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再び緑を宇宙へ! 宇宙開発シミュレーション「Kerbal Space Program 2」

その他

2023年2月24日、「Kerbal Space Program 2」が早期アクセスでリリースされました。前作の高い人気を受けて、本作にも注目している方が多いのではないでしょうか。

前作「Kerbal Space Program」のレビュー記事はこちら。


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ゲームの概要

  • ジャンル:宇宙開発シミュレーション
  • 発売日:2023年2月24日(早期アクセス)
  • 開発元Intercept Games
  • 販売元Private Division
  • Steam購入可能(6,820円)
  • 日本語でのプレイ:可能(公式で日本語に対応しています)
  • 日本語WikiKerbal Space Program Wiki
  • 記事執筆時点での最新バージョン:0.1.0.0.20892

人気の高かった前作「Kerbal Space Program」の後継作で、カーバル(上のトレイラーに出てくるキャラクター。日本での通称は「緑」)が住む地球のような惑星カービンと、カービンが属する星系であるカーボル星系を舞台に、適切な装備を搭載した機体を設計し、打ち上げ、自らの手で操縦して宇宙飛行を行うゲームです。ロケットや宇宙機の挙動がかなりしっかりとシミュレートされるゲームで、シミュレーションゲームというよりシミュレーターに近いものとなっています。

なお、本作は記事執筆時点でサンドボックスモードしか遊べない状態であるため、ゲームとして遊ぶのであれば、グラフィックは古くなりますが、前作「Kerbal Space Program」をプレイするほうがいいでしょう(前作のレビュー記事はこちら)。将来的には前作でできなかった恒星間航行やコロニー建設ができるようになるようですが、少なくとも記事執筆時点では機能的に前作を超えるものはないようです。

また、Steamストアページのシステム要件をご覧いただくとわかるように、本作は要求するマシンスペックがかなり高く、Steamレビューなどを見ると動作が重く感じられるプレイヤーもいるようです。私の環境(i5-12400F・メモリ32GB・Radeon RX6600。最低要件は満たしているが、推奨要件には届いていない構成)ではグラフィック「高」設定でも特段重いと感じることはありませんが、古いPCでプレイするのは厳しそうです。

ゲームの流れ

上で書いたように記事執筆時点ではサンドボックスモードしか遊べないため、できることは機体を設計して飛ばすのみですが、チュートリアルにはかなり力が入っています。現時点では宇宙に行くとはどういうことかというような基礎的なものから、宇宙空間で機体の軌道をどのように操作するかまで、4つのテーマ立てで説明されます。

各テーマの最初の節ではその章の内容をおおまかにさらうような動画が再生され……

その後の節では実際のゲーム画面での操作を状況に応じて指示され、遊び方が身につくような構成になっています。

では、実際にロケットを飛ばして衛星ムンに着陸してみましょう。VAB(ロケット組み立て棟)でロケットを設計し、打ち上げ、惑星カービンから脱出し、衛星ムンまで飛行し、ムンに着陸し、ムンから飛び立って再びカービンに戻ってくるまでを簡単にご紹介します。細かなやり方はWikiの該当ページが詳しいので、プレイする際にはこちらをご覧ください。

今回使用したのはすべて中型のパーツで、カービンから離陸するのに使用する第1段は中型で最大の燃料タンクと高出力エンジン計5基を使用。ムンまで飛行し、着陸し、離陸し、再びカービンに帰還するのに使用する第2段は、中型パーツの中程度の長さの燃料タンクと真空中で高効率な中型エンジン1基で、カービンに着陸する際にはこの第2段も切り離し、有人ポッドのみパラシュートで軟着陸させます。他にムン着陸用に着陸脚3基とカーバルが乗り降りできるようにハシゴを搭載しています。

右下の緑の「発射」という文字の下にΔV(正確に説明すると難しいのですが、簡単に言えば宇宙船の軌道を変化させることができる残りの力というような捉え方でいいはずです)が表示されていますが、このΔVは重要な数値であるにもかかわらず、不具合により誤って表示されているようです(正確には7,000-8,000m/sほどあるはずです)。

実際に打ち上げる様子がこちら。打ち上げ時のカメラアングルは[V]キーで切り替えられます。打ち上げ時はカウントダウンとともに壮大なBGMが流れ、雰囲気を盛り上げてくれます。

カービンの大気は高度30,000mでかなり薄くなり、70,000mで完全になくなります。おそらくちょうど大気圏を抜けたあたりでロケット第1段の燃料が尽きるので、第1段を分離します。

続いて、目的地であるムンへ飛行する軌道を作ります。画面をマップモードに切り替えて機体の軌道上をクリックするとマニューバ計画を作成できるので、これを使用してうまくムンの作用圏(他の天体と比べてその天体の引力がもっとも強くなるところ)に進入できるような軌道を作成します。ここでは面倒なのでカービン周回軌道に乗せずにいきなりムンに行っていますが、一旦周回軌道に乗せてから改めてムンへの軌道を作ったほうが効率がいいのかもしれません(ここでは準軌道からΔVを1,300ほど使用してムンに行く軌道を作っていますが、最高効率だとどれほどになるのでしょうか)。

カービンからムンへの飛行はかなり長い期間がかかりますが、もちろんゲームの中では時間を加速して飛ばすことが可能です。

上記の軌道を飛行してムンの作用圏に入った後は、ムンの作用圏から飛び出してしまわないように減速する必要があります。ここではまたもや面倒なのでムンの周回軌道に乗らずにいきなり着陸する軌道を作っていますが、着陸予想地点が影になってしまう場合など、タイミング調整が必要な場合は一旦周回軌道に乗ったほうがいいかもしれません。

ムンが近づいてきたら、墜落ではなく着陸できるように、エンジンを噴射して減速します。こまめに減速しないと間に合わずに墜落してしまう一方で、あまりに減速しすぎても燃料を無駄にしてしまいます。効率よく着陸するのはプレイヤーの腕の見せどころでしょう。また、着陸前には忘れずに着陸脚も展開しておきます(私の場合は直前になって慌てて展開することが多いですが……)。

無事にムンに着陸し、カーバルをムンの大地に立たせることに成功。旗を建てさせることもできます。着陸してもサンドボックスモードでは特になにかあるわけではありませんが、試行錯誤してうまくいくとなかなか大きな達成感があります。

サンドボックスモードでは行ったきりでカーバルをムンにほったらかしてもいいのですが、やはり行ったからには生きてカービンの土を踏ませなければならないでしょう。ということで、ムンから離陸し、カービンに戻る軌道を作ります。まずはムンの作用圏から離脱し、カービンを周回する軌道に乗る必要があります。

ムンの作用圏を抜けた後は、適当なところで減速するようにエンジンを噴射してカービンに着陸できるような軌道を作ります。ムンに近いところで減速するとまたムンの作用圏に捕まってしまうので、少し距離を置いたところで減速するのがいいでしょう。

そうしてロケット第2段はカービン上空まで戻ってきました。残りのΔVは200m/sと、けっこうギリギリです。

ムンから遠路はるばる帰ってきたカーバルは、このカービンの夕日(か朝日)を見てなにを想うのでしょうか……。

最後にロケット第2段を分離し、有人ポッドのみでパラシュート降下してカービンに無事帰還することができました。

前作では大気圏突入時に非常に大きな圧縮熱を受け、これでパーツが壊れたりカーバルが死んだりしていたのですが、本作では記事執筆時点でまだ熱を実装できていないようで、耐熱シールドなしでも問題ありません。

今回はムン着陸を目標としましたが、さらに遠く他の惑星まで行くことを目指してもいいでしょうし、カービン周回軌道上で宇宙ステーションを建造することに取り組んでもいいかもしれません。遠くまで行くのは確かに困難ですが、他の宇宙船とランデブーしてドッキングするのには繊細な操作が必要で、遠くまで行くのとは異なる困難が待ち受けています。

感想

上で述べたΔVの計算など、不具合と思われる部分(日本語ローカライゼーションがされていない部分も含む)も非常にたくさんあり、現状では完成度の高いゲームとは言えません。早期アクセスだからと言えば確かにそうですが、シミュレーターとしての機能が本作の強力なウリだろうとも思いますし、もっと詰めてから発売してほしかったなというのが正直な感想です(そういったところは開発チームも承知しているのか、今後数週間でパフォーマンス改善や不具合修正を行うパッチを予定しているということが述べられています)。

また、価格が前作の3,980円から1.5倍以上の6,820円となっていますが、記事執筆時点では機能的に前作を超えるものはないどころか未実装の機能も多くある状態なので、グラフィックやチュートリアルなどの改善にそれだけの価値を見出せるかというと、それは厳しいと言わざるを得ないでしょう(ただ価格の大幅な上昇は為替レートによるところも大きく、ドル建てでは40→50ドルで1.25倍の上昇に留まるため、すべてが販売元の問題とも言い切れません)。

上段が前作、下段が本作のVABの様子。

一方で、上で書いたようにいろいろ不具合はあるものの、ゲームの中核的な面白さは既に感じられるようになっていますし、前作と比べるとグラフィック面はやはり本作のほうが格段に優れているのは間違いないでしょう。本作のチュートリアルやトレイラーにもしっかりお金がかかっている印象があり、今後のゲーム開発にもしっかりお金をかけて作ってくれそうな期待も持たせます。「今すぐ買うべき!」とは決して言えませんが、今後開発が進んで不具合が修正され、ある程度機能が揃う頃にはかなり面白いゲームになっているのではないかと感じられます(もちろんそうなってほしいという願望も含まれていますが)。


前作「Kerbal Space Program」が早期アクセスとして発売されてからおよそ10年の時を経て本作「Kerbal Space Program 2」が発売されたことになるそうですが、真価を発揮するには今しばらくの時間が必要なようです。今後の開発を楽しみに待ちたいと思います。3月16日まで前作「Kerbal Space Program」が75%オフのセール中なので、こちらを買って遊んでみるのにはいいタイミングかもしれません。

ただ、「感想」の節に書いたようなことを承知の上で「それでも2をやってみたい!」という場合は、本作を買って遊んでみてもいいように思います。私も不具合に遭遇しつつも楽しく遊べています。

宇宙と言えば、JAXAのH3ロケットは記事執筆時点で3月7日10時37分55秒に打ち上げ予定ということが発表されています。こちらも無事の打ち上げを楽しみにしています。

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コメント

  1. 現状2を一番楽しむ方法はチュートリアルで軌道力学の基礎を学ぶ→1でキャリアモードを始める、だな

  2. やりたいよー

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