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「Victoria 3」開発日記#2――キャパシティ

Vic3 開発日記

「Victoria 3」開発日記#2が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回はキャパシティについて。本体発売前の開発日記です。

前回:「Victoria 3」開発日記#1――Pop


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開発日記

開発日記#2は、キャパシティについて。

  • 今日はゲームの4つの主要な「通貨(currencies)」のうちの3つ、「キャパシティ(Capacities)」について(最後の「資金(Money)」についてはもちろん後でご紹介する)。
  • 最初の開発日記でVictoria 3には「マナ1」が存在しないと述べたが、今回の開発日記はゲームの「通貨」に関するものであるため、その意味を明確にしておきたい。「マナはない」というのはVictoria 3の資源はシミュレーションの一部である明確に定義された手段から獲得し使用されるということであって、あまりにも抽象的な概念や曖昧なアイディアからもたらされるものではない。もちろん、ある程度の抽象化は必要だ(すべてのゲームは結局のところ抽象化だ)が、ゲーム内のすべての「通貨」がシステムに強く根差し、恣意的なものに感じられないようにしたいと思っている。
  • では、キャパシティとはなにか? まず第一に、「通貨」と呼ぶのは正確ではない。キャパシティはプールされた資源ではなく、蓄積されたり消費されたりするものではなく、一定の生成量と一定の使用量がある(Stellarisの管理許容量(Administrative Capacity)に近い)。それぞれのキャパシティは特定の分野に対する国家の統治能力を表現し、その分野に関連することにのみ使用される。
  • 既に述べたようにキャパシティは蓄積されないため、余剰がプールされるわけではないが、代わりにそれぞれのキャパシティには、生成量が使用量を超過しているときポジティブな効果が、使用量が生成量を超過しているときかなりネガティブな効果が、それぞれある。官僚組織を拡充せずに領土を次々と組み込んでいく国家はその負荷で徴税が崩壊し、借金まみれに陥ることにすぐに気が付くだろう。

官僚機構

スウェーデンの官僚機構は現在少し働きすぎで、政府機関の建造物がもうひとつふたつあれば国家は恩恵を受けられるだろう。

  • 官僚機構(Bureaucracy)は国家が編入した領土に対して統治し、投資し、徴税する能力を表現している。これは政府機関(Government Administration)の建造物によって生成され、この建造物では多くの官僚が雇用される。国家のすべての領有ステート(Incorporated States)は人口の規模に応じて増加する一定量の官僚機構を使用し、この使用量はさらに国家が投資した各機関(Institution。教育や警察などで、詳細は今後述べる)によっても増加する。
  • 全体として、官僚機構の目的は国民を統治し、課税し、養うことにコストがかかるようにすることだ。中国の統治は安くはないはずだ!

権限

スウェーデン国王は現在使っているよりも多くの権限を自由にでき、法律を可決する速度をわずかに高めることができる。

  • 権限(Authority)は国家元首(Head of State)の個人的な権力と、命令によって国家に変化をもたらす能力を表現する。これは法律(Laws)によって生成され、一般的に国家が抑圧的で権威主義的になるほどより多くの権限が生成される。また、権限は特定のステートにおける命令の制定、利益集団(Interest Groups)との関わり、物資(Goods)の特定の品目の奨励や禁止など、さまざまな行動に使用する。
  • 全体として、権限の目的は権威主義的な社会とそうでない社会との間に興味深いトレードオフを生み出すことだ。権力の配分をPopから統治者の手に移すことで、プレイヤーの法令による統治能力は強化され、その逆もまた然りだ。
  • (質疑応答より)スクリーンショットからだけでは明らかではないが、「集会の自由(Freedom of Assembly)」は言論の自由(Free Speech)カテゴリーの法律であり、これの最高の段階は「言論の保護(Protected Speech)」だ。このカテゴリーでもっともリベラルな法律なので、これは権限をもたらさないが、より抑圧的な法律(「集会の自由」のような)は権限をもたらす。ゲームの他の部分と切り離して考えると、これは国民に権力を与えることで権限が増えているように見えるが、実際には逆のことが起こっているということだ。これはもちろん言論の自由によってのみ支配されているわけではなく、他の法律の影響もあって国家にトレードオフをもたらしているが、これは権限に対する唯一の効果だ。
  • (同じく質疑応答より)道路維持に権限を使用するのはこれが国家から国民に対して発する命令(さまざまな種類のうちのひとつ)だからであり、国民をその指示に従わせるために政府は権限以外になにもコストを支払わないからだ。これはゲーム序盤においていくつかのステートで市場の接続を維持する解決策だ。ステート間の結束を高めるために経済にテコ入れするより効果的な手段はゲーム後半になってから登場する傾向にある。権限を高めるほかの方法として、政敵の弾圧などがある(あるいは自国民にもっと権利を与えてもよい)。

影響力

スウェーデンには使用されていない影響力が多くあり、もうひとつふたつ外交協定をサポートする余裕があるはずだ。

  • 影響力(Influence)は国家が外交を行う能力や世界における力の及ぶ範囲を表現する。これは国家のランクによって生成され(列強(Great Powers)は大国(Major Powers)より大きな影響力を持つなど)、関係改善(Improving Relations)、同盟(Alliances)、貿易協定(Trade Deals)、従属(Subjects)など、継続的な外交的行動や協定をサポートするために使用される。
  • 全体として、影響力の目的はどの外国と強力な外交関係を築きたいかについてプレイヤーに興味深い選択をさせることだ。

質疑応答

Q1:建造物はなんらかのスロットを使うの?

A1:一部の建造物は資源があるかどうかや耕作に適しているかなどに制約される(例えば、鉄鉱山はその地域でどれだけ鉄が利用できるかによって制約される)が、それは意味のある場所においてのみだ。都市がどれだけ大きくなるかは人口によってのみ制約される。

Q2:資金は触れるものだし徴税によって獲得するけど、影響力は触れないものだしなにから得ているの?

A2:主に国家ランクからだ。国家ランクは威信(Prestige)によって決まり、威信は他の要素の組み合わせによって決まる。言い換えれば、世界がプレイヤー国家を素晴らしい/恐ろしいと思うほど、プレイヤー国家は世界で好きに振る舞う裁量を得るということだ。影響力をなにに使うかということを考えると、他にも影響力の源泉となるものがあるというのも理にかなっている。私たちは資源を獲得する方法について、プレイヤーがその資源をどのように割り当てるかということと無関係に感じられてしまうのを絶対に避けたいと思っている。

Q3(2021年6月5日追記):官僚機構はそこで働く官僚ではなく建造物に基づいているように見えるけど、建造物があっても官僚がいなかったらどうなるの?

A3:建造物からの産出は利用できる労働人口(workforce)によって変動する。空の建造物はなにも恩恵をもたらさない。


来週は建造物について。

次回:開発日記#3――建造物

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コメント

  1. >影響力
    >世界がプレイヤー国家を素晴らしい/恐ろしいと思うほど、
    >プレイヤー国家は世界で好きに振る舞う裁量を得るということだ
    威信、影響圏の概念は、クリス・クロフォードの「バランスオブパワー」の概念を用いている感じがしますね」(バランスオブパワーデザイナーズノートより

  2. 言及されてるけど、BureaucracyはStellarisの管理許容量まんまな感じだな。
    しかし官僚POPからではなく建造物から生成されるなら、官僚自体の存在意義はどうなるのかね?

    • 質疑応答に関連する質問を追記しました。

  3. 通貨のキャパシティ化はなんだか年度末の予算使い切り的なものを感じさせてくれるな

  4. キャパシティは国内市場をゲーム内で数値的に再現することを目的にしている感じかな?
    Victoriaは何よりも経済ゲーな訳だし
    官僚機構は植民地経営に大きく影響しそうな感じ
    長期的に利益を得たいなら投資をすべきだが、コストに見合う利益が手に入るか検討しなければいけないのだろう

  5. 日本の明治維新がどう表現されるのか気になるなぁ~

    • 幕府が幕府らしく表現されてほしい

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