夏休みも挟んで実に2か月半ぶりとなった「Hearts of Iron IV」開発日記2019年8月28日分が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回はフランスの国家方針について。長め。
概要
開発日記2019年8月28日は、フランスの国家方針について。今回はリーディングコンテンツデザイナーのArchangel85氏によるものです。
- 以下でご紹介する内容はすべてのアートが含まれているわけではなく、開発中のものもある。
- 現在のゲームのフランスの国家方針ツリーがまだ見直されていないバニラのツリーで最悪のものではないことはよくわかっているが、フランスのツリー見直しが次のDLCの新たな機能をよりよく取り込めると私たちは考えている。そのために、私たちは「フランスの体験」を3回に分割することにした。今日はベースとなるツリーについて、来週はレジスタンスと占領システムについて、再来週は自由フランスとヴィシー政権について取り上げる。
国家方針ツリー
- 基本となるフランスの国家方針ツリーはよくできていたが、私たちはこれをもう少し改良したかった。特にフランスが1941年を生き延びると国家方針が完全に不足するため、新たな国家方針はもっと長いものにする必要があった。さらに、私たちは当時のフランスの政策決定に影響した多くの問題をより正確に表現したいと思っており、プレイヤーに後でツケを払わせるようなディシジョン(「短期的な解決策は長期的な問題を引き起こす」)も作りたかった。
- また、ヴィシー政権と、ド・ゴールのもとで戦うフランスという独自の状況も適切に表現したかったが、これについて用意していることに関してはお見せするまでに今しばらく待ってもらう必要がある。
- 新しいフランスのツリーは非公式の方針ツリー設計思想となっているものを非常によく表現している。すなわち産業、軍、政治、異なるイデオロギーでルート分けすることだ。したがって基本構造は見た覚えがあるだろう。
産業ルート
- 産業ルートは控えめに言って相当賢明と思われるシステムで拡張した。すなわち「~への投資」という国家方針で多くのステートに建設スロットをもたらし、後の国家方針でかつて投資したステートにそれぞれ工場を追加していくやり方だ。
- これはプレイヤーが植民地/民需/軍需産業の国家方針の引き金を引くまで長く待つほどより大きな利益が得られるが、それはゲーム中で後のことになる。すべての投資に関する国家方針を取った場合、3つの国家方針で18の民需工場と14の軍需工場を得ることができる(この数字は最終版で、いかなる理由でも変更されない)。
国内政治ルート
- 政治については、まったく新しいシステムを導入しないことにした。既に十全に機能する安定度と戦争協力度のシステムがあり、第三共和政の国内政治を充分によく表現している。簡単に言えば、戦争協力度を引き下げて安定度を上げることとその逆の間でバランスを取る必要がある。
- 長い間安定度が25%を下回っていると内戦が発生する。さらに悪いことに、極左・極右が支持しない決定を行った場合、怒った彼らのデモに対処しなければならず、安定度はさらに低下しうる。こうした団体を非合法化することもできるが、彼らの支持率に応じて安定度にペナルティがかかり、そこから回復するのは困難だろう。
- 他国と戦争になると内線の脅威は取り除かれ、安定度が70%を上回ると政治的暴力もストップするが、原因を取り除く政治的行動を取らないまま50%を割れると復活する。
- おまけにフランスは人的資源に重大な問題を抱えている。世界大戦の過酷な損失は人口に大きな影響を与えた。フランス人男性が減るということは子供も減るということであり、戦後20年頃の兵役年齢にある男性も減るということだ。
- これは徴兵人口比率が減る国民精神で表現されている。単純に徴兵法を強化しても解決にはならない。というのは労働者を徴兵すれば深刻な生産ペナルティが発生するからだ。この問題に対処する方法はさまざまあるが、市民権の拡大と移民の奨励は全員に歓迎されるものではないだろう(ゲームの期間では新たな家族政策で不足を補うことはできない)。
外交関係ルート
- いいニュースとして、こうした要素とバランスを取るように、フランスにはやや大きな産業基盤がある。新たな外交関係ルートでは小協商(Little Entente)に他国を招待するだけでなく、そうした国に投資し、軍需工場を与え、後にはイギリスと英連邦諸国を自陣営に招き入れることもできる。また、ソ連と相互に独立を保証することや、イタリアと共同の陣営を立ち上げることもできる。
- いわゆるストレーザ戦線は、イタリア=エチオピア国境についてのイギリス、フランス、イタリア三国の意見の相違(イタリアは国境が存在すべきでないと考えていたことが主な理由)で、1936年には既にほぼ崩壊していた。この同盟を復活させるには、イタリアへの譲歩と領土割譲が必要になる。イギリスを味方につければ、イタリアも乗ってくる可能性は高まる。
- スペイン内戦に介入する選択肢はすべてのイデオロギーにあるが、こうした史実でも論争の的となったことに予想できるとおり、介入には安定度ペナルティがつき、最悪の場合、フランス自身が内戦に陥る可能性がある。
非史実ルート
- 歴史的に正確なフランスの体験を望まないプレイヤーの想像以上に、私たちは非史実ルートを非常に長いものにした。
共産主義
- レオン・ブルムのもとでの人民戦線結成に始まり、プレイヤーは共産主義者を(共産主義者に受け入れさせるのではなく)政府に引き入れることができる。そこから共産主義の方針である女性の法的平等、経済の中央集権化、人々に不可避の革命の準備を呼びかけるプロパガンダなどを進める。穏健派に対して一時的な提携関係を解消することで対決を迫った後に、共産主義者は直接政権を担う。
- 革命後にプレイヤーには本質的に3つの選択肢がある。革命の活力を取り戻してファシズムに対抗する幅広い対処法をとるためにファシストでない国家と和解しようとするか、それともあらゆる手段で革命を広げることに賭けるかだ。(注:3つって言ったのに2つ……?)このツリーの一部はまだ準備ができていない新しいメカニクスにも足を突っ込んでいる。
ファシズム
- ツリーの反対側では、1936年の選挙でより保守的なアプローチを選び、ピエール・ラヴァルを首相にできる。人民戦線と同様に民主主義に留まり、より市場自由主義的なアプローチで国家を改革するか、または極右勢力と提携して「国家再建」のために共和政を転覆させる。「国家再建」はヴィシー政権の国民革命のより急進的でないものを想定している。不愉快な共和政が取り除かれた後、プレイヤーは2つの分岐を選ぶ。
- ひとつはフランソワ・ド・ラロックのもとでスペイン、ポルトガル、イタリアとラテン協商(Latin Entente)を形成し、後にはアフリカをフランスが西部の大部分、イタリアが東部を得るように分割する。
- ド・ラロックは権威主義フランス(彼が真のファシストであったかは議論があるが、いずれにせよ彼が軍の経歴を持ち、他のファシスト同様に権威主義的な考え方を持っていたことには議論はあまりないと思う)のより独立したものを表現しており、もうひとつのルートはジャック・ドリオによるもので、必然的にファシストドイツと気脈を通じることになる。
- 低地諸国を分割することに同意して枢軸国に参加した後、プレイヤーはベルギーに圧力をかけ、ワロン地域を併合するか、ベルギー全体を傀儡国にできる。この後、傀儡国は宗主国のすぐ隣に植民地を持てないということをわからせることになる。これに加えて、北アフリカに第二戦線を形成してドイツの戦略に追従する。
君主主義
- 最後に君主主義について。当時のフランス君主主義は極右と密接に関連していた(反共和政であることは君主制の考え方を理論的な集結点としていた)ため、反動主義ルートから分岐するのは理にかなっている。このルートの背景にあるのは、低い安定度が続くこと(最初の国家方針を取るには安定度が35%を下回る必要がある)で表現される共和政の動揺が国民をひどく幻滅させ、君主制による安定したリーダーシップに戻るときが来たという考え方だ。
- そのため、ただちに国王を選びはしない。国外追放法(すべての王位請求者とその後継者がフランス国内にいることを禁止した)を廃止して君主制復活の基盤を作り、その後3人の候補者からひとりを選ぶ(ドイツ野郎にはたったひとりしか候補者がいないからだ!)。
- オルレアニストの候補者はもっとも穏健で、おおよそ立憲君主制として統治する。そのため、プレイヤーはファシズムの封じ込めと社会福祉に注力する。皮肉にも、初期の行動のひとつは君主制のために仕えてきた主要な反動主義者であるアクション・フランセーズに対してもはや必要ないと告げることだ。
- 一方、ボナパルティストの候補者はヨーロッパの国境を刷新し、家名を再興する野心的な計画を持っている。
- 両者の間にはレジティミストがおり、彼らは1830年にオルレアニストから分離した勢力で、オルレアニストの後継者は王位の正統な請求者ではないと主張していた。レジティミストによれば、王朝の多くのできごとを経て、フランス王位の正統な請求者は以前退位させられたスペイン王以外にない。そのため、明確な目標は彼の2つの王位を回復することであり、将来的にはフランスとスペインを合邦して二重君主制にすることだ(というのは、オーストリア=ハンガリーやデンマーク=ノルウェーで非常にうまく機能したからだ)。
- 現在のフランスの国家方針で異なるイデオロギーの(短い)ルートがあるので、こうした古い分岐はDLCがなくても残り、「共産主義者の閣僚を招聘(Invite Communist Ministers)」と「同盟(?)の利用(Utilize the Leagues)」から始まるルートは置き換えられる。
企業
- 最後にフランスが設計会社の完全な陣容と艦船設計社がいくつかあることを確認しよう。(注:画像には艦船設計社はないが……)
質疑応答
Q1:ヴィシーフランスと自由フランスは別の国家方針ツリーを持つの?
A1:2週間待って。
Q2:戦争中に取りたいものの半分も取れないというオランダの国家方針ツリーと同じ問題を抱えているように見える。
A2:戦略的な選択の多くは望んだときにいつでもできるわけではなく、優先度がもっとも高いものを選ぶ必要がある。例えば産業ツリーは素早く通過するか、全部取って他に時間を使わないかを選べる。だから戦略はプレイヤーの重み付けによる。これによって別のアプローチを試すリプレイアビリティももたらされる。
Q3:好奇心から聞くんだけど、開発チームは40幅の師団をどう思う? まったく史実ではないし、戦闘正面幅が増えるのに応じて「指揮ペナルティ」がつくことで除去されるべきだと考えているんだけど。
A3:(ゲームディレクターのpodcat氏)40幅にもっとデメリットをつけるというのは好きだ。プレイヤーたちが私のいいと思う大きな師団を使いたいと思うとしても、トレードオフ(経済的なもの以外の)があるべきだ。これはHoI4に深く根付いたものなので、陸戦の見直しまでなにかすることはない。
Q4:国家方針「ドイツの分裂(Disunite Germany)」は史実のドイツ国家の中核州を解放させることができるの? 連合国の勝利の後にドイツを分割できるようにしたいんだけど。
A4:今のところ、この国家方針は中核州を設定するものなので、すぐにドイツ諸国を解放することはできない。
Q4-2:「ドイツの分裂」でドイツを複数の小国に分割できるってこと?(ゲーム中でプロイセンが見れる?)
A4-2:イエス!
Q4-3:つまりプロイセンとメクレンブルクとホルシュタインとハノーファーとザクセンとバイエルンとヴュルテンベルクが新たに国家タグとして追加される?
A4-3:そのとおり。
Q5:ボナパルティズム? ほんとに? 20年代にほぼ消滅したのに。
A5:私たちにフランス第三帝政がドイツ第三帝国と戦う選択肢を捨てろというのか?
Q6:ポートレートはないの?
A6:まだお見せする準備ができていない。
Q7:オルレアニストに進むと「外交政策の見直し(Review Foreign Policy)」経由で連合国に入れる?
A7:入れない。「外交政策の見直し」は民主主義イデオロギーにソフトロックされている。
来週は1.8でのレジスタンス・占領システムの見直しについて。
コメント
帝政フランスや王国の復興が出来るようになるとか、フランス始まるな
史実の東西分割がマシに見えるレベルの分裂ドイツ
一回手をつけた国よりまだ手をつけてない国を優先してくれよ!イタリアはまだかい
フランス第三帝政vsドイツ第三帝国とイタリア・ローマ帝国(自称)で三帝会戦か
フランス王朝復興ルートやったぜ。
ソ連でロマノフ朝復興ルートも待ってます
ドイツの国家が少なすぎる気がする。
EU4の開発チームを連れて来よう()
横に長いからかもしれないけど、今まで1番でかい国家方針じゃないか?
主義も多数あるみたいでとても期待できる。
(ただ、改めて日本国家方針の不遇さを痛感…)
レジティミスト(上に書いてある通りスペイン王=フランス王の思想持ち)が実装されるのか。もしスペインにNFが来ないと本来の国より先に王の閣僚(元首)画像が追加されることになるのか。
面倒なだけで何も面白くない新しい政治システムがないのは嬉しい
けどNF増やし過ぎて全然戦争までにとれないような
最近のNFは正しいと思ってるのは残念
神聖ローマ帝国かな?
レジティミストルートだとスペインも中核州になるのかな
日本のNFなんて選べないし
悩ませてくれるぐらいがいいよね
オランダのNFに好意的なあたりうーんこのパラド