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「Victoria 3」開発日記#13――生活水準

Vic3 開発日記

「Victoria 3」開発日記#13が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回は生活水準について。本体発売前の開発日記です。

前回:開発日記#12――国庫


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開発日記

開発日記#13は、生活水準について。

  • 今回はVictoria 3の経済モデルの基本となる、相互に関連するシステムである生活水準(Standard of Living)・富(Wealth)・Popのニーズ(Pop Needs)・消費(Consumption)について。
  • Victoria 3のすべてのPopは1-99の生活水準スコアを持つ。これは彼らの生活がどれだけ素晴らしいかを表現している(完全に科学的かつ客観的な指標だ。異論は認めない)。レベル1-4のPopは「飢餓(Starving)」、5-9は「苦境(Struggling)」、それに「貧困(Impoverished)」「人並み(Middling)」「安定(Secure)」「豊か(Prosperous)」「裕福(Affluent)」「資産家(Wealthy)」「富豪(Lavish)」と続き、レベル60以上は「大富豪(Opulent)」と分類される。多くのPopがレベル60以上に達することは想定していないが、プレイヤーが狂った経済的実験を行えるように多くの余裕を持たせてある。

聖職者を助ければ彼らもプレイヤーを助けてくれる。利益集団の特性(Interest Group Traits)は利益集団のバリエーションによって異なる場合があるため、宗教が異なるとメリットも異なるかもしれないことに注意してほしい。

婦人解放には副作用がある。しかし、ここでの人口増加率の低下は最初はペナルティのように見えるが、同時に産業労働力の比率を引き上げることは生活水準の向上につながるため、人口増加率は純増する。

  • 生活水準はゲームの2つの主要な要素である出生率と死亡率、そしてPopの忠誠度(loyalty)に影響を与える。
  • 出生率は単純に毎年Popに生まれる子供の割合、死亡率はPopが死亡する割合だ。どちらの値も最初は高く、生活水準の向上とともに低下していくが、出生率の低下は死亡率の低下より遅く、生活水準の向上に伴って人口は純増する。このシステムでは生活水準の向上によって寿命は延びるが出生率は低下する傾向にあることをモデル化している。各パラメーターはさまざまな効果によって個別に補正を受け得る。
  • Popの忠誠度は生活水準が現在の値から上下するたびに変動する。これについては来週の開発日記で詳細を述べる。

週次の資金不足は最終的には富の減少とそれによる消費の減少につながるが、不足分は収入のごく一部であるため、富のスコア、ひいては生活水準に影響するようになるまでは数か月かかるだろう。

  • Popの富の状態は生活水準の基礎となる。それ以外にも、Popは多くの源泉から生活水準にボーナスやペナルティを得ることがある。
  • Popは週次で収入が支出を上回っている間、時間経過で富を蓄積する。逆に支出が収入を上回っていると富は減少する。支出の大きさは彼らが消費するものとその量に依存し、また彼らの富にも依存する。つまり、Popの収入が変わらず、彼らのいるステートや市場における財・サービスのコストも変わらない場合、Popの富は時間の経過で彼らが維持する余裕のある消費の水準に向かって変化するということだ。もちろん、富が増減すれば消費も変化し、市場での商品価格にも影響を与え、それが彼らの賃金や配当などにも影響するかもしれない。
  • 富は生活水準の基礎を作るのみならず、多くの機能がある。Popの補正前の政治力(Political Strength。国家の投票権(Voting Franchise)で与えられるものは除き、区分して扱う)は彼らの富に依存する。民間が運営する機関(Institutions)にはPopの富にのみ関連してPopに利益をもたらすものもある。また、多くの職業資格(Professional Qualifications)では一定の富があることを要求する。

この小農民(Peasant)Popの富は小さい(6)ため、基本的な必需品のみを消費する。

  • 富のレベルはそれぞれニーズの集合とそのニーズを満たすために商品に費やす必要がある「価値(value)」の量によって定義される。この「価値」は商品の基礎価格で定義され、例えば富の水準が14で規模が1万のPopの通常の衣類(Standard Clothing)のニーズは、需給が完全に釣り合っているとすると87ポンド分購入すれば満たされる。Pop居住地の衣類価格が需要過多の場合、このニーズを満たすコストは上昇する。結果として、商品が安くなればPopはより豊かで幸福になる。

セイロンの小農民が今週の暖房費をどのように使ったかの詳細。

  • 多くのニーズはさまざまな商品で満たすことができる。例えば、「暖房(Heating)」というニーズには木材(Wood)・織物(Fabric)・石炭(Coal)・油(Oil)・電気(Electricity)のいずれかが必要になる。これらの商品は基礎価格の合計が必要な値になっていればどのような組み合わせでも購入され得る。この選択肢が与えられた場合、Popはどの商品がもっとも入手しやすいかに基づいて合理的に購入し、こうした商品の組み合わせでニーズを満たすか、1種類しか入手できない場合には1種類だけを購入する。内陸の孤立したステートでは食糧のニーズを満たすのに充分な穀物(Grain)・果物(Fruit)・肉(Meat)、あるいは加工食品(Groceries)があるなら、魚(Fish)はまったく消費されないかもしれない。

基本的な食料(Basic Food)を必要とするPopと、それがどれほど満たされているかについての詳細。

  • 商品は複数の異なるニーズカテゴリーに現れることがある。加工食品・肉・果物は基本的な食料と贅沢な食料(Luxury Food)の両方のニーズを満たせるが、穀物や魚は基本的な食料のニーズしか満たせない。
  • そのため、雑穀農場(Millet Farms)と漁港(Fishing Wharfs)だけで食糧のニーズを賄う場合、貧しいPopはほとんど満足するが、家畜牧場(Livestock Ranches)やバナナ農園(Banana Plantations)に力を入れると、裕福なPopが入手できる食料の価格を引き上げてしまい、貧しいPopはさらに困窮する。穀物や魚を加工食品に変えることができる生産性の高い食品産業の運営は自国民すべてにとってよいことであり、これによって贅沢な食料のニーズのために消費される肉や果物の供給から解放される。

富が6の小農民と比べて、富が17の官僚はより多様な要求を持っている。

  • 富のレベルが低いと、簡単な衣類(Simple Clothing)・暖房・基本的な食料・酒と薬物(Intoxicants)といった少数のニーズしかない。中位のレベルでは生活用品(Household Items)・サービス(Services)・高級飲料(Luxury Drinks)・移動の自由(Free Movement)といったより洗練されたニーズが導入される。本当に裕福なPopは仲間を感心させたり出し抜いたりするためにますます大量の奢侈品(Luxury Goods)を消費する。
  • ニーズが完全になくなり、より多様なニーズが登場することもある。織物と衣類(Clothes)で満たされる簡単な衣類のニーズはPopがみじめな貧困から抜け出すのに合わせて、プロの縫製によるもののみを含む通常の衣類(Standard Clothing)のニーズに徐々に変わっていく。
  • 新たな商品を市場に投入することで経済を多様化させ、重要な産業品への需要を軽減できる。油の輸入(新たに発見された鉱床からの石油や、世界の少数の産地からの鯨油など)によって自国のPopは石炭や電気の代わりに暖房用に油を一定量購入するようになるが、こうした商品の価格が下がれば自国の産業は収益性が向上する。市場にアヘンが入ってくると、酒やタバコの需要は減る……よくも悪くも。
  • 入手可能であればデフォルトで他の商品よりも好まれる商品もある。電気が利用できるようになると、その便利さから同じ価格であってもPopは木材や石炭より電気を買うことを選ぶ。
  • 完全に他の商品で代用できる商品もあれば、常に最低限必要なものもある。鉄道による移動は自動車(Automobile)を保有するニーズを完全に置き換えることができるが、自動車を持っていてもパリに住んでいるいとこに会いに行くためにたまに鉄道に乗る必要性が完全になくなることはない。
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もしベンガル人が高級家具で得られる社会的地位に執着していたらどうなるか? イベントによってこうしたことが起こるかもしれないし、高級家具(Luxury Furniture)はベンガル人のPopが多く居住する市場では広く行き渡っている奢侈品であるため、自然に発生するかもしれない。しかしこのような習慣が母国で生まれたとしても、アメリカ・オーストラリア・日本など海外に移住したベンガル人も他の奢侈品より高級家具を好み続けるだろうし、そこで同じレベルのアクセスが得られないなら経済的に苦しくなるだろう。

  • こうした要素に加えて、文化は特定の商品に対する執着(Obsessions)を持つことがあり、また守らねばならないタブー(Taboos)を持つ文化もある。
  • また、憎い敵国を豊かにしないためや、Popにあまり税のかからないものではなく重い税のかかる商品を買わせるために、国家は権限(Authority)を使って特定の商品の消費を奨励したり、抑制したりすることもできる。これは経済的には不合理だが、Popの購買行動に影響する。

このステートの中産階級(the Middle Strata)の職業は下層階級(the Lower Strata)の職業よりもかなり恵まれており、上流階級(the Upper Strata)とそれほど大きな違いがない。このステートはおそらくまだ工業化が始まっていない。というのは、商店主(Shopkeepers。工業化以前の経済を運営する)が中産階級で、上流階級の貴族は自給自足の農場で農民から搾取することで収入を得ているのであれば必ずしも特に裕福ではないためだ。中産階級は既に輸送サービス(Transportation)を必要とするほど裕福なので、このステートでの鉄道建設は収益性が高く、人口増加と一般の幸福に有益である可能性が高い。

  • 最後に、前作までの消費モデルとの違いを考えよう。Victoria 2ではPopは種別(Victoria 3での職業)に応じて生存(Life)・日常(Everyday)・贅沢(Luxury)のニーズを持ち、商品の種類と量はさまざまだった。Victoria 2のPopはより高位で贅沢な商品をたくさん消費する種別に常に昇格しようとするが、その余裕がなければ失敗する。Victoria 2の高位のPop種別の中にはそれより低位の種別より客観的に優れた職務を行うものがある(例:工員と事務員)ため、労働力の国際競争力を確保するには高度な商品へのアクセスを保つことが重要になった。
  • Victoria 3ではこの公式が覆されている。技術者(Engineer)は機械工(Machinist)より本質的に優れているわけではなく、機械工は作業員(Laborer)より本質的に優れているわけでもない。競争力を最大化するために維持しなければならないような、国家における理想的な比率もない。
  • 異なる職業は異なる機能を持つが、彼らがどのような機能を果たすかは建造物の生産方式(Production Methods)が決める。建設する建造物や有効化する生産方式の選択によって、プレイヤーは人口に変化を与えるような職業の機会を作り出す。国民を満足させるためにどのような種類の商品を確保する必要があるかは、プレイヤーがどのような職業の機会を作り出したかによって直接決まるのではなく、むしろこうした変化の結果としてどのような富の増加や分配が行われたかによって決まる。
  • その結果、Victoria 3のPopは常により高い社会階層に上がろうとするわけではなく、貴族が常に事務員と比べて高い収入や商品消費のニーズを持つわけでもない。こうしたことはすべて市場の需給で決まる。事務員を続けるより高い収入が得られるのであれば、資格のある事務員は喜んで利用可能な土地で貴族になるし、これによる収入の増加で徐々に彼らの富と消費需要は増加する。
  • 逆に貴族は自分のライフスタイルを維持するのに十分な商品を手に入れられないからといって作業員に降格したりはしない。彼らがそのような必死の手段に出るのは土地を失って(失業して)飢えるのを避けようとする場合か、特に収益性の高い工場で比較的高給の作業員の職を得るような奇跡が起こり、儲からない農場よりも実際に多くの収入を得られる場合に限られる。
  • 実際には、これはどちらのゲームでも飢餓や反乱を防ぐために国民の基本的なニーズを確保することが重要であり、その次により高度な商品や変わった商品をより多く求める国民の欲求を満たし、経済規模と世界における力を高めることが重要だということを意味する。
  • しかし、Victoria 2で通常追求する最終的な目標はゲームで起こることに関係なく一定の最適な人口分布を追求することであるのが多かったが、Victoria 3ではゲームごとに最終的なPopの職業は大きく異なっているだろう。植民地プランテーション経済を作り上げた場合、自国の貴族はゲーム開始時と同じように終盤まで支配的かもしれない。技術進歩の最先端を行く製造業の大国であれば、中産階級のPopは富と権力の点で資本家の宿敵となるかもしれない。高い税金が巨大な機関に再投資されれば、プレイヤーの権力基盤は官僚と学者に支配されるかもしれない。労働者が生産手段を所有していれば、自国の作業員は隣国の貴族よりも裕福になり、より多くの奢侈品を消費するかもしれない。
  • 多様なPopの分布の可能性により、国民の政治的傾向も大きく異なり、法律の要求もさまざまになる。Victoria 2では主に高位の読み書きできるPop種別の多くで政治意識(Consciousness)が高まると自由主義的な方向への改革が望まれるようになるが、Victoria 3ではより自由な消費モデルと職業の多様さによって、それまでたどってきた経緯に応じてゲーム終盤に国民が持っている政治的欲求は大きく変わり得る。これには政治の仕組みと経済のエンジンを連動させ、自国のPopに適した状況を作り、Popの変化する欲求を満たしていく必要がある。

質疑応答

Q:30℃を超えるスリランカにも暖房がいるの?

A:暖房は調理用の燃料なども表現する。

Q:飢餓というのは最低所得層の呼び名に過ぎないのか、それとも実際に人口が減るのか?

A:そのようなレベルの生活水準では基礎となる死亡率は基礎となる出生率よりも高いので、追加的な要因がなければ正味の人口増加率はマイナスになる。これは飢餓を経済的に表現するシステム的な手段にすぎず、ゲーム中では特に深刻な飢饉の連鎖イベントが起こることもある。イベントについては今後の開発日記で述べる。

Q:暖房のニーズは気候や季節によって変化するの?

A:残念ながら、私たちのモデルでは合理的な備蓄が見えないところで行われていることを前提としているため、商品の需給の季節的な変化を簡単にはシミュレートできない。

Q:例えばPopがアルコールをタブーとしている場合、アルコールを生産する仕事を嫌がったりするの?

A:今のところそうしたことはないが、興味深いアイディアなので後で検討する。

Q:生活水準はなんで1-9刻みじゃないの?

A:最高レベルに達したPopの収入が無駄になってしまわないように、システムの上方に大きな余裕を持たせたいと思ったからだ。つまり生活水準99に達するのはほとんど不可能だということだ。

Q:富のレベルを上げるためにPopが貯めなければ資金はどれくらい?

A:現時点では富1の1万の労働力が週に合計して150ポンドの純収入を必要とするようにバランス取りしており、各レベルは前のレベルより10%ほど多くを必要とする。非常に緩やかな指数関数的増加だが、それでも60レベルを超えると天文学的に高くなる。もちろんこれは基礎的な設定のときのものであり、特定の市場価格がある富のレベルに到達するためにPopが持つべき資金に大きな影響を与え得る。

また、富2(基本価格で165ポンド)に進むだけの余裕があるだけでは充分ではない。需給が完全に釣り合っているとすると、180ポンドの純収入を得ている富1のPopは1週間あたり180/150=20%ずつ富2に向けての進捗を得る。


来週は生活水準と強く関連する「政治運動(Political Movements)」について。

次回:開発日記#14――政治運動

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コメント

  1. これで内陸国のPopが魚をピンポイントで要求することがなくなるな

  2. >出生率の低下は死亡率の低下より遅く、生活水準の向上に伴って人口は純増する。
    人口学の本で読んだ奴だ

  3. 神ゲー臭がプンプンする
    早く発売してくれ~

  4. 狂った経済的実験!最高やないか…

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