パラド社が2021年第1四半期レポートを発表

2021年5月11日、パラド社が2021年第1四半期レポートを公表していました。2021年第1四半期は前年同期比で売上高-9%、営業利益-44%と減収減益の厳しい決算となりました。

前四半期：2019年第4四半期・通期

2019年第4四半期分の記事を最後に一旦は終了としましたが、やっぱり個人的に気になるので復活しました。

概要

2021年5月11日、パラド社はウェブサイトで2021年第1四半期レポートを公表しました。

以下では1スウェーデンクローナ=13.06円で換算し、千の位を四捨五入しています。

業績と財政状態

このグラフは単位が千クローナなので、記事中の数値（百万クローナ）から桁が3つ大きくなっています。

• 2021年第1四半期業績：前年同期→当四半期（単位は百万クローナ）
  • 売上高：400.4→364.5（-9%・4,760百万円）
  • 営業利益：165.9→92.5（-44%・1,208百万円）
  • 当期純利益：164.7→91.6（-44%・1,196百万円）
• 理由
  • 収益の大部分が米ドル等の外貨建てであり、米ドル/スウェーデンクローナの為替レートは2020年第1四半期から2021年第1四半期にかけて13％下落しているため
• 当四半期のハイライト
  • Cities: Skylines、CK3、EU4、HoI4、Stellarisが主に収益貢献
  • 当四半期新規リリース
    • Prison ArchitectのDLC「Going Green」
    • Stellaris:Console EditionのDLC「Lithoids species pack」
    • Stellaris:Console EditionのDLC「Megacorp」
    • Imperator: RomeのDLC「Heirs of Alexander」
    • CK3のDLC「Northern Lords」
  • 外部スタジオで開発していた未発表のゲーム2本を開発中止、34.4百万クローナの減損損失（前年同期は13.8百万クローナの減損損失）

このグラフは単位が千クローナなので、記事中の数値（百万クローナ）から桁が3つ大きくなっています。

CEOコメント

• EU、CK、Stellaris、HoI、Cities: Skylinesといった中核となるゲームのほか、「Surviving Mars」「Age of Wonders」「Prison Architect」などの中核となるゲームになる機会があるゲームタイトルがある。
• 一方で、現在の中核分野から外れる新たなブランドによる未発表のゲームがあり、高リスクだが成功すれば新規プレイヤーを獲得して中核分野を拡大できる。
• そのため、既存の中核となるゲームの新たなコンテンツや続編を作っていくことと、新たなゲームでポートフォリオを拡大していくことのバランスをとることが重要。
• 最近このウェイトを調整し、中核分野であるストラテジー・マネジメントゲームにより多くの投資と資源を投入することにした。
• 例えば開発継続中の「Surviving Mars」は当社のパートナースタジオであるAbstraction Gamesが新たなコンテンツを制作中であることを発表（注：「Surviving Mars」の開発元はHaemimont Games）し、今後1年でリリース予定。またユニークプレイヤーが500万人到達。
• 中核となるゲームへ注力することのひとつとしてゲームの新コンテンツリリース速度があり、グランドストラテジーゲームを制作する人員やスタジオの増加に注力している（注：四半期レポートの記載では当四半期末時点で696名を雇用）。
• 2020年にはマルメとウメオのスタジオをグランドストラテジーゲームのコンテンツ開発に切り替え、バルセロナにも同じ目的で新しいスタジオParadox Tintoを設立した。

売上の減少は為替レートで片付けられそうですが、利益がほぼ半減というのはなかなか厳しいような印象があります。今後はワクチン接種の広がりで新型コロナの巣ごもり需要も低減していくでしょうし、現在進行中の第2四半期は特に大型のDLCのリリースなどもなかったはずなので、第2四半期も業績は厳しいのではないかと思います。

2021年5月13日追記：Stellaris「Nemesis」とEU4「Leviathan」は現在進行中の第2四半期のリリースですね。すっかり忘れていました……。

一方で、グランドストラテジーゲーム開発に経営資源を投入するという動きは個人的にはとてもうれしい話題です。先日発表されたパラド社開発スタジオの組織再編成もこうした動きの一環なのだと思いますし、ぜひ頑張ってもらいたいところです。

次四半期：2021年第2四半期