「Victoria 3」新DLC「Sphere of Influence」発売は5月6日!

「Victoria 3」開発日記#11――雇用と資格

Vic3 開発日記

「Victoria 3」開発日記#11が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回は雇用と資格について。本体発売前の開発日記です。

前回:開発日記#10――インフラストラクチャー


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開発日記

開発日記#11は、雇用と資格について。

  • 今回はPopの職業、特にPopがどのように、なぜ職業を変えるかについてご紹介する。これは自動的に行われるプロセスだが、その仕組みは社会を構築する際に頭の片隅に置いておくべき重要な知識だ。プレイヤーはあるステートで急速な工業化プロジェクトを始める前にそのステートの住民のが機械工の仕事に就けるようにしたいと思うかもしれないし、あるいは真の合法的な王に対する反乱が起きやすい国家で社会的流動性が高くなりすぎないようにしたいと思うかもしれない。

Victoria 2のPop種別:貴族(Aristocrats)・職人(Artisans)・官僚(Bureaucrats)・資本家(Capitalists)・聖職者(Clergymen)・事務員(Clerks)・工員(Craftsmen)・農民(Farmers)・作業員(Laborers)・将校(Officers)・奴隷(Slaves)・兵士(Soldiers)。

  • まず、簡単におさらいしよう。Popの開発日記ではすべてのPopに職業があり、それによって社会的階層が決まり、賃金・政治力(Political Strength)・利益集団への所属など、さまざまなことに影響することをご紹介した。建造物の開発日記では建造物が経済や社会に意図した効果をもたらすためには特定の職業のPopがそこで働く必要があることをご紹介した。生産方式の開発日記では生産方式によってその建造物で利用できる職業の数が異なることを述べた。
  • ではPopはそうした場所にどのように割り当てられるのか? ここでの私たちのアプローチはこれまでのゲームとは少し異なる。Victoria 1・2では「Popの種別(Pop Type)」という概念があり、これはゲームにおけるPopの基礎的な要素で、彼らの存在のほとんどの側面(社会における役割、生きていくのに必要な商品と欲しがる商品、どのようなイデオロギーを信奉しているかなど)を決めていた。Victoria 2のPopは彼らの経済状況、さまざまなニーズ、国家の状況に応じて時間の経過とともに自律的に他の種別に移り変わった。

Victoria 3の職業:学者(Academics)・貴族・官僚・資本家・聖職者(仮のアイコンで、より普遍的なものに変更される予定)・事務員・技術者(Engineers)・農民・作業員・機械工(Machinists)・将校・小農民(Peasants)・兵士(Servicemen)・商店主(Shopkeepers)・奴隷。

  • Victoria 3のPopにはかわりに職業がある。これはPopの種別と似ているところもあるが、職業間の理想的な比率や経済的な機能は彼らが雇用されている建造物と生産方式によって変わる。この2つのアプローチの根本的な違いはVic2と3の官僚のPopの種別/職業を考えるとわかりやすい。どちらのゲームでも、官僚は国家の行政能力を高める。しかしVic2ではプレイヤーが設定した行政支出に応じてPopが昇格するのに対し、Vic3のPopは通常ならプレイヤーが政府機関(Government Administrations)を積極的に拡大した結果として、政府の建造物で官僚が利用可能になっている場合のみ官僚になる。
  • 後者のアプローチではプレイヤーがどこで仕事の機会を作るかをより制御でき、生産方式と組み合わせると人口動態の変化はより強くより局所的なものとなり、予測や理解がしやすくなる。より柔軟にもなり、同じ職業でも生産方式が異なる建造物ごとに異なる効果を持たせることができる。
  • したがって、Vic3では高給取りのPopが本質的に賃金の低いPopよりも価値の高い社会的機能を果たしているわけではない。それぞれが生産方式の「レシピ」の重要な部分として振る舞っているのだ。それぞれの役割には効果を受ける他者が必要だ。石炭を掘る作業員が充分いなければ機械工が整備するエンジンは休眠状態となり、ミシンを動かす仕立屋がいなければ商店主が売る服がない。

こうした製鉄所(Steel Mills)は兵器産業ほど賃金は高くないが、同じステートの織物工場(Textile Mills)や資源産業よりも条件がよさそうだ。例外は漁港(Fishing Wharves)で、漁港ではトロール船の整備に機械工を必要としている。

  • 建造物は最小限の賃金コストで最大の雇用をするために時間をかけて賃金を調整する。雇用が増加するとスループット(Throughput)も増加する。スループットとは建造物が投入する商品を消費し、産出する商品を生産する度合いだ。
  • 需要と供給の法則によれば最大雇用に近づくにつれて建造物の一人当たりの利益は低下するため、一見すると建造物が利幅を減らして賃金を上げるのは不合理に見えるかもしれない。しかし、ひとつの「建造物」は単一の工場を表現しているのではなく、幅広い分野にまたがるひとつの産業部門全体を表現しており、その産業部門の個々の企業は消費者から金を巻き上げるためにカルテルを結んでいるのではなく、互いに競争していると私たちは仮定しているため、雇用を最大化するための賃金の調整は理にかなっている。
  • しかし、建造物が赤字の場合は労働力の競争によって賃金が上がるわけではないため、利益が出る範囲を超えて産業を拡大する意味がない。
  • 被雇用者はステート内に既に存在するPopのプールから就業可能な仕事に雇用されるが、彼らが失業しない限り、こうしたPopは既にどこかに職を持っている。Popは2つの条件の下で雇用される。すなわち第一に、現在の雇用から得ている賃金よりかなり高い賃金を提示されなければならない。第二に、既に別の建造物でその職業に就いていたのでない限り、Popは転職するのに必要な資格(Qualifications)を満たしていなければならない。
  • 賃金は市場の状況に応じて個々の建造物が設定する。赤字の建造物は黒字になるまで賃金を下げる。職の空きがあってそれが埋まらない建造物はその空きが埋まるか余剰利益がなくなるまで賃金を上げる。その結果、同じステート内の異なる建造物で利用できる労働力を奪い合うことになる。つまり、そのステート内で生まれる職に就く資格を持つ人口が多ければ、賃金は抑えられ、利益は増える。産業が大きく先進的になり、資格を持つ限られた労働者を奪い合う必要が生じた場合にのみ、賃金は上昇を余儀なくされる。賃金の上昇は消費の増加をもたらし、商品やサービスへの需要を増加させ、最終的には同じ建造物の一部が利益を得る。

この981人の機械工は4.08/月の比率で技術者になる資格を得ている。彼らの識字率(Literacy)については特筆すべきことはないが、少なくとも20%の最低ラインは満たしており、飢え死にすることもなく、隣接する分野で既に働いていることから大きな恩恵を受けている。すべての要素と数値は開発中のもの。

  • Popの資格は特定の職業の資格を持つ労働力がどれだけいるかを測定するもので、彼らの現在の特性が当該職業の期待するものにどれだけ合致しているかに応じて毎月更新される。例えば、機械工になるためには最低でも基礎的な教育水準が必要だが、技術者になるにはより高度な教育が必要だ。一方で、貴族になるには教育よりも社会的地位と富が重要だ。建造物はその職業の資格を満たさないPopを雇用しようとはしない。
  • ある製紙工場がより多くの技術者を必要としていて、上の画像のPopが検討されている場合、資格のある技術者のこれまでに蓄積された人数のみが雇用され得る。現在、その数は85人だ(画像には表示されていない)。この85人が全員雇用された場合、このPopの構成員は896人となり、技術者になる資格を持つ者はゼロになる。最近雇用された技術者は全員が元機械工なので、85人全員が機械工になる資格も持っている。さらに、このPopの構成員(注:技術者になったPopも含む)のうち512人(52%)が以前は農民だったとすると、新たに技術者となった85人のうち44人が農民となる資格も持っている。
  • Popの他の特性のように、「資格」もPopが分割・合流・建造物間の移動・移民・死亡する際について回る。プレイヤーがこれまで多くの官僚候補を養成していたのにもかかわらず予算の問題で学校を閉鎖しなければならなくなった場合、官僚になる資格を既に得ていたPopは急速に減少して新たに教育を受けたPopと置き換わることはない。あるステートの資本家が地元の差別を受けている被雇用者に不当に低い賃金しか支払っておらず、資本家の職を引き継ぐ資格を誰も得ていない場合、その資本家の一部が隣のステートで新たに鉄鉱山を運営するために引っ越すと地元の差別を受けている被雇用者が昇格して空いた職を埋めるのではなく、資格のある資本家が他の場所から引っ越してくるまでその職は空いたままになる(そして鉱山の生産は低下する)。

貴族の「職」に就くには、Popは少なくとも中程度の富を持っていなければならず、富が多いほどその可能性をより早く開花させることができる。他の多くの職業とは異なり、貴族として認められるために識字能力は必要ないが、教育を受けていればなりやすくなる。官僚と将校は他の職業よりも貴族になりやすく、文化的な理由で差別を受けているPopは困難になる。Popが富の最低条件を満たさない場合、彼らは貴族になる可能性を事実上他者に譲る。つまり、土地を奪われて落ちぶれた元貴族は失業したり、(考えたくもないが)賃金労働者になることを余儀なくされ、時間の経過とともに元の社会階級に戻る能力を失う。すべての要素と数値は開発中のもの。

下エジプトの全Popの中で技術者になる資格を持つPopの詳細。もちろん、空きがあれば既存の技術者が優先され、残りの資格があるPop全員が実際にその職に興味を持つわけでもないが、充分儲かりそうなら失敗した自給自足農場の貴族が転職を考えるかもしれない。

  • 資格は毎月の数値がどう推移するか決めるのに必要な計算要素をもたらすことで完全に改造可能だ。聖職者の職業をゲーム内の宗教ごとに分けるModを作りたい場合、イマーム(Imam)の職業をPopがスンナ派かシーア派である必要があるようにできる。貴族の資格獲得をそのPopが住んでいるステートの非生産的な耕作地の量に大きく依存させることもできる。イベントの選択肢やディシジョンで今後10年間に技術者の教育が早く容易になり、将校の教育は難しくなるようにするのも可能だ。
  • 資格の意図はプレイヤーに対して自国人口のすべての集団それぞれにどのような働き口の容量があるのかを示すことだ。
  • 例えば、法的に差別されている低学歴の人々が多く住むステートを征服した直後にそこに最先端の製造業や貿易中心地を作り上げることはできない。このような努力は現地の人々を高度に資格付けされた地位に雇用できないために停滞する。したがって、既に資格のある労働力が本国から移住して高い地位に就くのを待たなければならない。しかし教育制度を充実させ、官僚機構(Bureaucracy)を支払って新たに編入したステートに行政を拡大し、法律を改正して新たな住民に市民権を与えることで、現地住民もそうした能力を持ち始める。
  • まとめると、資格とは教育へのアクセスや差別に対する姿勢(他にも多くの要素がある)によるメカニズムであり、社会のさまざまな部分を拡大するプレイヤーの能力に影響を及ぼす。また、自国の拡大に合わせてPopを経済の(そして政治の)特定の分野に論理的に振り分けるメカニズムでもあり、自国の法律や経済の状況によってPopの性質に基づいてPopの社会的移動を特徴づけるようにするものでもある。急速な工業化、大規模な移民、征服、植民地化その他の急激な人口変動によって引き起こされる問題に直面するまで、そうしたことは非常にわずかな変化で気づかないかもしれない。
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質疑応答

Q:年齢はどうなっているの? 単に年間x%が死ぬだけで識字率の場合は少なくともx%の教育を受けなければ下がる?

A:そうだ。死亡について解決するときにPopのうち読み書きできない構成員を選ぶように少し偏りがあり、これは年寄りほど読み書きのできない人が多いという事実を表しているのかもしれないし、工場の警告ラベルを読めなかったということかもしれない。しかし、Popの教育アクセスが彼らの現在の識字水準よりも低下した場合、上記の偏りがどれほど大きくても正味の識字率は低下する。

Q:Popには降格の偏りはあるの? 例えば貴族は機械工に降格するより農民に降格しやすいとか。

A:このシステムでは「降格」は発生しない。賃金の低い貴族は賃金が高ければ資格のあるどんな職にも就く。つまり、貴族は平凡な小麦農場の農民になるより非常に収益性の高い工場の機械工の職に就く可能性が高く、その逆もまた然りだ。

Q:こうした仕組みは資本主義的で自由な賃金市場のみを表現しているように見える。協同組合経済や計画経済(cooperative or command economies)では特に競争や雇用で扱いが違ってくる?

A:現在のところ、計画経済の法律からの資格や雇用時のPopの優先的な振り分けに対する直接の影響はない。経済システムに関係なく人は人であり、誰が信頼できる農夫や事務員や軍人になると思うかについて、人は偏見を持っている。

Q:Vic2みたいなnational focusesはあるの?

A:ないが、代わりに命令(Decrees)がある。社会的流動性を促進する命令があり、そのステートでの資格の獲得を支援する。しかし、「職業Xを奨励する」というようなnational focusesはなく、建造物のニーズによる。

Q:農民(farmers)と小農民(peasants)の違いはなんなの?

A:小農民は自給自足農場で雇用される人々で、経済の外側で土地から必要なもののほとんどを得る。

Q:労働組合やストライキはある?

A:労働組合はどこの国にもある利益集団だ。ゲーム開始時には弱い傾向にあるが、工業化が進んだ国では非常に重要になることが多い。ストライキについては存在はしているが、詳細は今後述べる。

Q:Vic2のように家内工業をシミュレートする職人がいないのはなんで?

A:他の方法でモデル化されている。


来週は国庫(Treasury)と国家債務(national debt)について。

次回:開発日記#12――国庫

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コメント

  1. vic2の後継というよりstellarisの改良版という印象

    • Vic2→Stellaris→Vic 3の開発チームの長は同じ人だからね、StellarisはVic2の宇宙バージョンだと前からずっと海外のファンの間に言われている

  2. 翻訳お疲れ様です。

  3. 普遍的な宗教のアイコンって難しいな。ていうかそんな物あるのかな。

    • 人類は母なる海から生まれたのだから、タコが相応しいでしょう…イアイア!
      という冗談はさておき、分厚い本や巻物とか? 組織化された宗教は呼び名が何であれ、明文化された何か(神の偉大さを示す逸話や、信徒としてあるべき規範など)を持ってる気がするけど。

      • 合わされた手とかじゃない?

    • CKの信仰点のアイコンみたいに宗教毎に変えるのが一番無難かつしっくりくる気がする

      • VICだと一つの国家に多様な宗教の信者がいることもありうるのでアイコンがバラバラだと混乱しそうじゃないかな

  4. VIC2だと工場を建設中に工員が失業者扱いになってけどそれは今回なさそうだね

  5. 文章量が多い翻訳、いつもお疲れさまです

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