「Hearts of Iron IV」開発日記2021年8月11日分が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回はソ連の共産主義非史実ルートについて。1.11「バルバロッサ」リリース前の開発日記です。
開発日記
開発日記2021年8月11日は、ソ連の共産主義非史実ルートについて。
- 30年代のスターリンに対する反対派は分かれていた。そのため、通常は1つのツリーを一人のコンテンツデザイナーで担当するところを複数人で担当し、これによってソ連のさまざまなルートが生まれた。
- この開発日記を書いている時点では多くのことがまだ作業中であり、編集も行われているため、リリースまでに変更があることに注意してほしい。
- レーニンが亡くなる前から、党内では激しい権力闘争が繰り広げられていた。率直なリーダーの下にいくつかのグループが形成され、当初はもっとも強力だったのがカーメネフ(Kamenev)とジノヴィエフ(Zinovyev)で、彼らは「新しい反対派(New Opposition)」と呼ばれた。20年代初頭の彼らの敵は左翼反対派を主導するトロツキーだった。その反対側にはブハーリン(Bukharin)が展開した右翼反対派がいた。他にも労働者反対派(the Workers’ opposition)や民主集中派(the Decemist)などがあり、長く安定したものはなかった。スターリンは「中央」と呼ばれる独自の派閥を形成し、党書記という立場を利用して共産党の全権を徐々に掌握していった。
- 共産主義者として、プレイヤーには3つの選択肢がある。第一は中央に留まり、スターリンを指導者のままにすることで、この選択肢は既にご紹介した。
左翼反対派
- 第二の選択肢は左翼に乗り換えることだ。
- 説明を読むとわかるように、このルートでは内戦に行きつく。内戦が始まったときにこれを容易に進めるために、そしてその後に備えるために、できることはいくつかある。
- スターリンからの安全を確保するため、プレイヤーは信頼できる顧問を海外に送ることができる。
- スミルノフや常に左翼反対派と近い関係にあった労働者反対派とより密接な関係を築くことができる。
- さらに、著名な軍人を何人か説得して味方につけることもできる。これによって軍との関係を強め、来たるべき内戦で自派を強化できる。例えばプリマコフ(Primakov。ポートレートは作成中)だ。
- スターリンは彼が「破壊者(wreckers。計画的に妨害工作を行うよう組織された労働者)」と呼んだ者たちがトロツキストと関係していると盛んに煽った。史実として正しいかはともかく、プレイヤーはスターリンに対して妨害工作部隊を組織して実際にその戦術を使うことができる。スターリンのパラノイアが自分たちではなく右翼に向かうことを期待して彼らを非難できる。
- 準備が整ったら国家方針「炎の点火(Ignite the Flames)」を完了して内戦を始める。スターリンのパラノイアが既にプレイヤーに強制していなければだが。
ブハーリンのツリー
- スターリンに反対したいがトロツキーは違うという方はブハーリンと右翼反対派が選択肢となる。ブハーリンはスターリンの最初の盟友の一人で、スターリンはカーメネフの計画を阻止するためにブハーリンを利用した。その後、彼はスターリンに反抗する陰謀を企てたと非難された。ゲーム開始時点でブハーリンは人気も権力もないが、選択肢がまったくないわけではない。
- 左翼反対派のように、内戦を起こしてスターリンを追い出すという運試しができる。
- しかし右翼は左翼と比べて軍にほとんど支持されていない(結局のところ軍は「トロツキーの赤軍」だ)ため、いざとなれば海外からの支援が必要になるかもしれない。
- 例えば、日本にウラジオストクを割譲し、内戦時に自分たちを支持するように仕向けることができる。他には将来の資源権益を軍需工場と交換するなどがある。運がよければ将軍を1人か2人送ってくれるかもしれない。
新しい反対派と共通の国家方針
- 左翼と右翼はスターリンに対抗して共闘することもできる。その気になればジノヴィエフやカーメネフとも共闘可能だ。
- 「協調」を選択するとより多くの政府顧問を利用でき、より高いレベルで民衆の支持を得ることができるが、党内での意見の相違が多いためにペナルティも受ける。もちろん、単独でやっていきたいと思ったらいつでも相手をスケープゴートにできる。
- 国家方針ツリーのこの部分でもうひとつ(非常に)重要なのは実際の内戦に備えることに関する国家方針だ。内戦時に陸軍・海軍・空軍の大部分を掌握するために軍部への浸透を始めてより多くの将軍や提督を味方につけることができるし、あるいはスターリンの注意を軍部に向けさせ、政治的指導者の代わりに彼らを標的にするようにして、スターリンの力を弱めることもできる。
- NKVDにも同様に浸透できる。右翼反対派がスターリンにとって代わるようにさせようとしている場合には特に有効だが、詳しくは今後述べる。
内戦のメカニクス
- スペイン内戦と非常によく似ているが、ソ連はステート数が多いため若干簡略化されている。
- 最初にしなければならないのはどこから反乱を起こすか決めることだ。どのルートを選んだかによって選択肢は少し変わる。左翼反対派の場合は上の画像のようになる(まだ開発中のもの)。
- 内戦中の拠点となる基地を作ったら、スターリンが先に弾圧していない限り、隣接ステートへの浸透を開始できる。一般に、内戦を計画する際には、補給状況を念頭に置くのがよい考えだ。補給状況の悪いステートだけを支配すると、首都への攻撃はずっと難しくなる。開戦時には浸透したステートがプレイヤーの支配下に入るため、先を見越した行動をおすすめする。ロシア中央部のステートやレニングラードには浸透できない。スターリンとその取り巻きがそうしたステートを奪えないほどしっかり掌握している。
- 国家方針「軍の支持(The Military support)」では上の画像のようなディシジョンを利用できるようになる。これは内戦時により多くの将校や軍を確保するためのものだ。しかしこれはスターリンのパラノイアにも影響する。多くの味方を得ようとするほど、スターリンは敵対者を無差別に攻撃する可能性が高まる。
- また、前述したように、他国とのやり取りも可能だ。さまざまな譲歩を提示するか、あるいはただ資金調達を行うか(左翼反対派)。
- スターリンはただ座って待っているだけではない。陰謀を察知するとすぐにさまざまなステートで取り締まりを行い、反対派に奪われるのを防ぐ。上の画像ではムィコラーイウ(Mykolaiv)がスターリンに確保されている。
- さらに、スターリンは将軍や提督の忠誠心を確保するためにあらゆる手段を講じる。そのため、あまり時間を空費していると重要な人物を失い、むしろ彼らと戦うことになるかもしれない。
- おそらくもっとも重要なのは、スターリンが自分の国家方針ツリーを続けることだ。そしてそれは反対派にも影響を与える。つまり内戦を始めるのが遅れるほど、スターリンはより多くの人物を粛清できる。バランスを取ることが重要だ。一部の粛清を回避することはできるが、それにはコストがかかり、パラノイアも増え続ける。パラノイアが大きくなりすぎると、プレイヤーではなくスターリンが内戦を始める危険もある。これはタイミングを選べないだけでなく、内戦開始の国家方針によるボーナスも得られない。
- そして遅かれ早かれ、プレイヤーは内戦を始めなければならない。
- 例えば彼を指導者として……。
スターリンの殺害
- 右翼の場合は現在のNKVD長官を味方につけることができればスターリンを暗殺し、その後の混乱の中でクーデターを起こして政権を取ることができる。しかしスターリンの盟友ベリヤがNKVD長官になる前でなければ手遅れになる。成功すれば、スターリンの一時的な後継者を自分の選んだ人物に交代させることができる機会を得る。しかし、失敗した場合はスターリンのパラノイアは大きく上昇し、プレイヤーに対して内戦を始めることになるかもしれないため、そうした事態に備えておくのがよいだろう。
- NKVDの長官を味方につけるのに加えてNKVD職員にも浸透しておけば、うまくいく確率は確実に上がる。
内戦後
- 2つの共産主義ルートのひとつを進めているなら、スターリンができたことは基本的にすべて行える(国家方針「中央(The Centre)」は別として)。すべてではないが、産業と軍事の国家方針も依然として有効だし、外交も同様だ。
- 左翼反対派の場合、ツリーの下半分はこのようになっている。
- 世界革命を広めるための「永久革命(Permanent Revolution)」というルートもある。トロツキーが指導者の場合、このルートで彼の特性もアップグレードされる。
- 残った敵対勢力をどのように処理するか、最終的な判断を下すこともできる。
- 国家方針「赤軍の建軍者(Builder of the Red Army)」を進める(トロツキーが指導者の場合のみ)とトロツキーが軍の指揮を執ることができるようになる。
- ソ連をどこまで分権化するかという決断も行う。共和国に大きな自治権を与え、実質的に傀儡から解放して彼らを強化するか。
- あるいは最高評議会(the Supreme Soviet)の権限を強化して名目上の指導者を必要としないようにするか。
- 右翼反対派ルートでも政権を獲った後にやることの量は同じくらいだが、中身は少し異なる。
- 「NEPへの回帰(Back to the NEP)」ルートにはソ連経済を改革するためのさまざまな国家方針があり、ソ連を経済大国にすることを目指す。
- トムスキー(Tomsky)の特性をアップグレードすることで、例えばアメリカに対抗する力を高めることができる。
- 国家方針「人民の敵(Enemies of the people)」では共産主義でない隣国に対して傀儡化の戦争目標とボーナスを得る。
- 左翼反対派と同様に最高評議会ルートを進むこともできるが、現在の指導者を維持することを選んで「共通善のために(For the Common Good)」ルートを進むこともできる。これは自国と同盟国をさらに強化する。
- 最後は国家方針「社会主義者の人文主義(the Socialist Humanism)」だ。
- 国家方針ツリーのこうしたルートで得られる新たな指導者のまとめはこのとおり。
- 共産主義の国家方針ツリー全体はこのとおりだ。
- 最後におまけもつけておく。
質疑応答
Q:ミハイル・トムスキーのポートレートはないの?
A:彼は党の指導者ではなく政府顧問だ。
Q:スターリンルートでも内戦が起こることがあるの?
A:スターリンルートをプレイしている場合は内戦は起こらない。
Q:日本に引き渡すのは北サハリンのほうがいいんじゃない? 私は綺麗な国境が好きだ。
A:そのようにもできる。選択肢がいくつかあり、それぞれ異なる効果がある。どれも強制ではない。
コメント
>もちろん、単独でやっていきたいと思ったらいつでも相手をスケープゴートにできる。
うーんこの共産主義
翻訳お疲れさまです
こんなにIF指導者用意するならロマン枠でしかないだろうけどスターリンルートのIFで、ヴォズネセンスキーに押し負けたモロトフルートとか、カガノヴィチに加えベリヤもスターリンも失脚させたエジョフルートとか欲しい
ロマノフ朝王政復古とか、ファシズムルート・民主ルートとか無いんですかね
NFを見てごらん?共産NFの択一の反対側が見えていないだろう?
NFの一番上の見切れている(隠れている)部分がそうなのでは?
ココには書いてませんが「スターリンは変装して名を変えて南米に潜む?(意訳)」という質問に対し「No comments….(原文)」と返しています。自分は期待しています。
よかったウラジオストク以外にも選択肢あるのか
>失敗した場合はスターリンのパラノイアは大きく上昇し、プレイヤーに対して内戦を始めることになるかもしれない
プレイヤーの敵と化したスターリン
プレイヤーにもパラノイア発動させてくるヨシフおじさんとか怖過ぎるだろ 画面の壁を越えたね
第四の壁を越えてくるヨシフおじさんやめろ
おまけってカルムイク共和国? 現バージョンのエリスタにあたるけど、何か新要素があるのか、それともタンヌ何とかみたいなのが増えるのか。
たぶんロシア構成共和国が独立可能国家(プレイアブル)になるってことだと思う。
綺麗な国境は草。確かに樺太は日露両国民雑居の地だったこともあるし、ウラジオストクよりは遥かに日本が統治するのにふさわしい。もちろん中核州で頼む。なお、ゲーム的に資源や工場、人口的な旨味は大してない模様…