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「Victoria 3」開発日記#58――関心の見直し

Vic3 開発日記

「Victoria 3」開発日記#58が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回は関心の見直しについて。本体発売前の開発日記です。

前回:開発日記#57――これまでの歩み


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開発日記

開発日記#58は、関心の見直しについて。

  • 今回は社内のプレイテストとフィードバックの結果として起こった外交のデザイン変更、特に関心(Interests)とゲームにおける関心の重要性について。

多くの列強が関心を維持しているヨーロッパは外交上の駆け引きを始めるには危険な場所だ。

  • 関心については開発日記#19で紹介したが、本質的にはある国家が特定の戦略地域(Strategic Region)において外交的な存在感を持つことであり、そこに領土を持つか、そこに領土を持つ従属国を持つか、関心の表明(Declared Interest)を行う必要がある。当初、関心は外交上の駆け引きや植民地の設立を行える場所を制限し、AIが注意を払う必要がある国家の指針になっているに過ぎなかった。
  • 現在ではどう変わっているのか? 基本的にプレイテストによってゲーム内の関心に2つの主な問題があることが判明した。第一に、関心は植民地化や外交上の駆け引きにのみ直接結びついているために、単純に十分な重要性を感じられない点だ。第二に、国家が行える関心の表明の数は単に国家ランクによってのみ決まるため、非常に小さな海軍しかないオーストリアが巨大な海軍を持つイギリスとほぼ同じ世界的プレゼンスを維持できてしまうという点だ。
  • 第一の問題を解決するために、私たちはちょっとした実験を行った。植民地化や外交上の駆け引きを制限するだけではなく、貿易を含むあらゆる形態の外交に関心が必要だとしたら? これは以前から検討していたアイディアだが、単純に制約が多すぎ、貿易については特に懸念があった。というのは、上で述べたように、さらなる関心を持てるようになるには国家ランクを上げるのが唯一の方法であり、列強になってしまえばそれ以上の貿易相手国を持つことはできなくなってしまっていた。

スペインの海軍はかつてほどではないかもしれないが、大国(Major Power)のランクがもたらす範囲よりも大きな外交範囲をもたらすには十分なほど大きい。

  • ここで、第二の問題の解決策が第一の問題の解決の鍵でもあることがわかった。すなわち海軍と関心の表明を直接結びつけることだ。国家ランクから得る表明可能な関心の数を減らし、海軍基地が表明可能な関心を生み出し、国家が保有する小艦隊10個あたり1つの表明可能な関心を得られるようにした。言い換えれば、オーストリアはヨーロッパ各地に表明された関心を維持できるが、イギリスはその艦隊規模によって世界のあらゆる地域のビジネスに好きなように首を突っ込むことができる。

Sikh Empireはギリスに対抗するためにヨーロッパの同盟国を求めているが、内陸に位置するため選択肢が限られている。海岸がなければ、ヨーロッパ諸国のいずれかが北インドに関心を持つのを待つしかない。

  • この変更によって私たちの実験は一体化し、関心のシステムの範囲を大幅に拡大できた。単に領土を得る要件というだけではなく、関心はある地域における正式な外交的存在感の表れとなり、関心なしにその地域でやりとりをすることがまったくできなくなった。東南アジアにフランスの外交官がいないということは、東南アジアにフランスの外交は存在しないということだ。
  • 順不同で以下に関心と関係する要素を挙げる。
    • 外交上の駆け引きと植民地化:これまでどおり、国家はその地域で外交上の駆け引きや植民地化を行うにはそこに関心を持っている必要がある。
    • 外交活動:ある国家と外交を行うには、少なくとも1つの関心が重なっている必要がある。つまり、相手国が関心を持っているいずれかの地域に、自国も関心を持っていなければならない。例えばテキサスはイギリスがDixie地域に関心を持っていれば、テキサスがDixie地域以外に関心を持っていなかったとしても、イギリスと外交を行うことができる。
    • 貿易:2市場間で貿易路を確立するには、2市場のいずれかの所有国が相手市場の存在するいずれかの地域に関心を持っている必要がある。例えばアメリカ合衆国がアルゼンチン市場の存在するLa Plataに関心を維持していれば、アルゼンチンが北アメリカのどこにも関心を持っていなかったとしても、アメリカ合衆国とアルゼンチンは互いに貿易できる。
    • 通知:プレイヤーは関心が重複している国家との進行中の外交と関心を持っている地域のステートについてのみ通知される。
  • 最終的にこうした変更の結果は3点ある。これによって関心はゲームのより中心的な仕組みとなり、世界的な野心を持つ帝国にとって大規模な現存艦隊を維持する必要性が高まり、プレイヤーが誰と取引できて誰とできないかが単純に理にかなったものになることで没入感が高まった。ヒマラヤに孤立したブータンがどういうわけかきまぐれでパラグアイに大使を送ることはできなくなり、本当に孤立したように感じられるようになった。

来週はAIについて。

次回:開発日記#59――AI

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コメント

  1. 海軍と貿易と植民地化が外交システムの下で密接に関わるメカニズムというのは、全ストラテジーゲーマーが望んでいたことと言っても過言ではないしとても良いと思う

    後通知システムと合わせてEU4で見られたようなプレチを抑えたり、見えているか見えていないかの二元論による外交システムに対する別の解法にもなるので色々と夢が膨らむ

  2. いいねぇ!
    基本的にパラドゲーだと海軍は空気になりがちだけど、外交をするための道具になったおかげでしっかり海軍の需要が増えるし、軍隊と外交が切っても切り離せない間柄だというのも表現できる。

  3. 海外貿易を密にすると特に金融利害が海軍力の増強と航路の維持を訴えて政治的にグダグダしたイギリスお嬢の例もあるし、砲艦外交の象徴化って意味でも面白い変更だと思うから期待したい。

    ただ、これって一度貿易を結んだ後、お互いに関心を切らしてしまうと即刻貿易も切れます、みたいなシステムになっちゃうのかな……それはそれでちょっとリアリティに欠けちゃう懸念が

    • 「関心を持てるようになるには国家ランクを上げるのが唯一の方法であり、列強になってしまえばそれ以上の貿易相手国を持つことはできなくなってしまっていた」ってことは、関心を切ることはできなかったんじゃない?

  4. 外交力に軍事力という裏付けが必要になったのいいねぇ
    平時においても海軍は持ってりゃうれしいただのコレクションではなくなったのだ!

    後は片方が関心を持っていれば貿易できるのも面白い。海洋大国は自国の都合に合わせて取引する市場を自由に決められる一方、被関心の側は貿易ルートを開設できてもそれを維持する主導権を持ってない……って感じで。

  5. 国際政治的な文脈でのInterestは関心の他にも利害とか権益みたいな意味合いを含んでるってことがよくわかる説明ですね

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