2022年7月25日、コーエーテクモHDが2023年3月期第1四半期決算を発表しました。「太閤立志伝V DX」の販売本数も16万本と公表されています。
本記事の概要
2022年7月25日、コーエーテクモHDが2023年3月期第1四半期決算を発表しました。2023年3月期第1四半期は前年同期比で売上高-9.1%、営業利益+19.9%、経常利益-50.6%、最終利益-49.6%と、まちまちの業績となりました。以下、決算説明会資料をもとに、今回の決算内容や中期経営計画を見ていきます。
業績と財政状態
前四半期までの急激な成長から打って変わって、今四半期は売上高と営業利益以外のすべての利益項目がマイナスという結果となりました。本業では減収ながら営業利益を伸ばしている一方、経常利益以下の利益はコーエーテクモの利益の大きな源泉となってきた投資に関連する損失が大きく足を引っ張ってしまっています。会社側は「厳しい金融環境に対応するためポートフォリオの組み換え」と説明しています。
内訳を見るとデリバティブ評価損57億円がもっとも大きく、これに有価証券償還損23億円が続いています。詳しい情報はわからないので想像ですが、今四半期に大きく動いた為替レート(ドル円など)に関連した損失が響いたのではないかと考えられます。
コーエーテクモHDの業績は営業利益<経常利益となるのがこれまでの特徴でしたが、今四半期は営業利益>経常利益となってしまっています。とはいえ、経営に問題が生じるような業績ではなく、売上高は前年同期比で低下しているものの、本業は依然として高い利益水準にあります。
貸借対照表で純資産が小さくなっているのはおそらく配当金の支払いと、その他有価証券評価差額金の大幅な減少によるものです。非常におおざっぱに言うと、保有している有価証券が含み損になっています。2四半期前から計上されている固定負債は、コーエーテクモHDが東証プライム市場の上場維持基準を満たすために創業家が保有している株式を放出する計画の一環として発行した転換社債型新株予約権付社債です。
パッケージゲームのパッケージとダウンロードの売上比率は、前年同期比で大幅にダウンロードによっているのがわかります。パッケージとオンライン・モバイルの売上比率は、前年度通期ではパッケージをオンライン・モバイルが上回っていましたが、今四半期では再びパッケージゲーム優位に変わっています。オンライン・モバイルの売上は依然として高い水準を保っていますが、2021年第3四半期をピークに落ちてきているようです。
「太閤立志伝V DX」の販売本数は発売1か月強で16万本
主なタイトルとして、2022年5月19日発売の「太閤立志伝V DX」の販売本数が2022年6月末時点で16万本であることが公表されています(「販売本数」であると明示しているのは決算短信)。
以前の記事で2004年3月12日にWindows版、8月26日にPS2版が発売された「太閤立志伝V」の2004年9月末時点での出荷本数は8万本と紹介しましたが、今回はWindows版・コンシューマー版の販売期間の違いはあれど、ちょうどその倍程度の販売本数となりました。
リマスター版にもかかわらずこれだけの販売本数が出たのはかなり健闘した数字ではないかと個人的には感じますが、「太閤立志伝V」の8万本という数字にはPS2版発売後の初動の最初の数日間しか含まれず、さらにこの5年後にPSP版が発売されているため、そうしたものをすべて含めると「太閤立志伝V」も合計販売本数は16万本に近い数字であった可能性があります。
それで続編が出なかったことを考えると、残念ながら「太閤立志伝VI」は望み薄なのではないかという考えも浮かぶ一方、今回のDXは発売直後の初動だけで16万本を叩き出していると考えると、「太閤立志伝シリーズはまだ売れる」と受け取られて続編がもしかしたら……という期待も持たせます。なんとも微妙なラインの数字のように思われます。
前四半期の資料では「歴史シミュレーションゲームでのAIの活用」という成果を掲載していましたが、「信長の野望・新生」についてはAIが非常によくできていて、確かに決算説明資料に書くだけのことはあるなと感じさせられました。ゲームAIについては今後も頑張っていってもらいたいですし、直接関係はありませんがパラド社でもゲームAI開発に力を入れてもらえたらいいなとプレイヤーとしては感じています。
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