2023年8月14日、「Cities: Skylines II」開発日記#9が公開されました。本記事ではその内容を紹介します。今回は経済と生産について。本体リリース前の開発日記です。
開発日記
開発日記#9は、経済と生産について。
- 今作の経済シミュレーションは前作のものと似ているが、前作のほうが単純だった。生産チェーンは限定的だったが、ゲームの他のシステムの中で目的を十分果たしていた。今作では経済シミュレーションも再設計され、家計の資金と資源の使い方や、企業が利益・資源・接続・労働力・都市サービス・取引を評価して適した立地を探したりするのを管理する。
概要説明として、いつものように動画が公開されています。
設計思想
- 私たちは深く複雑なシステムだがプレイヤーによる管理が複雑になりすぎず、都市建設により多くの時間を使えるものを作りたいと考えた。このシステムは現実の経済モデルを元にしてゲームがより現実味を帯びるようにし、またそれ自体がバランスをとるように設計され、新たなプレイヤーと新たな都市をメトロポリスに導く最初の一歩を支援する。ゲーム序盤の支出の一部を政府補助金という形で負担する財政的援助があり、これには市民が自立し、生活をよくするための失業手当も含まれる。政府補助金は都市が成長するにつれて減少する。
経済サイクル
政府補助金は都市の立ち上げを支援し、都市経済が成長するにしたがって減少する。
- 経済は家計・企業・都市サービスという主体間のさまざまな資源の流れからなる。こうした主体の数は都市の成長とともに増え、各主体は自身が持つ資金や資源の量を監視する。主体には支出と収入があり、現在の状況に応じて売買するものを決定し、収支が釣り合うようにする。家計は資源の購入や家賃の支払いに資金を使い、企業は資源を買ってそれを他の資源に変え、他の企業や家計に販売する。また、企業も建物の家賃を支払い、利益計算に算入される。特定の都市サービスも資源を消費し、その費用は毎月の維持費に加算される。
- 経済シミュレーションの核は区画とその共生関係にある。家計は家や職場を探す。工業企業は資源へのアクセスを必要とし、商業企業は販売する製品と顧客を求める。税は都市のさまざまな企業を奨励したり抑制したりするために使用できる。資源や製品が豊富なら、税率を高くすることで過剰な生産を抑えつつ税収を増やせる。資源や製品が不足しているなら、税率を下げるか税率をマイナスにして助成することで企業を誘致できる。生産チェーンの上流にある資源を助成すると、資源を容易に入手できるようになるため、生産チェーンの下流にある企業にも恩恵がある。
- 資金は閉じたシステムの中で循環するものではなく、突然現れるものでもない。家賃・輸入代金・企業利益・プレイヤーの収入は経済シミュレーションから資金を取り除くが、取り除く資金のバランスをとるためにシミュレーションでは受取家賃・企業利益・プレイヤーが使用した資金という資金の源泉もあり、その半分は教育レベルに応じて市民に、もう半分は商業の建物レベルに応じて分配される。その他の資金の源泉として、企業や都市サービスの輸出輸入、観光客、前述の政府補助金がある。
家計
- 家計は職場・学校・レジャー施設が近い場所に家を探す。大家族は低密度・中密度住宅区画にある大きな集合住宅を好み、小家族は高密度・低家賃住宅区画にある小さな集合住宅で満足する。
- 職場の探索は利用可能な仕事の学歴レベルが一致する仕事に少量のボーナスをもたらす。さらに、求人数が少ない企業より従業員数が少ない企業が優先され、労働者の配分はある程度均等になるようになっている。レジャーの選択肢や買い物も同様で、市民はそうしたもののために遠出するよりもそうした活動を楽しむことに時間を費やしたがる。子供がいる場合は、すべての子供は学校に通うため、小学校の近くに住もうとする。
- 家計はAIが資源不足を検知すると買い物に出かける。その構成員と好みをチェックし、好みの重みづけに基づいて製品を選ぶ。製品の種類が決まると構成員の一人を選び、その製品を売っている店に行って購入する。購入が完了するとその製品は家計の資源になる。
- こうした意思決定はすべて家計の幸福度を最大化するために行われ、家計の集合住宅の適性はさまざまな目的地までの経路探索コスト、仕事や移動を除いて残る自由時間、支出後に残る資金、現在のニーズに合ったサービスから計算される。家計が集合住宅の家賃と維持費が払えない場合、支払能力に見合った他の集合住宅を探す。この評価プロセスでも上記のすべてが考慮され、適切な場所を探して幸福度を最大化する。都市内で家を見つけるより確率は低いが、都市外への転出も考慮する。家計が非常に貧しく、新たな集合住宅を見つけられず、都市を出る資金もない場合はホームレスとなる。この場合は生活状況が変わるまで都市の公園で生活する。
工業企業
- 工業企業は資源の利用、製品の出荷先、生産を行う労働者を求め、設立する場所を決めるときにその場所での生産価値を考慮する。大きな工業用建物ほど賃料が高いため、物件の大きさは利益計算に関連する。地価も賃料に影響するため、工業企業は利益を最大化するために地価の低い地域を好むが、生産するものによって必要な大きさが異なるため、コストにかかわらずより大きな建物に入居する重工業企業もある。
- 企業は製品を製造するために使用する資源を発注し、立地の適性を考えるときに輸送コストを考慮する。新たな企業は都市でまだ使用されていない資源を少し強く好む。輸送コストは距離と資源の重量から計算し、例えば金属は繊維より重い。資源と同様に、顧客、商業区画の再販業者、他の製造企業との距離も利益に影響する。企業は輸送コストを減らすために資源発注時の輸送距離が短くなることを好み、そのために遠方の企業は仕入先として選ばれにくい。
- 企業が労働者を探すときは教育レベルが考慮されるが、低学歴の従業員で機能する企業もあれば、生産速度と利益に影響する効率を高めるために十分な教育を受けた従業員を必要とする企業もある。
- 利益が増加すると賃料と同時により多くの建物の維持費を支払えるようになり、建物のレベルや周辺の地価が徐々に上昇する。企業レベルと効率も生産に影響し、これが上がれば同じ支出(水と電気の使用量)でより多くの生産ができ、製品単価が下がる。
- 工業企業はときどき現在の生産を評価し、利益の最大化のために製品価格・賃金・輸送費・固定費(建物の賃料と維持費)を考慮して最適な従業員数を探す。製品の需要が多ければ労働者を雇い入れ、需要が減少すると労働者を減らす。企業の財務状況が悪化すると建物の賃料や維持費が支払えず、生産に必要な資源を発注できなくなるが、この場合は企業の予想利益と富がマイナスになって倒産し、建物は放棄される。
- 工業区画には倉庫があるが、企業は資源を保管する倉庫と外部接続の双方と取引できる。倉庫は倉庫間で均等に資源を移動させ、十分な在庫とバランスを保とうとする。工業区画の倉庫のほか、貨物輸送に関する建物の多くも倉庫として機能する。そうした倉庫はトラック輸送とは輸送コストが異なり、貨物列車や貨物船は容量が大きいために重い資源でも安く、航空貨物は輸送コストにほとんど差がなくどこにでも運べる。
商業企業
- 商業企業は労働者と販売する製品を必要とし、多くの顧客がいる住宅区画の近くに立地する必要がある。製品は工業区画にある製造企業や都市外に発注する。工業企業と同じく、適切な立地を評価するときには輸送コストを考慮する。
- また、さまざまな製品需要に対応して生産者と顧客の間のバランスをとろうとする。例えば近所に食料品店がなく、顧客が最寄りの食料品店に行く交通費が高い場合、シミュレーションでは食料品店が出現すると儲かる地域とされる。商業企業の労働力は近くに住み、適切な教育レベルの市民がもっとも適している。
- 商業企業はレベルが上がれば効率も上がり、サービスレベルも売上も高まる。売上が増えると個々の製品は安くなり、市民が必要なものをどこで買うかを評価するプロセスに影響する。
オフィス企業
- オフィス企業の機能は工業企業とほぼ同じで、生産には電子機器やソフトウェアを使用し、ソフトウェア・通信・銀行サービス・メディアなどの非物質的商品を生み出す。交通の便がよいのは有益だが、必要とする資源は軽量で輸送コストが安いため、輸送距離はそれほど問題ではない。オフィスが生産する非物質的商品は製造企業・他のオフィス企業・一般顧客に遠隔的に販売されるために物理的なアクセスが必要なく、適した立地を評価する際の意思決定にも影響しない。そのため、労働力が住む住宅区画に近いことが重要になる。オフィスは従業員を必要とし、大規模なオフィスの建物では数百人の従業員を雇用し得る。
- オフィス企業の収益性と存続可能性の評価は他の企業と同じで、状況に応じて生産規模を拡大し、従業員を増員したり余剰人員を解雇したりして常に利益を最大化する。生産規模を調整しても利益が戻らず、必要な賃料・維持費・資源コストを支払うことができなくなると倒産する。
生産
- 生産チェーンは都市経済の重要な一部だ。細かく管理する必要がないように設計されているが、プレイヤーが望むなら原料の採取から都市の産業特化まで、どの段階にも影響を与えることができる。同じ資源を生産する企業が複数あると、そうした企業の効率に特化ボーナスがつく。
原料採取
- 都市が原料を得るには特化産業地区で生産するか、輸入する必要がある。都市内で採取すれば企業が税を支払うことで都市に収入をもたらす。資源採取地区を作るには特化産業ハブの建物を建設すると有効になる特化産業地区ツールを使う必要がある。これは都市サービスの地区ツールと同様に機能し、コーナーノードを配置することで地区を定義するが、建物を配置した時点で既に小さな地区が作成されている。この地区は建物自体の範囲内でなければならず、この地区内では自動的に資源が採取される。
- この地区が必要以上の資源を採取している場合は自動的に外部接続に売却されるが、過剰生産は都市にとっても企業にとっても有益ではない。企業が外部接続に資源を売却する場合、企業は輸送コストを支払い、またより多くの資源を売却する場合は遠方まで輸送する必要があるために輸送コストが大きくなる。
- 資源が不足すると企業は外部接続に発注するが、この場合も追加の輸送コストが発生し、またトラックの通行が多くなる。
資源から……
- 工業区画の工業は原料を消費して物質的商品(Material Goods)にする。こうした素材はさらに加工するために他の製造企業に売却したり、外部に輸出したり、商業企業に売却したりする。オフィスは非物質的商品(Immaterial Goods)を生産する。
製品へ
- 生産チェーンの最後に、生産された資源や商品はすべて都市内の家計や外部接続の最終顧客に販売される。つまり商業企業は生産チェーンの最後に位置し、商業企業が購入した商品を製品に変え、家計はそれを購入して資源と娯楽の需要を満たす。
資源生産に関する要素
- 資源に関するゲームプレイの背後にある設計は現実の資源調達の影響を受けており、ゲーム中で直接には表示されないが、すべての資源には価格・重量・敷地というシミュレーションに影響する要素がある。
- 価格は資源1単位の価格で、これによって家計が何単位の資源を購入できるかが決まる。資源価格は一定だが、資源の入手可能性は輸送コストに関係しており、企業の利益率を決める。
- 重量は資源の抽象化された重量で、輸送コストに影響する。医薬品のような軽い資源は輸送コストが小さいが、石や鉄鋼のような重いものは輸送コストが高くなる。重いものは都市で生産するのが理想的だが、輸送する場合は船舶や鉄道で輸送コストを下げるのがよい方法だ。
- 敷地は資源の収益性に影響する。一部の資源は製造に多くの敷地を必要とし、大きな敷地を必要とする資源を製造する企業は地価の低い地域に立地することを好む。
例:鉱物工場
- この工場の支出の大半は投入物である石の仕入コストで決まる。石はどこにでもあるがかなり重く、輸送コストが大きいため、鉱物工場は採石場の近くに立地する可能性が高い。また、工場はかなり大きいので、地価が高くないところを選ぶ。もうひとつの大きなコストは比較的教育を受けていない労働者の賃金だ。ある程度の水と大量の電気も消費するが、その価格はプレイヤーが設定する。最後に、鉱物工場は製品を電子機器工場や化学工場か、都市外に売却して収益を得る。輸出しなければならない場合は輸送コストがかかり、利益が減る。プレイヤーは利益に課税できるし、鉱物生産を増やしたい場合は助成することもできる。
特化産業
- 前作では生産チェーンが非常に単純で、4種類の原料を加工して商業地区で消費される商品に変えていたが、今作では資源ごとの生産物を増やし、資源を組み合わせて新たな製品を作る選択肢を増やして深みを持たせたいと思った。特化産業地区は機能するための天然資源である肥沃な土地・森林・鉱石・原油を必要とする。畜産と採石場は例外で、天然資源のない土地にも建設できる。原油と鉱石は有限で採掘すると減っていくが、肥沃な土地と森林は時間経過で補充される一方で汚染に弱い。
- 今作では9種類の特化産業地区があり、農業は4種類に分かれている。畜産は天然資源を必要としないが、穀物・野菜・綿花は肥沃な土地に立地する必要がある。林業は森林を必要とするが、採石はマップ上のどこでも行える。石炭・鉱石採掘は鉱石が埋蔵されている必要があり、地中から原油をくみ上げる石油採掘もある。
- 特化産業は工業地区の需要に影響せず、特化産業地区の企業は倒産しないが、利益が減ると生産と従業員数を減らす。これは天然資源が枯渇した場合にも起こり得る。
特化産業車両
特化産業地区では資源を集めて主要施設に輸送するための車両が自動的に現れる。
- 特化産業車両は通常の道路を走ることはないが、特化産業地区が作られたときにシミュレーションによって作成された道を走行する。こうした車両は特化産業地区内のみで活動し、資源を収集する。十分な量の資源を集めると主要施設に資源を運び、その施設は資源を加工して他の企業に送る。
経済画面
- 都市の経済を理解する中心になるのが経済画面で、ここから都市の財政・借入・税・サービス予算や、都市内のさまざまな資源生産について確認できる。
予算タブで都市の財政概要を簡単に確認できる。
- 予算タブでは都市の収入・支出・現在の月間収支を一覧できる。さらに、各セクションをハイライトする(注:クリックする?)ことで右側に説明と収入・支出の原因が表示される。
- 借入は前作と違って調整でき、返済もさらなる借入も自由にできる。スライダーで借入額を決め、確定ボタンで借り入れる。同様にして既存の借入を返済したり、さらに借り入れることが可能だ。
- 借入額には上限があり、上限はマイルストーンごとに増えていく。利率は借入の大きさに基づいて決まる。借入は毎月の支払いで自動的に返済されるが、手動で返済することもできる。利率は市役所と中央銀行を建設することで下げることができる。
- 区画は種別ごとに全体の税率スライダーがあり、さらに特定の区画メニューを展開して個々の税率を調整することもできる。住宅区画では教育レベルごとに、商業・工業・オフィス区画では製品種別ごとに税率を調整できる。税率は-10%~30%の間で設定でき、マイナスの税率は特定分野の資源生産を誘導する手段となる。
- サービスタブでは都市サービスの予算を調整でき、サービス施設の効率やサービスの質に影響する。予算は50~150%の範囲で設定できる。電気と上下水道ではサービス料金も設定でき、消費量、企業の効率、市民の幸福度に影響する。こうしたツールで現在の需要に合わせてサービスの供給量を調整できるが、これに関する重要な設計目標は細かく管理する必要がないということだ。
- 生産タブでは都市内で生産している原料・物質的商品・非物質的商品と、都市の資源生産の収支を確認できる。各資源をハイライトすることでその資源の出所や行先が表示される。
来週はゲームの進行について。
コメント
公園にはホームレスが住みつくのか。
勝手にバラックを建てたりはしないのかな。
ホームレス対策で家賃無料の集合住宅を建てられる?
無料の食料配給所を設けたりできる?
ホームレスに愛を!
もはや凄すぎて市販のCPUで対応できるのか怪しいw
すごい処理細かいからCPUアップグレードしたほうがいい気がしてきた…
一応
64 ビットプロセッサとオペレーティングシステムが必要です
OS: Windows® 10 Home 64 Bit | Windows® 11
プロセッサー: Intel® Core™ i7-9700K | AMD® Ryzen™ 5 5600X
メモリー: 16 GB RAM
グラフィック: Nvidia® GeForce™ RTX 2080 Ti (11GB) | AMD® Radeon™ RX 6800 XT (16GB)
サウンドカード: TBC
らしいけど…
>AMD® Ryzen™ 5 5600X
はともかく
> RTX 2080 Ti (11GB)
はなかなかのスペックだなあ
つまり超高級住宅街しか無い街を作れば、公園を擬似的にホームレスの住居にするプレイが出来るのか……胸熱!
ハ●トかの●まんあたりがそういうプレイしそう