「Hearts of Iron IV」開発日記2018年11月7日分が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回は(個人的に心待ちしていた)艦船デザイナーについて。
前回:開発日記2018年10月31日――いろんなもの その2
概要
開発日記2018年11月7日は、艦船デザイナーについて。数値やUIは開発中のものとのこと。
- 艦船デザイナーに対して、私たちは多くのもの――汗、涙、正気(チームの幾人かのメンバーは「poi」というミームを今や理解している)を費やした。
- Man the Gunsの目標は海軍のゲームプレイをより関与できるものにし、カバーする必要のあるさらなる役割を追加し、プレイヤーにこの役割を果たすためのツールをもたらすことでさらなる深みを与えることだ。また、システムによって最小限の乱雑さで幅広くさまざまな艦船を表現できるようにしたかった。さらに、このシステムをできる限り改造可能にしようとした。
船体
- 艦艇の船体それ自体は基本的になんの戦闘能力も持たない空の入れ物だ。単純化のため、航続距離とHPは持っている(必ずしも持っていなければならないわけではない)が、残りの能力はモジュールで付与される。
艦船デザイナー
- すべての船体タイプはモジュールを配置できる一定数のスロットを持っており、配置できるモジュールのタイプにも制約がある。例えば、駆逐艦(これからは小型艦船体(Light Ship Hull)と呼ばれる)には大型砲や航空機発射台は搭載できないが、水中爆雷は搭載できる。一方、戦艦(これからは大型艦船体(Heavy Ship Hull)と呼ばれる)には大型砲や航空機発射台を搭載できるが、水中爆雷は搭載できない。
- スロットには2つのフレーバー、すなわち固定スロットとカスタムスロットがある。固定スロットは必須のもの(例えばエンジン)か、他のものと競合しないスロットだ。
- 例えば、潜水艦を除くすべての艦船には固定の対空砲スロットがある。このスロットは航空機の攻撃に対してまったく対抗手段がない艦船がほしい場合にはスロットを埋める必要はないが、このスロットに配置できるのは対空砲だけだ。
- カスタムスロットはより柔軟で、艦船を特定の役割に合わせることができる。より大きな船体になると利用できるカスタムスロットも増えるのが一般的だ。
- では、イギリスでドイツと戦争になる場合を考えよう。潜水艦が輸送船を襲撃し、プレイヤーは護衛艦を求めるようになる。これまでのシステムでは固定コストで駆逐艦を大量生産し、もしかしたら海軍経験値を使ってASW能力を強化するかもしれないが、それで終わりだ。
- 新たなシステムでは、初期の(つまり安い)小型船体から不要なものをすべて剥ぎ取る。この艦船を大西洋の真ん中で運用するつもりだとすれば、敵の航空機はおらず、敵が空母も持ってないなら対空砲はまったく必要ない。敵の水上艦隊を長らく見ていないなら、艦砲と魚雷もケチってよい。できる限り安くするためにエンジンも基本のものを搭載する。潜水艦を追い回せるほど速い必要もない。かわりに水中爆雷とソナーを搭載して敵潜水艦を発見できるようにする。目標は量産できる安価な商船護衛艦だ。
- 今度は日本の空母機動部隊と太平洋で交戦することが予想される場合を考えよう。そのときはオーストラリアの救援に送り出すため、最新の駆逐艦船体に多くの対空砲を搭載する。
- 不運にも見込みを誤り、日本が大量の魚雷以外に大したものは積んでいない、安価で使い捨てられる大量の駆逐艦を繰り出し、空母は制空権を取るという防御的な使い方をしているとする。そのときは損害を受ける前に駆逐艦を殲滅できるよう、大量の艦砲を搭載した軽巡洋艦を設計することになる。安くはないが、就役すればいい武器になるだろう。
- ある段階でプレイヤーも空母機動部隊を持ちたいと思うだろう。それはつまり護衛としての巡洋艦や戦艦、または空母そのものに注目しなければならないことになる。幸いなことにイギリスには多くの古い戦艦や巡洋艦があり、改装して第二の人生を与えることができる(詳細は今後の開発日記で)。
- 考慮することの多くはコストに行き着く。私たちは船体に一定量のトン数を持たせ、モジュールがそのトン数を消費するというアイディアもやってみたが、最終的に設計を制約する変数はわずかにしたほうが理解しやすいということに気づいた。このシステムでは1.5.4で到達できる値が小さく感じるような攻撃力を持ったすごい艦船を設計することもできるが、そうしたものは安くないし、弱点となるところもある。
生産
- このシステムでは新たな派生型を追加することなしに必要とするさまざまな種類の艦船を建造できる。軽空母はより少ない(そしてずっと安価な) ハンガーモジュールを持つ空母であり、防空巡洋艦は両用主砲(他の武装と比べると水上目標に対しては性能が劣る)を搭載した通常の巡洋艦だ。水上機母艦はカスタムスロットのほとんどに航空機発射台を搭載した巡洋艦で、素晴らしい水上索敵能力を持つが、その他の点ではまったくダメだ。
特殊な船体
- 一部の艦船タイプには特殊な性能を持つ特別な船体を用意した。装甲艦(Panzerschiff)船体はドイツで利用可能で、本質的には戦艦クラスの重砲モジュールをひとつ搭載できる巡洋艦だ。スウェーデンその他の北欧諸国には海防戦艦(Coastal Defense Ship)船体があり、これは通常の巡洋艦よりも遅いが戦艦の艦砲を搭載できる。ドイツの前弩級戦艦(German pre-dreadnoughts)も固有の船体を持ち、これは性能では劣る。
- こうしたもののほとんどはゲームスタート時に設定されているが、一部は特定の国家方針によって獲得できる。
モジュール
- モジュールは研究によりアンロックされる。そのほとんどは新たに見直された海軍技術ツリー(まだお見せする用意ができてない)にあるが、一部は他の技術ツリーに散らばっている。レーダーの研究では当然レーダーモジュールが利用可能になるし、砲兵ツリーの対空砲を研究すれば艦船に搭載する対空砲もよりよいものになる。火器管制計算機は機械式計算機から分岐する。
- 以下は艦船タイプごとのモジュールリストだ。今後の開発日記でご紹介する(トラスト・ミー)海戦の詳細を知るまで完全に理にかなっていないように見えるものもあるかもしれない。
- 小型艦船体
- 小型砲:他の小型艦に対する水上攻撃力をもたらし、上位のモデルになると対空攻撃力も増加する両用能力を持つ。
- 対空砲:対空攻撃力をもたらす。
- 水中爆雷:対潜攻撃力をもたらす。
- 魚雷:魚雷攻撃力をもたらす。
- 機雷敷設機:機雷敷設能力をもたらす。
- 掃海具:掃海能力をもたらす。
- レーダー:水上索敵能力を増大させる。後期モデルになると水上・対空攻撃力にもボーナスがつく。
- ソナー:対潜探知能力を増大させる。
- 火器管制システム:水上・対空攻撃力にボーナスがつく。
- 巡洋艦
- 小型砲
- 軽中型砲:水上攻撃力と貫通力を増大させ、小型艦に効果的。
- 中型砲:その他の大型艦に対する水上攻撃力と貫通力を増大させる。小型艦には効果的でない。
- 対空砲
- 水中爆雷
- 魚雷
- 機雷敷設機
- 副砲:小型艦に対する攻撃力をもたらし、特に重巡洋艦や戦艦で役立つ。後期モデルになると対空攻撃力も増加する両用能力を持つ。
- 航空機発射台:水上・対潜探知能力を増大させる。
- 装甲:装甲を増加させ、速力を犠牲に受けるダメージを減らす。
- レーダー
- ソナー
- 火器管制システム
- 大型艦船体
- 大型砲:速力を犠牲に水上攻撃力と貫通力を大きく上昇させる。小型艦に対しては基本的に役に立たない。
- 副砲
- 対空砲
- 装甲
- 航空機発射台
- レーダー
- 火器管制システム
- 空母
- 甲板スペース:航空機用のスペースをもたらす。
- 甲板装甲:速力を犠牲に装甲とHPを増加させる。甲板スペースとスロットが競合する。
- 対空砲
- 副砲
- 潜水艦
- 魚雷
- 機雷敷設機
- レーダー
- シュノーケル:潜水艦の視認性を低下させる。
- 小型艦船体
- 見てのとおり、小型艦には対潜水艦防御のための多くのものが搭載できるが、これを強力な対空ユニットにも、強力な魚雷艇にもできる。巡洋艦はさまざまな役割を果たせる大きな柔軟性があり、多くの魚雷と艦砲を搭載した超重駆逐艦から貧者の主力艦にも、あるいは大型で高速の機雷敷設艦にもできる。戦艦と巡洋戦艦は装甲の配置で分類されるが、重装甲に労働力と資源を集中すると別のところが手薄になるかもしれない。
その他
- 空母はサイズの点で少しの航空機しか積まない小型空母から100機以上の超大型空母までと、より柔軟になった。これによって、小国でも空母を幾分持ちやすくなった。
- 潜水艦はこれまでと大部分は同じだが、非常に見つかりにくくなるアップグレードが可能になり、また機雷敷設巡洋艦と同じくらい多くの機雷を敷設できる、より安く発見されにくい特別な潜水艦にもできる。
- 艦船デザイナーはDLCの内容で、(注:おそらくDLCがない場合のことと思われるが)これまでの海軍ツリーは単にあらかじめスクリプトされた設計をアンロックするものとなり、艦船デザイナー画面のかわりに慣れ親しんだ通常の派生型アップグレード画面が表示される。
- 艦船デザイナーが私たちの思ったように機能するなら、このシステムを戦車や航空機にも拡張しようと思っている。バックエンドの一部は戦車や航空機も視野に入れて作成したが、戦争中の大変なときに設計するのはプレイヤーに過度な負担にならないか心配している(第6軍の包囲のために細かな操作をしているときに新たな駆逐戦車の設計もする必要がある)。艦船はリードタイムが長いため、そう頻繁に設計することはないと思う。
来週は古い艦船にできることと、なぜゲーム開始初日に能力を偏らせた戦艦を建造できなくなるのかについて。
コメント
MtGのメインディッシュですね
このシステムを利用した戦車・航空機改造MODとか出るかも?
航空機発射台とは所謂カタパルトないし射出機(艦載機用カタパルトだと射出機では無く艦発促進装置らしい!知るか)、水中爆雷とはいわゆる爆雷の事だと思うのですが、水上機発射台だとか空中機雷などと混同しないように書き分けているのでしょうか?
何はともあれ、水上機の要素が増えたのは嬉しい…ですが生産は出来るのですかねぇ…見た限りではどうも爆雷や魚雷と同じく消耗品扱いされなさそうな雰囲気ですがね。
航空機発射台としたのはAirplane Launcher、水中爆雷としたのはDepth Chargesです。特に書き分けているわけではありません。
水上機はおっしゃるとおり「あることにする」というシステムになりそうですね。
戦車もやれたらいいなと思ってたんだよね。拡張予定なのは嬉しい。
造兵こそ、戦略ゲームにふさわしい要素。素晴らしい。
『ある段階でプレイヤーも空母機動部隊を持ちたいと思うだろう。それはつまり護衛としての巡洋艦や戦艦、または空母そのものに注目しなければならないことになる。幸いなことにイギリスには多くの古い戦艦や巡洋艦があり、改装して第二の人生を与えることができる』
これは、ひょっとして史実のクリーブランド級軽巡洋艦の船体を流用した軽空母「インディペンデンス級航空母艦」や日本での「信濃」を建造できるという形なんですかね?
そうだとするとかなり面白そうです。
ということは逆にゴトランドみたいに水上機母艦から普通の巡洋艦に戻すってのも再現できるってことか
>チームの幾人かのメンバーは「poi」というミームを今や理解している)
パラドの開発日記でこの言葉が出るとは思いませんでした。
これ研究枠とかどうなるのかな
明らかに現状の数だと足りなさそうだけど…
やっときたか!
もう海戦ゲーとして売れるレベルだな
これはあかんわ
一生遊べるやんけ…
このアプデ、すげぇ変態(賞賛)だぜ?
鋼鉄の咆哮、このサイト的にはRule The Wavesみたいな凝りようですね
楽しそう!と素直に思う反面
WW2の短い期間でどこまで建艦し意味のある海戦ができるだろうか、という命題もありますね..
大艦巨砲主義が捗りますね・・・
これでもかと豪華装備を満載した厨二戦艦から、ニッチな任務に特化した浪漫艦まで設計できると今から夢が広がるな
赤城や加賀のような、戦艦の船体を流用したから大型・重装甲の改装空母も再現できるんだろうか
あれ今回のDLCしょうもなと思ってたけど
艦船設計ここまでやれるのならRPはかどりそうだな
ネイビーフィールド思い出すわ
すごいワクワクする内容だけど建造に当てられる造船所減るし開戦に間に合うのかなぁ?あと研究枠が海軍で一つ埋まりそう
AIが扱えるかどうかが疑問。
タヒにシステムにならんことを祈る。
poiを理解するクリエイター様、流石ですわ。
modで氷山空母とかを出す人が絶対でてくると思う。楽しみ
細かい要素の追加はロマンがあって楽しみだけど、ゲームとして面白いかどうかとは別問題だよね…。
すごく気を使って設計してもプレイ上で目に見える差がなかったら本末転倒な気がする。
航空機発射台というのは新しく水上機の要素を加えたり、所謂航空戦艦のような空母艦載機を運用できる戦艦も作れるようにするようなものなんでしょうかね? あるいは単に索敵能力等の数字を上げるだけのモジュールなのか
もし前者だったら(ゲーム内での有用性とかはさておき)航空機搭載潜水艦とかのロマン要素をバニラでもできるようになるかも..?
部隊の歩兵装備とかも小銃とか対戦車装備とか手榴弾とかヘルメットとか防弾チョッキとか、そういうのをカスタムできたら楽しそうだなぁ
面白そうなのはすごく良いんだけど、時間泥棒が加速しそう
拡張が増えて楽しみな反面、現状だと研究枠が足らない気がする…。
かといって地の研究スピードだけ上げると英米が鬼畜化するし難しいよなぁ
戦車でもこのシステム欲しいな…