「Hearts of Iron IV」開発日記2022年8月3日分が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回は航空機デザイナーについて。「By Blood Alone」+1.12リリース前の開発日記です。
開発日記
開発日記2022年8月3日分は、航空機デザイナーについて。
- チームは夏休みから戻り、バグを修正し、新機能と国家方針ツリーのバランスを調整している。
- いつものように、この開発日記でお見せする数値はすべて変更される可能性がある。
- 「No Step Back」での戦車デザイナー実装を発表するとすぐに、航空機デザイナーが開発チームとコミュニティの双方で話題となった。私たちはこれがイタリアの国家方針ツリーとうまく噛み合うだろうと考えた。というのは、イタリアの航空産業は非常に発達しており、戦争中最高の軍用機のいくつかを生産していたためだ。しかしイタリアでは生産能力の不足が大きなネックになっていた。
- また、航空機デザイナーが利用可能な航空機の顔ぶれのギャップを埋める役にも立つと私たちは考えた。何年もの間、多くの国家が自国の戦闘機に爆弾を搭載できるように、あるいは戦術爆撃機にも魚雷を搭載できるように改良を加えていたということを、多くのプレイヤーが指摘してきた。航空機デザイナーの主な目標のひとつはこうした多用途航空機を可能にすることだ。
- 同時に、私たちはこうした多用途機をそれほど強力にはしたくなかった。むしろ単一の任務に最適化された設計のほうが多用途機よりも効果的であるべきだ。多用途機は柔軟性をもたらす一方で、最適化された設計は用意する余裕があるなら最高の性能をもたらす。
- 航空機デザイナーの基礎は艦船・戦車デザイナーをご存知なら驚くことはないだろう。基礎は機体(airframe)と呼ばれ、おおよそ艦船・戦車デザイナーの船体や車体に相当する。機体には複数のモジュールスロットがあり、ここに搭載するモジュールが最終的な設計に実際の能力を与える。機体には小型・中型・大型の3つのサイズクラスがある。小型機は空母に搭載可能なものにもできる。
モジュール
- 航空機デザイナーのモジュールスロットの種類は戦車デザイナーと若干異なり、実質的にはエンジン・兵装・特殊モジュールの3種類だけだ。
エンジン
- エンジンモジュールはこの中でもっともわかりやすいだろう。使用するエンジンの種類を決めて別の値が速度を決めていた戦車とは異なり、航空機デザイナーのエンジンモジュールは搭載されるエンジン数と出力を決める。こうしたエンジンモジュールは推力(Thrust)という新たな能力値を生み出し、他のすべてのモジュールは重量(Weight)というもうひとつの新たな能力値を持つ。
- この2つの能力値は実質的に期待に搭載できるモジュールの種類や数の制約要因となる。設計は重量が推力を上回らない限り有効だ(一部の人々は現実で推力/重量比が1以上の航空機は現代の高性能ジェット戦闘機だけだと指摘するかもしれないが、そうした人々は即座に無視される)。余分な推力は速度に変換されるが、これはすべてのモジュールスロットを埋めない理由を提供することを意図している。
プレイヤーが個人レベルでパイロットを嫌っているなら、ロケット海軍爆撃機も作れる。
- ここで注意すべきは、ジェットエンジン(とロケットエンジン)はエンジンスロットに含まれ、すべての種類の航空機で利用可能であるという点だ。これは必然的にジェット戦闘機その他のジェットエンジン搭載機がもはや固有のユニット種別ではなく、単にジェットエンジンを搭載した戦闘機であることを意味する。つまりジェット戦闘機は通常の戦闘機部隊に補充され、また実質的にジェット空母艦載機、ジェットCAS、ジェット重戦闘機などを航空機デザイナーで作れるようになったということだ。
兵装
- 兵装モジュールもかなりわかりやすいが、対空攻撃(Air Attack)のような攻撃的な能力値をもたらすのみならず、兵装モジュールはさらに2つの主要な機能をもたらす。第一に、兵装はその設計がどのような機体種別になるかを決定する。このため、デザイナーには主要兵装スロット(Primary Weapon Slot)があり、このスロットのモジュールが最終的なデザインの役割、すなわち戦闘機、CAS、海軍爆撃機などを決める。
- これは兵装モジュールが利用可能な任務をアンロックするということにも関連している。つまり航空機種別による任務の厳密な分離がなくなるということだ。航空機に搭載するモジュールによって、プレイヤーは地上支援ができる戦闘機や海上攻撃ができる戦略爆撃機を作れるようになる。もちろん、例えば制空任務をアンロックするのに必要なモジュールが戦略爆撃機には搭載できないなどの制約はある。
CASは地上目標を攻撃するために多様な兵装を持っている。
- 私たちはざっくりと設計を分類する簡単な方法を提供したいと考え、またこれによってAIにその設計が実質的にはどういったものであり、どのように使用されるべきかをずっと容易に伝えることができるようになった。ドクトリンを考慮しなければ、例えば主要兵装スロットに重機関銃4基のセット、副次兵装スロットに爆弾を持つ戦闘機と、主要兵装スロットに爆弾、副次兵装スロットに重機関銃4基のセットを持つCASは能力値に違いがない。しかし戦闘機は戦闘機部隊に、CASはCAS部隊に配備される。
- 以下は兵装、兵装がアンロックする任務、主要兵装スロットに搭載した際の航空機分類の完全なリストだ(まだバランス調整が行われているため能力値は省略した)。
兵装モジュール | アンロックされる任務 | 航空機分類 |
連装軽機関銃 | 制空・迎撃 | 戦闘機・重戦闘機 |
4連装軽機関銃 | 制空・迎撃 | 戦闘機・重戦闘機 |
連装重機関銃 | 制空・迎撃 | 戦闘機・重戦闘機 |
4連装重機関銃 | 制空・迎撃 | 戦闘機・重戦闘機 |
機関砲I | 制空・迎撃 | 戦闘機・重戦闘機 |
連装機関砲I | 制空・迎撃 | 戦闘機・重戦闘機 |
機関砲II | 制空・迎撃 | 戦闘機・重戦闘機 |
連装機関砲II | 制空・迎撃 | 戦闘機・重戦闘機 |
ロケットレール | 近接航空支援・兵站攻撃 | CAS |
爆弾懸吊装置 | 近接航空支援・海上攻撃・港湾攻撃 | CAS |
小型爆弾倉 | 近接航空支援・兵站攻撃・港湾攻撃 | CAS |
対戦車砲I | 近接航空支援・兵站攻撃 | CAS |
対戦車砲II | 近接航空支援・兵站攻撃 | CAS |
魚雷懸吊装置 | 海上攻撃・港湾攻撃 | 海軍爆撃機・海上哨戒機 |
対艦誘導ミサイル | 海上攻撃・港湾攻撃 | 海軍爆撃機・海上哨戒機 |
Fixed Explosive Charge | カミカゼ攻撃 | 特別攻撃機 |
中型爆弾倉 | 近接航空支援・兵站攻撃・戦略爆撃 | 戦術爆撃機 |
大型爆弾倉 | 戦略爆撃・港湾攻撃 | 戦略爆撃機 |
航空機技術ツリー。合計で28の技術があるが、以前のツリーでは38の技術があった。
- こうした兵装の一部は(見直された)航空機技術ツリーでアンロックされるが、戦車の兵装がさまざまなツリーで見つかるのと同様に別の一部は他の場所にある。航空機技術ツリーの技術の総数が減少していることも指摘しておく。
補正は特定の任務にのみ適用される。ここでは、スツーカが搭載する爆弾によって敏捷性は低下するが、ダイブブレーキによって対空防御は向上している。
- 注目すべきはこうしたモジュールの多くが特定の任務に対してのみさまざまな能力値をもたらす点だ。真の多用途機に意味を持たせるため、私たちは複数の任務を持つ設計がその一部で役に立たない航空機にならないようにしたいと考えた。爆弾をぶら下げると機体の敏捷性と速度が低下するが、近接航空支援任務が可能な戦闘機は制空任務で役立たずになるべきではない。したがって、重量と敏捷性のペナルティはその戦闘機が実際に近接航空支援任務に参加する場合にのみ適用され、制空任務を行う際には適用されない。
特殊モジュール
- 「特殊」モジュールスロットはさまざまなモジュールのまとまりであり、そのリストは以下のとおり。
- 装甲板:対空防御向上、航続距離減少
- 自動防漏タンク:対空防御向上、ゴムを使用
- 落下式増槽:航続距離増加(小型航空機のみ)
- 追加燃料タンク:航続距離増加、対空防御低下
- ダイブブレーキ:対空防御向上、海上攻撃時の命中率向上
- 電波航法I:夜間ペナルティ減少、戦略攻撃向上
- 電波航法II:夜間ペナルティ減少、戦略攻撃向上
- 空対地レーダー:夜間ペナルティ減少、戦略攻撃向上、艦艇探知向上
- 空対地レーダーII:夜間ペナルティ減少、戦略攻撃向上、艦艇探知向上
- 空対空レーダー:迎撃任務時の夜間ペナルティ減少
- 空対空レーダーII:迎撃任務時の夜間ペナルティ減少
- フロート機:艦艇捕捉向上(小型航空機のみ)
- 飛行艇:: 艦艇捕捉向上(中・大型航空機のみ)
- 軽機関銃旋回銃座:対空攻撃向上、敏捷性低下
- 連装軽機関銃旋回銃座:対空攻撃向上、敏捷性低下
- 重機関銃旋回銃座:対空攻撃向上、敏捷性低下
- 連装重機関銃旋回銃座:対空攻撃向上、敏捷性低下
- 機関砲旋回砲座:対空攻撃向上、敏捷性低下
- 連装機関砲旋回砲座:対空攻撃向上、敏捷性低下
- 偵察用カメラ:偵察任務をアンロック(LaR所有者のみ)
- 機雷除去コイル:機雷除去任務をアンロック(MtG所有者のみ)
- 爆撃照準器I:戦略攻撃向上
- 爆撃照準器II:戦略攻撃向上
- 戦略物資不使用:アルミコスト減少、対空防御低下
- 特殊モジュールは航空機をさまざまな任務に最適化したり、さまざまなニッチを与えることを主に意図している。
- 目ざといみなさんは航空機が海上・対潜探知値を持っていることにお気づきだろう。これまでは海域で活動する航空機がその海域で活動する海軍の捕捉速度に一律のボーナスを与えていた。これは変更され、航空機が持つ捕捉能力値は艦艇捕捉をどれほど支援できるかを決定する。空対地レーダーや飛行艇機体のようなモジュールは艦艇捕捉にボーナスをもたらす。
- バニラの航空機には艦艇捕捉の能力値は既に組み込まれており、他よりも優れたものになっている。空母艦載機は陸上の同格機よりも優れ、海軍爆撃機は戦闘機より優れているなどだ。
さまざまな種別の航空機で海上哨戒を行える。
- こうしたことをさらに推し進めるため、私たちはさらに2つのものを追加した。海上哨戒機(Maritime Patrol Planes)は専用のユニット種別で、適切なモジュールを搭載した航空機では特別な海上哨戒(Naval Patrol)任務を行える。海上哨戒機は大型機体として作成され、非常に優れた航続距離を持つ。海上哨戒機は海軍爆撃機の全兵装を搭載できるが、海上攻撃は海上哨戒機の主要な任務ではなく、航続距離の短い小型機では効率的な任務遂行に苦労する外洋の通商破壊艦を捕捉する手助けをするためのものだ。
BBAで追加される新たな航空機アイコンの一部。お気に入りのものはどれ?
- 最後にアートについて。既にさまざまな機種のアートがあるが、生産画面で航空機を見つけやすくするための選択肢がほしいと私たちは考えた。戦車デザイナーでは既存のアートを分割してさまざまな組み合わせに組み換えて大量のアセットを作ったが、航空機デザイナーではうまくいかないことに気づいた。そこで、既存のアートの不足分を埋めるとともに、飛行はしたが量産を見送られた試作機のアートを追加した。
DLCに含まれる新たなアセット。
- 3Dアートをもっと増やしたいとも思った。戦車デザイナーと同様に、航空機を設計する際にこうしたアセットを選択できる。このDLCでは新たな3Dモデルを80個ほど追加しているが、詳しくは今後ご紹介する。
QAが考え出したおかしな設計
単機で戦車小隊を圧倒する砲数だが、残念ながら旋回できない。
このあと私たちはひとつの航空機に搭載できる爆弾倉を制限した。
エンジン6基、機関砲8基、旋回砲座の機関砲4基、そして戦略爆撃機より50%高い生産コスト。言うまでもなくこの組み合わせはもはや不可能だ。
スピットファイア マークIの武装を見たときに思いを巡らす。「もしもっと銃があったら?」
質疑応答
Q:星型空冷エンジンと直列水冷エンジンを選べたりするの?
A:いいえ。エンジンはどちらかというと直線的なアップグレードを行う。星型と直列のような選択は面白いトレードオフをもたらすとは思えなかった。
Q:輸送機用の特別なモジュールはある?
A:いいえ。輸送機は設計可能にならない。そうするとあまりに多くの特殊な状況が生じ得ると考えたためだ。
Q:伝説のボールトン・ポール「デファイアント」は作れないってこと?
A:ゲーム内でも銃座付き戦闘機は作れるが、少なくとも前方発射の連装軽機関銃をひとつは搭載しなければならない。
Q:海戦では急降下爆撃機は空母のような非装甲艦を潰すのが得意で、雷撃機は装甲艦に強かったと思うけど、こういうのは反映される? それとも艦載のCASはダメなまま?
A:ダイブブレーキは爆弾を搭載する航空機に海戦での役割を持たせるためのものだ。魚雷は命中確率がかなり低いもののダメージが大きく、爆弾は命中確率がかなり高い(特にダイブブレーキと組み合わせた場合)もののダメージは小さい、つまり爆弾はダメージが安定しているが魚雷は当れば大きい。海上攻撃でのバランスとしては依然として魚雷が有利だろうと思うが、爆弾もCAS任務のようなその他の柔軟性をもたらす。
Q:巡洋艦や戦艦などのために小型のフロート機を生産しなければならなかったりするの?
A:いいえ。
Q:打撃部隊任務の任務部隊は航空隊による探知のみで、哨戒任務の任務部隊なしで敵艦隊を攻撃できる?
A:できない。
Q:CAS任務が可能な戦闘機とそうでない戦闘機があった場合、どっちの戦闘機でも航空隊の補充はできるの?
A:制空/迎撃任務を行える戦闘機を制空/迎撃/CAS任務を行える戦闘機で構成された航空隊に補充することはできないし、その逆もまた然りだ。これは開発初期の頭痛の種で、私たちは任務によって補充のフィルターをかけることにした。
Q:これは日本のゼロ戦の国家方針にどう影響するの?
A:日本(同様の国家を持つ他の数か国も)には史実の設計のためのテンプレートが与えられる。
Q:航空隊に複数の任務を与えた場合、全部の任務のボーナスとペナルティが同時に付与されるの?
A:航空隊は一度に1つの任務を実行する。優先順位は(基本的に)左から右なので、CASと海上攻撃が両方有効になっている場合はCAS任務が常に優先される。
HoI4コンテンツデザイナーの責任者で今回の開発日記の筆者であるArchangel85氏がパラド社を退職する旨、告知されています。退職後もゲーム産業には留まるとのこと。
コメント
航空機デザイナーそのものより日本機に追加される3Dモデルが楽しみ
今は種類が少なくて新機種開発しても同じだったりして面白みがないし
おー、これでついに万能マルチロール機による一機種集約開発が出来るな!(駄作機フラグ)
おおついに爆弾積み積み超富嶽が作れるのか!アメリカを焼け野原にしてやるぜ(NHKで初めて富嶽計画を知った)
機銃マシマシの4発大型迎撃機を飛ばして、艦隊シリーズ宜しくミシン縫い!とかできるのか?
神風するには専用装備が必要なのか…史実みたいに旧式機の転用はできないのね
それにしても自由度が上がっていいな
戦車デザイナーの時に旧式戦車→駆逐戦車みたいな転換ができたし、
史実でもあったらしい空母の無くなった艦上戦闘機を転換して神風用に、みたいなのもできるんじゃない?
さらに楽しくなりそうでいいねぇ
戦闘機に爆弾積んでCASできるの、中小国だと大いに助かりそうだ
水冷と空冷はあっても良かった気がするけど、信頼性と性能どっちを取るかみたいな
まあ難しくないだろうし、MODが出るかな?
燃料消費0のロケット空軍を作れるのか?
ロケットエンジンも6発にできるのか?
ロケット空軍に追加燃料タンクを装備させることができるのか?
疑問と妄想が尽きない。ただ、それが可能でもロケットエンジン自体は44年以降の技術のままだと思うから、通常プレイでは遅すぎるだろうな。
普通のロケットで対艦攻撃できないのが違和感あるな
誘導ミサイルなんて誘導爆弾ってのが限定的には存在するけど当時はまだまだ発展途上だろうし非誘導のロケットは普通に海戦でも使用されてたのに