「Crusader Kings III」開発日記#109が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回は今後の開発について。1.7リリース後の開発日記です。
前回:開発日記#108――開発日記の予定とコミュニティの活動
開発日記
開発日記#109は、今後の開発について。
- Crusader Kingsはユニークなゲームシリーズであり、原動力としてのキャラクターへの注力、創発的な物語、ゲームを真に卓越したものにするプレイヤーの自由度の高さが私(注:CK3ゲームディレクターのrageair氏)の心を離さなかった。
- 私がプロジェクトを主導するようになってからも、もともとのビジョンは守り続けてきた。すなわちキャラクター重視、プレイヤーの自由と進歩、プレイヤーのストーリー、とっつきやすさだ。こうした点は私の当初の考えとよく一致しており、ここから大きく外れるつもりはない。
- とはいえ、その中でもよりよくできたり、異なる方法でできることは常にあり、例えばプレイヤーのストーリーのまとまりや進歩の感覚を改善するなど、もっとできることがある。私はゲーム内のあらゆるものが(必ずしも明確なつながりがある必要はないが)ストーリー作りに役立つべきだという信念を持っている。
- 内部では、私たちは常に「中世の領主の人生を生きる」という前提のために作業している。これはつまり、私たちはこのゲームをこの時代の生活に比類ないほど忠実なゲームにしたいと思っているということだ。私たちが描く時代に「死・苦悩・戦争」以上のものがあるようにしたいと考えている。他では見られないようなものを強調すること、例えば家族や領主としての難題などは私たちにとって重要だ。これは今後も優先するものであり続けるが、私たちがこれを誇張し、美化していることに留意することも重要だ。結局のところ、これはゲームだ!
私たちがやっていること
- プロジェクトとして、私たちはパッチやホットフィックスの形でのリリース後のサポートを除いて、年に4回程度のリリースを目指している。今年は「Royal Court」「Fate of Iberia」「Friends & Foes」をリリースし、さらに以前述べたように年内に無料アップデートを行うことを目指している。私たちは新たなコンテンツを安定的に提供しつつ、フィードバックによってゲームをメンテナンスしていこうと思っている。来年は(不測の事態がない限り)4回程度のアップデートを行うのが目標だ。
- 長期的にはサイクルを短縮し、より多くのコンテンツとアップデートを提供できるようにする目標を持っている。このプロジェクトは(パラド社開発スタジオの基準では)まだ若く、長い未来がある。やるべきことも探求すべきアイディアも多くある。とはいえ、これは約束ではなく目標だ。すべてを整えるのは面倒なことかもしれないが、私たちはこれを達成するためにできることを常に評価している。
- もちろん、Stellaris Custodian Initiativeのように他のスタジオが行っている取り組みも注目している。私たちは同様の構造を採用できるような組織ではないが、調査する価値はある。繰り返すが、これは長期的なことであり、Crusader Kingsによってよりよい別の仕組みを見つける可能性も大いにある。
- 来年はRoyal Editionのような魅力的なコンテンツをまとめた拡張パスをまた作りたいと思っている。Royal Editionの欠点はメインとなる拡張がサイクルの後半に来たことだ。次のものは拡張でサイクルをスタートさせるか、最初からテーマを明確にしたい。これによってパッケージ全体になにがあるのかがより明確になる。また、今後の拡張パスを構成するものの形式を検討してもいる。「拡張1、フレーバーパック2」の形式は固定されているわけではない。
- これに加えて、私たちはときどき実験をやろうとも思っている。今年の実験は「Friends & Foes」で、これはチームのアイディアから生まれた小規模なコンテンツの形式だ。今後もさまざまな実験を考えているが、残念ながら今のところご紹介できることはない。しかし、コミュニティとの関わりを深めることは考えている。
次の拡張について
- テーマを明らかにするには早すぎるが、次の拡張はゲームのロールプレイに傾いており、マップとキャラクターの結びつきを強化することに注力している。このテーマはこれまでのCKで拡張の対象となったことではない。さらに明言しておくと、貿易、帝国やビザンツの機能、遊牧民などについてではない。
- もっとシステム的な拡張を望んでいる方も多いだろうし、それは理解できる。もちろん、次の拡張ではロールプレイを重視するからと言ってシステム変更やゲームの仕組みがないわけではない。すべてのグランドストラテジーゲームと同じく、CKもその本質に忠実であり続けるにはシステム面のコンテンツが必要だ。拡張と付随する無料アップデートの両方に多くのシステムがある。フレーバーパックについても、システム面のコンテンツを含めることを目指している。「Fate of Iberia」はフレーバーの組み合わせ(イベント・服装・イラストなど)と中心となるシステム面の機能(闘争)が全体として体験を向上させることを証明した。
- 私たちは今、これまでとはすべてが異なるデザイナーチームを持っている。大規模なチームであり、かつ高い能力を具えている。私たちがロールプレイに着目した拡張を選んだのはこれが理由であり、「Friends & Foes」の実験を行うことができたのもそうだ。
- 次の拡張の後はシステムを重視した拡張に重点を移すことが私の願望で、そのために私たちはチームの準備を進めている。私はバランスを取らなければならないという意見で、ロールプレイに着目した拡張が2つ続いたため、システム面に軸足を移す時期だ。私たちはプログラマーチームを大幅に拡大したため、刺激的なシステム面のコンテンツを望むみなさんの未来は明るい。
今後について
- 今後検討していきたい分野はたくさんある。ここに書いたりリストアップしたりしたものは時系列ではなく、明確な約束でもないということにご留意いただきたい。
- 拡張・フレーバーパック・イベントパックという現在の形式は私たちがやりたいあらゆるスタイルのコンテンツで使えると思っているし、この形式を維持するつもりだ(しかしときどき調整することはあるかもしれない)。
フレーバーのテーマ
- まずフレーバーパックから。地域に着目するのもいいが、私たちは地域に関するものではないフレーバーパックも検討している。フレーバーを取り込むシステムがあればどんなことでもできる。とはいえ、少なくとも次のフレーバーパックは地域的なものになる可能性が高い。
- 長期的な目標はマップ全体を活性化させ、多様で変化に富んだゲームプレイを生み出すことだ。これまでのフレーバーパックはいずれもヨーロッパのものであったため、私たちがやりたいのはヨーロッパ以外の地域について検討することだ。もちろん、ヨーロッパ内のプレイヤーに人気がある地域もいずれは取り組みたいと思っている。特にチーム内の誰かが情熱を持っているテーマがある場合は、少しずつ進めることになる可能性が高い。
- 多くのプレイヤーがビザンツのフレーバーパックをリクエストするが、フレーバーパックでは東ローマのコンテンツへの欲求を満たすことはできないと思う。私たちがそういうことをやるなら、それは拡張でやることになるだろう。
- 地域に関するものではないものについては、アイディアがいくつかある。部族政府のようなさらなる政府の検討や、伝染病の流行のようなフレーバーに富んだシステムなどだ。フレーバーパックという形式の利点は拡張の大きなテーマには合わないが、それでもゲームに適していると考えられるシステムを作れることだ。
- 繰り返すが、ここで述べたことは私たちがいますぐやるということではない。
拡張の目標
- 拡張には既に数年分のアイディアがある。ここではその一部をご紹介する。これは必ずしも独立した拡張のテーマではなく、組み合わされるかもしれないし、分割されるかもしれない。また、順番に意味はない。
- 貿易と商人共和国については、よく聞くし、私もいつかは実現したいと思っている。しかし、共和国のCK2の実装はまったく精彩を欠いていたし、貿易ともそれほど関係がなかった。CK3における私のビジョンは異なるものだ。中世の領主は貿易をしなかったし、私が望むものもそういうことではないが、貿易や貿易を行っていた人々に関連して追加できる行動はたくさんある。
- 帝国の仕組み、特にビザンツ帝国関連もよくある話題だ。帝国は特に面白いものではなく、基本的に王国と同じ機能だ。私は皇帝だけでなく、帝国の一部になる機会もあると考えている。例えばビザンツ帝国、アッバース朝、神聖ローマ帝国などでは、帝国の一部であることは帝国を統治するのと同じくらい興味深くあるべきだ。いろいろな方法があるが、理想としては多くの違いを出したいと思っている。
- 法律はCK2で精彩を欠いたもうひとつのシステムだ。ある程度のカスタマイズが可能でシステム的な影響はあったが、固定的で無味乾燥なものだった。コンセプトとして、法律は領主であることや勢力の一部であることのほとんどの部分を占めていた。私たちには封臣契約(これもいずれは見直したい)があるが、もっと多くのことをする余地がある。CK3では法律システムはキャラクターが深く関わるものになる。この考えについては、ダイナミズムと進化がキーワードだ。
- CK3の宗教は大きくステップアップしたが、やれることはまだある。CK3は信仰の範囲内のすべての人の間のドラマをシミュレートするのに適している。また、十字軍に関することにも多くのポテンシャルがある。また、領主の日常生活において信仰は無視されがちなので、大きな役割を持たせたいと思っている。
- 遊牧民はまさにステップの一部だ。ステップは独特で、これまで正当な評価をしてこなかった。CK2ではステップのすべての領主がチンギス・ハンの卵で、戦争以外に着目したものがほとんどなかった。実際にはステップは海のようなもので、遊牧民のみがそこを征服していた。私はステップを固有の仕組みがある地域にし、また遊牧民の人生の大部分を移動に関するものにし、その場所とそこに住む人々のダイナミズムに着目したいと思っている。
- ゲーム終盤は私が拡張したいもうひとつの分野だ。というのは、現在のゲームではタイムライン全体で非常に似たようなプレイになっているためだ。私の野望は現在の平均的なプレイ期間(約200年)を長くするためにゲームをより面白く保つことだ。時代がゲームに与える影響を考えるのはそのひとつだが、holdingsや経済その他のゲームの基礎的な構成要素を考え直すことにもなる。
- 私は最終的にはマップの拡大を行って旧世界の残りの地域を含めたいと思っている。一度にやるか、分割してやるかは決まっていないが、どのようなアプローチをとるにせよ、西半分とは異なる感覚でプレイできる地域である必要がある。この地域には多くの固有のアートが必要だが、政府や教派などシステム面でも異なる動作をさせたいと思っている。野心的な目標だが、いずれは取り組みたい。
将来のラフな間取り図。
一般的な領域
- もちろん、ゲームには全体的に見直し・バランス調整・拡張したい部分がある。拡張やフレーバーがすべてではなく、既存のシステムやコアループもゲームをいい状態に保つためにときどき見直す必要がある。もちろんこれは無料アップデートで行われる。以下は合理的な時間軸の中で行いたいことであり、一部は他のものより重要だ。また以下は完全なリストではない。
- 同盟はあまりにも二元的で、機能の理解はしやすいが関心のない戦争に参加しなければならない。同時に自分の戦争に協力してくれる味方をたくさん得ることがあまりにも容易だ。私はもっと交渉しなければならないような協定ベースのシステムで、必要な同盟を探すのが面倒でないものにしたいと思っている。例えば、攻撃的な同盟のために結婚したと思い込んでいたら単にそうではないことが判明するようなことがあってはならない。具体的にどうするかはまだ検討中だが、私のリストの中では上位にある。
- 氏族(Clans)は十分固有のものに感じられない。壮大な興亡に関する勢力圏の動向をシミュレートする仕組みはいくつかあるが、封建制との違いを示すためにできることがある。私は氏族制の勢力が史実でどのように異なっていたかを調査し、それをもとにフレーバー豊かな仕組みを作りたいと思っている。また、人々の集団としての氏族を氏族政府においてより重要なものにしたいとも思う。
- 戦争はCK3の主要な注目点ではなく、今後もそうなることはないが、司令官のアドバンテージや偉大な騎士以外にキャラクターが主導的なものになるところがない。また、戦時中にコンテンツ(通常はイベント)が発生することでユニット操作が中断させられるのは問題だ。最終的には戦争を邪魔しない方法でコンテンツを発生させることができるようにしたいと思っているし、そのシステムでキャラクターや英雄的行為を際立たせることができればいいと思う。また、補給のような戦場での主な悩みの種も見直したい。
- 補正のスタックは特に常備軍や建造物のコスト低減のようなところで問題になっている。根本的な問題の再設計や再検討を必要とするものもあり、例えば常備軍の補正はプレイヤーがわずかな作業でAI軍を非常に簡単に撃破できることを考えると、時間をかけてしっかり検討したい。常備軍強化の源泉のバランス修正だけでなく、楽しい管理のための新たな選択肢も作ろうと思っている。
- AIは信じられないほど多様で、そのひとつが戦争AIだ。十字軍は改善が必要な分野として浮かび上がっている。その一方で、史実の十字軍は信じられないほど無秩序だったが、私たちはプレイヤーに絶望的な努力であると感じてほしくない。なにをするにせよ、バランスを取らなければならない。AIが完璧に最適なプレイをすれば十字軍はすべてを塗り潰すだろうが、そうしたくはない。もちろん、結婚AIのように改善したいAIの要素は他にもあるが、少なくとも経済AIについてはここ数回のアップデートで前進を見せたため、優先順位は高くない。最終的にはAIのすべての要素が輝くようにしたいと思っているし、そのための計画もあり、段階的に実現する予定だ。
コミュニティと歴史
- そう遠くない将来において、私たちはコミュニティのみなさんを招待して、私たちがやっていることに参加してもらいたいと考えている。私の予想では来年の第1四半期(依然として未定ではあるが)中で、私たちが作るコンテンツに関係するものだ。
- ゲームとは直接関係ないが非常に素晴らしい取り組みとして、私たちは歴史メディアとのコラボレーションを増やしていく予定だ。つまり、ゲームに近いテーマのポッドキャストや動画などをより見かけるようになるということだ。もしかしたら、歴史学者や大学教授をゲストとして招いたり、彼らに今後のコンテンツの相談に乗ってもらうことになるかもしれない。
2022年10月25日追記:開発日記#110はCK3開発スタジオであるスタジオブラックを紹介する内容となっています。記事にしてご紹介はしませんので、気になる方は直接フォーラムをご覧ください。
コメント
ビザンツ拡張楽しみ!
マップ拡大求む!!(特に日本と中国は追加して欲しい)
日本までマップを拡張してくれるんですかねぇ・・・?
MODは日本まで拡張されてるから望みはありそう
東アジアは記録が残りすぎてて大変だと聞いたけど本当だろうか
正直ここ最近パラド作品のアプデが迷走気味に感じられてたから変に野心的な計画を立てないCKに安心した