大きな利益をもたらす。木材を必要とするロシアの工場や建設現場に出荷するのに十分なインフラがある限りは。
大きな河川があるステートはインフラが大幅に強化され、初期の工業化の素晴らしい候補となる。
- 鉄道に関する私たちの意図は、鉄道が有用であるためには市場中心地か、市場中心地に向けた輸出港への経路を見つけられなければならないというものだ。実際、どの鉄道も市場中心地と接続する最良の鉄道がもたらすインフラ量までしかインフラを提供できない。サンクトペテルブルクの弾薬工場のためにアギンスコエ(Aginskoye)の硫黄鉱山へのアクセスをよくしたいなら、プレイヤーはシベリア鉄道の建設をすぐにでも始めたほうがいいだろう。建設には長い時間がかかる。
- インフラには地理も重要な役割を果たしている。Victoria 3ではこれはステート特性(State Traits)で表現される。ステート特性とは特定の地理的特徴や気候などを表す、特定のステートに与えられるボーナスやペナルティだ。ステート特性にはさまざまなものがあるが、もっとも一般的なのが特定の資源の産出に影響を与えるもの(例えば、あるステートに高品質の石炭がある場合、これはそのステートの炭鉱をより効率的にするようなステート特性で表現される)だが、今回のテーマではより重要なものとしてインフラの提供や補正がある。
- 最後に、インフラは市場アクセス以外にも、軍の兵站や移民など多くのメカニクスと関連していること、そしてインフラは陸上輸送のコストのみをシミュレートすること(海が考慮される場合は別のシステムがある)を述べておきたい……が、こうしたことは今後の話題だ。
質疑応答
Q:運河はある?
A:少なくともスエズ/パナマのような主要なものは確実にある。
Q:インフラマップモードはある?
A:少なくともインフラが不足しているステートの市場アクセスを確認できるマップモードはある。ニーズがあればインフラ関連のマップモードも追加するかもしれない。
Q:インフラは国際貿易と関連する?
A:間接的に国際貿易に影響を与える可能性があるが、詳細は後日の開発日記で。
Q:外交に関する開発日記はまだ?
A:現在は経済と政治について取り上げているが、他の分野についての開発日記が始まるまでは「そこまでは」待たないはずだ。
Q:全部のステートで市場アクセス100%を得るのはどれくらい大変なの?
A:インフラの維持にかかる費用と比較してどれほど工業化したいかによる。どこにでも同じレベルの鉄道を持つよりも、インフラを高度に整備したポケットを作り、それほど物流の支えを必要としない地方の建造物に注力した農村部ではより小規模な鉄道で工業化するほうが確実にいい。
Q:同じステートで生産された商品を利用する産業はインフラ使用量が減るの?
A:現在のところ、個々の商品がどこに行くのかを正確に追跡していないためにそうした影響はないが、建造物が必要とする商品をどれだけ現地で調達できるかに基づいてなんらかの値下げを適用することはできる。ちょっと考えてみる。
来週は雇用(Employment)と資格(Qualifications)について。
コメント
ステラリスの惑星特製みたいなもんが来るのかMODではよく見かけたけど
公式になるのは楽しみ
楽しみだなぁ。ちまちま管理したい!計画経済最高!複雑であれ!
軍の兵站や移民にまで影響するとか、鉄道の存在感が増したな。アメリカとかは西海岸の発展のため、早急に大陸横断鉄道を作る必要があったりするかも。
一方で建設した後も維持費がかかるなら、幹線鉄道とそこから分岐する鉄道みたいに分けて敷設しないと、あっというまに資源もPOPも足りなくなりそう。
あとProduction Methodの赤いアイコンはもしや装甲列車?
「軍の兵站や移民にまで影響する」ならそれに特化させる生産方式があってもおかしくなさそうですね
マップを使ったゲーム画面が全然ないのが気になる
やはりまだまだ発売は先ってことなのか
前回出てきたドイツの国境がかなり大雑把だったのを「省略されるのか」という推測に対して開発者が「まだ開発中だから」と返してましたしね
I:RとCK3が発表から発表まで共に11ヶ月だったので、Vic3は例に倣えば2022年4月となるな
はやくあそびてーいw
vic2は終盤になると金が余りまくって全プロビ鉄道最大レベとかざらにあったけど、確かにあれは現実的ではなかったな 周辺地域の資源を集積して変換する一大工業都市から鉄道が伸びていくのが雰囲気的にも合ってる