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「Stellaris」開発日記#93――戦争・和平・請求権

Stellaris 開発日記

パラド社発の宇宙4Xゲーム「Stellaris」の開発日記#93が更新されましたので、その内容をご紹介。今回は戦争・和平・請求権について。

前回:開発日記#92――FTLの見直しと銀河の宙域特性


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概要

開発日記#93は、戦争・和平・請求権について。

戦争目標の見直し

  • Stellarisの戦争目標システムは少し変だったし、プレイヤーからのもっともな批判の的にもなっていた。ある意味では、このシステムはまったく制限がなく、誰に対しても、どんな理由でも、どの惑星についてでも宣戦布告でき、この惑星が文字通り銀河の反対側の敵の領域のまっただ中で、プレイヤーの帝国がきちんと支配できるとは言えないところであったとしても関係がなく、また、その惑星にプレイヤー帝国の兵が一人たりとも降り立ったことがなかったとしても請求することができた。一方で、獲得できる惑星に対する制限はつまり戦後の国境に対するコントロールに大きな制約がかかることでもあり、なんの利益もない星系を強制的に獲得させられることにもなる。
  • また、戦争目標インターフェース(特に宣戦布告後い目標を設定する場合)はごちゃごちゃしていて、プレイヤーが得ようとしているものについて同盟国に影響を与えることができず、さらに戦争が一方の完全な勝利以外の結果になり得ない「オール・オア・ナッシング」のまったくリアルではないものとなっているというような問題もある。
  • 開発日記#91で書いたように国境が変更されたことで星系の支配は惑星とは切り離され、したがって星系は入植可能惑星がなくても征服したり交換したりできるようになった。これは、国境付近の数星系を巡る戦争や多くの星系の支配者が変わる大規模戦争にも対応できる、新たな戦争目標システムが必要だということでもある。
  • これらを解決する方法として、私たちは戦争目標と講和交渉を完全に見直し、請求権(claims)のコンセプトを導入することにした。

請求権

  • 請求権は事実上の領域に対する野心、つまり帝国が現在領有していないその領域を求めることを正当化するものだ。どの星系に請求権を主張できるかは帝国の戦争政策に応じて変わり、無制限戦争であれば連邦のメンバーが領有していない星系すべてに請求権を主張できる。
  • しかし請求権はタダではない。前哨地を建てることによる領域の拡大と同じように、影響力の支出を必要とする。これは請求権を主張し、領域に組み込む政治的努力(ゲシュタルト意識の場合は思考/処理の力)を示している。ある星系がどれほど高価であるかは、プレイヤーの国境からの距離、その星系の構成(採掘ステーションだけの星系なら首星系よりも安い)、伝統や技術などその他の要素から決まる。全体として、請求権はゲーム序盤では高価だが、段々と安くなってゲーム中盤以降の戦争をより決定的にする。
  • 請求権はトップバーからアクセスできる請求権インターフェースから管理する。請求権インターフェースからは簡単に請求権を作成したり削除したりできる(上の画像では変な緑の矢印があるが、このインターフェースは開発中だ)。同じ星系に複数回請求権を主張してより強い請求権を得ることもでき、これは同盟国が同じ星系に請求権を主張してきたときに役に立つ(詳細は今後の開発日記で)。
  • 開発日記#91で書いたように、影響力の獲得は領域拡大にこれを使用するようになることから大きくリバランスされ、以前は影響力を支払っていたもののいくつかは他の資源を消費するようになる。

開戦事由(Casus Belli)と戦争目標

  • チェリイアップデートで他の帝国と戦争するためには、開戦事由、戦争の理由が必要となる。もっとも単純な開戦事由は請求権によるもので、他の帝国に対して請求権を作成するだけで得ることができる。開戦事由はそれぞれ1つ以上の戦争目標の種別を利用可能にし、いくつかの開戦事由(例えば征服(Subjugation))では複数の異なる戦争目標から選ぶことになる。
  • 他国に宣戦布告するとき、戦争目標のリストの代わりに、プレイヤーの開戦事由の1つが利用可能にする戦争目標の1つを選択し、防衛側も宣戦布告された後、同様に選択する。開戦事由にかかわらず、防衛側は常に屈辱を与える戦争目標を利用することができる。しかし、戦争目標は、攻撃側・防衛側双方の請求権の代わりになるのではなく、これに追加される。つまり、戦争目標は戦争全体の目的(例えばライバルに屈辱を与える)だということであり、プレイヤーが戦争相手とその同盟国に対して持つすべての請求権は戦争におけるプレイヤーの領域的野心(例えば国境付近の星系)だ。
  • 帝国の中には(狂信的な浄化主義者、貪食する群れ、決意を固めた絶滅装置など)請求権をまったく無視した特別な開戦事由を持つものがあるが、彼らを全銀河の脅威と見る他の帝国から征服される脆弱さもある。

戦争疲弊度(War Exhaustion)と和平交渉

  • 戦争が国境紛争から大規模征服戦争までありえるようになった(戦争目標と請求権の数によって)ため、他のパラドゲーのような戦勝点システムは、この差異を扱うには不充分であり、またどのような紛争でも議論の余地がない勝者と徹底的に叩きのめされた敗者が出る総力戦になりがちであると感じるようになった。そのため、戦勝点システムはチェリイアップデートでは廃止される
  • 代わりに、戦争疲弊度のコンセプトを導入することにした。戦争疲弊度は0-100%の値を取り、戦争において一方のすべての帝国が被る総合的な疲弊や消耗(心理上・兵站上の)を表す。戦争疲弊度は、敵に惑星や宇宙基地を占領される、宇宙や地上での戦闘による損耗、時間経過に伴う蓄積(これを消耗という)で上昇する。どちらか一方の戦争疲弊度が100%に達すると、彼らは強制的に現状での和平を行う(詳細は以下)。戦争疲弊度が蓄積する速度は志向、伝統、技術、主張されている請求権の数などによる。わずかな国境の星系を保持しておくために戦う帝国は、独立を強く脅かしてくる相手と戦うときよりも早く犠牲の大きな紛争に飽き飽きするだろう。
  • チェリイアップデートでは3つの方法で戦争が終わる。すなわち、どちらか一方の降伏と交渉による現状での和平だ。帝国が降伏するのは、完全に打ち負かされたか、戦争を続けるにはあまりにも犠牲が大きいと感じるほど充分に戦争の狙いが限定されたときだ。
  • 降伏(Surrender)は勝者の戦争目標(例えば、敗者に屈辱を与えたり、属国化したりする)が強制され、勝利した側が敗北した側に対して請求権を持っている星系の占領状況にかかわらず割譲される。降伏は、完全に、あるいはほぼ完全に打ち負かされた敵に対してのみ強制できる。敵が軍の支配下に置いていない領域の割譲を強制されることはない。(注:前段と矛盾しているように見えるが、「請求権がない領域については占領していないと割譲されない」ということのように思われる。正確な意味はわからず)

2017/12/16追記:降伏した際の挙動について、コメントにて指摘をいただいて改めて考えてみたところ、もしかすると請求権がない領域の割譲について述べたものではないかと思いましたので、そのように注記を変更しました。ただ、原文でも請求権がない領域についての話であるのか明示されておらず、正確な意味はわかりません。

  • 現状での和平(Status Quo)はどちらか一方が完全な勝利を収めることがありそうにないときに行われ、双方が敵対行動を停止し、彼らが得た、あるいは失ったもので妥協することに合意する。現状での和平では、敵対する帝国に請求されているすべての占領された星系はもっとも強い請求権を持つ敵方に割譲される。もっとも強いというのは、同じ星系に複数の請求権を持っているということだ。プレイヤーと同盟国が同じ敵星系に請求権を主張している場合、プレイヤーは彼らの請求権を「負かす」ために影響力の支出を続けることができ、同盟国の代わりにプレイヤーがその星系を受け取れるようになる。同数の場合は星系に対してもっとも古い請求権を持つ者がもっとも強い請求者であるとみなされる。上で述べたように、戦争疲弊度が100%になった側は現状での和平を拒否できない。
  • 現状での和平は白紙講和(a white peace)ではなく「現状承認(Uti possidetis)」の和平であり、請求され、かつ占領されている(上で述べた浄化主義者のような特別な場合は占領のみ)領域がそのままになるというのは、戦争の多様な、そして興味深い結果をもたらす。例えば、攻撃側が敵帝国完全に征服する目的で征服戦争を始め、軽度な防衛体制の国境星系を簡単に制圧したとしても、敵の強力に防御された中核星系に前進していくことが不可能だと気づけば、最終的には今制圧しているものだけで妥協する。
  • 降伏の機能に加えて、帝国は軍事的に防衛できる星系の割譲を強制されることはない。(?)敵がどれほど多く前哨地に群がってきたとしても、プレイヤーの艦隊と宇宙要塞が首星から敵を追い払い続ける限り、プレイヤーは和平時に強制的に首星を割譲させられることはない。これにより、戦争に負けつつある帝国は敵の戦争疲弊度を高めるように戦い、敵が強制的に和平を結ぶまでに占領する星系の代価を払わせることで、失う領域を最小化することができるということでもある。
  • プレイヤーが攻撃側となってから請求権を作成することは今のところできない。防衛側は通常通り請求権を作成することができる。これはテスト、バランス取り、調整によって変わるかもしれない(詳細は以下)。

和平条件と占領についてわかりにくいですが、降伏は主力艦隊が撃破されて首星が占領されるような完全な敗北時にのみ行われるもので、その場合は攻撃側が請求権を持つすべての星系が自動的に割譲される一方、そこまでの決着がつかない戦争は現状での和平で決着し、この場合は双方が請求権を持ち、かつ、占領している星系が互いに割譲される、ということと私は理解しています。

2017/11/15追記:戦争疲弊度が100%に達した場合に現状での和平を拒否できないということについて、以前は「攻撃側は」としていましたが、攻撃側・防衛側どちらもそのようになるという文言に訂正しました。これはコメントにてご指摘いただきました。ありがとうございます。

また、上のまとめの部分で、「現状での和平では攻撃側のみが請求権がありかつ占領している星系を獲得できる」というように書いていましたが、普通に考えるとこれも攻撃側・防衛側双方で請求権を持ちかつ占領している星系を獲得すると考えたほうが自然だろうと考えたので、この点も訂正しています。

宇宙基地と星系の占領

  • 占領システムについての詳細(特に地上戦)は将来の開発日記で述べるが、星系が占領されたとみなされるのは、宇宙基地とすべての惑星(原始種族がいるだけのような中立のものは除く)が敵の制圧下にある場合のみだ。宇宙基地が制圧されるには、まず艦隊によって使用不能(HPが0)にされなければならない。
  • 敵星系を制圧することは、その星系のすべての採掘・研究ステーションを掌握することでもあり、占領者は戦争が続く限りその経済的利益を得ることができる。同様に、制圧した宇宙基地も占領者が利用できる。占領した敵の造船所で自分の艦隊の装備変更、修理、建造を行うことができるし、占領した要塞はその星系が敵に奪還されないように防いでくれる。
  • こうしたことは敵の中核星系を「襲撃」したり攻撃したりすることが戦争の重要な側面となることを意味しており、つまり敵が充分に防衛できない場合は、敵の経済・軍事・兵站上の設備をそのまま敵に対して利用できるということだ。

その他

  • 私たちは現在こうした新たなシステムについて何度もテストや調整を行っているところだが、ほかにも以下のようなどのように機能するか考えて試しているものがある。
    • 領有されていない星系に対して、実際に前哨地を建てる前に「使用権」を主張できるようにする
    • 小規模紛争を助長するため、請求権をあまり持っていない場合は安価に得られるようにする
    • 戦争中に(防衛側だけでなく)攻撃側も、より高くつくが請求権を作成できるようにする
    • 資源やPopを消費して戦争疲弊度の上昇を遅くしたり、戦争疲弊度を低下させられるようにする

質疑応答

Q1:Universe Universalis?

A1:新しい戦争システムはEUとはぜんぜん違うよ。開戦事由、戦争目標、戦勝点、戦争疲弊度というあたりはEU4よりCK2に近いし、いくつかのもの(一方的でない講和など)は以前にやったことはまったくない。

Q2:自分と敵との間に中立地帯を作りたい。

A2:新しい国境システムなら可能だし、私もいつかはそうしたいと思っている。これは単に2つの帝国が互いに隣接する星系を領有しないことに同意すればいいだけだし、この星系を領有したときには相手に強制排除される開戦事由が与えられる。これは異星人嫌いの孤立主義者との国境を安定させるのにいい方法だ。

Q3:完全に元の状態に戻る白紙講和がほしい。なんでなくしちゃったの?

A3:白紙講和を使って何をするの? これ以上進撃できないと思ったら既に得たもので妥協できる。

Q3-2:(おそらく別の質問者)例えば戦争疲弊度が50%で、敵も戦うのに疲れてはいるけどプレイヤーが奪った惑星を奪還しようとはし続けているとする。勝っている側から「私たちには他にもっとやることがある。占領地は全部返すから和平してくれ!」と提案があったら、負けている側は喜んで受け入れるんじゃない?

A3-2:白紙講和についての正当な主張だ。自発的に占領地を返還できるようにするか考えよう。

Q4:請求権は即時にできるの? HOI4みたいに時間かかる?

A4:即時。


来週は宇宙戦闘、指揮上限、ドゥームスタックについて。

次回:開発日記#94――チェリイでのアセンションパークと探査

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コメント

  1. これは予想以上に面白くなりそうですね

  2. 例え強敵であろうと、CK2みたいにゲリラ戦に持ち込んで疲弊させて講和に持ち込むとかも
    可能になるのか。
    「請求されてる土地も主星も占領できてないじゃん、お前。何調子に乗ってんの?」的なリアクション返せるのは良いねw

  3. パラドあるある「発売時とはシステムが別物」になってきたが、面白くなりそうなのですごく楽しみ。
    問題はリリース時期なのだが、やはり来年かなぁ。

  4. 実行支配出来たりは面白そう
    一方的にぶちのめすだけの戦力差があるのに、和平で(戦勝点100点以下になるように最初に設定した)一部の惑星しかもらえない、なんてことがなくなれば嬉しい

  5. 不安だったが、なかなか面白そうな感じじゃん。
    今後のアプデ情報にも期待

  6. 戦争疲弊度は
    「どちらかの側の疲弊度が100%になった場合、(白紙和平ではなく)現状での和平を強要されうる」
    とあるように思います。

    なので、惑星いくつか落として相手の疲弊度をマックスにすればおとした星をもらって和平できるって感じですかね

    • status-quoが「白紙講和する」となってますね。「現状での和平」と訳語を変えたときに直し忘れたようです。
      a war sideは、その前の節でも出てきているのに混乱していますね……。
      どちらも訂正しておきました。ありがとうございます。

  7. 「敵が軍の支配下に置いていない領域の割譲を強制されることはない。」の文言のところは、おそらく自国の地上軍が請求権のある地域に降り立っていない限り割譲はできないという意味ではないでしょうか?

    • 私もそういう意味だと思いました(視点が割譲させられる側なのか、割譲を受ける側なのかという違いはあれど)が、その前に「請求権のある星系が占領されているかどうかにかかわらず割譲を強制される」と述べられており、そうするとこのフレーズは内容が矛盾しているように思い、混乱していました。

      が、改めて考えてみると、もしかしたらこの部分は「請求権がない星系については占領していないと割譲されない」ということなのかもしれませんね。そうすると矛盾なく意味が通りますし。

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