「Crusader Kings III」開発日記#51が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回は決闘とパッチノートについて。1.3パッチリリース前の開発日記です。
開発日記
開発日記#51は、決闘とパッチノートについて。
- 今日は無料アップデート最後の機能である一騎討ちについて。
- CK2での決闘は長年愛されてきた機能だが、CK3では決闘だけでなく、状況に合わせたもう少し手の込んだものが欲しいと感じた。こうした機能をフォローアップして改善するのは常に大変な仕事だが、できたものには満足している。
考え方
- 新たな一騎討ちシステムをデザインするにあたり、実装の指針となる以下のようなキーポイントがあった。
- 決闘は危険なものでなければならない:詳細な決闘の結果は決して控えめな結果になってはならない。捨て身の初心者が古参の達人を驚かせることもあり得るし、あるいは幸運をつかんだり、賢く立ち回ることもあり得る。戦いが始まる前に終わってしまうのであれば、もっとシンプルな効果や自動勝利の選択肢を使うべきだ。
- 決闘は再利用可能でなければならない:決闘はスクリプトのどこにでも簡単に追加でき、その結果は可能な限り不可知でなければならない。詳細な決闘システムは厳しい名誉の決闘から戦場での闘い、酒場におけるナイフでの闘いまで、あらゆるものを考慮できるようにすべきだ。
- 決闘は可変のものでなければならない:決闘は関係するキャラクターや場所、状況に応じて、内容や戦略が異なっているべきだ。完全に同じ闘いは存在すべきでない。
- 決闘はキャラクター主導のものでなければならない:武勇(prowess)のみならず、キャラクターの特性、関係その他の資質はすべて決闘に影響すべきだ。
- 決闘は経験と直感のどちらも考慮しなければならない:システムの仕組みを理解すれば見返りがあり、上手いプレイにつながるべきだが、初心者が推測するだけでも充分な成功確率があるべきだ。
- 決闘はロールプレイ(roleplay)とロールプレイ(rollplay)のどちらも考慮しなければならない:常に勝利するためのプレイと自分のキャラクターにとってなにが理にかなっているかを考慮するプレイはどちらも実行可能であるべきで、どちらかを完全にないがしろにするべきではない。これはAIにも言えることで、スキルやキャラクターの特性に基づいてある程度読みやすいものであるべきだ。
メカニクス
- すべての一騎討ちは厳密に2人のキャラクターの間で行われ、所定の結末(わずかな切り傷、wounded特性の悪化または致命的な一撃)に至るまで闘い、最終的に敗者はそれに合わせて負傷したり、殺害されたりする。
- 戦闘はラウンドごとに分かれており、最初に防御側、次に攻撃側が選択肢を選択し、勝敗を決める。すべての戦闘は2-4ラウンドで行われ、4ラウンド目以降は自動的に終了する。(ただし、これはスクリプトで設定された値であり、長時間のドラマチックな戦いをしたい場合は簡単に変更できる)。
- 利用できる選択肢は個別の戦闘時の行動として定型化されており、例えば相手に頭突きをしたり、全力で攻撃したり、防御に回ったりなどだ。各ラウンドでプレイヤーの番が来ると、プレイヤーは利用可能な選択肢のプールからランダムに3つの選択肢を得るが、これは自分の武勇に応じて相対的なメリット・デメリットが変動する。
- 武勇が高ければいい行動を得やすく、武勇が低ければ悪い行動を得やすくなる。実際にはもう少し複雑だが、プレイヤーの体感ではこうなる。
- 通常の戦闘行動以外に、特別な行動を得ることもある。これは武勇だけでなく特性、場所、プレイヤーと敵の関係などあらゆるものを考慮する。これには自分の襲撃者としてのスキルを使って相手の自信をなくさせるような会話や、敵を見せしめにすることなどが含まれる。
- 大まかに言って、特別な行動は標準的な戦闘行動より効果が高い傾向にあり、あるいは決闘の外で副次的な効果(例えば畏怖(Dread)の獲得やストレスの低下)をもたらすこともある。今のところ標準的な戦闘行動が18、特別な行動が22ある。
- 闘いに勝つ第一の方法は充分な成功の可能性(Likelihood of Success)を得ることだ。これは敵との間の綱引きのようなもので、現在どちらが決闘に勝っているかを表しており、ほとんどすべての行動がスコアとして加算される。先にスコアが相手のスコアより一定量上回ったほうが勝利となる。
- しかしほとんどの戦闘行動は負傷リスク(Risk of Injury)をもたらす。これはプレイヤーがどれほど限界を超えた行動をしているか、どれほど間違いを犯して自分を傷つけたり、大きな失敗をしやすいかを表現する。明確な勝利を得られていない場合、これが上昇するとラウンド終了時に単純に敗北する可能性が高まる。
- 闘いの基本方針は、敵を打倒する前に敗北してしまうほど負傷リスクを高めることなく、成功の可能性を最大化することだ。
- 最終ラウンドのひとつ前のラウンド(デフォルトではこうだが、数値をひとつ変更するだけで簡単に変えられる)では勝つことも自分を負傷させることもかなり起こりやすいが、特定の特別な行動でこのしきい値を調整することもできる。
- 最終ラウンドを終えても勝者がいない場合、武勇が高いほうが勝利となる。
- AIは大体の性格に基づいて戦闘の動きや戦略を選択する。つまり、武勇に関連した特性による変化だけでなく、キャラクターによって同じ武勇でも異なる戦い方をすることが多い。
- 最後に、決闘エッジシステムがある。決闘をしている間、自分や対戦相手の特定の行動は決闘エッジボーナス・ペナルティを一方や双方が受けることがあり、決闘中の武勇を上下させる。これによって決闘は危険なものになり、最高の武勇を持っていると知って決闘を行ってもすべての闘いで優位な状況が続くとは限らなくなる。
状況に合わせた決闘
- 新しい決闘システムの目標のひとつとして、できるだけ多くの状況で使用できるようにし、設定を簡単にするというのがある。闘いの状況を設定する単一のエフェクトがあり、そのエフェクトを使うのに2つのフォローアップイベントを必要とする。ひとつはなんらかの理由で決闘が無効になった場合に発生することを伝え(通常は影響を受けた当事者に知らせるトーストがでるだけだ)、もうひとつは決闘の後の影響を扱うもので、賭けに負けたり友人を得たりする。
- 任意のエフェクトブロック、相手に対する行動、ディシジョン、イベントに落とし込むことができ、最終結果や判定基準は好きにできる。
- 現在、ゲーム内でこのシステムを使用する方法はいくつかあるが、もっともわかりやすいのは宿敵と決闘する行動(上の画像)だ。これは騎士道(Chivalry)ライフスタイルツリーのパーク「Stalwart Leader」で可能になる。また、1.3ではいくつかの有料イベントでこのシステムを使用しており、もちろんまったく新しい[編集済み]の行動にも使われている。
- 私たちは戦闘システムについて、時間をかけて一般的なQoLの調整、専用のUI、より多くの戦闘行動などで改善していきたいと思っている。また、今後のコンテンツにもこのシステムを導入しようとするほか、古いコンテンツの一部の要素を継続的に作り直し、必要に応じてより手の込んだ決闘を使用するつもりでいる。
尖ったほうで刺す
- 一騎討ちシステムを使ってみよう。これが私、High Chieftain Waththabで、息子にして宿敵のMusaと非殺傷の闘いをやる。
- スキル面では、息子は私を大きく上回っている。私の武勇はかなり低いが相手は平均値の上限だ。つまり、相手は平均的な行動から優秀な行動をとり、私はひどい行動から平均的な行動をとることになる。私たちは二人とも特殊な戦闘行動をもたらす特性はほとんどなく、なにかをもたらしてくれる外的要因もない(関係があるのでところどころで特殊な台詞は出てくるが)。
- とはいえ、まだ戦略がある。息子はdeceitfulでcravenなので、全体的に慎重で狡猾な戦闘行動を選ぶ可能性が高い。つまり、彼は成功の可能性を介して安全に振る舞い、私の不手際で自分を傷つけるのを待つだろう。私の負傷リスクが高くなりすぎる前に成功の可能性で圧倒できれば彼の優れたスキルに勝てるかもしれない。
- 私にはこのような3つの戦闘行動がある。オールインで行くことにしよう。Unstable Foundationsは私にとっては役に立たないし、Onslaughtは基本的には安全な振る舞いだ。ここはEnthusiastic Onslaught!
- 効果はまあまあ。私が攻撃し、彼が攻撃する。下のテキストには相対的な負傷リスクと現在の成功の可能性の状態がそれぞれ記載されている。要するに、私は自分で自分を傷つけそうだったが、実際には成功の可能性で接戦だった。
- うまくいくはずだったのだが。息子は私が思っていたほど安全に振る舞っていない。私が自分を傷つけるのを単に待つのではなく、勝利を盗むのが難しい戦いをしている。彼の策略が臆病さに勝っているらしい。
- 戦闘行動の手札に新しい行動が入った。前のラウンドなら頭突きをしてお互いの武勇をかなり下げることができたのだが。私たちは既に下手なことをやって少ししか悪化しないが、より強力な行動をとれるため、決闘の間に武勇を下げるのは本当に助けになることだった。
- 恥ずかしながらAIに負けてしまうかもしれないちょっと厄介な状況になっている。しかし彼がヘマをすることに期待して、もう一度Enthusiastic Onslaught!
- はは! 悪魔が呼んでいるぞ、臆病者め! 幸運なことにMusaが優位に立つよりも安全を優先し、さらに自分を傷つけることもなかった。しかしもう第3ラウンドで、この一騎討ちはほぼ確実にここで終わる。負傷リスクに捕まるか、どうにか勝利のしきい値までのあと少しを押し上げられるか。
- 新たな行動を見てみよう。これ以上のものはない。Put the boot in!
- ふーっ! 正直に言うと、デモ戦闘のときより少し緊張感があった。テスト中に武勇100のキャラクターを武勇0のキャラクターに殺されたときほどの恥ずかしさではないが。
- 相手の性格やスキル、経験に応じて戦略や好ましい動きを適応させることが、何度も安定して勝つために必要なことだ。Musaと再戦する場合、彼の序盤の闘い方と同じように劣勢の相手にガードを開けさせながら、簡単には勝てないような闘い方をすることになるだろう。
- 非常に熟練したキャラクター同士の闘いはどちらが先に勝利への最善の道を切り開くかの心理戦になり、信じられないほど劣勢のキャラクターと圧倒的に熟練した相手との闘いは武勇の差をなくしたり人格に付け込むような必死の策略になり、非常に攻撃的なキャラクター同士の闘いは突然死に至ることもある純粋な殴り合いになる。
- すべての闘いは比較的短く、システムもそれほど複雑ではないが、ひとつひとつの闘いが記憶に残るものになるのを期待している。
「あなたの負け」の多くの言い方
- なにが楽しいかというと闘いのときのローカライゼーションだ。一騎討ちの結果を見てみよう。
パッチノート
以下では私が気になった部分を抜粋してご紹介しています。全文については該当スレッドをご覧ください。なお、以下は前回の開発日記で取り上げた分も合わせて掲載し、今回追加分は太字にしています。
- 常備軍(Men-at-Arms)、Special Troops、傭兵は移動時間を持つようになり、徴募兵(Levies)のように戦時の解体/再召集にペナルティがつくようになった。移動時間は勢力の首都までの距離をに基づく。これにより、マップ上で常備軍を「テレポート」させられなくなった。
- 家系の遺産(Dynasty Legacies)の名声(Renown)コストは見直され、直線的な増加(1000、2000、3000……)ではなく動的なものになった。これにより、最初のいくつかをアンロックするの簡単だがすべての遺産をアンロックするのは難しくなった。
- 年ごとのイベントのプールが再編成され、多くのトリガーが緩和されたか、または完全に削除された。これにより、プレイしているときにより多くのイベントを見ることができるようになる(おおよそ5、6年ごとにではなく、おおよそ4年ごとにこのプールからランダムに1つのランダムイベント)。これはまた、一部の非常に稀なイベントがより頻繁に発生するようになったということでもある。
- 特性「Infirm」のイベントは年あたりの発生ではなく健康度による発生に変わった。これにより、領主だけでなくすべてのキャラクターが「Infirm」になる可能性があるようになった。また、年配のキャラクターがこの特性を得る確率が高くなった。
- 孫やひ孫は子と同じルールに従うようになり、行方不明にならないようになった。
- 部族の封建化にはTribal時代のすべての革新(innovations)を取っている必要がなくなり、CivicとMilitaryの革新の70%(9つ)だけになった。
- 両親や兄弟が65歳以上で老衰で亡くなることでストレスを感じることはなくなった(友人や恋人はストレスを感じるかもしれない)。
- 戦争中の敵が新たな同盟を結ぶと、警告が表示されるようになった。
- 評価と引き換えに相手の罪を赦免する行動を追加。
- 後見人が被後見人に対してフックを獲得できるようになるが、これには彼らがgreedyかdeceitfulである必要がある。
- 髪とひげを継承する遺伝子システムを強化した。親から特定の髪型を受け継ぐのではなく、「直毛」「ウェーブ」「巻き毛」「アフロ」などの「髪型」遺伝子を受け継ぐようになった。キャラクターの実際の髪型は文化に基づいており、祖父母の一人が他の文化を持っていても不適切な髪型やヒゲを使うことはない。
- 注意:1.3以前のセーブで作られた既存のキャラクターは新しい髪型になったり、ハゲになったりするかもしれない。また、古い領主デザイナーのDNAデータには髪やヒゲがない。このシステムはBarbershopや領主デザイナーには影響せず、依然として好きな髪型にできる。
- [編集済み]と[編集済み]に特別な建造物を追加。[編集済み]、[編集済み]、[編集済み]ほかを含む。
- キャラクターがランダムにlover’s pox、great poxにかかる確率を引き下げ。
- 補給上限を5000人を超えて超過するとより早く補給物資が減少するようにした。5kで月あたり5から10kで月あたり10までスケールする。
- 共和制でない男爵はより安定して結婚し、家族を作るようになった。
- 外交可能範囲(Diplomatic Range)補正がなんの効果も持たなかったのを修正。2人のキャラクター間の距離は2人のうちもっとも高い外交可能範囲補正がに基づくようになった。
- 敵対的策略(Hostile Schemes)は標的が所有者(?owner。策略の立案者のことか?)の外交可能範囲内にいない場合、無効になるようにした。
- 軍隊が崑崙山脈を通過できるようにしていたCherchenとGomocoの間の秘密のトンネルを削除した。
- AIは時々脱獄を試みるようになった。
- 部族制は封建制に改革することなく限定的な部族の権限の範囲内で有効な継承法(例えば性別など)を調整できるようになった。
- 隠し子の父親は母親が結婚していても自分が本当の父親だと気づけるようになった。
- その他……(今後の開発日記で掲載予定)
質疑応答
Q1:騎士道ライフスタイルを取ってる他のキャラクターから決闘を申し込まれることもあるの?
A1:ある。
Q2:部族だと称号をかけて決闘したりするの?
A2:残念ながら、今回のリリースではそうなっていない。そのつもりだったがちょっとした技術的な問題で遅れている。将来的には必ず実現する予定だ。
Q3:軍隊同士の戦いの最中に決闘が起こったりする?
A3:Modで簡単に追加できるが、残念ながら現在のところ熟慮するスタイルの選択として戦闘を行う司令官向けのイベントポップはない。これには一騎討ちも含まれる。
Q4:決闘はどれくらいの頻度なの?
A4:私の経験ではめったにないが、みなさんが思っているより多いかもしれない。
もっと詳しく知りたいという方は日本時間3月14日未明4時からのParadox Insiderを楽しみにしていてほしいとのこと。配信はTwitchで行われるようです。
タイミング的におそらくここで新DLCの発表が行われるものと思います。なにか発表があれば当サイトでも取り上げる予定です。
コメント
個人的には決闘での立ち絵で剣を構えたりと小道具を入れて欲しいが、まあ枝葉の話だしそのうちシステム面が全部煮詰まったら演出面にテコ入れもあるかもしれないな