7月下旬からお知らせしていた日本向け総合改変MOD「Japan Historical Improvement」の国家方針リニューアルですが、無事に完成しましたのでご紹介。まだ調整は終わっていませんが、長い戦いでした……。
「Japan Historical Improvement」についてはこちら。
国家方針ツリーの全体像
2019/08/10追記:調整が完了したわけではありませんが、差し当たって遊ぶ上で差し支えない状態に仕上がったかなというところまで来たので、Steamワークショップで公開しました。
前回から1週間ほどのうちに計画した50個中残りの1/3を完成させ、組み上げたツリーの全体像がこちら。まだ分岐がひとつもなく、史実どおりに最後は敗戦する流れとなっていますが、1945年8月の第二次大戦終結までをカバーしています。
全体的な配置としては、一番左側のブロックが外交、中央左側が経済、中央右側が国家総動員法関係、一番右側が軍事(そのうち左側が陸軍、右側が海軍)、最終的には中央下段の敗戦ルートでまとめとなっています。もちろんこれは現時点での配置であり、今後分岐を足していく中でどんどん変更されていく予定です。
以下、前回から追加した16個の国家方針についてご紹介します。
#35(42年9月20日)「技術交流」
これはバニラのものをそのまま流用した国家方針ですが、タイミングとしては遣独潜水艦作戦が行われた頃(最初の遣独潜水艦となった伊30は6月17日に特設巡洋艦から補給を受けてドイツへ出発)を想定しています。ただ、三国同盟締結後にも技術交流は行われていた(40年に日本の軍事視察団が訪独するなど)ため、もっと早い時期でも取れるようになっています。
#36(42年11月29日)「海軍機関科問題」
これは以前から存在していた国家方針ですが、イベント以外に海軍経験値も獲得できるようにしました。
完了するとイベントが発生し、「兵機一系化を進める」と1年間は大きなペナルティがつくかわりに恒常的に小さなボーナスを獲得できます。「現状を維持する」では政治力100を獲得します。
42年11月の改正で兵科士官と機関科士官が統合された(実際は軍令承行令上の差異は残っていた)タイミングをベースとしてはいますが、兵機一系化に関しては1930年代から何度も検討されてきていたため、ツリー上では早い段階で実行できるようにしています。
#37(43年2月7日)「南方資源の開発」
バニラの国家方針「南方資源地帯の拡張」の名前を変えただけのものです。
正直なところこのあたりではめぼしいできごとを見つけられず、こちらの新聞記事をネタ元としました。記事中では(本当にそうだったかはわかりませんが)戦前の生産量を回復させるだけでなくさらに増産もしているという内容があり、それをバニラの国家方針にこじつけたという格好です。
#38(43年4月18日)「指示権」
1日あたりの政治力が+1される国民精神を獲得します。
元は43年3月18日公布の戦時行政特例法という法律で、こちらの新聞記事によれば内閣総理大臣の権限(指示権)を巡って憲法との整合性が当時議論されていたようです。
#39(43年6月27日)「ニ号研究」
核兵器技術の研究ボーナスが2つつく国家方針ですが、核兵器技術は3つしか技術がないのでちょっと強力すぎるかもしれません。
仁科芳雄博士が主導した新型爆弾開発計画「ニ号研究」が元ネタですが、ネット上には詳しい資料がなく、Wikipediaのこちらの記事の1943年5月に報告書が提出されてすぐに開発が始まったという記載を元にしています。
#40(43年9月5日)「絶対国防圏」
千島列島、硫黄島、サイパンの全プロヴィンスに沿岸要塞を2レベルずつ追加するものです。
『戦史叢書 第51巻』75ページ-(コマ番号53-)にあるように、43年9月30日に決定された「今後採るべき戦争指導の大綱」内で「絶対確保すべき要域」とされているのが絶対国防圏ですが、絶対国防圏すべてに防備を整えさせてしまうと国家方針として強力すぎるので、上述の3ステートのみとしました。
#41(43年11月14日)「インド国民軍」
HoI4本体のバージョン1.5より前のバニラの国家方針にあったものを流用しています。実を言うとちゃんと動作するのかまだ検証できておらず、テストプレイ次第では変更される可能性があります。
自由インド仮政府は43年10月21日に樹立宣言をしており、タイミングはこれをベースにしています。インド国民軍の指導者であったチャンドラ・ボースはドイツからUボートで来日したため、遣独潜水艦作戦を念頭に置いた「技術交流」を前提国家方針にしました。
#42(44年1月23日)「海上護衛戦」
海軍経験値と海軍ドクトリンや対潜技術への研究ボーナスがつく国家方針です。
『戦史叢書 第46巻』297ページ-(コマ番号162-)によれば海上護衛戦のメインプレイヤーとなった海上護衛総司令部は43年11月15日設置で時期がずれますが、設置後にいろいろな施策を取ったことを取り上げたということにして、名称もちょっとぼかしています。
#43(44年4月2日)「決戦非常措置要綱」
経済法を総動員に変更する国家方針。「国家総動員法」では戦争経済止まりなので、ここで総動員に変更します。
これはタイトルのとおり決戦非常措置要綱が元ネタで、44年2月25日閣議決定。
#44(44年6月11日)「本土沿岸築城実施要綱」
東北(八戸付近)と関東(九十九里浜・鹿島灘)に沿岸要塞を追加する国家方針。
『戦史叢書 第51巻』116ページ-(コマ番号74-)によれば、史実では44年7月20日に指示されたものです。
#45(44年8月20日)「本土防空体制の強化」
九州・関西・東海・関東ステートに対空砲・航空基地・レーダーを追加するものです(レーダーは研究していないと追加されません)。現状ちょっと強力すぎるかもしれません。
『戦史叢書 第19巻』326ページ-(コマ番号180-)に記載のある、捷号作戦の本土防空に関する部分を元ネタとしています。
#46(44年10月29日)「武士の魂」
バニラの同名国家方針をそのまま流用しました。陸軍は44年9月末、海軍は10月に特攻を開始していたようなのでこのタイミング。
#47(45年1月7日)「帝国陸海軍作戦計画大綱」
ディシジョンの決号作戦を解禁する国家方針。
『戦史叢書 第57巻』161ページ-(コマ番号95-)によれば、帝国陸海軍作戦計画大綱は45年1月20日策定。これによる陸軍での作戦計画が決号作戦と呼ばれていたようです。
決号作戦は中核州での攻撃と防御、増援確率にボーナスがつきます。フィンランドの国民精神Sisuを参考にしました。
#48(45年3月18日)「国土築城実施要綱」
要塞建設速度+50%という強力な国民精神を得る国家方針です。
『戦史叢書 第51巻』202ページ-(コマ番号117-)によれば、史実では45年3月16日に指示されたものです。
#49(45年5月27日)「国民義勇戦闘隊」
動員法を根こそぎ動員に変更する国家方針です。
国民義勇戦闘隊編成の法的根拠となった義勇兵役法は45年6月22日公布。ちょっと早いですが致し方なし。
#50(45年8月5日)「聖断」
バニラでは本土への原子爆弾2発で解禁されるディシジョン「無条件降伏の提案」を解禁します。バニラと同じく原子爆弾1発目でも解禁されますが、この国家方針ではその前に無条件降伏できるようになります。
原子爆弾以外の条件はバニラと同じで、艦船40隻未満、沖縄と硫黄島の失陥はこの国家方針でも必要です。
以上、当初予定していた史実分の国家方針50個をご紹介しましたが、冒頭にも書いたように調整はまだできていないので、それ次第では内容が変更になることがあります。
まだテストプレイ前でまともに遊べるかどうかわからないため、Modを更新するのはもう少し先ですが、なんとか形にはなりました。最後のほうは本当にどうにかネタ出しして枠を埋めていくという作り方をしたので、「~要綱」のような書類の名前をそのまま使ってしまっているのが気になっています。
また、今回の50個は史実をトレースして作成したため最終的に負け戦になってしまいますが、当然ながらプレイヤーとしては戦争には勝ちたいですから、アメリカに勝ったバージョンの分岐も作りたいところです。また盧溝橋事件で日中戦争にならないようにしたり、トラウトマン工作で中華民国と和平できるようにしてしまったので、日中戦争にならない/途中で講和した場合の分岐も必要でしょう。
ともあれ、一段落というところまで無事にこれてなんだか肩の荷が下りた気がしています。軽くテストプレイしてみた感じでは、差し当たって日中戦争で戦う中華民国がめちゃくちゃ強いです。日本陸軍のほぼ全軍を投入してようやくちょっと優勢かというところなので、史実をトレースするという意味ではいい感じに泥沼化しそうな仕上がりになっているかなと思っています。
コメント
完成お疲れ様です!
ありがとうございます!
ついに完成しましたか。おめでとうございます! 公開されるのを楽しみにしてますね。
お盆で戦没者の方々の冥福を祈ったら、ゲーム上では苦心惨憺してもらう……。
パラドゲーはホンマ、業の深いゲームやでぇ。
https://steamcommunity.com/sharedfiles/filedetails/?id=1715829715
ありがとうございます! 細かな調整はまだですが、さしあたって差し支えなく遊べるようになりましたので、Steamワークショップにて公開しました。楽しんでいただければうれしく思います。