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「Victoria 3」開発日記#105――1.6の移住

Vic3 開発日記

「Victoria 3」開発日記#105が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回は1.6の移住について。1.6リリース前の開発日記です。

前回:開発日記#104――1.6におけるプレイしやすさの改善


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開発日記

開発日記#105は、1.6の移住について。

変更の目標

  • 例えば軍事の見直しとは異なり、ここでの目標は移住にまつわるゲームプレイを完全に変えることではない。実際、ゲームプレイはある程度似ていると感じられるはずで、これまでの仕組みの正確な詳細を知らない場合は特にそうだろう。ここでの目標は主にパフォーマンスに関するものだ
  • ゲーム中盤から終盤にかけてのテンポの悪さに関するみなさんの懸念は承知しているし、私たちは常にゲームの動作を改善する機会を探っている。その一環としてあちこちに小さな最適化を行い、あちこちの値をキャッシュし、並列で実行できる量を増やしたりしている。もうひとつの要素は私たちがどのようなデザイン上の決定を行ったかを調べ、ゲームプレイはそのままによりパフォーマンスのよい仕組みに変更できないかを検討することだ。移住に関する変更は後者にあたる。
  • 現在のバージョンでは定期的にPopsを分割してあちこちに移動させることで移住が機能するが、その結果Popsの数が増え、ゲームが進むにつれてパフォーマンスが悪化する。1.6では移住のためにPopsを分割するのをできるだけ避け、Popsの数を抑えられるようにした。
  • パフォーマンスに加えてこうした変更を行うもうひとつの理由は、システムをよりメンテナンスしやすくし、将来的に作業しやすくするためだ。この新たな実装はこれに関して作業するときに理解しやすいようによりシンプルなもので、私たちにとって大きなプラスであり、Mod制作者にとってもやりやすくなるはずだ。
  • また、この機会にプレイしやすさとUXの改善も行った。これについては今回の開発日記の最後にある。

一般的な概念

この機会にいくつかのコンセプトの表現を微調整した。

新たな概念「大規模移住の魅力(Mass Migration Attraction)」があることにお気づきだろうか? これには開発日記の下のほうで触れる。

  • 詳細を説明する前に、用語の意味とその仕組みについて私たちが同じ見解を持つことが重要だ。ご存知のように、「Victoria 3」の移住には市場内移住と大規模移住がある。市場内移住は市場内でのみ起こり、Popの暮らしにおける経済的要因によるところが大きい。大規模移住はPopsが別の市場に移住する仕組みであり、文化に着目したものだ。
  • 人々の行く先や移住する数をどのように選択するかは、ステートの移住の魅力に大きく左右される。これは利用可能な雇用、耕作地、貿易などの要因から人々がどれだけそこに引っ越したいかを示す指標だ。移住の魅力が使われるときに重要なのは2つのステートにおける移住の魅力の差であり、絶対値ではない。また、移住の魅力はかなり急速に変化し得るもので、特にあるステートが多くの移民を受け入れた場合、そのステートの移住の魅力は低下する可能性が高く、その結果として他のステートが移民を受け入れる余地ができることにも注意してほしい。
  • 「Pops」「Popsの数」「人口」などの用語も理解しておくといいだろう。「Pops」(Part Of Populationとして知られる)は特定の職業、文化、宗教を持ち、特定のステートに住み、特定の施設で働いている人口のことだ。「Popsの数」は個別のPopがいくつあるかということだ。つまり工具工房でスウェーデン人とノルウェー人の技師が働いている場合、この施設における技師のPopの数は2だ。「人口」はPopを使用してモデル化する個人の数だ。こうした一般的な概念は1.5と1.6で変わらない。

ではなにが変わったのか?

Popの選択

  • システムとしての移民は統合された大きなPopを小さなたくさんのPopに分割していたが、これはパフォーマンスにはよくない。そこで今は移住する人々を選ぶときにできるだけ多くのPop「全体」を選び、小さいものから大きいものへと並べ替えて新たなステートに送り出し、到着したら現地の既存Popに統合しようとする。Popが大きすぎるなどでPopを小さく分ける必要がある場合は依然としてあるが、そうするのをより抑制しようとしている。

移住先

ミシガンはいいところだと聞いたことがある。そこにスウェーデン文化コミュニティを作るべきじゃないか?

  • これまでは移住と市民権に関する法律に基づいて、十分に魅力的で移住が許されるステートならどこにでもPopが移住していた。これによって多くのPopが多くのステートに移住し、Pop選択システムと相まってPopの断片化を招いていた。
  • 新たなシステムではPopが属する文化の文化コミュニティ(Cultural Community)があるステートにのみPopが移住するようになる。利用可能なコミュニティが複数ある場合は移住の魅力がもっとも高いステートから魅力が一定範囲内にあるステートすべてに移住者を送り、移住の魅力の高さと実際にそれだけの移住者を受け入れられるかどうかに応じて分配される。

文化コミュニティ

  • 1.5オープンベータをプレイした人なら、私たちがこうした変更の一部を行おうとしていたことを思い出すかもしれない。文化コミュニティのアイディアは自分の文化の人々が既に住んでいることがわかっている場所に移住する可能性が高くなるというモデルだ。もちろん、まったく新しい場所に移住することもできるが、それはそれほど一般的ではない。
  • 文化コミュニティはある文化のPopがひとつ以上あるところに存在する。さらに、プレイヤーの市場内のある文化に属するコミュニティが自国ステートに生まれる可能性が毎月ある。その文化に属する人々が誰もそのステートに移住しない場合、その文化コミュニティは数週間後に消滅する。
  • パフォーマンスにとって重要なのは人口の大きさではなくPopsの数だ。つまり移住の仕組みがより均質な結果をもたらすなら、シミュレーションの他の要素(雇用、Popの消費、人口増加、資格など)の忠実度について妥協することなく、よりよいパフォーマンスのゲームにできる。これまでプレイヤーから出た懸念は、どのステートでもPopの文化が入り混じっていることが没入感を壊すことがあるというものだったが、このシステムではステートごとに存在する文化の平均値を引き下げることができる。

大規模移住

移住を年単位ではなく週単位で表示するようにしたことにお気づきだろう。その理由は移住の週ごとの変化がかなり早い可能性があり、年間の値で表示すると混乱や誤解を招くことがあったためだ。

  • 大規模移住は1.6では固有の制限と条件によって並行して機能するようになった。基本的に、大規模移住が発生すべきかどうかを評価するときは以下のステップを踏む。
    1. すべての文化について、その文化が故郷を持つ国家を調べ、そこから大規模移住が生まれる確率を計算する。これには十分な文化的騒乱がある、実際に移住を許可しているというような、大規模移住の条件を満たしていない国家や文化を除外することも含まれる。
    2. 上記の適格な国家からひとつ選んで大規模移住の起点とする。
    3. その文化がすべての他国に移住することについて大規模移住の魅力を計算する。これはその対象国内における適格なステートの移住の魅力の平均だ。
    4. すべての大規模移住者を同じ場所に送らないように小さなランダム要素を加えた後、大規模移住の魅力がもっとも高い国家を選ぶ。
    5. その国家の中で適格なステートを調べ、(小さなランダム要素を加えた後)もっとも移住の魅力が高いステートを選ぶ。
  • この後、ステップ2で選んだ文化と国家について、ステップ5で選んだステートへの大規模移住が発生する。このときは市場内移住と同じく、移住させたいPopを選び、小さなPop全体を優先して移住させる。特定のステートから特定のステートに対してあまり多くの人々を送らないようにチェックしているため、大規模移住でステートが過疎化したり人が集中しすぎたりすることはない。
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結果

  • こうした変更の結果どうなったか。テストでは終盤のPopの数が15~20%減少するという結果が出ている。これは断片化されたPopの減少によるものだが、Popが送られるステートが集約されて全体的に施設の数も少し減少した。

新たなUXの改善

  • 上で述べたように、私たちは移住の変更に合わせてUXの観点からこのシステムをもう少しアクセスしやすくしたいと考えた。というのは、重要性を考えるとアクセスしたり理解したりするのが難しすぎると感じる情報がたくさんあったためだ。

  • 気に入っている変更点のひとつは、あるステートが実際に大規模移住を受け入れることができるかどうかを明確に表示するようになったことだ。

  • 大規模移住を受け入れるためになにが必要かということについては、大規模移住の移住先のコンセプトが更新されている。こうした条件は新しいものではなく、これまで適切に公開されていなかっただけだ。

大規模移住を受け入れたいならステートを編入することを忘れないでほしい。また、ステートが市場に適切に接続されていることを確認するのもいい考えだ。

  • 大規模移住の移住先として適格なステートをひとつずつ確認するのは面倒なので、これを表示するマップモードも追加した。

  • また、大規模移住の受入国となる可能性が高い国家を表示するマップモードも追加した。

  • このマップモードには大規模移住の魅力という新たなコンセプトも含まれている。

  • 長い間このゲームに欠けていると感じていたのは、人々が実際に移住した場所を示すマップモードだ。

  • 最後に、私たちは移住の魅力マップモードを見直して自国の市場内のステートのみを表示するようにした。こうすることで市場内移住と大規模移住の違いをより明確に伝えることができ、また自国市場内の人々がどこからどこに移住する可能性があるかを示すことができる。

  • Mod制作者は私たちが多くのdefinesを作り直したり、改名したり、削除したりしたことがわかるだろう(これは1.6リリース後にみなさんのModを更新するためのリマインダーだ)。

1.6は3月6日にリリース予定とのこと。次回はまた2週間後で、1.6パッチノートが掲載されるようです。

1.6のリリース日は明らかにされましたが、2024年3月発売と予告されているDLC「Sphere of Influence」については依然としてなにも情報が出てきていません(質疑応答では「Steam上の日付は発売日ではない」「(パラド社ウェブサイトの拡張パスの画像についてここに表示されている情報は目標とする発売時期を反映したものではもうない」という回答もされています)。どうやら発売延期ということになるようです。

次回:開発日記#106――1.6「Blackcurrant」チェンジログ

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コメント

  1. パフォーマンスのために犠牲にしたのはわかってるんだけど移住が市場内と大規模に限られてるの少し寂しい
    発展した都市に多種多様な人種がいるのも見たかった

    • フォーラムだと逆の意見が多かった
      自国内がどこでも全民族混在の国際都市になるのは歴史的に違和感があるし、現実では民族ごとに好む移住先はもっと偏っていたと

      • 横からだけどどっちもわかる
        パリにドイツ人とイギリス人とロシア人とハンガリー人とスペイン人と……が住む多文化共生が行われているのは見たいけれど、ブルターニュにそれがあったら興ざめというか

  2. 最近の開発日誌でも全くDLCの情報が出てこなかったからまあ延期だろうなとは思っていたけど
    しかしなかなか開発難航してるなあ…

  3. この「市場内」って実質的に下位に置かれる関税同盟も含まれるのかな

  4. 今まで通りマップモードの◯◯市場って表示される市場の中って認識でいいのではないだろうか

  5. popゲーは本当パフォーマンスとの戦いだな

  6. Vic無印やVic2の時代ならともかく、現代のCPUでもまだPOPは厳しいんだな…

    • 処理能力が上がっても切り捨てざるを得ないシミュレーション機能の足切りラインが上がるだけやから、未来永劫CPU負荷との闘いは終わらんで。

      • パーキンソンの法則やなあ

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