「Hearts of Iron IV」開発日記2021年10月27日分が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回はアートについて。1.11「バルバロッサ」リリース前の開発日記です。
開発日記
開発日記2021年10月27日は、アートについて。
クロヤンティの戦いのロードスクリーン
フォーラムでのこの画像は4kのPNGファイルとなっており、壁紙にも使えるとのこと。当サイトでのこの画像はただのJPEGファイルです。
- アーティストはなにから始めるのか? 第一に、壮大な外観のロードスクリーンを作るためにもっとも重要なものを集めるツールであるリファレンスボードを用意する。私たちのアーティストが使っているツールはPureRefだ。画像を追跡し、整理やカスタマイズが簡単にできる。そしてもちろん描くのにはphotoshopだ。
- 道具が揃い、アーティストの準備が整い、机の上には「早朝に休んでいるドイツ兵を攻撃するポーランド騎兵」という方針が置かれている。次はGoogleの時間だ。
- 戦闘シーンを描くことに特化していたJersy Kossakのイラストを知っている方もいるかもしれない。これは私たちのアーティストが最初に見つけた画像のひとつで、後で使えるようにすぐにPureRefに保存した。壮大でかっこいいが、とても不正確だ。しかしこれが始まりだ。
- さらに調べると、アーティストはこの戦いを再現した映画を見つけた。もちろん依然として正確ではないが、ポーズ・雰囲気・構図は素晴らしい。トレイラーやメイキング映像しかなかったが、アーティストは諦めない。もちろん、アーティストはひとつのソースにこだわることはできない。再びGoogle検索し、さらに多くの再現シーンを見つけてコレクションを増やすことができた。
- PureRefが面白いアングル、ポーズ、雰囲気、光でいっぱいになったところで、アーティストは「サムネイリング」という作業を始める。これは本質的にはアーティストがかっこよく見える戦闘を描いたロードスクリーンについて、素早く簡単に見ることができる提案をするということであり、集めた資料を参考にスケッチを作る。
- これがPodcat(注:HoI4の前ゲームディレクター)とArchangel85(注:HoI4コンテンツデザイナー)が選んだサムネイルがこれだ。確かに不細工だが、時間をかけずに作れる。サムネイルにはさまざまな手段があるが、私たちのアーティストは通常グレースケールを使用する。画面の中の階層を素早く把握できるようにするためだ。例えば、もっとも暗い部分はもっともビジュアル面で面白い部分で、最初に見てもらいたい部分であり、明るい部分は二次的でそれほど重要ではない。
- ここではチームとのコミュニケーションを容易にするためにアーティストがAからDまでの案をくれた。ここでのプロによる一言アドバイスとしては、チームとのコミュニケーションを常に明確にしてできる限り正確な表現をすること、そしてイラストを正しい方向に持っていくために進捗状況を頻繁に示すことが重要だ。
- こうしていよいよ開発中(Work In Progress)のフェーズに入る。最初の開発中のものはPodcatとArchangel85がアーティストと一緒に進めた、最初の「きれいな」サムネイルだ。彼らは私たちが読む方向に合わせて動きの方向を左から右に変え、画像に視覚的な深みを出すために前景にもう一人の騎兵を追加した。
よりロマンティックな夕暮れ/朝焼けの時間帯のようなもので、私たちは結局こちらにした。時間帯は間違っているが、こちらのほうがよりHoIらしく感じた。
- 開発中のシリーズの次のフェーズは色だ。私たちはこのイラストを時間的に正確なものにしたかったが、わかっていることはなにか? 騎兵隊は早朝に攻撃したことがわかっている。ドイツ兵が森の近くでキャンプしていたこともわかっている。騎兵隊が森を通ってきたこともわかっている。しかし、どのようなものがもっとも興味深い/壮大なのか? 私たちのアーティストは2つのカラーバリエーションを作った。
- イラストのトーンや雰囲気の方向性を考えた後、アーティストは一部の人物をさらに明確に描き始めた。今のところ、彼らはただのぼかしや塊であり、写真そのままのようでもある。
- この段階で、アーティストは背景にドラマを追加する方向に進んだ。HoIのアートリードからの指示を明確にするために新たな地平線が追加され、風景がより明確になった。この段階でアーティストは突然増えた兵士たちをより明確に描き始めた。
- この道具は時代について正確か? あの木箱は本当に使われていたのか? あの異常に大きいテントはなんだ? なぜ白なんだ? PureRefに集めたものが時代関して不正確であることに気づき、悲しいアーティストの声が聞こえてきた。こうしたことについてやり直さなければならないことが明らかになり始めたのだ。
- アーティストが「愛しいものを葬り去れ」と言うのには理由がある。残念ながらそれは正しい。しかし、それはとてもよいことでもある。なにかを修正する最善の方法は、ときには最初からやり直すことわかっていなければならない。今回はそうではなかったが、それでも大幅な書き直しが必要だった。
- Jamor(注:パラド社開発スタジオプロデューサー)が親切にもアーティストを助けてくれ、適切な参考資料をもたらし、恥ずかしいイラストになるのをどうにか避けることができた。騒がしい背景の要素は、ここまでまったくそうではなかったがあまりにも気が散るために取り除かれた。サムネイルでは爆発が主役になってしまっていたが、これはよくない。馬を主役に据えるべきだ。そしてこの段階で人物がさらに明確になり、背景もより絵画的なものになった。
- 私たちはようやくいい方向に向かい始めるところにたどり着いた。見た目は壮大、雰囲気は英雄的で、まさに戦いが起こっているように感じられる。そこで最初に立ち戻り、他のロードスクリーンがこの新たな作品の感覚や表現のスタイルと近いかを検討するときだ。アーティストはこれまでのロードスクリーンを見て使用されているブラシストローク、テクスチャー、色を研究した。
- イラストに戻って、これまでのスタイルを反映させるテクスチャーが追加され、前景と中景、キャンプ内と周辺のディテールが追加された。一部の兵士に新たな仕事が与えられ、死者の代わりにキャンプを守り、テントから這い出てくる兵士もいる。アーティストは「パニック」の感覚がキャンプに見えるようにしたかった。
- ここで画像全体のバランスをとるため、地面をかなり高くすることになった。また、この段階で私たちのアーティストがリードアーティストやアートディレクターと一緒に画像の価値をチェックした。これは間違いなくもっと早い段階で行えたが、ときには問題になるまで忘れていることもある。今回は幸運にもそうではなかった。
- 例えば、フィールドキッチンのもっとも暗い部分は野外にあるには暗すぎたので、画像に合うように値を明るくしなければならなかった。
- 専門的になりすぎないようにこの段階で起こったことをまとめると、アーティストはコントラストをチェックしてよりそれらしくしている。手前にあるものがもっとも暗く、奥に行くほど明るくなる。フィールドキッチンはもっとも暗い部分が手前の騎兵のもっとも暗い部分と同じで、位置がずれているように見えていた。白黒の調整レイヤーを反転させると、色に惑わされることなく画像を簡単に見渡せる。グレースケールのフィルターをオン/オフできると劇的な効果があり、画像に新しい視点と光をもたらすことがある。
- 最後の修正だ。ここでアーティストは画像の最後の10%を仕上げるために作業を始めたが、この最後の10%はイラストレーションの中でもっとも長く退屈な部分と言われている。ここではすべての人物にディテールと躍動感を与え、イラストの背景と光を調整している。
- サムネイリングのための参考資料の収集から完成に至るまで約3週間を要し、そのうち2週間はこれのみに打ち込んだが、残りは優先しなければならない他の仕事の合間に行った。
- 私たちのアーティストは素晴らしい仕事をしたが、みなさんは彼らがこんな大きな作品の初仕事だと信じられるだろうか? HoIでの彼らの普段の仕事はみなさんが押したり見たりするようなアイコンやボタンに加えてポートレートを作成することであり、これは彼らにとって本当に挑戦だった。しかし控えめに言って彼らは挑戦を楽しんでいたし、みなさんにもこれが素晴らしい見た目であることに賛同してもらえたら幸いだ。もしかしたら将来、彼らがまた別のロードスクリーンに挑戦するのを見ることがあるかもしれない。
「No Step Back」のポートレート
- ここで「No Step Back」で登場するポートレートをお見せする。
- これ以外にもたくさんのものがある。
- さらに国家方針と実績のアイコンもある。
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