「Victoria 3」開発日記#47が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回は改宗と同化について。本体発売前の開発日記です。
前回:開発日記#46――政党
開発日記
開発日記#47は、改宗と同化について。
- まず差別についてのシステムを再確認しよう。これは後の議論で重要になる。差別されているPopは政治力(Political Strength)をほとんど持たず、投票もできない。つまり彼らが国の政治に影響を与える手段は政治運動(Political Movements)によって変革を煽るか、文化的分離(Cultural Secession)によって自治を求める内戦を起こすかしかない。彼らは差別されていないPopより賃金が相当低く、特定の職業のための資格を得るのが困難で、彼らの存在が急進主義と騒乱(Turmoil)の源泉となり得る。
- 差別されるかどうかは彼らが誰であるか、彼らが住んでいる国家のアイデンティティ、その国家の法律による。文化と宗教の双方が差別の理由となる可能性があり、異なる法律で管理される。自国の市民権法(Citizenship laws)はどのPopが差別されるかを文化に基づいて決定し、宗教と国家法(Church and State laws)は自国で受け入れられる宗教を決める。こうした法律で差別されないPopとみなされるには、その国家の主要文化や国教とどれほど異なるかに基づく基準を満たさなければならない。
- 例えば市民権法「人種隔離(Racial Segregation)」では、そのPopの文化の遺産特性(culture’s heritage trait)が主要文化の遺産特性と一致するPopのみが受け入れられる。遺産特性とはその文化が世界のどの地域に由来するか(例えばヨーロッパ・アフリカ・アメリカ先住民)を示すもので、この法律ではそれだけが重要だ。Popが話す言語や新世界に移植されたものであるかどうかなどは、彼らの地位を決める上で重要ではない。一方、「文化的排斥(Cultural Exclusion)」ではPopの文化と主要文化のいずれかひとつが似ていれば、この法律の下では平等である資格がある。
- 2つの法律の選択肢は以下のとおり。
- 市民権法
- 民族国家(Ethnostate):主要文化のPopのみ受け入れられる。
- 民族至上主義(National Supremacy):遺産ともうひとつの特性を両方共有する文化を持つPopが受け入れられる。
- 人種隔離:同じ遺産を持つPopが受け入れられる。
- 文化的排斥:あらゆる類似する文化を持つPopが受け入れられる。
- 多文化主義(Multiculturalism):差別される文化はない。
- 宗教と国家法
- 国教(State Religion):国教を信仰するPopのみが受け入れられる。
- 良心の自由(Freedom of Conscience):国教と同じ系統の宗教(例えばキリスト教のすべての宗派、仏教のすべての形態)を信仰するPopが受け入れられる。
- 完全な政教分離(Total Separation):差別される宗教はない。
- 市民権法
- 民族国家は主要文化を持つPopのみが住んでいる場合は多文化主義の国家と実質的に変わらないが、貧しい隣国と関税同盟を結んで多くの経済移民がやってきたら、市民権法を緩和する措置をとるまで相当な政治的抗争に対処しなければならないかもしれない。そうした選択肢がある場合、代替案としてどちらの文化も「主要」文化として受容するために国家を統合しようとするのを考えてもいいかもしれない(詳細は来週述べる)。
- Popが国家に受け入れられる方法を見ていこう。まずは宗教の改宗(Religious Conversion)について。宗教を理由に差別されているPopは受け入れられている宗教に改宗する過程に常にある。しかし、彼らが改宗する宗教は必ずしも国教であるとは限らず、彼らが住んでいるステートで支配的な、いずれかの受け入れられている宗教となる。
- Popの改宗はパーセンテージで進行し、現在は0.2%/月に設定されている(リリースまでに調整される可能性があり、また改造可能でもある)。パーセンテージベースの改宗率は当然ながら時間の経過とともに実際の改宗者が減少し、この速度では差別される人口の半分を改宗させるのに30年近くかかるが、これを加速させる2つの手段がある。
- 宗教学校システム法(The Religious School System law)と制度の組み合わせでは、この速度が投資レベルごとに+20%、最大で+100%(つまり倍の速度)増加する。また、Popの教育アクセス(Education Access)全体も上昇し、利益集団「敬虔な信者(the Devout)」の影響力(Clout)も増加する。
- もうひとつが命令(decree)「国家の価値の振興(Promote National Values)」で、他の命令と同じく特定のステートで発令され、発令されるステートごとに権限(Authority)を消費する。この命令により、改宗と同化の速度が倍になる。
- この2つの手段を組み合わせると、10年以内にマイノリティのPopの半数を改宗させることができる。しかし学校制度が適用されるのは編入されたステート(incorporated states)に限られるため、征服した土地で大量のPopを改宗させるにはしばしば文化的に異なる土地を取り込むという長く骨の折れる過程を始めることになる。
- それによって私たちは文化的同化を考えることになる。同化を始めるにはPopが既に文化的に受け入れられている必要がある。また、文化の故郷(Homeland)と彼らが考えるステートに住んでいる場合は、文化を変えることはない。Popが同化する場合、同化先の文化は必ず主要文化となる。複数の主要文化を持つ国家の場合はPopが住んでいるステートを文化の故郷とする文化が選ばれ、該当するものがない場合や複数ある場合はそこに住むPopの間で支配的なものが選ばれる。
- 同化速度は改宗と同じく0.2%/月となっている。上で述べたように、命令「国家の価値の振興」によってステート単位でこの速度を倍にできる。また、公立学校システム(Public School System)は投資レベルごとに同化速度を+12.5%するが、これは宗教と比較して教化へのアプローチがあからさまでないことを表現している。最大限の努力をすれば、約18年でマイノリティの半数を同化させることができる。
- 最後に少しばかりデザインノートを書いておく。こうしたシステムを開発した主要な動機は論理的で信憑性のあるシミュレーションを提供するためだ。改宗と同化の非対称性のよい副作用は、法律にも非対称性がなければ両方の恩恵を得る手段がない。包摂的で差別のない社会は時間経過で宗教的に均質になることはないし、抑圧的で外国人嫌いの国家は文化的マイノリティを統合するために資源を投入してただ待っているだけで彼らを同化できるということはない。文化については現在でも将来にも、受け入れるか、厳しく対処するかのどちらかである必要がある。今あらゆる信仰を受け入れているということは、将来これを撤回するときに問題になる。異質なPopに対する万能の解決策はない。
来週は統合について。
次回:開発日記#48――統合
コメント
内容と関係ないけど神主さんはご祈祷で大幣(白い紙がついた棒)を払う時は牙笏(木の板)ははしまうよ…
前も女侍が列席してたり(多分ポリコレ的なのもあるとは思うけど)なんだかんだ外国産で日本の考証が完璧じゃないというのがわかる悲しさ
何か違和感があったが正体は分からなかった
すっきりした
宗教のアイコンは十字架にしないかも?みたいなことを以前書いてた気がするけど、churchは良いのかな?
ゲームとはいえ現実でこれだけ素早く改宗や同化できれば為政者は苦労しないだろうな
内地と外地で違う法律を持つようにはできないのかな、ゲーム的に都合よすぎるか
パレスチナにユダヤ教徒入植とかユタにモルモン教徒入植とかできるのかな