「Victoria 3」開発日記#3が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回は建造物について。本体発売前の開発日記です。
開発日記
開発日記#3は、建造物について。
- 建造物(Buildings)はVictoria 3の中核的なシステムであり、Popが物資(Goods)などのような資源を生み出すために働く場所だ。建造物は質素な自給自足の農場から複雑な自動車産業や広大な金融街まで、さまざまな産業、ビジネス、政府機能を表現している。今回の開発日記ではVictoria 3における主な建造物の種類とその機能について大まかに述べる。
- 建造物について述べるには、先にステート(states)について触れなければならない。ステートはVictoria IIやHearts of Iron IVのような私たちの別のゲームをプレイする方にはお馴染みであろうコンセプトで、Victoria 3のゲームプレイの大半で利用するさまざまなサイズの地理的単位だ。ステートはPopが居住する場所であり、(今回のテーマではより重要なこととして)建造物が配置され、建設される場所でもある。ステートについては今後の開発日記で詳しく述べる。
- 建造物について述べる前に、建造物はPopが働く複数の場所であり、一般的にはひとつの建物を表現しているのではないという点は重要なこととして指摘しておく。例えば、ひとつのレベルの政府機関(Government Administration)は一定数の官僚を抱えるために必要な建物とインフラを表現している。建造物はどんな種類の利益を得るためにもそこで働く資格のあるPopが必要で、空の建造物はなんの役にも立たない。これはVic2では働くPopを必要としなかった鉄道や港湾でも同様だ。
- ほとんどの建造物は直接建設されるが、一部の建造物(下記の自給自足の建造物(Subsistence Buildings)のような)は特定の条件に基づいて自動的に出現する。建造物を建設するにはPopの労働者と物資が必要となり、そのコストは市場原理に従う。
自給自足の建造物
農民はこの自給自足の農場でちっぽけな生活を営み、一人当たりのGDPや税収にはほとんど貢献しない。
- ではさまざまな種類の建造物を見ていこう。まずは自給自足の建造物だ。これは非常に効率の悪い特殊な建造物で、手動で建てたり壊したりすることはできず、他の種類の建造物に使われていない耕作地(Arable Land)があれば世界のどこにでも出現する。
- 世界人口の大部分はゲーム開始時には自給自足の建造物で農民(Peasants)として「働いて」おり、ゲームの工業化の過程の大半は自国の農民に対してより生産的な雇用を見つけることだ。
中心市街地(Urban Centers)
- もうひとつの特殊な建造物が中心市街地だ。自給自足の建造物と同じように建設するのではなく自動的に設置されるもので、ステートの中心市街地のレベルは他の建造物によって生み出される都市化度(Urbanization)の量と関連する。
- 中心市街地は主に商店主(Shopkeepers)を雇用し、後述する複数の重要な地域的機能をもたらす。
政府の建造物(Government Buildings)
官僚は政府機関で働き、政府の活力源である官僚機構(Bureaucracy)をもたらす。
- 次は政府の建造物だ。これは国家(つまりあなた!)がすべての資金を出す建造物で、ヴィクトリア朝時代の国家を円滑に運営するために必要な重要な公共サービスを提供する。例として政府機関があり、これは領有しているステートの統治や機関(Institutions)の維持のために官僚が官僚機構(Bureaucracy)を生み出す。また、大学(Universities)は技術進歩のために学者(Academics)が革新(Innovation)を生み出す。
民間産業(Private Industries)
- 政府の建造物と対になるのが民間産業だ。Victoria 3における建造物の大部分がこのカテゴリーに該当し、(自給自足ではない)農場、プランテーション、鉱山、工場などの幅広い産業が含まれる。政府の建造物とは異なり、民間産業は国家が所有しているのではなく資本家(Capitalists)や貴族(Aristocrats)といったPopに所有され、彼らはそこから得られる利益を得てそこで働くPopに賃金を支払う(少なくとも通常ならば。特定の経済システムの下では建造物の所有権は根本的に異なるかもしれない)。
- 1こうした建造物の多くはその地域で利用できる資源、例えば農業なら耕作地、鉄鉱山に関してはステートで利用できる鉄の量などによって制約される。一方で、工場(Factories)などの都市建造物(Urban Buildings)はステートに詰め込むことができる人口の数にのみ制約され、都市の人口密度の高さをシミュレートする。
- 要するに建造物「スロット」のようなシステムはなく、というのは建造物の制約を理にかなっていて現実的な方法で行いたかったためだ。
開発に関する建造物(?Development Buildings)
- 最後に開発に関する建造物だ。これは多くの場合(必ずしもそうではないが)政府の建造物で、ステートレベルの重要な機能をもたらすことで目覚ましい働きをする。例えば兵舎(Barracks)は地域住民から兵士を募集して訓練する。鉄道(Railways)は他の建造物が市場に物資を運ぶために必要な社会基盤(Infrastructure)をもたらす。
- 今回の開発日記の締めとして、Victoria 3では国家建設をより実践的な体験にしようとしていることを述べておきたい。というのは、これはこのゲームの社会構築の要素の核となるもので、ゲームの中核となるループの大部分をなしているからだ。
- つまり、当然ながら大規模な帝国で建造物を管理するのに必要なツールをプレイヤーに提供する必要があり、これは建造物の自動建設という形をとることになるだろうが、私たちはまだこれがどういったものになるのか(そして投資者となる階級の意思決定と関連するものになるかどうか)確定させたわけではない。しかし、最終的にはAIではなくプレイヤーが自国の発展に主要な責任を持つことになるようにしたいと思っている。
- 今回述べたことの多くはもちろん今後の開発日記でさらに詳しく述べる。
質疑応答
Q1:スウェーデン南部に数千Popと膨大な数の工場があるメガロポリスを作ることはできる?
A1:セントヘレナ島に500万人を詰め込むことはできないという意味で「現実的な限界」のようなものはあるかもしれないが、充分な土地と社会基盤と仕事があればどこにでも巨大都市を作ることはできる。
Q2:グレートブリテン島でコーヒー栽培したりできる?
A2:どの作物を栽培できるかはステートによって異なるので、コーヒーはその時代に栽培されていたか、あるいは栽培されることがもっともらしい場所でのみ栽培できる。
Q3:開発ビジョンが変わらないのはわかっているけど、Vic2の長所は自由放任政策なら民間セクターが政府から独立していたことだった。政府が木材の生産を決めるのは計画経済なら理にかなってるけど、自由放任主義ではそうではない。よいAIを作るよりプレイヤーに生産に関してマイクロマネジメントさせるほうが簡単だからなんじゃないかと思ってる。
A3:AIはもちろん問題だが、このようにした主な理由は自国にどの建造物を建設するかということはVictoria 3の経済に関するゲームプレイと社会構築の双方にとって非常に基本的なことであり、プレイヤーにそれを操作させないことが理にかなっているとは私たちは思わないためだ。言ってみれば、ゲームが勝手に動くようにはしたくないということだ。
Q4:プレイヤーを政府と考える人もいるので、プレイヤーが工場などを建設するのはより自由な政府形態とは相容れないと思う。でも開発チームはプレイヤーを国家やその社会と見立てていて、そうするとプレイヤーが工場を建てることに齟齬はなくなる。
A4:そうだ。プレイヤーは政府としてプレイするのではなく、「国家の精神(spirit of the country)」としてプレイする。私たちのゲームにおける政府の権限の範囲外のことや政府の利益に反することをプレイヤーが行えるのはこのゲームだけではない。とはいえ、私たちはまだ現在の投資プールの機能の仕方を完全には決めておらず、とり得る他の方法も議論している。
Q5:ステート画面のGDPのパーセンテージはなに?
A5:国家全体のGDPに対するそのステートの寄与度。
来週は商品について。
次回:開発日記#4――商品
コメント
民間産業について一段落抜けてますよ~
追記しました。ありがとうございます。
Vic2まではプロビンスの生産物はイベントでしか変わらなかったけど、Vic3では制限はあるけど多少自由に決定できるようになったって事か。2の工場みたいに経済圏下の国にも建造できるなら、自国は工業化を押し進めつつ労働者が安価に嗜好品を買えるよう、後進国のモノカルチャー化とかも出来そうですねぇ…
つまりコンゴに天然ゴムのプランテーションを建てまくったレオポルド王のようなブラック企業的政策も出来るようになる……?
これは捗りますねぇ…Vic2の固定的なRGOよりも遊び幅が広がりそうで良いですね
これコンセプト通りにAIが働いたら相当面白くなりそうだけど、できるかな
植民地のプランテーション経営も出来るし自国の産業殖産も出来るってことね
属国や影響国に対する干渉がどの程度まで可能なのかが気になるね
資本家に工場建設を任せるとAIがアホで大赤字&失業者だらけの問題も何とかしてもらいたい