「Victoria 3」開発日記#163が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回は1.12の新システムについて。1.12リリース前の開発日記です。
開発日記#158はアートについて、開発日記#159はチェンジログとなっており、記事にして紹介していません。また、開発日記#160は「National Awakening」発売の記事で、開発日記#161は「Songs of the Homeland」発売の記事で、開発日記#162は「Iberian Twilight」発売日に関する記事でそれぞれ紹介しています。
開発日記
開発日記#163は、1.12の新システムについて。
- 今回は1.12アップデートで追加される機能を紹介する。物語コンテンツは今後の開発日記で述べる。
交渉
- 何らかの見返りを提示することで、特定の利益集団に現在の法案への支持、あるいは審議遅延の停止を求めることができ、プレイヤーがダイスを振り直して法案成立を有利に進めることができるようになる。
- 交渉には以下の目的がある。
- 中立的な利益集団に法案を支持させて成立の可能性を高める。ただし政府外の利益集団が賛成しても法案成立確立には影響しないため、そうした利益集団を政府内に移す必要がある。
- 反対する利益集団に審議遅延を停止させる(つまり遅延確立を低下させる)。
- 交渉意欲の度合いは交渉可能性という0-100の数値で表現し、イベント、過去の交渉、統治者の人気度、さまざまな法律(秘密系策はボーナスをもたらす)、補正(未履行の約束があるなど)が影響する。いかなる影響がない場合でも、利益集団は積極的に交渉しようとする。交渉可能性の度合いは4段階に分かれる。
- 25%未満:利益集団は交渉に応じない。
- 25-49%:交渉は困難で、費用と要求が倍になる。
- 50-74%:交渉は現実的で、費用と要求は標準的。
- 75-100%:交渉は協調的で、費用と要求は半減する。
- 交渉ボタンを押すと即座に対応するレベルの交渉イベントが発生する。ある利益集団が内容が不明な補助金や契約、贈答品といった形で政府資金を得た場合、将来的に彼らの政治的影響力を強化するが、善意の記者がこの事実を報道した場合、市民の反応は好意的ではないだろう。同様に、ある利益集団が突然政府の要職に就任した場合、彼らに勢力拡大の機会を与えることになるが、彼らが実際の業務をこなすことは期待できない。
- こうしたこと以外にも、利益集団にはさまざまなことを約束できる。そうした約束はジャーナル記事を生み出し、失敗した場合は深刻な結果を招く。ジャーナル記事では約束の破棄のほかに遅延を宣言することもでき、その場合はコストと引き換えに期間を延長できる。
新たな方式
- 今回導入したプランテーションの方式は植民地化と奴隷制度廃止後のプランテーションの搾取の関係、そして残存していた奴隷制度そのものの暴力性をより正確に反映する。プランテーションは全体的に死亡率が高まり、雇用人数も増加している。プランテーション間でも差異があり、砂糖プランテーションがもっとも過酷だ。奴隷制度が存在する場合、プランテーションでは方式「暴力的処遇」がアンロックされ、これは植民地時代におけるもっとも残虐な慣行を表現する。自由主義的な法律、特に労働法がない場合、方式「搾取的慣行」では労働者の生活水準と死亡率を犠牲にして生産量を増加させる。プランテーションはより多くの労働力を雇用し、より多くの製品を生産する。搾取的な方式を採用していなくても、労働コストの低い弱体な経済圏にとって効率的な生産システムとなり、経済的優位性をもたらす。
- こうしたプランテーション制度の変更は経済的バランスの変化を引き起こし、これは植民国家が換金作物の生産を監督するため植民地行政機構を創設した理由をモデル化するものだ。ゲーム的には植民地を従属国として独立させ、入植権charterを通じて企業に管理させることで、より高い収益性がもたらされる。ゲーム開始時から奴隷制度を維持している国家は奴隷制度からの脱却がより困難になり、奴隷制度廃止に伴い土地所有者層の収益により大きな打撃を受ける。
- 奴隷制度では「奴隷貿易」と「遺産奴隷制」で影響力がそれぞれ-25%、-10%されるようになり、国際的に違法な慣行を維持する外交的コストを表現している。また、運動「奴隷の反乱」が導入され、奴隷は分離独立運動や革命を起こすようになった。大規模な陸軍を保有していればこうした反乱を鎮圧できるが、プレイヤーが反乱側に与してハイチ革命のような事態を引き起こしたい場合はこの限りではない。
- タバコについては固有の方式があり、キューバのタバコ労働者が賃金を出し合って葉巻を巻く作業中に朗読者に本を朗読させたという歴史を表現している。
修正条項
- 修正条項は法律をモジュール化するシステムで、制定プロセスの任意の時点で法律に追加でき、法律が成立した時点で発効する。フランスなど一部の国ではゲーム開始時から法律に修正条項がある。これまで制定成功確率を付与していた制定イベントには法律に修正条項を追加するものがある。これは特定の利益集団の支持を得るかわりに成立後の効果を調整するものだ。
- すべての修正条項には親となる法律があり、これは1.9で追加された法律の派生型と近い。利益集団は親となる法律に対するスタンスから修正条項に対するスタンスを継承する。修正条項が発効してから十分な時間がたち、政府内でこれに反対する勢力が支持する勢力を上回っている場合、修正条項を廃止できる。
- 私たちは数十の修正条項を実装し、ゲーム開始時の政府の法律に存在していることもある。上はその例。
摂政政治
- 1.12で政治権力には年齢制限が設けられ、未成年者が国家元首の地位にある国家では摂政政治が行われる。
- 摂政政治では複数の政治家の中から摂政を任命でき、将来の君主が代表する利益集団はその期間中、政治力にボーナスを得る。摂政政治の間は正当性が低下し、法律の制定には通常より少し時間がかかるようになる。
- 将来の君主が成人すると、戴冠式が行われて摂政は退任する。ゲーム開始時にマリア・クリスティナがスペインの摂政でないことなどについては今後の開発日記で述べる。
選挙恩顧主義
- 修正条項「選挙恩顧主義」は当時のスペイン、ポルトガル、ラテンアメリカ諸国の政治を特徴づけていた組織的な選挙不正を表現するものだ。
- これは正当性を犠牲にして選挙結果を操作できるようにするもので、この修正条項を持つ国家で選挙が行われるときは特定の政党に有利に結果を操作するか、組織的な選挙不正行為を行わないかを選択するイベントが発生する。すべての政党が等しく選挙不正を行った場合、その結果は概ね公平であると見なすことができる。選挙を不正操作した場合、国家の正当性を引き下げる補正を得る。この補正は言論の自由法によって決まり、時間経過で強まる。集会の権利がある場合、1回選挙不正を行うと正当性が-5低下する。選挙不正を行わないことでこのペナルティは軽減され、この制度の廃止に向けた進展を得られる。
- 他の修正条項とは異なり、選挙恩顧主義は投票を認めるあらゆる法律に継承される。例えば、ブラジルがゲーム開始時に「富裕者投票法」に「選挙恩顧主義」を採用している状態で「土地所有者投票法」を制定した場合、「選挙恩顧主義」は自動的に新たな投票法に追加される。これを完全に廃止したい場合、5回連続で選挙の不正操作を拒否する必要がある。現時点で修正条項「選挙恩顧主義」はジャーナル記事「カウディーリョの時代」が適用されるすべての国家、すなわちポルトガル、ブラジル、スペインとそのすべての植民地国家にある。しかし当時組織的な選挙不正が行われたのはこうした国家だけだったというわけではなく、私たちはより一般的な選挙不正システムの開発に取り組んでいる。
次回:開発日記#164




































コメント
「親愛なるプレジデンテ。トロピコの市民達は必ず貴方に投票すると信じております!
私はあなたに投票します。何票でも入れますぞ!
ですが、住民は間違いなく正しい方に投票できるでしょうか?選挙の翌朝に過ちに気づき、後悔するような思いはさせたくありません。彼ら自身のためにも、手伝ってやるべきではありませんか?」
ランダム性が減らせる要素はいいね
細かなバランスはともかく国固有の法律とか制定の確率のコントロールとか欲しかった機能を着実に取り込んでくれてるのが嬉しいね