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「Victoria 3」開発日記#33――分権的な国家

Vic3 開発日記

「Victoria 3」開発日記#33が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回は分権的な国家について。本体発売前の開発日記です。

前回:開発日記#32――植民地化


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開発日記

開発日記#33は、分権的な国家について。

  • まずはVictoria(Victoria: Revolutions)とVictoria IIで帝国本国以外の地域がどうなっていたのか見てみよう。

  • これはVictoria: Revolutionsでのアフリカだ。大陸の大部分は列強なら入植できる開かれた領土となっている。そこに人は住んでいるが、なにもしていない。植民地国家になるとすぐに帝国のゲームの駒になるだけで、独立や自分たちの故郷には関心がない。

  • Victoria IIでも大体は同じだ。アフリカの大部分やアメリカ大陸の一部など、史実で帝国主義国家に植民地化された地域は、帝国が植民地化するのを待っているだけの無主の土地として表現されている。そこに住む人々は植民地化された後も永遠にどこかの帝国の一員であり続けるだけだ。
  • これは改良の余地があるモデルだ。史実でそこに住んでいた人々を正当に評価しておらず、率直に言えば植民に関するゲームプレイを退屈なものにしている。

  • Victoria 3では、分権的な国家(decentralized nations)が存在することでゲームプレイの問題と先住民のよりよい表現の双方に対処している。帝国が植民地化しようとするところにはどこでも、既に誰かが住んでいる。分権的な国家は組織立っているが、例えばウィーン会議出席国と同レベルの国際的な認知や統治機構を持っているわけではない。
  • 分権的な国家に侵入して植民地化を始めるために正式な宣戦布告は必要ないが、分権的な国家の領土を大きく植民地化するほど、分権的な国家がプレイヤーに対して抵抗するために実際の戦争を始める外交上の駆け引き(diplomatic play)が始まる可能性は高くなる。
  • 植民地の設立に成功しても、そこに住む人々は単なる駒ではない。彼らは自分たちが常に植民地の従属者ではなかったことを思い出し、他の帝国の地方と同じように、条件が揃えば独立を求めるようになる。
  • こうした国家のマッピングは大変なことだった。私たちは基本的にVictoria IIのマップを元にしており、世界中の民族の情報を集めるだけでも大変な作業だった。誰がどこに住んでいたのか、何人住んでいたかという記録は、一部地域では入手が困難だった。ゲームプレイ上の考慮がデザインの選択を動かすこともあった。

原案の提案時に使用された美しい草稿の画像の一部を見よ。

  • 北アメリカを例にその過程を見ていこう。この画像は北アメリカの分権的な国家の実装のための案のひとつだ。既にいくつか妥協点がある。人々はいくつかの大きな政治機構に統合され、一部のステートの境界もこれに合わせている。これはステートの境界線の向こう側に1つか2つプロヴィンスがあるだけでなにかをもたらすには小さすぎる地域ができることがあるためだ。特に、ステートXに住む400名のPopは先住民の反乱に1つの大隊を出せるほどの人数がいないということが大きい。
  • このデザインは分権的な国家に限ったことではなく、歴史的な正確さとゲームプレイのバランスを取るために他の場所でも行っていることだが、もちろん実際の史実から大きく離れることは避けようとしている。

修正案が実装された北アメリカ。

  • 私たちはさらに修正版を作成してり大きな帝国の国境を残そうとした。アメリカが史実のカナダの領土を植民地化したり、メキシコがミネソタを植民地化したりする道をあまり作りたくなかった。私(注:コンテンツデザイナーのOfaloaf氏)はCouncil of Three Firesが恋しく、また入れることができるのを期待しているが、それは上で述べたような配慮や制限に見合うデザインを打ち出せるかにかかっている。
  • 他の地域でも実装の際にデザイン上の考慮がなされている。正直に言うと、ニューギニアの全人口を正確かつ十分にマッピングすることは不可能だった。ここは私たちがもっとも統合を行ったと思う地域だが、先住民の反乱の際にニューギニアの先住民にまともな力を与えるためには必要なことだったと私は思っている。

  • 西アフリカは最初にVictoria 3向けに最初にマッピングしたときから多くのデザイン上の決断がなされた。上で述べたように元のマップはVictoria 2のものを元に作成したので、最初にやったのはマップ上のあらゆる場所に実体を配置するだけだった。この初期の案は繰り返し修正され、おそらくまだ修正される。Ashanti Empireのように、最初に分権的な国家とされた国家が集権的な国家になったし、国家タグの追加や名称変更は私たちが研究に時間をかけ、ファンからのフィードバックを聞いているためにこれまでも起こったし、これからも起こるだろう。
  • 分権的な国家はこれまで白紙の状態で扱われてきた地域に命を吹き込む。そのマッピングにおいて正確さとゲームプレイのバランスを取ることは絶えず続く課題であり、私たちは常にこれに取り組んでいる。その結果としてより生き生きとした世界が生まれ、Victoria 3の発売時にはプレイヤーに喜んで探検してもらえるものになることを祈っている。

来週は運河とモニュメントについて。

次回:開発日記#34――運河とモニュメント

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コメント

  1. 2では植民の為にひたすらIronclad作るみたいに海軍だけあればいい感じだったけど、陸軍がより植民地の保護という形で役割を持てるようになった感じか。現地民との衝突が再現されてるのはいいな。
    にしても、本当にこういう調査って大変そうというか地道な作業なんだろうなぁ……資料も少なそうだし。

  2. decentralized nations とは、また理解しがたい用語を採用したな…。政治体制の観点での中央集権型、地方分権型の傾向の差というより、国家の体をなしていない、「散漫な」体制ということだと思われる…(あくまで私見)。
    旧作のUncivilized(非文明国)と実質同じなんだろうが、2020年代では受け入れられない表現ということか。

    • Vic2の非文明国:清・日本など主権の制限される国々
      Vic3の非集権国:アフリカ・北アメリカに位置する主権が存在しないとされた国々

      だから全く違うものを指している
      Vic2の非文明国に相当するVic3の要素は未承認国
      実のところ「Vic2の非文明国」とは現実で「半文明国」と呼ばれた国々であってVic3の非集権国のが現実の非文明国概念に近いだろうが今更ゲーム上で用語の意味を変えると混乱するだろうから新しい用語を作らざるを得なかったのだと思われる

    • 『銃・病原菌・鉄』だったか『文明崩壊』だったかを読めば、ジャレド・ダイヤモンドがそういう国家以前の国家は非集権的であるという定義を採用していたことが分かる。

  3. ただの白紙じゃないのが面白そう

    EU4からのコンバートで非集権国落ちする勢力とかありそう

  4. 北海道にはアイヌ民族がいたりするのかな

    • vic1でも2でもいたから3でも当然いると思われる

    • 樺太、蝦夷、千島の三つに分割されそう

  5. 正直EU4で北米にわけわからんインディアンの小国がひしめくようになったの面倒なだけだったから、アフリカ分割で別の方法を生み出したのはよい変更だと思う
    いや史実的にきちんと国家として表現するのが正しいのかもしれないけど、ゲーム的に大国の利害問題を表現するにはもっとよい方法がないのかなもは思ってた

    • EU5でも逆輸入されそうだよねこのシステム

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